Laser European Championship 2015
2015年レーザーヨーロッパ選手権
2015年レーザーラジアル女子ヨーロッパ選手権
2015年ラジアル男子ヨーロッパ選手権 兼 世界選手権

Report & Photo by 飯島 洋一（JSAFオリンピック強化委員会）

大会6日目（最終日）


▲最終日は、信じられない数のブラックフラッグルール失格者が出ました


大会最終日はいつもとは違い、南寄りの弱い風で行われました。
少しでも良い成績を収めようとスタートから勝負に出る選手が多くゼネリコを繰り返し、ブラックフラッグが上がり、多くの失格者が出た1日となりました。

この6日間でレースはフルに行われその数12レース。選手たちは多くの事を学ぶことができたと思います。特にラジアル女子の蛭田選手は決勝に入ってから「何か吹っ切れた」走りを見せてくれました。

若手の男子選手は同年代の選手よりも上のトップレベルの選手との差を感じ「世界にはこんなにも速い選手がたくさんいる。もっともっとトレーニングをしなければ、練習をしなければ」と感じたと思います。今後の彼らの活躍に期待します。
この後、北村はU21世界選手権、西尾はラジアルユース世界選手権と同世代のレースに参加します。ここで学んだことを存分に発揮し、良い成績を収めてほしいと思います。


●成 績
レーザークラス（参加105艇）
シルバーフリート
○北村 勇一朗（関東学院大学）
　17位　(51)-(48)-23-39-39-37-9-15-13-36-15-21
○西尾 勇輝（和歌山県立桐蔭高等学校）
　40位　 (55)-34-46-42-47-43-BFD-(BFD)-24-16-40-17

レーザーラジアル女子（参加98艇）
シルバーフリート
○蛭田 香名子（豊田自動織機）
　7位　21-32-32-(43)-21-26-27-(BFD)-3-2-6-16
○冨部 柚三子（レーザー江の島フリート）
　12位　38-30-(46)-29-13-21-26-15-17-(DNC)-9-13

レーザーラジアル男子（参加75艇）
○五十嵐　厚志（ウルマンセイル）
　51位　(UFD)-56-67-25-29-18-57-37-34-62-41-45

●大会Webサイト：http://www.sailing-aarhus.dk/oc2015/


▲スタンダードクラス優勝を決めて喜ぶオランダ選手


▲今大会をオリンピック代表選考にしていた国もありました。レースを終えて検討をたたえあうドイツ選手


▲多くの事を学んだ西尾

（編集・文責：JSAFオリンピック強化委員会・広報）

大会5日目


▲今日頑張った蛭田


昨日レースができなかったラジアル男子、1レースのみの成立だった女子のシルバーフリートが予定を早め、本日は3レースを行いました。風は10～18ノットと強弱があり、よく振れるコンディションでした。

ラジアル女子の蛭田が1レース目こそBFDとなったものの、他のレースを3-2としました。

男子は1レース目に北村が13位、2レース目に西尾が16位となりました。彼らは健闘しますが、経験の差でしょうか、やはりミスが目立ち順位を下げてしまう傾向があります。
ふとした時に風の周期に合わない方向にコースを引いてしまうことがあり、順位を下げてしまいます。風が吹き、よく振れるコンディション、しかもコースが長いため、レース中に自分の位置を見失うことがあります。そんな中でも自分の位置、今の風をしっかりと把握することが重要と感じさせる1日でした。

明日は最終日16時以降のスタートは行われないため、スケジュールを変更してラジアル男子は10時、その他のクラスは11時のスタートの予定で行われます。少しでも多くの事を学んで帰国してほしいと思います。


●成 績
レーザークラス（参加105艇）
シルバーフリート
○北村 勇一朗（関東学院大学）
　20位　(51)-(48)-23-39-39-37-9-15-13-36
○西尾 勇輝（和歌山県立桐蔭高等学校）
　43位　 (55)-34-46-42-47-43-BFD-(BFD)-24-16

レーザーラジアル女子（参加98艇）
シルバーフリート
○蛭田 香名子（豊田自動織機）
　11位　21-32-32-(43)-21-26-27-(BFD)-3-2
○冨部 柚三子（レーザー江の島フリート）
　21位　38-30-(46)-29-13-21-26-15-17-(DNC)

レーザーラジアル男子（参加75艇）
○五十嵐　厚志（ウルマンセイル）
　44位　(UFD)-56-67-25-29-18-57-37-34

●大会Webサイト：http://www.sailing-aarhus.dk/oc2015/


▲スタートする冨部


▲長いコース、強弱、シフトの大きいコンディションに苦戦する北村

（編集・文責：JSAFオリンピック強化委員会・広報）

大会4日目


▲今日レースが行われなかったラジアル男子ワールド参加の五十嵐選手


決勝シリーズが始まりました。
日本人選手はスタンダード、ラジアル（女子）ともにシルバーフリートでの戦いになります。
今日のオーフスの風は安定せず、着艇は19時過ぎになりました。
スタンダードクラス、ラジアル女子ゴールドは比較的スムースに2レースが行われたものの、ラジアル女子シルバーは1レース。ラジアル男子は1レースもできませんでした。

