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総括レポート


SAILING’S WORLD CUP Series Gamagori
15 - 22 Oct 2017



セーリングワールドカップ
愛知・蒲郡大会

総括レポート



10月16日から始まったSWC蒲郡ラウンドは日本で初めて開催されたワールドカップ大会でした。全般に雨が多く、最終日は台風21号の東海・関東への直撃があり、移動や輸送に大きな影響がありました。

その中で21日にはRS:X女子の大西選手が銀メダル、FX級の原田・永松組が銅メダルを獲得しました。1日遅れての最終日は470女子で吉田・吉岡組が銀メダル、台風の影響でメダルレースが中止となった470男子の磯崎・高柳組が銀メダルを獲得しました。

ウェットセレモニーで銅メダルを獲得したはずだった今村・外園組は大会終了間際に行われた抗議の審問により、フランス艇が失格となり、遡っての得点の変更が発生したため、全体の順位が変わりました。訂正された順位では、土居・木村組が3位に入り、今村・外園組は5位に後退しました。

台風に追われるように大会が終了し、スタッフも大慌てで撤収作業に翻弄されました。本稿で改めて、今大会の総括を報告いたします。(齋藤愛子)


470級男子

優勝したオーストラリアチームを筆頭に、2020東京でメダルを争うレベルの高いレースの中での日本選手の銀メダル、銅メダルの獲得は、これまでの強化策が成果として現れていることを確認できる大会でした。8位以内に5チームが入り、男子に関しては競争原理が働き、各チームが切磋琢磨しています。今後の大会に関しても非常に期待が持てるクラスに成長していることが実感できました。
470クラスは大会前に1週間の事前合宿を実施し、各レースエリアでのコース練習を行いました。海面の癖やレースを通じて学んだこと、GPSを使用してストラテジーとタクティクスをレースごとに振り返ってレベルアップにつなげたことで、大会期間中の風の弱いシフティーな状況下でもしっかりプランニングし、レースに集中できたと思っています。しかし、結果的には男女共に優勝したのは世界チャンピオンであり、最終目標である「金メダル」は、これからの強化策にかかっていると強く感じた大会でもありました。(中村 健一)

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▲470男子2位銀メダル 磯崎哲也(エス・ピー・ネットワーク)・高柳彬(日本経済大学)

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▲470男子3位銅メダル 土居一斗(アビームコンサルティング、写真右)・木村直矢(アビームコンサルティング・日本大学)


470級女子

女子は、今回の大会から復帰した吉田愛/吉岡美帆(ベネッセホールディングス)が、堂々の銀メダルで予想を上回り、その結果に今後の成長が期待されます。また、若手選手にも非常にいい刺激になり、女子チームも競争の原理が加速し、競技力向上が図れるよう強化につなげていきたいと思います。(中村健一)

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▲470女子2位銀メダル 吉田愛・吉岡美帆(ベネッセホールディングス)


レーザー級男子

レーザー級は世界選手権で浮き彫りになった「スタート」を克服すべく、海外選手が来日する前に、数日の合同練習を行って蒲郡のワールドカップに臨みました。各選手ともスタートにおいては以前よりも良いスタートをする場面が多く見られました。
今回は軽風が多くランダムで振れまわる風、片側にシフトしていく風とさまざまなコンデションがありました。選手達はこの難しい風に一喜一憂しながらも、大きな経験をしました。
瀬川選手は17位と世界のトップレベルにまた一歩近づいた感がありますが、今回来日したワールドチャンプ、メダリストとはまだまだ大きな差があります。今回のようなトップ選手と競い合える場で多くのものを吸収し、さらに成長をしてほしいと思います。(飯島洋一)


レーザーラジアル級女子

ラジアル級女子では世界選手権で3位に入った土居愛実選手の活躍が期待されていましたが、直前までスペインのバルセロナで開催されていた欧州選手権に参加し、体調を崩してしまい、蒲郡大会は欠場しました。強行日程も頑張ってメジャーな大会に積極的に出場してきましたが、バルセロナから蒲郡への直行でさすがに疲れがたまりました。(飯島洋一)


