大会6日目
2020年東京オリンピックのテストイベント最終日は22日、江の島で470級男女、レーザーラジアル級などのメダルレースを予定していました。ただ、風力に恵まれず、かろうじて470級女子だけがメダルレースを行い、吉田愛・吉岡美帆組(ベネッセホールディングス)が4位に入りました。
このほか、前日までの成績でレーザーラジアル級女子の土居愛実(アビームコンサルティング)は4位、470級男子の磯崎哲也(エス・ピー・ネットワーク)高柳彬(エス・ピー・ネットワーク)が7位でした。
今月上旬の470級世界選手権で銀メダルを獲得、五輪代表に内定している吉田・吉岡組は3位と2点差の4位でメダルレースに臨み、3位でフィニッシュ。4点差でメダルには届きませんでした。
今大会は順調な滑り出しでしたが、転機となったのは第8レース。フランスにプロテストされて失格となり、順位を落としました。
スキッパーの吉田はこの失格を反省材料に挙げました。「来年は(他艇が)シビアにやってくる。同じ失敗を繰り返さないためにも、いい経験になった」と、振り返りました。
五輪代表に決まっているため、来年の本番に向けて、さまざまなテストを実戦の中で行っているようです。特に重点を置いているのは、470艇を構成するマストなどの用具。「ベストのものを選んでいって、来年、ベストになるように持っていきたい」と言葉に力を込めました。
レーザーラジアル級女子の土居は前日までの成績で3位に4点差で表彰台を逃しました。しかし、手応えはつかんだようで「来年を想定して(生活面で)いろいろ試したけど、このままやれたらいいかな、と思った」。
江の島は「高校生のころから練習しているので、海面を知っている。他の人に比べると有利かもしれない」。今回もそのアドバンテージを生かした場面はあったようで「取りたいコースが、今回ははまったかな、というのはありました」と笑みを浮かべました。
ただ、僅差でメダルを逃したことは教訓になったようで「1点の重さを感じました。ミスをどれだけ減らせるか、です」と自ら課題を挙げました。
470級男子の磯崎・高柳組は五輪代表争いのライバルが五輪テストイベントへの参加権利を持っていないため、世界の有力選手たちとの実戦を選びました。スキッパーの磯崎は「海外の強い選手と戦えて、他の日本人選手よりもいい経験ができた。(江の島の)レース海面をまた経験できたし、それは強味だと思う」と笑顔で話しました。
27日にレースが始まるワールドカップは、五輪代表選考の最終戦です。「肉体的な疲労はありません。気負わずにやります」。表情には静かな自信が漂いました。
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大会5日目
RS:X級の最終日。メダルレースは、「KAMAKURA」エリアで行われました。
富澤慎選手は、順位次第で総合順位が入れ替わる8位でメダルレースを迎えました。
スタートから抜け出し、途中まで良い位置でレースを展開しましたが、第1マークまでのアプローチミスにより順位を落として7位で回航。その後、風下マークでは5位まで順位を上げましたが、2回目の風上レグで反対サイドを選択した艇にパスされ7位でのフィニッシュ。総合では9位で今大会を終えました。「メダルレースで思ったように走りきれずに悔しかったです。でも、大会全体を通しては、最後まで崩れずに決勝に進めたので、いい大会になりました。次のワールドカップが代表選考大会のひとつになるので、しっかりやりたいです」と冨澤選手は今回のレースを総括しました。
470級の第9レースは190度 7.7ノットの設定でレースが行われました。
男子はオールクリアでスタート。 磯崎哲也・高柳彬組は上1でスタートし、右へ展開したのですが、風軸が大きく左に振れて下位回航、順位を上げることができずそのままフィニッシュ。
女子の吉田愛・吉岡美帆組は真ん中上寄りで第一線スタート。シフトをうまく捉えシングル回航、接戦の中5位でフィニッシュしました。
第10レースは190度 7.5ノット。
男子はオールクリアでスタート。磯崎・高柳組は前のレースの反省をいかし真ん中からスタートして左展開。上マークを4位で回航後、順位を1つ下げて5位でフィニッシュしました。
女子もオールクリアでスタート。ガストとラルの変化の激しいコンディションとなり、吉田・吉岡組はシングル後半で上マークを回航。その順位を保って8位フィニッシュ。
470級は男子総合7位、女子総合4位で明日のメダルレースに出場。女子はメダル獲得、そして男子は入賞を目標に1番でも上を目指します。
「得意な海風と軽風で順位を崩さずよかった。スタートがよく、取りたいコースが引けてイメージ通りに走れました。優勝を狙える位置にいるので、最終日は頑張りたい」と力強く応えてくれたのはレーザーラジアル級の土居愛実選手。今日は7-6と走り総合4位でメダルレースに進出です。