ラジアル3クラスは同一の海面でスタートを試みるものの、風が振れてＡＰフラッグ、ゼネリコを繰り返すうちに風軸が変わりコース設定の変更といった悪循環を繰り返しました。

スタンダードの北村は上位半分が抜けたシルバーフリートで走るスペースができ、9-15と走ることができました。レースが進むにつれてクローズ、ダウンウインドともに少しずつ走りを修正してスピードが良くなってきました。
西尾は積極的なスタートを試みるもののBFDとなってしまいました。
ラジアル女子は上位で走る場面も多いのですが、詰めが甘く順位を下げてしまう傾向がありました。
明日は20ノット近い風が入る予報です。日本チームの頑張りに期待します。


●成 績
レーザークラス（参加105艇）
シルバーフリート
○北村 勇一朗（関東学院大学）
　25位　(51)-48-23-39-39-37-9-15
○西尾 勇輝（和歌山県立桐蔭高等学校）
　48位　(55)-34-46-42-47-43-BFD-BFD

レーザーラジアル女子（参加98艇）
シルバーフリート
○冨部 柚三子（レーザー江の島フリート）
　16位　38-30-(46)-29-13-21-26
○蛭田 香名子（豊田自動織機）
　19位　21-32-32-(43)-21-26-27

レーザーラジアル男子（参加75艇）
○五十嵐　厚志（ウルマンセイル）
　43位　UFD-56-67-25-29-18

●大会Webサイト：http://www.sailing-aarhus.dk/oc2015/


▲フィニッシュラインに向かう北村


▲今回のレースの本部船、年季が入っている本部船です。

（編集・文責：JSAFオリンピック強化委員会・広報）

大会3日目


▲艤装中の蛭田選手


今日はレーザーらしい強風が吹き、各クラス共に長いコースで2レースが行われました。14～20ノット、時折25ノットに近い強いガストが入ってきます。コースの長さはスタートラインから上マークまで2km、加えていつものシフティ＆ガスティなコンデション。選手にとっては肉体的にも精神的にもきつい1日になりました。

これだけ吹くと日本の若手スタンダード選手は苦戦を強いられます。海外のトップセーラーはこのコンデションでもクローズではパワフルに疲れを感じさせないハイクアウト、ダウンウインドでは強い風と思わせないテクニックを見せてくれます。
ラジアルクラスは第2レースでこの風の中、冨部が上位でレースを展開していました。

毎年行われるヨーロッパ選手権は、各国ともに若手選手にとっては自身のスポンサー、競技連盟への格好のアピールの場となっており、国によってはオリンピックの選考シリーズにもなっています。クロアチアの選手の話では世界選手権、ヨーロッパ選手権の成績によって国からの補助が決まるとのことです。
実際にスタンダードクラスのクロアチア、トンチ選手はこの大会にめっぽう強く2010年、2011年、2013年、2014年とこのレガッタで優勝しています。今回も今日1-1-と一気に順位を上げ、5度目の優勝に向けて加速し始めました。
また、朝のブリーフィングでは、コーチ陣から公正なレース運営についてのリクエストが積極的に出されていました。
このようなシビアな空気を感じながら、若手選手は大きく成長してほしいと思います。


●成 績
レーザークラス（参加105艇）
○西尾 勇輝（和歌山県立桐蔭高等学校）
　87位
(55)-34-46-42-47-43
○北村 勇一朗（関東学院大学）
　94位
(51)-48-23-39-39-37

レーザーラジアル女子（参加98艇）
○冨部 柚三子（レーザー江の島フリート）
　63位　38-30-(46)-29-13-21
○蛭田 香名子（豊田自動織機）
　66位　21-32-32-(43)-21-26

レーザーラジアル男子（参加75艇）
○五十嵐　厚志（ウルマンセイル）
　43位　UFD-56-67-25-29-18

●大会Webサイト：http://www.sailing-aarhus.dk/oc2015/


▲レースを終えて厳しい顔の西尾選手


▲270艇ものレーザーがこのヨットクラブに集まりました。

（編集・文責：JSAFオリンピック強化委員会・広報）

大会2日目


▲フリートの中盤でレースを進める北村


今日もデンマーク・オーフスの空には黒い雲が現れ、風は右へ振れ、左へ振れ選手を惑わせます。予報とは裏腹に風は弱く、8～14ノット。

ラジアル女子の冨部は2レース目に上マークを5位で回航しますが、次のクローズホールドで風が入る方向に自艇を進めることができずに順位を下げてしまいます。

スタンダードクラスでも2レース目に西尾、北村ともに風を読み10番台で上マークを回航しますが、こちらはダウンウインドのレグで順位を落としてしまいます。
スタンダードの若い二人は特にダウンウインドのレグで次の展開が予想できず、自分の船を有利な位置に進めることができません。次の風、集団の次の動きを予想してレースをしてもらいたいと思います。

