大会最終日は朝から風が弱く、風待ちをしながら9〜12ノットの風の中、最大サイズのカイトでギリギリ走るコンディションでした。最終レースのみ少しだけ風が入りました。

ミニマムに近い風速のレースでは、最大カイトをどのサイズで登録したのかも大きなポイントになります。レース中にアンダーパワーになってしまい、カイトを上下にふって揚力を発生させながら加速させている選手を何度も見ました。

5日間の大会を通して最終日こそ風が弱かったものの4レースを成立させ、今大会では合計20レースが成立、予選を入れると選手は40レースを走ったことになります。これだけのレースを消化しながらも上位は入れ替わる接戦であったこと、また風に恵まれ、加えて海上運営の手際の良さや大会全体のホスピタリティにおいても素晴らしい大会でした。

YOGアジア男子の1枠を勝ち取ったのはフィリピンのTio選手、女子は中国のChen選手でした。日本の唐門選手は今大会を通して得た情報や課題を持ち帰り、5月に中国で開催される最終予選に挑みます。

引き続き応援をよろしくお願いいたします。5日間の応援ありがとうございました。

Report & Photo by 小菅寧子

大会ウェブサイト IKA TwinTip Racing Classウェブサイト Kiteboard Tour Asiaフェイスブック
▲少し風の上がった最終レースでファイナルに進出し、トップ集団と競い合う唐門選手(グリーンのカイト)
▲唐門選手。2レース目では途中トップを走りフィニッシュへ向かうものの、風が弱くノーレース。再スタートとなりましたがスタート1分前に30.1規則にかかって失格。しかし、良い手応えはつかめました
▲優勝しYOGの国枠を獲得したフィリピンのTio選手。トップが入れ替わる接戦でしたが、安定して速い選手でした
▲アジア男子の入賞者。2位は中国、3位はタイでした
▲5月の最終予選に向けて頑張ります

大会4日目はこれまでよりも風が弱めで陸に対してオンぎみで吹き、風待ちの後10〜14ノットのコンディションで4レースが成立しました。

カイトのサイズの選択が難しかった日でした。昨日までのように午後に風が上がってくるだろうと予測してこれまでと同じサイズのカイトでスタートラインに向かった選手、今日は風が上がりきらないだろうと予測した選手は最大サイズのカイトを選択してスタートラインに向かい、不安定な強弱のある風に結果もばらつきが見えました。

時たま吹くブローに惑わされ、大きめのサイズを選択しなかった唐門選手も順位を上げるチャンスをつかめなかったレースがありました。

適切なカイトサイズの選択は重要なポイントですが、オーバーコンディションをフィジカルで走りきることやアンダーコンディションをテクニックで走ることなど課題は多く見えています。明日の最終日も4レースを予定しています。

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▲陸ではサポートエリアに国旗を掲げてスタンバイしています
▲オンショアよりの弱い風のためフィニッシュ後にカイトを抱えて風上に向かう選手たちの様子
▲前のレースではアンダーサイズのカイトを選択して前を走れず、登録している最大サイズのカイトでBファイナルを走る唐門選手(赤いカイト)とタイのSarun選手
▲第14レースのAファイナルの様子。唐門選手は真ん中グリーンのカイト
▲全てのスタートで30.4規則が適用されており、フィニッシュ船にB旗を掲げて中国のOCSを知らせている様子

大会3日目、朝から予報通りに風が弱かったものの昼過ぎから風が吹き始め、これまでと同じ右からのクロスオンの風が12〜15ノット吹き、本日も4レースが成立しました。

これまでよりも弱めの風に各選手は少し大きめのサイズのカイトを使用、カイトサイズが大きくなるとカイトの動きも多少遅くなり、見る側のスピード感も変わります。

1Heatのターゲットタイムが3分程度で、2つのObstaclesを含む4つのジャイブマークを回ってフィニッシュするのですが、サイズによって動くタイミングの変わるカイトに合わせる選手のテクニックもそれぞれに違いが見えます。

