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4.7 world-1


World Laser 4.7 Youth Championship 2011
2011 レーザー4.7級世界選手権

Report : オリ特・橋元 郷
Photo:高橋 昌威
Edit : オリ特・広報委員会

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開催地米国・サンフランシスコ セントフランシスヨットクラブ
当地は、西にゴールデンゲートブリッジを望む場所に位置し、来年2012年には、このサンフランシスコ湾で、アメリカズカップが開催されます。
また、今大会のホストクラブであるSt. Francis Yacht Clubは、アメリカ・BMWオラクルのホームポート(ゴールデンゲートヨットクラブ)の隣にあります。

日 程:7月26日:大会受付・チャーター艇受渡・海上トレーニング
    7月27日:チャーター艇受渡・海上トレーニング・プラクティスレース・開会式
    7月26日〜8月2日:レース
    (男子は、4日間の予選シリーズと2日間の決勝シリーズ)
    8月2日:レース最終日・閉会式

日本代表選手
●男子〔28ヶ国・112艇〕
 北村 勇一朗(聖隷クリストファー高等学校)
 岡田 奎樹(佐賀県立唐津西高等学校)
 杉山 航一朗(静岡県立清水東高等学校)
 榊原 隆太郎(佐賀県立唐津西高等学校)
●女子〔19ヶ国・53艇〕
 村山 仁美(東海大学付属高輪台高等学校)
 國見 彩乃(聖心女子学院高等科)

オリ特・帯同コーチ高橋 昌威・橋元 郷

大会HP:
http://events.laserinternational.org/en/events/manual/allocations/61/100z61
ホストクラブ内HP:
http://events.laserinternational.org/en/external/link/700z96761ztbj


 先日まで同じSt. Francis Yacht Clubで行われていたテクノ293 U-17世界選手権に引き続き、2011年 レーザー4.7級世界選手権が開催されます。
今大会には、日本から代表選手6名と帯同スタッフ2名の計8名が参加します。選手は、5月の代表決定以降、事前の強化練習などを行い、この大会のために精一杯の準備をしてきました。
 選手それぞれの目標を達成するために、また、保護者の皆様・各水域等での指導者の皆様のご期待に応えられるよう、選手・帯同スタッフ一丸となって、悔いの無いセーリングをし、精一杯のレースをして参りますので、ご声援よろしくお願い致します。
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レーザー4.7ワールド 日本代表高校生 6名 出場
26日からレーススタート

1107_4.7world-01.JPG成田空港出発前にチーム全員で記念撮影7月24日
 16時に成田を出発し、現地時間24日11時に無事到着しました。ハーバーから約1km・徒歩15分強の場所にあるホテル宿舎にチェックインし、ウォーキングを兼ねて付近の散策、買い出しを行いました。その後、大会会場に向かい、施設や位置関係、実際の海面などを陸上から確認しました。
 この日は、あまり無理をせず、午後は、宿舎にてレース日程の確認や帆走指示書の読み合わせ等を行いました。


7月25日
 2日目の25日は、朝7時半に集合し、ストレッチ・ウォーキングをしながら、朝食の買い出しをしました。今遠征では炊飯器を持参しており、おにぎり等を作る予定ですが、この買い出しでお米を発見したので、選手たちは大喜びしていました。
 朝食は、焼きたてのパン、果物、ヨーグルト、シリアル、100%ジュース、牛乳等を購入し、皆で食べました。皆、朝からもりもりと食べ、昨日の疲れもあまり残っていない様子でした。

 日中は、チーム全体でハーバーや周辺を散策したり、レース海面をよく見下ろすことの出来るゴールデンゲートブリッジへ行き、海面や地形の特徴などをチーム全体で確認しました。また、午後は期間中選手をサポートするコーチボートを受取り、明日からの海上練習に備えました。

 日本とは違う、カラッとした暑さに感動したり、アメリカのスケールの大きさに驚いたりと、選手たちには新鮮なことが多く、とても良い経験になっていると思います。
この調子で、明日からのレーススケジュールに上手く乗って行きたいと思います。

1107_4.7world-02.JPG中央の狭いスロープから出艇するそうです1107_4.7world-03.JPG整然と並ぶ多くのチャーター艇
1107_4.7world-04.JPG全員で朝食の買い出し1107_4.7world-05.JPGホストクラブのSt. Francis Yacht Club
1107_4.7world-06.JPGチャーター艇を確認する選手たち1107_4.7world-07.JPGサンフランシスコといえばケーブルカー
1107_4.7world-08.JPGハーバーから望むゴールデンゲートブリッジ(GGB)をバックに
1107_4.7world-09.JPGゴールデンゲートブリッジからレース海面を眺める前に記念撮影

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28日レーススタートを前にしっかりと準備を


1107_4.7world-10.JPG長身の杉山選手にも期待です1107_4.7world-11.JPG初セーリングに気合いが入る北村選手1107_4.7world-12.JPGかの有名なアルカトラズ島をバックに走ります7月26日
 本日より大会公式日程が始まりました。
日本チームは、9時からの受付・チャーター艇受取りを済まし、余裕を持ってセッティングや整備を行うことができました。
計測を終えた後、午後2時間程度の海上練習を行いました。この日は終日曇り空で、肌寒い中での初セーリングとなりましたが、地形や雲の流れ、潮や風の周期を一つ一つ確認しました。

