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470jr. WC


470 Junior World Championship
26 Aug - 2 Sep 2017



470級ジュニア 世界選手権大会

総括レポート


470級ジュニア世界選手権大会が8月26日~9月2日、神奈川県江の島で開催されました。


日本初開催

1984年から始まった同大会ですが、日本では初めての開催です。中村健次コーチが大学生の時に初めて参加したのがスイスのサンモリッツ大会で、それが同大会の始まりです。日本からは毎年、男女のチームを派遣してきました。昨年、ドイツのキール大会では岡田奎樹・木村直矢組が優勝、高山大智・高柳彬組が3位と2組が表彰台に上がり、今年は日本勢の引き続きの活躍を期待されての開催となりました。

今大会は男子10カ国38艇、女子11カ国25艇、合計15カ国63艇のエントリーとなりました。江の島が2020年東京五輪の開催会場ということから、フランス、イタリア、オーストラリアは五輪を視野に入れた若手育成チームが自艇を持ち込んできました。費用の負担が大きくならないように各国とも五輪クラスのナショナルチームと協力してのアプローチでした。ニュージーランドやスウェーデンもオリンピッククラスの選手がジュニアチームのコーチをしながら夏の江の島の攻略策を練るなど、想定以上にレベルの高い争いとなりました。


上位を独占した女子海外勢

大会は弱い海風で始まり、中風の南風と江の島特有の波の中で3レースを行った2日目、3日目は台風の影響で北からの25ノットオーバーで1レース、4日目は前日と同様ながらも台風の進路がそれて北風も15-20ノットとおさまり2レース、メダルレースも同様に北風で実施しました。

すべてのコンディションが網羅されたものの、強風域が多い大会となりました。日本の大学生選手たちがまったく走れなかった3日目の25ノットを経験したら、最終日の15ノットは普通に感じるようになっていました。

女子は25艇のエントリーながらも参加国数は11カ国と男子よりも多く、スペインのMas / Barcelo 組が安定したスコアで2連覇を達成しました。メダルレースでは下ゲートへ向かう途中でジャイブ後に沈をしかけてハラハラする場面もありましたが、その後はしっかり立て直して貫禄を見せました。「江の島のコンディションはスペインのパルマと似ている点がたくさんあります。普段いっしょに乗っているクルーは年齢がジュニアを超えているため、今回はPaolaと組んでいます。パルマで練習して江の島への準備をして、2019年のワールドでまた表彰台に上がれるよう、がんばります。」と、Mas選手はジュニアタイトルよりも先のことを見据えています。

2位はオーストラリアのJerwood / De Vries 組ですが、強風でのスピードが良く、また毎日上達していく姿に驚かされました。

3位と4位はイタリアでした。4位になったDi Salle / Dubbini 組は今大会の本命でしたが、途中DSQとBFDを1日でとってしまい崩れました。

女子は10位までを海外勢が占め、11位に宇田川・関組が入ったものの、僅差でメダルレースに進めませんでした。宇田川組は第7レースでトップフィニッシュを果たし、得意な風域では上位に食い込みましたが、20ノット近く風が上がってくるとまだミスが多く、自信をもって走れていなかったようです。

12位になった田中・工藤組は異なる大学に所属する2人が組んだチームで、今回がこのコンビで乗る最後になりました。「日本では、強風になるとすぐにハーバーに出艇禁止の赤旗が上がってしまい、強い風の中での練習がしにくいです。2月に強化合宿で沖縄へ行った時には死にそうなくらいの強風で練習できましたが、国内でも強風の中でレースがたくさんできればいいなと思いました」と、田中は国際大会で吹いた中での力量不足を感じました。


毎日が激戦の男子

男子の先頭集団は毎日が激戦でした。
昨年のワールドチャンピオンクルーだった木村選手は3位のスキッパーの高山選手と組み、昨年の優勝スキッパーの岡田選手は420でWSユースワールドから上がってきた同じ大学の後輩の松尾選手と組み、昨年岡田選手のクルーだった高柳選手は同じ大学の平野選手とのチームでした。

フランスの男子は470ジュニアチャンピオンがそのまま五輪代表への道を進むことが多く、東京代表の育成チームとして一番気合を入れ、大会制覇をもくろんでいました。ギリシャで開催された世界選手権で4位だったMachetti / Danes 組とPirouelle / Sipan 組とさらに若手の3艇での練習で全日本から参加して準備をしていました。

フランスは男女それぞれのコーチボートの他に気象観測艇を出し、江の島の潮流と風のチェックもしていました。この期間中は黒潮の蛇行や台風の影響で江の島沖のレースエリアでは1~1.5ノットの流れが出ている時間帯もあり、本部艇はマークが流れてはM旗を揚げてレースをやりくりすることもありました。

ジュニアヨーロッパ選手権ではイタリアのFerrari / Calabro 組が優勝していましたから、フランス2艇、イタリア、日本2艇でトップグループを形成しました。

レースは中盤から15ノットオーバーのコンディションが増え岡田組が脱落、表彰台を争うのはフランス2艇、イタリア、高山組の4艇に絞られました。20ノットになると、Machetti組が目を見張るばかりのダウンウィンドで連続トップを重ねましたが、予選シリーズ最後の第10レースでは高山・木村組が会心の走りでスタートからフィニッシュまで1位を守りました。高山選手はシニアのレースではリオ代表クルーだった今村公彦選手と組み、木村選手は同じくリオ代表スキッパーの土居一斗選手と組んでいます。

Machetti組は7月にギリシャで開催された世界選手権で4位に入った強豪ですから、タイトルを争う2チームはシニアのトップをすでに狙っているチームになります。メダルレースを終えての結果はフランスが1位、2位、高山・木村が3位銅メダルになりましたが、凄いレースを見せてくれました。フランスに逆転されてしまい残念ですが、「3位、おめでとう!と、言ってください!」と、木村選手は強風でのシリーズで激戦を戦いぬいた達成感を笑顔に込めていました。

来年のジュニアワールドはイタリアのローマです。また、2019年の470世界選手権は江の島に決まりました。今大会から何チームが東京2020の代表になるのか、期待してフォローしていきたいと思います。

(Report & Photo by 齋藤愛子)


大会サイト:http://2017juniorworlds.470.org/en/default/races/race

写真と動画http://2017juniorworlds.470.org/en/default/races/race-photogalleries

大会成績http://2017juniorworlds.470.org/en/default/races/race-resultsall

トラッキング(レース航跡)http://smarttrac.jp/category-list/?rno=28


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(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)