2014 ISAF World Cup final
2014年 ISAFワールドカップファイナル
レポート
Report & Photo:中村 健次
今年、初の開催となるISAF World Cup Finalが11月26日〜30日、アラブ首長国連邦の首都アブダビで開催されました。
セーリング競技がオリンピック競技に生き残るために、メディアに取り上げられるイベントとして 各クラスのスターをつくりあげるためにISAF(国際セーリング連盟)が開催したイベントです。
大会の雰囲気はこれまで開催されているISAF world cupとは少し違い、多くの選手が直前に現地に入り、そのままレースに臨むと行ったカジュアルな感じのするイベントでした。
▲松永・吉田組、混戦の中での上マークアプローチ
日本からは今年9月に開催されたISAF worldでトップ10に入った男子470級の松永・吉田組、女子470級の吉田・吉岡組がこの大会に参加する権利を得て出場しました。
彼らは11月24日まで全日本470選手権に出場し、そのままアブダビに移動するタイトなスケジュールでしたが、疲れも見せず、ある意味レースを楽しめたように見受けられました。
470級は4日間で6レース+メダルレースの計7レースで行われる得点差のつきにくいレース形式であり、メダルレースにかかる比重が大きいものとなりました。
大会期間中は8〜13ノットの風速、海からのシーブリーズ330〜310度の風向で、水深が浅いため風に対して波が大きな海面でした。
女子の吉田・吉岡組は後述のコメントにもあるように、ダウンウインドの走り(波乗せ)が上達して、上位をキープできたことが今回の収穫でしたし、上位のチームと競い合うことで自信がついた大会でした。
男子の松永・吉田組も世界トップ3と互角に戦えるところまできています。とくに今回良かった点は、女子同様にダウンウインドでのジャンプアップが多く、目を見張るものがありました。残念ながらメダルレースでUFD(リコールによる失格)になり、総合8位となりましたが、この悔しさを次へと繋げてほしいと思います。
●選手コメント
○吉田 愛
「11艇と少数のレースでしたが、世界チャンピオンのAUTや世界選手権上位の選手も参加していた中で、できるだけ点数を離されないようにすることを意識してレースに臨みました。レースでは10~13ノットの風が多く、私たちの苦手な風速でしたが、ダウンウインドで抜くことができるようになり、課題を克服している感触を得ることができました。艇の走りやレースの組み立て方など、練習の中で意識してきたことを、このファイナルの大会で出せたと思います。」
○吉岡 美帆
「ISAFワールドカップで初めて表彰台に昇る事ができて、とても嬉しいです。今回のレースでは、苦手としていたダウンウインドで手応えを感じることができました。後半になるにつれて上がり調子で、順位を上げて行くことができたのが良かったと思います。これからもっと上を目指して頑張ります。」
○松永・吉田組
「『表彰台に上がりたかった』という気持ちが本音です。上位とも僅差でメダルレースに臨みましたから悔しい気持ちでいっぱいです。チャンスをモノにできないことが残念です。」
●大会サイト:http://www.sailing.org/worldcup/home.php
▲Abu Dhabiの街をバックにレース海面に向かう日本チーム
▲メダルレースを終え3位となった笑顔の吉田・吉岡組
▲閉会式には多くの参加者。さすが油田王国
▲目標の表彰台に立った吉田・吉岡組
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)