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Copa Brazil de Vela 2015

ブラジルセーリングカップ2015


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Report & Photo by オリンピック強化委員会


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▲吉田・吉岡組。女子表彰式で優勝したイギリスと


470女子が銀メダルを獲得

12月20日にコパブラジル大会が終了しました。

470男女とRS:X男女の4種目に参加した日本は、470男女が最終日のメダルレースに残りました。
そして、470女子がメダルレースで1位をとり、フランスと同点。タイスコアの時はメダルレースの勝者が勝ちとなりますので、銀メダルを獲得しました。

6日に及ぶオープニングシリーズは多少の風待ちはあったものの、全レースを実施することができました。朝は北風、12時前後から南に変化して、海風が入るというリオ特有のパターンで、後半は街中での気温が38度を記録する猛暑のなか、15ノットを超える風が吹く日もありました。五輪本番を7カ月後に控え、今の立ち位置を確認する貴重な大会でした。

RS:X男子
RS:X男子の富澤はアンダープレーニングのコンディションが課題です。
20番代になってしまうこの風域を何とか10番代前半に上げることができるなら、軽風では持ち味の走りでフリートをリードするレース展開ができます。成績ほどの差はないので、あと1歩のスピードアップに取り組んでいきたいと思います。

同クラスのロンドン五輪金メダリストのドリアン(オランダ)はリオの風を苦手としていましたが、昨年からダイエットに取り組み、リオでの練習もマイペースで調整して、非常によい状態にもってきています。富澤も体重を落とし、体力は負けないレベルに引き上げてきました。ベースは整ってきたので、次のステップで準備を続けます。


RS:X女子
RS:X女子の伊勢田はプレーニングし出すと上位についていけない状況です。
リオへ来てから戸惑うことも多い毎日でしたが、レースをしながら少しずつ改善していることがうまくつながった時もありました。今後も辛抱強く、テクニックのレベルアップに取り組みます。
国内ではずっと4番手だったとこを大逆転して代表の座を獲得したのですから、出遅れている五輪への準備をあせらず、確実にしていきたいものです。
女子はイギリスのブライオニーと香港のヘイッリー、スペインのマリーナの争いでしたが、イギリスに軍配があがりました。同じアジアの香港がよい目標になります。


470男子
470男子の土居・今村組はシリーズ前半はいくつかの課題に取り組みながらのレースでしたが、集中し始めた後半はしり上がりに調子を上げ、6位でメダルレースに残り、メダルレースも3位をとりました。470男子はオーストラリアのベルチャー組が圧勝でした。土居・今村組はベルチャーのトレーニングパートナーでもあり、スピードは日々あがっています。本番まで、かなりきついプログラムを組んでいますが、やりとげて、結果につなげてほしいと思います。
2位のイギリスは、クルーがエリオットからクリス・グルーブに交代しました。病気のための変更ですが、五輪本番までに復帰ができない場合はこのチームで本番を戦うしかありません。精神的にも追い詰められたなか、ルークは素晴らしい集中力とレースの組みたてを実践し、見事な銀メダルでした。


470女子
470女子は吉田・吉岡組がメダルレースで1位をとり、フランスを逆転して2位に入りました。昨年から取り組んできたダウンウインドの改善がレースで実践できるようになり、安定して上位をとることができています。しかしながら、イギリスのハンナ、ニュージーランドのジョー(今回は参加せず)などの上位チームとの差は大きく、レース展開とワンステップ上の走りのテクニックに挑戦していく必要があります。
ハンナは負けない位置、抜かれない位置へともっていくのがうまく、ダウンウインドも効果的なパンピングで前に出ます。それでもミスをしないわけではなく、リオの難しい海面では出遅れる場面が何度もありました。絶対王者の走りではありませんから、吉田・吉岡には本番までに追いついてほしいと思います。
女子チームは精神的に崩れると、今回のオーストリア(ワールド2連覇)のようにガタガタになる傾向があります。吉田・吉岡組も代表がかかった欧州選手権(デンマーク)では力が出せずに崩れました。女子チームは、特に本番への持っていきかたが鍵になります。

470男女は2月にアルゼンチンのブエノスアイレスで世界選手権があります。RS:X男女は同じく2月にイスラエルのエイラートで世界選手権があります。2016年が明けるとこの大会を目標に準備を始めますが、世界選手権が終わった後はリオへの準備となります。あっという間にリオ五輪になってしまいそうです。大会期間中、たくさんの応援をいただき、ありがとうございました。


●日本選手の成績
○470男子(16カ国18艇) 
 土居一斗・今村公彦(アビームコンサルティング・九州旅客鉄道)
 6位 11-6-10-11-(BFD)-15-2-10-4-M3

○470女子(12カ国17艇)
 吉田愛・吉岡美帆(ベネッセホールディングス)
 2位 5-4-(10)-3-5-4-5-4-8-3-M1

○RS:X男子(17カ国39艇)
 富澤 慎(トヨタ自動車東日本)
 21位 16-3-16-19-21-(31)-27-26-24-21-23-13

○RS:X女子(14カ国31艇)
 伊勢田愛 (福井県体育協会)
 17位 14-22-13-21-(25)-20-23-10-16-15-17-20


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▲1点を争う対フランスの吉田・吉岡組

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▲メダルレースでトップフィッシュした吉田・吉岡組

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▲メダルレース3位の土居・今村組

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▲スピードアップに取り組む富澤

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▲富澤第11レーススタート

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▲テクニックのレベルアップに取り組む伊勢田

(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)