 大会会場には、出艇するためのスロープが1ヶ所(桟橋に仮設で作った1艇分のスペース)しかなく、練習のために出艇するだけで大混雑になっています。レースが始まると、男子では100艇以上が一気に集中すると考えられ、出艇に相当時間が掛かってしまいそうです。その為、時間を有効に使って、無駄な待ち時間を作らないようにと、ミーティングで確認をしました。

 明日は、14時からプラクティスレースがあり、その後オープニングセレモニーが行われます。まずは、リラックスして明日のプラクティスに臨んでもらいたいと思います。

【高橋コーチのレポート】
今日はチャーターボートの受け取り、登録、計測、海上練習を行いましたが時間の使い方に課題が残りました。すべての準備が整ってから計測待ちの列に並んでしまったため最後方となり、全員の計測完了まで2時間以上待つこととなってしまいました。
また海に出てからもある選手は艤装のミスで貴重な練習時間をさらにロスすることとなってしまいました。常に状況を予測して作業の優先順位を変えることや、艤装についてはしっかり確認することが必要です。コーチが全てチェックし指示すれば良いという意見もあるのかもしれませんが、それでは選手の自主性は育ちません。世界選手権の代表選手であるという誇りと自覚を持って取り組んで欲しいと思います。


 海面はほぼ毎日、午前中は平均2.0~3.0m、Max 5.0~6.0m、午後になるにつれて風速は上がって平均7.0~8.0m、Max 10.0~11.0mになる傾向がありますが、かなり強弱があります。風速が弱くなる時に素早くセッティングを変えて常にパワフルな状態を維持できるかどうかがポイントです。
 今回のレース海面は1つで女子のスタートが11:00で2レース(1フリート)、男子のスタートが14:00で2レース(2フリート)という予定のため、女子は軽順風域、男子は強風域での戦いが予想されます。女子でも大柄な外国選手が多い中、軽量級の日本女子選手にとっては上位を狙えるコンディションです。また、男子においても体格差はハンデになりません。Laser4.7級はその名前の通りセールエリアが小さいため、60kgあれば平均8mのコンディションでも十分戦えるはずです。明日のプラクティスレースで走りをチェックしておきたいと思います。

大会HP:
http://events.laserinternational.org/en/events/manual/allocations/61/100z61

1107_4.7world-13.JPG全員でレジストレーション1107_4.7world-14.JPG計測待ちの長い列…
1107_4.7world-15.JPG海上交通が激しく、大型船が頻繁に往来します

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明日からレース
それぞれの目標に向けて頑張ろうTEAM JAPAN!


1107_4.7world-16.JPGオープニングセレモニー7月27日
 本日は11時に全体コーチミーティング、14時からプラクティスレースというスケジュールで、午前中に余裕があったので、朝の長めのウォーキングとストレッチで始まりました。
コーチミーティングでは、多くのことが説明され、非常に狭い出艇・帰着場所のルール・大型船や観光フェリーなどへの対応策についても意見を交わしました。その中で、これまでのSIではレース期間中、女子が11時から2レース、その後男子2フリートが14時から2レースの予定でしたが、SIを変更し、午前と午後・男子と女子の順序を毎日入れ替えるということも説明されました。
この日程変更で、日本選手は多少戸惑っているようですが、条件は皆同じなのでより一層時間を上手く使い、ペースをコントロールして欲しいと思います。

 14時のプラクティスレースに向けて12時頃早めに出艇し、風の状況やセッティングの確認を行いました。徐々に強まる風と曇り空の上がらない気温とで多少寒さを覚える選手もいましたが、装備の選択もパフォーマンスの向上に欠かせない要素だと改めて感じたことと思います。

 レース海面は潮が強く平均7~8m程の風でも、艇が風上の方へ上って行ってしまう程です。そして、案の定ゼネリコを繰り返しますが、プラクティスなので皆気にせずに行ってしまっていました。男子は一通りのマークを回ってプラクティスレースを終えました。

【高橋コーチのレポート】
 レース海面はハーバーを出てすぐの岸よりのところに設定されているため、陸地の影響や潮の流れを把握しうまく対処する必要があります。特に潮は強く、リコールや出遅れにならないようにスタートでのラインの把握が重要になります。到着してからのコンディショニングは短い期間でも対応できたと思いますので、明日から全力でレースに臨んで欲しいと思います。


 19時からはオープニングセレモニーが開かれました。日の丸を掲げチームの紹介を受けたり、すでに顔見知りになった外国人選手と話したりと国際大会ならではの楽しいひとときを過ごしました。

明日からのレースを前に身が引き締まる思いです。
全員、精一杯戦います! 応援よろしくお願いします。
レースを目前にした各選手の目標を紹介します。

北村:「3位入賞を目指します!」
岡田:「ゴールドフリートに入ります!」
杉山:「ゴールドフリートの上位半分に入りたいです!」
榊原:「ゴールドフリートに入ります!」
村山:「3位以内を目指します!」
國見:「15位以内に入りたいです」

大会HP:
http://events.laserinternational.org/en/events/manual/allocations/61/100z61

1107_4.7world-17.JPGOPで日本人最高の成績を残した岡田選手1107_4.7world-18.JPG世界選手権3回目となる村山選手
1107_4.7world-19.JPG世界選手権2回目となる国見選手1107_4.7world-20.JPGプラクティスレースで競り合う榊原選手
1107_4.7world-21.JPG潮が強く本部船が上に向きません
1107_4.7world-22.JPG日本チーム

