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2015 470 Class Men’s & Women’s World Championships

2015年 470級男女世界選手権大会


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総括レポート

2015年470世界選手権は、男女ともに2014年のチャンピオンがタイトルを守り、連覇を果たしました。

男子優勝のベルチャー・ライアン組(オーストラリア)は3連覇。ベルチャーはペイジとのコンビの連勝から数えると6連覇と無敵記録を更新中です。

女子のVadlau / Ogar組(オーストリア)は怪我に苦しみ、今年はレースに参加できない時期がありましたが、この大会に照準を合わせ、見事な競り勝ちでした。

男女ともに、上位の顔ぶれはワールドカップと変わらず、来年のリオへ向けて代表も決まりはじめ、着々と準備が進んでいるという印象が残った大会でした。

国際470協会は、本大会を10月に延期して開催しましたが、現地へ行った松永・吉田組(スリーボンドホールディングス)の吉田選手は、「この時期になぜイスラエルで大会を行うの? という疑問からありましたが、これは現地についてから一瞬で吹き飛び、日を追うごとにハイファという街が好きになりました。街の治安は非常に良く、親日家も多く日本に行ったことがある方もたくさんいました」と、イスラエル国内の様子は報道されている内容とは異なる様相だったことが伝わってきます。

松永・吉田組は五輪代表選考に敗れてから、ほとんど練習をする機会がないまま世界選手権に参加しました。
「レースは、毎日、同じ時間に風が吹き、スケジュールを変更することなくすべての日程をこなせました。海面は風ムラが非常に多く、きちんと海面やシフトを理解しないと前には行けないレース海面でした。少しでも吹き出すと、波がチョッピーで走らせるのが大変な海面です。それでも、上位陣は多少の崩れはあるものの、見事にスコアをまとめ、メダルレースに参加する顔ぶれも普段のワールドカップと変わらないメンバーでした。上位に来るチームはただ速いだけではなく、風を見る力も優れていると改めて感じました」と、25位で大会を終えました。

五輪代表選考を勝ち抜き日本代表となった土居・今村組(アビームコンサルティング/九州旅客鉄道)は、当初は本レース参加を計画していなかったため、急きょ、欧州へ置いてきた艇に新しいマストを買って参加しました。新しいマストが少し堅く、思い通りのチューニングに仕上げられませんでした。
「軽風ではいつものスピードが出なかったのですが、遅くはなかったです。単純に場所、場所で違う風をうまく捉え切れず、1上マークで出遅れて挽回が難しい状況でした」と土居は振り返ります。
クルーの今村は、
「今回の敗因には色々な要素がありますが、まずは風をうまくとらえきれなかったことが挙げられます。レース期間中は毎日午後のシーブリーズを待ってからレースが行われ、風の大きな周期変化の中に細かいシフトがあり、振れタックでコースの内々を走ると両エンドから抜かれるといったケースが多々ありました。大会の前半は風に翻弄され上マークを上位で回航できずに、後ろから追い上げるといったレース展開になりました。シルバーフリートになってからは少しずつ風の傾向を掴み、自分たちのレースができたと思います」と分析しています。しかし、シルバーフリートに甘んじた大きな原因は初日にありました。
「最初にブラックになり、そのとき3位といういい順位だっただけに立ち直るのか難しかった。その後の2本のスタートは技術というより気持ちの面でビビって出遅れてしまいました。ただ次の日からの残りのレースはほとんどがスタートでは成功しているので、気持ちの問題だと考えています」(土居)
「第1レースのBFDは着順が良かっただけに落ち込みましたし、次の失敗は許されないという状況を作ったことで予選レースはスタートから積極的に攻めることができなくなりました。気持ちの切り替えがうまくできずに、そのまま引きずってしまったことも敗因の一つです」(今村)

最後はしっかりシルバーの1位まであげてきましたが、「今後の課題は、クローズホールドのスピード改善とダウンウインドのスキルアップです。またレガッタメイクについても考え、最初からリスクを負わないことや攻める時とそうでない時の線引きを明確にしていきたいと思います」と今村は言い、リオへ向けて、失敗から立ち直るメンタルの切り替えとスピードアップに集中していきます。2月には2016年世界選手権がアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されるので、リベンジを期待します。

イタリアで合宿してから、チャーター艇で参加した市野・長谷川組は初日にマストトラブル、2日目にプロテストによる失格と英語が続き、ゴールドフリートに残ることはできませんでした。後半は尻上がりに調子をあげて最後はすっきり大会を終えました。
「今大会はオリンピックの前年でもあり各国のトップ選手たちはピークにもっきました。そのためこれまでの世界選手権よりもレベルの高い大会になったように感じました。私たちは東京オリンピックを目指していますが、今回の大会に参加し、世界に挑戦することができ、非常によい経験になりました。今後世界の上位で戦うにはまだまだ課題が多くありますが、一つひとつ改善し、来年の世界選手権では上位を狙えるようにしたいです」(市野)