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Copa Brazil de Vela 2015

ブラジルセーリングカップ2015


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Report & Photo by オリンピック強化委員会


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▲レースが行われているサンフランシスコビーチ


●開催地:ニテロイ・ブラジル NiteróiBrazil

●日程:2015年12月15日~20日

出場選手
○470男子
 土居 一斗・今村 公彦(アビームコンサルティング・九州旅客鉄道)
○470女子
 吉田 愛・吉岡 美帆(ベネッセホールディングス)
○RS:X男子
 富澤 慎(トヨタ自動車東日本)
○RS:X女子
 伊勢田 愛(福井県体育協会)

JSAF帯同コーチ:
中村健次・宮野幹弘・齋藤愛子(JSAF強化委員会)
ルスラナ・タラン(470男子チームコーチ)・萩原正大(JISS)
武田哲子(栄養サポート)

大会Webサイトhttp://www.copabrasildevela.com.br/

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五輪本番を意識した大会

ブラジルセーリングカップ2015が12月15日~12月20日の日程で始まりました。場所はリオデジャネイロに隣接するニテロイのサンフランシスコビーチです。

この大会は12種目(オリンピッククラス10種目と420、29er)で競われ、レーザーラジアルにはユース男子も11艇参加し、合計258艇が集まりました。出艇・着艇はオリンピックマリーナではないのですが、レースエリアが五輪本番のエリアに近いため、代表選手が数多く集まったのです。

一方、運営側としても五輪本番へ向けての運営スキルのレベルアップを兼ねた大会となります。五輪本番ではSports Manager (セーリング競技の責任者)を務めるWalterも、大会本部で陸上を担当する任務で自ら旗を上げ下げしています。

昨年まではブラジルが地元の利を活かして有利にレースをしていた本大会ですが、8カ月後に五輪を控えて、各国の情報合戦もピークを迎えており、集めた情報を駆使してレースをするテスト段階に入っています。プレ大会ほどオフィシャルな大会ではないので、その成果を試すのにちょうどよいレースが本大会なのです。


まずは慣れることが大切

日本からは代表チームの470男女、RS:X男女の4クラスに参加しています。

選手たちは湾内の潮目の見方、レースの組み立て、シュガーローフの影響や湾口が狭くて収束される風の流れを覚えなければなりません。湾外は風の傾向がつかみにくいし、15時を過ぎると弱まることが多く、出遅れると取り戻せなくなるコンディションが多い海面です。五輪本番はクラス別にいくつかのエリアでレースをしますから、それぞれのエリアでの傾向と対策を練っておかなければなりません。

「初日のレースでは潮目がエリアの中にできていました。僕はダガーで上りぎみで高さをとっていたから潮目の手前で返していきましたが、プレーニングで走ったオランダは潮目を突っ切って風のある左サイドへ行き、向かい潮が強くても関係なく、上マークを先に回っていきました。潮目を超えるかどうかの判定はプレーニングするかしないかということじゃないかと思い始めています。また、風が地形の影響でベンドし、強弱ができる抜け道があるため、パターンを掴むことと、行かなきゃいけないサイドへ行けるようなスタートのポジション取りが重要です」(富澤)

470男女は昨年のテストイベントから何度も現地で練習や大会に出ていますから、グアナバラ湾と外海には大分慣れてきました。
RS:Xの伊勢田は初めてのリオで、すでに現地練習を重ねてきたトップレベルの選手の中で苦戦しています。リオで戦う準備を残り半年でしなければならないので、解決しなければならない課題が山積です。

まずは、慣れることが大切です。今日はPAIエリアで470のレースが行われましたが、湾外は風が弱くて8ノット。終わって戻ってくると15ノット吹いているというような状況で、湾内の風が強い日でした。エリアの特徴を覚えるのには現場で数多くレースをすることが重要です。日本でも話題になっている水質ですが、汚いながらも改善はされています。本番までに少しでもよくなることを願うばかりです。

12月20日まで大会は続きます。来年のリオ五輪が終わると、この大会と同様にトップ選手が江の島に集まり始めます。五輪関係者の方々の参考になりますので、大会をフォローしていただければ幸いです。


●日本選手の成績
○470男子(16カ国18艇) 
 土居一斗・今村公彦(アビームコンサルティング・九州旅客鉄道)
 10位 11-6-10-11

○470女子(12カ国17艇)
 吉田愛・吉岡美帆(ベネッセホールディングス)
 3位 5-4-10-3

○RS:X男子(17カ国39艇)
 富澤 慎(トヨタ自動車東日本)
 17位 16-3-16-19-21-(31)

○RS:X女子(14カ国31艇)
 伊勢田愛 (福井県体育協会)
 19位 14-22-13-21-(25)-20


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ブラジル流 運営本部船

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大会前日の夜にストームが通過。テントが飛び、ナクラのマストが5本折れる事故がありました

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よ~く見ると潮目がわかります

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8ノット以上でスタートしたものの途中で風が落ちてR旗が上がった470女子

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▲キリスト像が立つ山を背景に曳航されていく土居・今村組

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▲2レース目でドリアンを追う富澤

(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)