唐門選手はレースを消化するごとに修正を重ね走りが良くなっています。本日の最終レースではファイナルに進み、スタートからトップ集団で走ってマーク回航では1人抜き去り3位でフィニッシュしました。若干弱まった風でチャンスを作り、明日も改善を重ね前進していきます。

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▲スタートからフィニッシュまでトップ集団で走る唐門選手(ブルーのカイト)。スタートを積極的に出てファーストマークまでの走りで粘りを見せています
▲ファーストマークでカイトをDown Loopさせて回航していく様子。カイトサイズによってカイトの反応が違うためタイミングを合わせて回航していきます
▲マーク回航でバーを最大に傾けてカイトを回していく唐門選手
▲ビーチにはフィニッシュの目の前にTVスクリーンが設置されており、フィニッシュ順位や次のHeatが表示され、即座に確認できるようになっています
▲ボード形状によって引き波の形も乗り方も違っています。カイトもメーカーによって特性が異なっているのがわかります

大会2日目は風の吹き上がりも早く、16〜20ノットの安定した風が吹きました。

Obstacleを含むDown SlalomコースをDay1と同じ進行で帆走して4レースが成立、本日までで合計8レースが成立しました。

若干強まった風にカイトサイズを変える選手もおり、本日は中国の追い上げで上位が入れ替わっています。

トップ3の走りは直線スピードが速く、スタートから積極的なレース展開をしてファイナルに進出した唐門選手もなかなか絡むことができません。ボードの違いが大きく見えますが、スタートやマーク回航技術の改善でポジションを上げることを考えてレースをしています。

明日からは少し風が弱まる予報なので、唐門選手と各国の選手の走りに注目したいと思います。

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▲スタート直後。予選のHeatではトップ選手に食らいついて攻めたスタートをするようになり、昨日よりも風速が強い中でファイナルに残るレースを見せた唐門選手
▲Obstacleではジャンプして飛び越え、マーク回航では手前でエッジを切り替えてからカイトをDown Loopingさせて通過していきます。カイトをあげて回航するとペナルティーポイントが課せられます
▲本大会ではレース中にカイトを落とす選手も少なく、陸でも飛ぶことなど見かけませんでしたが、本日はカイトが木の上に引っかかっています。カイトゲレンデではよく見かける光景だそうです
▲レースコースの風上には無数のカイトボーダーが楽しんでいる光景が見えています

本日よりアジア男子は5カ国10人がYOG(ユース五輪)アジア枠の1枠をかけて戦います。

大会初日は12〜17ノットの風が安定して吹き、順調にレースを消化しました。2Heatに分けて予選と決勝を行い4レースが成立。地元タイの選手が一歩リードした走りを見せています。

YOGのカイト競技では規定リストにある中からボードは1本、カイトは5〜19までのサイズを4枚登録することができ、1Heatごとに風によってカイトを変更することができます。12ノット以上の風ではObstacle(障害物)がダウンスラロームコースに2つ設置され、飛び越えてコースを帆走します。今大会ではObstacleへの接触はペナルティポイントが課せられます。
また選手間のプロテストはなく、海上にいるジャッジ3人とタワーで監視しているジャッジによってペナルティポイントを課すか否かが判断されます。
技術はもちろんですがカイトサイズの選択、またボード形状によるスピード差などがレース展開に大きく関係しているように見えます。

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▲レース前にカイトの調子をチェックする唐門選手。セイルナンバーの代わりにカイト競技では背番号入りのビブスを着用し、インパクトベスト(規定25N)とヘルメットの着用が義務づけられています(唐門選手は背番号11番)。本日は良いところもありましたが苦戦
▲左端の黄色の長いマークはObstacle(障害物)。マークルームのZoneは30m。ブルーのカイトが唐門選手
▲中国は自国の国旗入りカイトをチームで使用し、すでに選手強化が進んでいることを感じさせます
▲フィニッシュ後、次のレースのためにビーチを風上へと移動する選手。現在トップの選手が使用しているボードを使う選手が多く、形状の違いに走りの違いが見えています。またセイルチェンジやビーチ形状での出艇帰着に対応するためにも、サポートの必要性が非常に高い競技です