1日目



初日 男子・岡田 7位 杉山11位の好発進


1107_4.7world-23.JPG男子第2レース、トップフィニッシュを決める岡田選手7月28日 レース初日。
 レース初日を迎えました。午前中に女子が2レース、午後から男子2フリートが2レースを行うというスケジュールです。
 11時スタートの女子は、男子4選手に見送られて元気に出艇して行きました。
コーチミーティングにて、レーススケジュールを守るため遠慮なくブラックフラッグを使うという旨が伝えられていましたが、その言葉通り1回のゼネリコで即ブラック旗掲揚となり、平均4~6m・240°の風の中、「順調」に2レースを行いました。
 日本選手が得意な風域でのレースだったため、好成績が期待されましたが、残念ながら村山・國見とも2レース目にブラック旗の餌食となり、悔しい思いをしました。潮の影響でラインが上がってしまっていたため、刻々と変化する潮の影響を常に考慮しなければならないことを思い知らされた1日でした。
 平均6~9m・230°の風の中で行われた午後の男子のレースでは、イエローとブルーのフリートで明暗が分かれました。イエローフリートの岡田・杉山は潮が弱く、しっかりと風の入る岸寄りの海面を手堅く攻め、順調な走りを見せました。特に、少し風の弱まった2レース目には、岡田がトップフィニッシュ、杉山も5位でフィニッシュし、本大会での上位進出の可能性を大きく示してくれました。
 一方、ブルーフリートの北村・榊原は苦戦を強いられました。北村は、良い走りを見せたにも拘らず第1レースがOCSで、明日からの巻き返しを誓いました。榊原は、スタートが上手く決まらず、焦ってしまってか、ボートにスピートが無いという悪循環にはまってしまいました。

【高橋コーチのレポート】
 海面のコンディションはいつもとほぼ変わらず、午前中は平均3〜4m、午後は平均6〜8mですが最大では12mのブローもありました。
風向は220〜260度の間で振れており、午前から午後にかけて風が上がるにつれて右サイドから強いブローが入ってきています。
 午前中の風が弱めかつ向かい潮のコンディションでは、潮の弱い左サイドの岸よりを取り合う展開で、右サイドに行く選手はほとんどいません。午後にかけて風が強くなると右サイドから下りてくるブローをうまく拾った選手が前に出てきます。
 また、上マーク付近は風速が落ちることが多いため、素早いセッティング変更が有効です。他国の選手はあまり対応できていないようでした。
スタートでは、ブラックフラッグ2回、リコール1回引っかかりましたので明日以降修正していく必要があります。
 クローズは、ベストな体格と見ていた選手については8mの風速でも走り負けることはありませんでした。しかしながら体力が続かず2レグ目でおいていかれているようなので、体力アップのトレーニングは非常に重要です。
 フリーでは総じて日本選手の方が速く、クローズで不利なところをフリーで取り返す展開が多くなっています。これは体格の違いが現れているように思います。

 6日間のレースの初日。2レースが終わったに過ぎません。今日の結果をしっかり反省し明日へ活かすことがレースの原動力になります。引きずること無く次のレースを戦ってもらいたいと思います。
 明日は男子が午前、女子が午後スタートで本日と同じく2レースが予定されています。

【日本選手の成績】1日目終了時
●男子〔112艇〕
7位 岡田奎樹  12-1
11位 杉山航一朗 15-5
96位 北村勇一朗 OCS-12
98位 榊原隆太郎 47-46

●女子〔51艇〕
41位 國見彩乃 22-BFD
43位 村山仁美 26-BFD

大会成績表:
http://www.sailingresults.net/site/event/14/default.html
大会HP:
http://events.laserinternational.org/en/events/manual/allocations/61/100z61

1107_4.7world-24.JPG男子第2レース5位フィニッシュの杉山選手1107_4.7world-25.JPG明日からの巻き返しを誓う北村選手
1107_4.7world-26.JPG混戦の中、上マークを回航する村山選手1107_4.7world-27.JPG苦戦を強いられる榊原選手、思い切りが必要です
1107_4.7world-28.JPG女子スタートこのレースでBFDの餌食に1107_4.7world-29.JPGクラシカルな帆船もレースを観戦に

2日目



男子・岡田 好調の4-3 総合3位に立つ


1107_4.7world-30.JPGタック直後の村山1107_4.7world-31.JPGゴールデンゲートブリッジをバックに走る國見7月29日 レース2日目。
 男子が午前スタート、女子が午後スタートでした。
今日で4レースを終えましたが、当地の海面の特徴は午前中3~5mの風、13時前後から徐々に風が上がり始め、午後は6~8mになるパターンです。また、選手全員の認識として潮の影響が大変大きいことも挙げられます。
 本日男子は、北村のみイエローフリートで残りの3名はブルーフリートでした。4人ともスタートがなかなか上手く決められず、苦しい走りをせざるを得なくなるシーンが多く見られました。早めにラインに並ぶことと思い切ったスタートダッシュが必要です。また、向かい潮のときは、潮の弱い岸沿いを上って行くコースが常套手段となっているので、岸側の左海面へ早くスターボーで到達することが必勝コースであるようです。

 軽風域でスピードに勝る岡田が4-3でまとめ、得点2位タイの総合3位につけています。この調子で残りのレースを戦って欲しいと思います。

 午後からの女子2レースは、14時予告の予定でしたが、1時間ずれて15時からとなりました。平均8m前後の風でも、日本選手は大柄な外国選手に負けまいと必死に船を起こしていました。しかし、この風域になると、沈傾向になるシーンが何度か見られ、何としてでも船を前へ進めるようバランスをコントロールする技術が不可欠だと思いました。
 また、女子のスタートなのに男子のクラス旗であるイエローグラッグを揚げてスタートシークエンスを始めたり、本部船が潮と風の影響で大幅に振れ回ったりと(テクノ293ワールドでもあったようですが)、レース委員会の不手際が目立ちました。これにも選手は注意が必要です。