国枠は男子がフィンランド、ドイツ、アルゼンチン、トルコ、南アフリカ、イスラエルの6カ国、女子はポーランド(6位)、ドイツ(8位)、オーストラリア(9位)の3カ国が獲得しました。女子はメダルレースに残りながらも、スペイン(10位)は枠がとれなかったという非常に高いレベルでの争いとなりました。

次の世界選手権は2016年2月20日からブエノスアイレスで開催されます。リオへ向けて、日本の選手たちは男女ともに参加する予定です。


2015年世界選手権(男子33カ国59艇・女子22カ国42艇)

大会Webサイトhttp://2015worlds.470.org/en/default/races/race

成績サイトhttp://2015worlds.470.org/en/default/races/race-resultsall

写真:http://2015worlds.470.org/en/default/races/race-photogalleries/text/2015-470-world-championships-en

●日本選手の成績
470男子/3艇
○松永鉄也・吉田雄悟(スリーボンドホールディングス)
 25位 12-17-7-14-25-13-(BFD)-27-11-10-26

○土居一斗・今村公彦(アビームコンサルティング・九州旅客鉄道)
 31位 (BFD)-18-20-17-7-3-17-6-2-1-1

○市野直毅・長谷川孝(和歌山セーリングクラブ・横浜ゴムMBジャパン)
 44位 20-22-(DNC)-29-DSQ-10-15-7-17-4-6


(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)



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2015 470 Class Men’s & Women’s World Championships

2015年 470級男女世界選手権大会


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●開催地イスラエル・ハイファ Haifa Israel
イスラエルのハイファは古くから栄えた港町で、イスラエルの地中海沿岸、北のシリア国境から遠くない場所です。1988年にもハイファで470級の世界選手権を開催しています。

●大会日程:
10月10日~11日 受付、計測、10日に開会式
10月12日~16日 40艇以上のエントリーがある場合は2グループに分かれて予選5レース、
          決勝6レースを実施する。
          40艇未満のエントリーは予選なしで10レースを実施する    
10月17日     2レース以上成立した時は上位10艇がメダルレースを実施する

●日本チーム参加選手:
○土居一斗・今村公彦(アビームコンサルティング・九州旅客鉄道)
○松永鉄也・吉田雄悟(スリーボンドホールディングス)
○市野直毅・長谷川孝(和歌山セーリングクラブ・横浜ゴムMBジャパン)

●参加国:
男子33カ国63艇
女子22カ国42艇 
(*大会受付終了後に正しい数字がでます)

大会Webサイトレースが始まると成績、公式掲示等が下記のサイトに出ます
http://2015worlds.470.org/en/default/races/race

本大会には日本からコーチ陣が帯同していないため、毎日のレポートはアップできませんが、最終レポートは本サイトで報告いたします。

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2015年470級世界選手権がイスラエルのハイファで始まります。
日本からは男子3艇が参加します。

本大会は2016年リオ五輪の国枠予選の2回目になり、国枠の獲得を目指して多くの国が参加します。男子は33カ国63艇がエントリーをし、うち13カ国がすでに枠を獲得しています。残りの20カ国で6枠を争う熾烈な戦いです。9月にアジア枠予選が終わったアジア勢はこの大会が最後のチャンスになります。

女子は22カ国42艇がエントリーしており、うち9カ国が枠を獲得済みです。残り13カ国で3枠を争います。

日本は男女ともに昨年の世界選手権で国枠を獲得しています。
日本からは男子3艇のみで、女子の参加がありません。

吉田愛は2004年から10回出場してきましたが、来年2月のブエノスアイレスでの世界選手権に焦点を合わせて、今回の参加は見送ることにしました。逆に男子はリオ代表の土居・今村組だけでなく、東京目指してすでに活動をスタートしている市野・長谷川組がイタリアチームとの合宿に参加してからハイファへ入りました。

ワールドチャンピオンを目指して強豪は出そろいました。すでに代表に決まったチームはタイトルが欲しいところですし、ギリシャを筆頭に、この大会が代表選考になっている国もいくつかあると聞きます。現地入りした選手からは、「リオよりも治安はずっとよい印象です」と報告があり、周辺の国々の現状からは想像できないくらい落ち着いた場所とのことでした。

(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)