カイトボーディングのアジア選手権(3月12日〜18日 タイ・プランブリ)に和歌山の唐門紘選手が出場します。この大会は、ユース五輪(10月、アルゼンチン・ブエノスアイレス)のアジア予選も兼ねており、唐門選手はその国枠獲得に挑みます。

▲大会会場に設置されている参加国の国旗を掲げたYouth Olympic予選アジア・オセアニアのパネル

開催地:タイ・Pranburi
日程:
3月13日 12:00 - 17:00 Registration and Measurement
19:00Opening Ceremony
3月14日 10:00 - 19:00 Racing
15日 10:00 - 19:00 Racing
16日 10:00 - 19:00 Racing
17日 10:00 - 19:00 Racing
18日 10:00 - 19:00 Racing
19:00Prize Giving

出場選手:唐門 紘(和歌山県・紀美野町立野上中学校)
帯同スタッフ:小菅 寧子(オリンピック強化委員会)

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カイトボーディングについて

これまでのユース五輪はディンギーのシングルハンドとウインドサーフィンで行われていましたが、今回からカイトボーディングとマルチハルが増え、シングルハンドディンギーがなくなりました。

日本はウインドサーフィン男子が2月にシンガポールで開催されたアジア選手権にて出場枠を獲得しましたが、今回はカイトのアジア選手権(3月12日~18日 タイ・プランブリ)に和歌山の唐門紘選手が出場し、国枠獲得に挑みます。
カイトは道具によってカテゴリーが分かれていますが、ユース五輪はIKA Twin Tip Racing クラスというカテゴリーで競われます。コースも風速に合わせていくつかのバリエーションがあります。

カイトボーディングはセーリングなのか……という議論がありますが、現在、World Sailingは2024年の五輪種目の選出作業に入っており、種目としてカイトを入れるかどうかの討議が続いています。

冬季五輪ではスノーボードのように新しい種目が定着しています。
最初は受け入れられていなかったかもしれませんが、平昌五輪ではスキーもハーフパイプを滑るようになりました。同様に、夏季五輪も観客を魅了するパフォーマンスが求められており、そのひとつとしてカイトがクローズアップされてきたわけです。 その流れの中で、ユース五輪ではカイトが種目として採用されているという状況です。

しかし、カイトボーディングの出場枠は12枠しかなく、球技なみに厳しい枠数です。アジア枠は1つですから、さらに厳しい戦いになります。

JSAFオリンピック強化委員会もカイトのレースに注目し、大会を通じてコースの紹介もしていきたいと思います。
今回の大陸別予選が行われるタイにはウインドサーフィン担当の小菅寧子コーチが帯同しています。小菅コーチ自身も以前カイトにチャレンジした経験があるので、現地からカイトの現状を報告します。

▲この塔の上にはジャッジがレースを監視するブースがあり、両脇には観客席が設置されていてMark1は目の前に設定される予定です
▲Formula Kiteクラスのスタート風景:ユースオリンピックの艇種ではありませんがこのクラスでは上下のコースレースでFoilを使用しています
▲ユースオリンピック種目のTwin Tip Racingクラス(唐門選手)
▲日本からは和歌山県出身の唐門紘選手が参加
▲事前練習レースのスタートからMark1(白マーク)までの様子(唐門選手参加)
▲大会会場には大きなオリンピックマークが掲げられユースオリンピックへの盛り上がりを感じさせています(唐門選手)
▲本日はレジストレーション及びEquipment Registration、夜はOpening Ceremony party、Live Tracking用の顔写真撮影やメディアインタビューがあり慣れないながら各選手対応していました