【高橋コーチのレポート】
 本日も風・潮ともに傾向はほぼ変わりません。午前中は風が弱く向かい潮が強いためほぼ全艇が潮の弱い岸寄りに突っ込む展開となり、午後にかけて右から入ってくるブローをうまく拾って返していき前に出てきます。

 昨日の課題であったスタートですが、リコールすることは無くなったものの2列目3列目から出るケースや1列目から出てもポジションが悪くその後の展開が不利になったりしています。また、2分前にはスタート待ちのラインが形成されており、日本選手は総じて入りが遅れ気味です。もっと早くラインに入る必要があることを指摘しました。
 また、第1上マークの順位が安定しません。フリーは他国選手に比べてスピードがあり、抜いて帳尻を合わせていますが1上の順位が安定すればより上位を狙うことができます。そのためにもスタートが重要です。
 岡田は結果こそまとめて来ているものの、1上は10番〜20番台が多くフリーで追い上げる展開を続けています。杉山はアウター側から出たレースでは1上3番で回ってきている時もありましたが、フリーでセッティングが合わず抜かれてしまったようです。明日からはスタートをさらに修正し、安定して上位を狙えるようにしたいものです。

 明日は大会中日。再び女子が午前、男子が午後スタートです。
世界選手権の場で多くを学び、充実したレースができるようチーム一同なお一層がんばりたいと思っています。


【日本選手の成績】2日目終了時
●男子〔112艇〕
⬆3位 岡田奎樹  (12)-1-4-3
17位 杉山航一朗 15-5-(32)-8
30位 北村勇一朗 OCS-12-15-12
94位 榊原隆太郎 47-46-39-39

●女子〔51艇〕
29位 國見彩乃 22-(BFD)-33-15
40位 村山仁美 26-BFD-25-49

大会成績表:
http://www.sailingresults.net/site/event/14/default.html
大会HP:
http://events.laserinternational.org/en/events/manual/allocations/61/100z61

1107_4.7world-32.JPG女子のスターのはずなのに…、男子のイエロークラス旗が掲揚1107_4.7world-33.JPG徐々に調子を上げてきた北村                     
1107_4.7world-26.JPG集団で上マークを回航する岡田1107_4.7world-35.JPG雲が低く、橋脚が隠れます

3日目



岡田 3位キープ
TEAM JAPAN 上昇のカギは
スタートの出方と直後の競り合い


1107_4.7world-36.JPG思う様な結果が出ない榊原、がんばれ!1107_4.7world-37.JPG順位が安定しない杉山、良い点数でまとめたい1107_4.7world-38.JPGサンフランシスコの街並を背に走る村山7月30日 レース3日目。
 朝から多少気温が高かったように思えます。昨日までは連日曇天が続き、気温も低かったのですが、本日は午後から晴れの天気となりました。
その為もあってか、これまでより風が弱く、強い潮との戦いとなりました。

 午前の女子、村山は向かい潮の強い右海面へ伸ばしてしまい、思うように順位を上げられません。國見はスタートこそ良くなってきましたが、その後の展開に迷いが出て、角度を付け過ぎてスピードが潮に負けてしまうシーンがあります。軽風域で躍進が期待された女子2選手はそれでも若干の順位上昇となりました。
 続く男子は、岡田が6-8でまとめ、3日目終了時点で依然3位をキープしていますが、2位との差が開き、4位以下と徐々に詰まってきています。1位を目指して残り6レースをトータルでマネジメントして欲しいものです。
 また、調子を上げてきた北村は1上の順位こそ良くありませんが、レグごとに順位を上げ、15-7で本日のレースを終えました。19位です。
 昨日、17位につけていた杉山は、本日最初のレースを7位でフィニッシュし、自信をつけたかに思われましたが、2レース目を34位でフィニッシュ。ここへ来て捨てレースを作ってしまいました。25位です。 
 苦戦の続く榊原は1上の順位が40位前後で、フィニッシュまで抜け出せないというレース展開です。まずは、1上を良い順位で回航できるよう思い切ったスタートと大集団の中でレースをするという技術が必要です。
男子は、明日で予選シリーズが終了します。現在3名がゴールド進出圏内ですが、4人全員が、より上位を目指すことを誓いました。
毎日よい風が吹き、シリーズは順調にレース数を重ねています。残りの6レースを1本1本大切に戦って欲しいと思います。

【高橋コーチのレポート】
 潮がかなり強くなっています。昨日の午前中のスタートライン付近で向かい潮が0.9knotでしたが、今日は1.8knotもありました。ただ岸に近づくにつれて弱くなる傾向は変わらず、砂浜ぎりぎりのところでは0.2knotしかなく、ほぼ10倍の差があります。右サイドからの強めのブローが吹き込んでくるまではとにかく岸寄りでポジションを取り合う展開となります。
 午後はいつも通り追い潮に変わりますが、240→180→150度と回りながら変わって行きます。午後の男子のスタートでは各選手とも何度もランニングでラインとの距離を調整していました。
 スタートの改善はまだできていません。第5レースでは6人中0人、第6レースでは6人中3人しか満足なスタートが出来ず、1上の順位は最高でも15位にとどまっています。スタート直後の競り合いで負けて行きたい方向に行けないことが多いようです。明日は男子予選最終日のため、取りこぼしのないよう安定して上位を走ってもらいたいと思います。女子は予選がありませんが、1つでもポジションを上げられるよう攻めのレースを期待します。