RS:X級女子

ウインドサーフィン種目のRS:X級では、女子の大西が2位と表彰台に上がり、良い成果を上げられたと考えています。また、女子は3選手がメダルレース(上位10選手の決勝レース)に残り、表彰台を狙える選手が複数存在していたことは評価される点であったと思います。(宮野幹弘/萩原正大)

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▲RS:X女子2位銀メダル 大西富士子(ホマレ電池)


RS:X級男子

男子の富澤は、表彰台を狙える位置にいましたが、残念ながらメダルレースが行われずに、表彰台まであと一歩のところでした。実力的にはトップ3に入れるレベルだったので、悔しさが残りましたが、次回の活躍に期待します。
富澤に続く選手達は、本年度に入って合宿を数回行って来ましたが、合宿で行っことがレースになるとまったくできていませんでした。レースでの優先順位を明確にすること、アクティブにパンピングをすることなどですが、海外選手との大きな違いは、「勝ちたい」という大きな目標だったと感じました。今後オリンピックウィーク アジア選手権などレースが続きますが修正をしていきたいと思います。(宮野幹弘/萩原正大)


49er男子

日本の2チームは、出場チームすべてが格上である中20艇中14位(古谷・八山)、15位(高橋・小泉)でした。トップレベルで戦うには多くの課題を克服しなければならないもののそれぞれ複数のレースでシングルを走ることができ、自信につながる大会となりました。(山田寛)


49er FX級女子

出場艇数は9艇と少なかったものの、原田・永松組がFXクラスにおいて初となるSWCでの表彰台に上がることができました。原田・永松および波多江・板倉組は最後まで優勝を狙える位置につけていただけに悔しさを滲ませていましたが、東京に向けて手応えを感じられる大会となりました。今回出だしで成績を伸ばせなかった山崎・髙野も後半は優勝艇を上回るスコアで走っており、これからの活躍がますます期待されます。(山田寛)

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49er FX級女子 3位銅メダル 原田小夜子(写真右)・永松瀬羅組(豊田自動織機)


まとめ 

2016年リオデジャネイロオリンピックが終了し、2020年に向けて日本で開催される最初のワールドカップ大会で、日本がこれまで以上の成績を収められたのは、選手・チームの努力はもちろん、日本セーリングチームを応援してくださ皆様のおかげであります。
今年は470ジュニアワールド、RS:X級ワールド、SWC蒲郡と3大会を日本で開催しました。これにより日本選手の意識も高くなり、蒲郡では5つのメダルを獲得できました。
日本セーリングチームは、今回の結果をバネにより一層の「努力と勝ち意識」を持って次へのステージに進みたいと思います。SWC蒲郡大会を開催するにあたり、主催国として運営にご尽力をいただき、御礼申し上げます。皆様、応援ありがとうございました。(中村健次)

Photo by Junichi Hirai

●470級男子の最終成績が変更になりました
1位:Mathew Belcher/William Ryan (オーストラリア)
2位:磯崎 哲也 (エス・ピー・ネットワーク)/高柳 彬 (日本経済大学)
3位:土居 一斗 /木村 直矢(共にアビームコンサルティング)
4位:Paul Snow-Hansen/Daniel Willcox (ニュージーランド)
5位:今村 亮 (一宮開発グループ) /外薗 潤平 (JR 九州)
6位:高山 大智 /今村 公彦(YAMAHA Sailing Team‘Revs’ )
7位:Giacomo Ferrari/ Giulio Calabro (イタリア)
8位:市野 直毅 (所属なし)/長谷川 孝 (横浜ゴム)
9位:Matteo Capirro / Matteo Puppo (イタリア)
10位:Luke Patience/Chris Grube (イギリス)
14位:河合 龍太郎 /中澤 太郎(三井住友海上火災保険)
17位:神木 聖/疋田 大晟 (YAMAHA Sailing Team‘Revs’)
24位:小泉 颯作 (トヨタ自動車東日本)/野田 友哉(日本経済大学)

大会サイト:http://www.sailing.org/worldcup/home.php

●成績
http://www.manage2sail.com/en-US/event/c19b811f-8dd0-4d6f-b846-7d07bd0dead9#!/results?classId=56d80412-a7d4-4412-8b4e-f6e64861e95b

(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)