オーフスでは2018年にISAF WORLDが開催されます。
地元ボランティアも開催に向けて470クラス、レーザークラスのヨーロピアン、ナクラの世界選手権と大きなレースを開催して本番に向けてシュミレーションを行っています。
コーチミーティングでマーク変更についてコーチから要望が出ましたが、その後、運営チームだけで出艇前に念入りに打ち合わせをしていたのが印象的でした。

天気予報は明日も同じ西寄りの風で、若干、強めです。明日もレベルの高いフリートから多くのことを学んでほしいと思います。


●成 績
レーザークラス（参加105艇）
○西尾 勇輝（和歌山県立桐蔭高等学校）
　90位　51-48-23-39
○北村 勇一朗（関東学院大学）
　94位　55-34-46-42

レーザーラジアル女子（参加98艇）
○蛭田 香名子（豊田自動織機）
　68位　21-30-32-42
○冨部 柚三子（レーザー江の島フリート）
　82位　34-30-45-28

レーザーラジアル男子（参加75艇）
○五十嵐　厚志（ウルマンセイル）
　70位　UFD-56-67-25

●大会Webサイト：http://www.sailing-aarhus.dk/oc2015/


▲思い切った風の読みでコースを引く西尾


▲次々にレースエリアに現れる黒い雲

（編集・文責：JSAFオリンピック強化委員会・広報）

大会1日目


▲上マークを10位で回航する西尾


デンマーク・オーフスは猛暑に汗を流す日本の方に申し訳なくなるような寒い1日でした。長ズボン、長袖（フリース、ジャケット）は必需品です。今日の天気予報は午後から崩れ雨、雷になり、それとともに風が変化するとのことでした。

当初、6～14ノットと風は弱いながらも安定していましたが、時間の経過ともに雲が増え、雨雲がやってきて上がりました。

日本人選手はラジアル、スタンダードともにレベルの高いフリートに苦戦しました。スタートはうまく出られる時もありますが、風を的確にとらえることができません。艇数が多くレベルの高いフリートの中、好きなところでタックをさせて（あるときはタックさせられて）しまいます。

そんな中、雨が降って不安定な風になった2レース目にスタンダードクラスの西尾が右のコースを取り、1上を10位で回航します。それまで安定していた風は雨雲がやってきたと同時に不安定になり、その風を見つけて取りに行った西尾の判断は素晴らしいものでした。しかし、この順位をキープできるほどレーザーは甘くありません。徐々に順位を下げて35位でフィニッシュしました。
「絶対右から風が入ると思い、右に行きました。10位で回れるとは驚きでした。でもみんな速かった。簡単に抜かれてしまいました」（西尾）

明日は今日よりもいい風が入る予報です。選手は体力勝負のタフな1日になりそうです。


●成 績
レーザークラス（参加106艇）
○西尾 勇輝（和歌山県立桐蔭高等学校）
　90位　54-35
○北村 勇一朗（関東学院大学）
　103位　DNC-49
＊1レース目はフィニッシュしたものの運営のミスでDNC。修正を依頼中

レーザーラジアル女子（参加98艇）
○蛭田 香名子（豊田自動織機）
　48位　21-30
○冨部 柚三子（レーザー江の島フリート）
　66位　34-30

レーザーラジアル男子（参加75艇）
○五十嵐　厚志（ウルマンセイル）
　70位　UFD-56

●大会Webサイト：http://www.sailing-aarhus.dk/oc2015/


▲大迫力のレーザーフリート

（編集・文責：JSAFオリンピック強化委員会・広報）

大会事前レポート


▲レース会場となるKalvovig Sailing club

●開催地：デンマーク・オーフス Denmark Aarhus
●出場選手：
レーザースタンダード 男子（参加116艇）
○北村 勇一朗（関東学院大学）
○西尾 勇輝（和歌山県立桐蔭高等学校）

レーザーラジアル 女子（参加101艇）
○冨部 柚三子（レーザー江の島フリート）
○蛭田 香名子（豊田自動織機）

レーザーラジアル（参加77艇）
○五十嵐　厚志（ウルマンセイル）
＊エントリー数は受付終了前のものです。

●帯同コーチ：飯島 洋一
●大会Webサイト：http://www.sailing-aarhus.dk/oc2015/


2015年レーザーヨーロッパ選手権は、デンマークのオーフスで開催されます。
レーザースタンダードヨーロッパ選手権、レーザーラジアル女子ヨーロッパ選手権、レーザーラジアル男子ヨーロッパ選手権兼世界選手権の3つの大会が同時に開催されます。

オーフスは先日まで470ヨーロッパ選手権が開催されており、日本のリオ・オリンピック代表選考会の舞台となった場所でもあります。

日本からは、レーザースタンダードクラスに2名、ラジアル女子クラスに2名、ラジアル男子に1名の選手が出場します。

日本人選手は数日前から現地に入り、地元デンマークの選手と練習を行ってきました。昨日、今日と受付け、計測が行われ、明日からレースが始まります。
良いコンデションでレースに臨み、レベルの高いフリートから一つでも多くのことを吸収できることを期待します。



▲朝のストレッチの風景。一軒家を借りてみなで共同生活をしています。


▲計測を待つ北村

（編集・文責：JSAFオリンピック強化委員会・広報）