【3日目終了時 選手コメント】
「自分の走りができておらず、成績が悪い。明日からは自分のセーリングをして、順位を上げたいです」(北村)

「良い時もあるが、ミスをして順位が悪くなってしまう。セオリーを良く読んで、ミスの無いコース取りをしたいです」(杉山)

「クローズでのコース取りが悪い。体格的にスピードに差が出てしまうため、コース取りでその差を埋めて走りたいです」(岡田)

「強い風の中で、上手く走れていない。明日は、風の弱い午前スタートなので、がんばりたいです」(榊原)

「明日からは、気持ちを入れ替えてがんばりたいです」(村山)

「順位が安定していないので、毎レース10番台でフィニッシュできるようにがんばります」(國見)


【日本選手の成績】3日目終了時
●男子〔112艇〕
→3位 岡田奎樹  (12)-1-4-3-6-8
25位 杉山航一朗 15-5-(32)-8-7-(34)
19位 北村勇一朗 OCS-12-15-12-15-7
94位 榊原隆太郎 47-46-39-39-40-47

●女子〔51艇〕
28位 國見彩乃 22-(BFD)-33-15-32-17
39位 村山仁美 26-BFD-25-49-28-41

大会成績表:
http://www.sailingresults.net/site/event/14/default.html
大会HP:
http://events.laserinternational.org/en/events/manual/allocations/61/100z61

1107_4.7world-39.JPGレース中ゲートマークが潮で流れ、リセットする場面も1107_4.7world-40.JPG男子イエローフリートスタート                 
1107_4.7world-41.JPGこの日は、ACボートもレース観戦に1107_4.7world-42.JPG男子に見送られる國見、出艇はアメリカンスタイルです

4日目



予選シリーズ 終了
岡田 依然3位キープ


1107_4.7world-43.JPG北村(左)と岡田(右)のスタート直前1107_4.7world-44.JPG榊原も残り2日集中力を切らさずに自分のセーリングを7月31日 レース4日目。

本日は、これまでの風の傾向と異なり、午後になってもあまり吹き上がらない1日でした。当地の人に聞くと、この数日は例年より寒く、風も強かったということで、ようやく本来のサンフランシスコの天気になったのではないでしょうか。

 本日で、男子の予選シリーズが終了しました。これまでの8レースを全力で戦ってくれたことと思います。その結果として、明日からの2日間4レースは、岡田・北村・杉山の3名はゴールドフリートで、榊原はシルバーフリートで戦うことになります。
 岡田は、依然3位をキープしています。北村は、第8レースでBFDに。本人はぴったりのスタートだったと述べますが、初日のOCSに続き、2つめの英語をとってしまいました。

 また、女子は午後でしたが、軽風域でのレースだったので、好成績が期待されました。しかし、國見・村山ともに第8レースをOCSとしてしまいました。初日にBFDが記録されているため、北村と同様に痛恨のOCSと言えます。
しかし、現場で見ている限り、スタート1分前から潮に流され上の方へ押されているのがよく分かり、スタート時点で他の選手よりも明らかに前へ出ていて、これでは読まれても仕方が無いな。という状況でした。毎日、毎レースごとに潮の状況を伝え、第一に考えるようアドバイスしていますが、選手自身が上手く行動できていません。
 攻めすぎて飛び出すならまだしも、潮に押されて流されるなどという、避けられるミスやリスクを徹底的に避ける努力を選手全員がして欲しいと思います。
 本日のミーティングで、レース前日に掲げた目標をもう一度見つめ直しました。残り2日間での新たな目標を設定し、男子は明日からの決勝シリーズに臨みます。女子も粘り強く上位進出を狙います。

【高橋コーチのレポート】
 今までの3日間とは異なり、潮・風の傾向は若干変化していました。潮は今まで13:00から14:00過ぎにかけて向かい潮から追い潮に変わっていくのですが、今日は14:00から15:00にかけて切り替わっていました。男子第7レーススタート前の11:30前後の流速はスタートラインおよびコース中央付近で0.8knotと一昨日と同程度、向きはほぼ風軸方向からの向かい潮でしたが、岸よりは大体0.1〜0.2knot、コースの右サイドは1.2knotとかなり差があります。風速が弱い時には艇速に対する影響が大きいため、基本的に岸寄りに展開する必要があります。ただ、単に突っ込めば良いというものでもなく、スタートラインから岸に到達する段階ではそれぞれのタックでリフトのブローを拾いながら寄せて行かなければ集団の前に出ることはできません。そのためにもスタートで良いポジションで出ることが重要なのですが、日本チームは中々それができません。今日もリコールに引っかかるか出遅れるかどちらかが多く、苦しい展開が続いています。北村、村山もスタートが決まった第7レースではそれぞれシングルでフィニッシュできているのですが、2人ともシリーズ2回目のリコールをしてしまいもう後がない状況です。岡田はスタートが相変わらず悪いのですが、その後の展開で挽回してぎりぎりでシングルでのフィニッシュを維持しています。明日からは決勝シリーズで上位選手が集まるため、今までのように悪いポジションから挽回するのは難しくなります。明日以降ポジションをキープするには何としてもスタートを改善する必要があります。

 また、ハーバー帰着後のストレッチについては練習初日の選手からの希望で各自行うこととしていましたが、見ている限りでは雑談が多く、かなりいい加減に行っているように見受けられました。夜のミーティングで聞いてみたところ部屋で個別にストレッチをしている選手もいましたが、そうでない選手も多くいました。皆これからの選手なので、アスリートとしての自覚を持ち、自分の体のメンテナンスは自分自身のためにきちんと行ってほしいことを伝えました。
 栄養補給については今のところうまく行っていると思います。選手達はレース直後の補食も積極的に摂っており、皆元気です。ホテルからハーバーまで徒歩で往復40分かかるので、コンディショニングにも良いようです。明日からの厳しい終盤戦にも耐えられる体づくりはできたように思います。


【日本選手の成績】4日目終了時
●男子〔112艇〕
→3位 岡田奎樹  (12)-1-4-3-6-8-6-5
26位 杉山航一朗 15-5-(32)-8-7-(34)-22-14
36位 北村勇一朗 OCS-12-15-12-15-7-8-BFD
91位 榊原隆太郎 47-46-39-39-40-47-48-23

●女子〔51艇〕
35位 國見彩乃 22-(BFD)-33-15-32-17-39-OCS
32位 村山仁美 26-BFD-25-49-28-41-6-OCS

大会成績表:
http://www.sailingresults.net/site/event/14/default.html
大会HP:
http://events.laserinternational.org/en/events/manual/allocations/61/100z61

1107_4.7world-45.JPGゴールド1/2以上が目標の杉山、もう少しです1107_4.7world-46.JPG出艇前の艤装風景
1107_4.7world-47.JPG出艇前体操1107_4.7world-48.JPG北村は初日のOCSに続き、第8レースBFD
1107_4.7world-49.JPG女子2選手も第8レースOCS 潮とラインの見極めを1107_4.7world-50.JPGこの日は上マークが西よりにあり、ブリッジのすぐ近くまで

5日目



男子 杉山 北村 ゴールドフリートで苦戦するも
岡田3位キープ


1107_4.7world-51.JPG何としてでも3位入賞を果たしたい岡田のスタート1107_4.7world-52.JPG第10レースで1下マークをトップ回航する村山8月1日 レース5日目。
 ここへ来てから選手たちは常に潮との戦いが続いていますが、今日の午前中はこれまでの中で一番潮の流れが強いと思いました。場所によって風と潮の状況がまるで違うので、極端に言えば、選手は船が1艇身進むたびに、風と潮に対する優先度のバランスを考え直す必要のあるコンディションでした。
 そんな難しい状況の中、ゴールドフリートに進んだ3名は予選時よりも格段にレベルが上がった集団の中で苦しいレース展開を余儀なくされました。しかし、その分悔しかったのか、男子全員で海面の状況やレース展開、明日への課題などについて、いつもより積極的に会話するシーンが見られ、意欲の高さを感じることができました。
 女子も、村山が本日9-9でまとめてジャンプアップ。國見もレグごとに順位を上げられるようになり、2名とも最終2レースでさらなる進化が期待できます。

 レースは明日までです。シルバーが午前、女子とゴールドは午後からという変則ですが、いつも通りやるべきことをやり、いつもよりもできることをやって最後の2レースを納得できる形で終えてもらいたいと思います。
 この大会を通して、少しでも多くのことを日本に持ち帰れるよう、チームジャパン全員で頑張って参りますので、最後までご声援よろしくお願い致します。

【高橋コーチのレポート】
 男子は今日から決勝に入りましたが、少し難しいコンディションで上位の選手でもスコアを崩していました。基本的に潮が強く左の岸寄りの展開ではあるのですが、右からのリフトのブローをうまく使って集団をリードするようにしていかないと前に出ることができません。ゴールドフリートに残った岡田、杉山、北村ともにスタートは改善してきているのですが、良いタイミングで行きたい方に行けず苦しい展開となっています。上位選手が1フリートに集まりレベルが一気に上がったため、ポジションを落とした時の挽回も難しくなっています。ただ岡田はその中でも抜群のフリーのスピードでスコアをまとめ、総合3位をキープしています。
 今日は女子も頑張りました。村山は2レースともにシングルでまとめた上に10レース消化したことでリコールした2レースがカットになり、大幅にポジションアップしました。残念だったのは第10レースで、第1上マークを2番で回り第1下ゲートをトップで回航するも、第2上までの展開で右寄りのコースを取り後続集団に抜かれてしまいました。國見も苦しい展開から頑張ってポジションを上げてフィニッシュしています。シルバーの榊原も第9レースで10番手争いをしています。フィニッシュは少し抜かれて13位となってしまいましたが、フリートの上位で戦う経験が出来たのはとてもよかったと思います。
 明日最後の2レース、日本チームには思い切って戦って欲しいと思います。


【日本選手の成績】5日目終了時
●男子〔112艇〕
ゴールド →3位 岡田奎樹  (12)-1-4-3-6-8-6-5-(13)-9
ゴールド ↘27位 杉山航一朗 15-5-(32)-8-7-(34)-22-14-(52)-19
ゴールド ↘41位 北村勇一朗 (OCS)-12-15-12-15-7-8-(BFD)-41-44
シルバー ↗32位 榊原隆太郎 (48)-46-39-39-40-47-(49)-23-13-26

●女子〔51艇〕
34位 國見彩乃 22-(BFD)-33-15-32-17-39-(OCS)-32-23
28位 村山仁美 26-(BFD)-25-49-28-41-6-(OCS)-9-9

大会成績表:
http://www.sailingresults.net/site/event/14/default.html
大会HP:
http://events.laserinternational.org/en/events/manual/allocations/61/100z61

1107_4.7world-53.JPG最終日に意地を見せられるか北村               1107_4.7world-54.JPG杉山はレース後コーチボートですぐに反省点の洗い出し
1107_4.7world-55.JPG一度はシングルでのフィニッシュが欲しい國見                  1107_4.7world-56.JPGホテルの近くにある日本食のレストラン…お世話になりました!
1107_4.7world-57.JPG第10レースフィニッシュ後の榊原

最終日



岡田 表彰台を逸するも 誇れる4位
他選手も確かな進歩 次への期待


1107_4.7world-58.JPG第11レース4位で1上マークを回航する榊原1107_4.7world-59.JPG國見(左端)・村山(右手前)、接戦です1107_4.7world-60.JPG3位がその手からこぼれ落ち、唇を噛む岡田8月2日 大会6日目 最終日。
 ついに今年のレーザー4.7ワールドも最終日を迎えました。
選手たちはいつも通り朝食をもりもりと食べ、味噌汁を飲んで気合いを入れました。
本日は午前に男子シルバーフリート。女子とゴールドフリートが午後からというレース日程でした。
 前日に期間中で最も潮が強かったとレポートしましたが、本日の方がより強く、アンカーリングしている本部船も明らかに引き波を立てて走っているように見えました。
 シルバーフリートの榊原は軽風の中、この海面のセオリーを意識して潮の影響の少ない岸寄りのコースを上手く選択し、気持ちの良い順位でフィニッシュして大会を終えることができました。また、シルバーフリートのレースでは十分に余裕を持っていても、潮に流されマークタッチしてしまう選手が多く見られ、最終日まで潮との戦いが続くことになりました。
 午後からはいつも通り風が上がってきて、選手権を決するには絶好の条件が整いました。チーム内では、3位をキープしていた岡田に期待が高まっていましたが、各選手に最後の2レースもしっかり自分のレースに集中するよう伝えました。

 女子はすぐ後に控える男子のゴールドフリート用に、多少長めに設定されたスタートラインから余裕を持ってスタート出来ていました。村山はしっかりとセオリーに乗れば、もう少し良い順位が取れた様に思えますが、要所で我慢しきれませんでした。國見は1上の順位が悪く、それがそのままフィニッシュまで続くケースが多く、スタート後のクローズでどれだけ頑張れるかが今回のポイントであったと思います。
 続く男子は3人ともすべての力を出し切ると約束して最終2レースに臨みました。岡田はこの時点で4位と14点差だったため、大きな取りこぼしをしない限り3位を守れるものと考えていましたが、最終レースで2上へ右寄りの展開を取り、終わってみると3位に5点差を付けられ総合4位。最終レースで世界選手権の厳しさとヨットレースの難しさを思い知らされることになってしまいました。
 しかし、世界選手権4位入賞は大変誇れる結果であることに間違いはありません。悔しさが残るとは思いますが、胸を張って報告して欲しいものです。
 北村、杉山も厳しい戦いでしたが、最後まで諦めずに走り抜きました。初めに比べ集団の混雑から上手く抜け出せる様になり、確かな進歩が見えました。

 レース後19時から閉会式が行われました。見事4位入賞を果たした岡田を含め、各カテゴリーの表彰や大会関係者のスピーチがあり、今大会の閉幕となりました。
 閉会式後、各国の選手は、ユニフォームを交換したり、写真を撮ったりして、互いの健闘を讃えあっていました。レース以外でのこうした交流がユース世代の彼らにとって貴重な財産になるということは、私(橋元)自身が高校時代に身をもって経験していたので、長い時間を取ったつもりですが…、やはり帰り際、選手達は皆一様に淋しそうな表情を見せていました。

 今大会で上手くいった部分・上手くいかなかった部分があると思いますが、そのどちらもしっかりと自らで分析し、次のレースや人生のステップに活かしてもらいたいと強く願う次第です。
 ヨットレースは一度スタートすればフィニッシュまで自力で乗り切らなければなりません。コーチからは多くの情報とアドバイスが与えられますが、それを活かすも活かさないもすべて選手本人に掛かっているのです。地元に帰り、異なる艇種に乗ることもあると思いますが、感謝の気持ちを持ってより主体的に・自発的に行動出来る選手になって欲しいと思います。
 また、日本代表としてこの大会に参加したこと、見て、聞いて、感じて、得たたくさんのことを出来るだけ多くの人に伝えることも、参加した選手達の義務だと思います。そうする事できっと新たな見方や感想が湧いてくるはずです。

【高橋コーチのレポート】
 岡田は総合3位争いで圧倒的リードを持って最終レースを迎えながら、守りきることができませんでした。第11レース終了時点で4位のブラジルとは11点差、5位のベルギーとは14点差となり、実質3艇での争いとなりました。最終レースは非常に強い向かい潮(12:30時点ではコース中央付近で2.9knot)で始まり、セオリー通り左の岸寄りの展開で第1上マークはベルギー3位、岡田20位前後、ブラジルが50位前後と脱落。第1下ゲートマークでは岡田が怒濤のフリーの追い上げで14、15位前後に上げてきました。ベルギーは3位のままでしたので、この時点では総合3位をキープできる状況でした。岡田はゲートマークを回る際のボートの動きから潮が追い潮に切り替わったと判断、集団から離れて総合2位のスペインと共にポートを伸ばし右寄りのコースを取りました。しかしながら風も潮も岡田の味方にはなってくれませんでした。結局、左の集団に抜かれ第2上マークでは25位付近まで落ちてしまいました。ボーダーラインの17位付近の集団とも離れてしまい、ここでレースがほぼ決まってしまいました。最後のフリーとクローズで必死に追い上げましたが結局22位でフィニッシ。ベルギーはそのまま3位となり、岡田は表彰台から脱落してしまいました。守るべきポイントと攻めるべきポイントを読み違え、第2上マークへ向かうクローズで集団から離れてしまったことが直接的な敗因だったと思います。男子の決勝は4レースのうち1レースしか捨てられないルールであった為、決勝で2度悪いスコアを取ると一気にポジションが下がってしまいます。
 北村や杉山も決勝シリーズになってからスコアが安定せず、時折良い走りを見せるものの上位に食い込むことができませんでした。女子の村山、國見についてもスタートはかなり良くなってきましたが、体格差が不利とならない軽風域でも安定して上位で戦うことができませんでした。
 男子シルバーの榊原は頑張りました。今朝は一番出艇し気合いの乗った第11レースではトップスタートを決め、よいスピードで上集団を殺しながら左の岸よりへ延ばして行き、最後オーバーセール気味になるまで左海面の取り合いをした結果、第1上マークをトップとほとんど差のない4位、直後のオフセットマークを2位で回航していきました。その後トップ集団の中で戦い、最終下マークでもトップに肉薄する3位で回航し最後までトップ争いを演じていました。最後の最後で左からの強いブローが入りフィニッシュ直前で数艇に抜かれてしまいましたが4位でフィニッシュ。次に繋がるよいレースだったと思います。

【高橋コーチの総括】
 ジュニアからセーリングをしている選手は、風がよく見えます。反面、潮流についての理解はそれほど深くないのではないかと感じました。とくにレーザー4.7のように艇速が遅めのボートにおいては、潮の影響を大きく受けます。今回のシリーズでは、クローズの競り合いで負けたり、反対タックでリフトのブローが入った(もしくは入りそうな)際に、左サイドの岸へ向かう集団から日本の選手が離れて行くシーンを何度も見ました。成績を見ればある程度分かりますが、成功した確率はさほど高くありません。それでも見えない潮より見える風を追いかけ、反対サイドに向かって行きました。これからのレースでは集団もしくはライバルから離れて戦うことのリスクを常に計算しながら勝負所を間違えないようにして欲しいと思います。
 今回の世界選手権への参加を通じて、レーザー4.7は日本選手が外国選手に体格負けせず強風域でも十分にトップ争いができるクラスであるという印象を受けました。4.7世界選手権には高校2年生までしか参加できないこともあり、ラジアル級のようなシビアさはあまり感じられません。トップ選手はさすがにレース運びのうまさはありますが、ハイクアウトを維持できる体力さえあれば8~10mの強風域でも競り負けることはないように思います。
 体格が小さ目でもわりと乗りこなせるため、OP級からのステップアップボートとして、OPを卒業生やOPに乗るには大きくなりすぎてしまった選手に積極的に乗ってほしいクラスです。是非最高峰の世界選手権にチャレンジしてください。来年は4月に北米で開催されます。

 最後になりましたが、選考や準備からこれまでご尽力頂いた方々、応援し温かく見守ってくださったすべての方々に、代表チーム一同心より御礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。


【日本選手の最終成績/全12レース】
●男子〔112艇〕
ゴールド 4位 岡田奎樹  (12)-1-4-3-6-8-6-5-13-9-(29)-22
ゴールド 37位 杉山航一朗 15-5-(32)-8-7-(34)-22-14-(52)-19-43-38
ゴールド 42位 北村勇一朗 (OCS)-12-15-12-15-7-8-(BFD)-41-43-16-48
シルバー 25位 榊原隆太郎 (48)-46-39-39-40-47-(49)-23-13-26-4-13

●女子〔51艇〕
35位 國見彩乃 22-(BFD)-33-15-32-17-39-(OCS)-32-23-35-28
34位 村山仁美 26-(BFD)-25-49-28-41-6-(OCS)-9-9-20-DNS

※大会HPにある村山の最終レースのスコアが、会場で表示された速報スコアと異なる表示のため、現在レース委員会へ問い合わせ中です。
期間中、マーク流失やスタート手順のミス、スコア訂正要求が多く見られましたので、この件もその一つであると思われます。正式な結果が得られ次第改めて当ページにてお知らせ致します。

大会成績表:
http://www.sailingresults.net/site/event/14/default.html
大会HP:
http://events.laserinternational.org/en/events/manual/allocations/61/100z61

1107_4.7world-61.JPG第11レースフィニッシュ後、すぐに順位を確認する杉山1107_4.7world-62.JPG完了後、笑顔の北村                      
1107_4.7world-63.JPG北村!?… サンフランシスコロール中!1107_4.7world-64.JPG女子総合1位のイタリア選手
1107_4.7world-65.JPGU-16男子の表彰1107_4.7world-66.JPG女子総合の表彰
1107_4.7world-67.JPG岡田4位入賞! 男子総合の表彰
1107_4.7world-68.JPG閉会式後、6名で記念撮影!

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●2011.7.252011テクノ293級 ウインドサーフィン U-17クラス世界選手権 レポート
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