レーザー級の瀬川和正選手は32位でレースを終えました。「来年の世界選手権で代表内定を取らないと話にならないので、狙いに行きます」と語り、この半年が正念場と覚悟を見せました。
22日は最終日。470級男女、レーザーラジアル級、レーザー級、フィン級のメダルレースが行われます。
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大会4日目
RS:X男子は南風3〜5mのコンディションで予定通り3レースが実施されました。レース海面はRS:X級には珍しく沖の「FUJISAWA」エリアでした。
富澤慎選手は1、2レース目はスタートから抜け出してフリートをリードしましたが、反対サイドが伸びてしまう展開でした。それでも2レースともシングルで耐えてフィニッシュ。 3レース目はスタートで出遅れ、一段下がった位置からの苦しい展開でしたが、我慢の走りで要所を押さえ6位まで順位を上げ、総合8位でメダルレース進出を決めました。
49erクラスで出場した高橋レオ・小泉維吹組は不運にもハーネスの重量が規定を超えていたため最終レースが失格となりましたが、それを除けばあと2点でメダルレース出場となる戦いを見せてくれました。
これまでの実績からすると今大会では下位に位置すると見られていましたが、確実にレベルアップしており、トップグループまであと一歩のところまで力をつけてきていると感じられる大会となりました。
本番まであと1年でまだまだ大きく飛躍する伸びしろがあり、これからが楽しみです。
49erFXクラスの波多江慶・板倉広佳組は、先のヨーロッパ選手権での負傷によりしばらく練習ができず、十分に課題に取り組む時間を取れない中での参加となりました。
スタートは比較的いい形で飛び出していけることが多かったのですが、課題としているタクティクス面でのミスもあり、なかなか成績を伸ばすことができませんでした。
目標としているオリンピックにおける入賞にはまだまだクリアせねばならない点が多いことが改めて明らかになり、ケガをしっかりと直して練習する時間を作り、ステップアップを図りたいものです。
470男子の磯崎哲也・高柳彬は第7レースで下1スタートを決めて左へ展開。うまくシフトを捉えて上マークをトップで回航しましたがマークタッチで2位へ後退。その後、第2集団の争いに呑まれ3位でフィニッシュしました。
第8レースでは上4番目の位置で一線スタート。早めの右展開でシフトを捉えて上マーク4位で回航し、その順位を守り4位でフィニッシュ。総合7位に上昇し、明日の2レースでメダルレース進出をかけます。
470級女子の吉田愛・吉岡美帆組は第7レースは6位でフィニッシュするも、第8レースでフランス艇とのケースが起こりDSQとなって、総合で3位に後退しました。
「課題としているスタートがよくなってきている」というレーザーラジアル級の土居愛実選手は今日のスターもうまく決め、9-8と走り総合6位につけています。
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大会3日目
470クラスの第4レース、男子はオールクリアでスタート。磯崎・高柳組は今大会最高のスタートで集団から抜け出し上マークをトップ回航。途中風が8ノットに落ち左右にセパレートした艇に抜かれて2位でフィニッシュしました。
女子もオールクリアでスタート。上マークを上位で回航後、順位を上げて吉田・吉岡組が4位フィニッシュ。
470級第5レース
風が全体的に落ちて風軸が左に5度触れた中でレースが始まりました。
男子はオールクリアでスタートし、磯崎・高柳組は第一線でスタートし、左海面で展開。上手くシフトに合わせシングルで回航。O旗が掲揚され、パンピングで順位を上げて6位フィニッシュ。
女子もオールクリアでスタート。ガストとラルの差が激しくタフなコンディション下、吉田・吉岡組は上マークをシングルで回航し、順位をキープしてフィニッシュしました。
470級第6レース
男子はオールクリアでスタートし、磯崎組は左に伸ばすものの、右に大きく軸振れして下位フィニッシュとなりました。
女子もオールクリアでスタートし、吉田・吉岡組は上マークを中盤で回航し、2上でうまくシフトを捉えてトップフィニッシュ!
男女で明暗を分けるようなレースとなりました。
先の世界選手権で日本代表選手の内定を決めた吉田愛選手は、「(代表内定が決まったので)五輪へ向けての1年がスタートできていることが大きなポイントです。レースでしかわからないことを、確認しながら走っています」と言います。今日は4-6-1と走り総合1に上がりました。
一方、「傾向をとらえるのが難しい風でしたが1レース目はうまく展開できました」「疲れをためないようにしています。世界選手権での反省をこのレースで修正していきたい」という磯崎哲也選手。クルーの高柳彬選手は「1レース目はスタートからいい展開で行けたんですが、最後で抜かれてしまい反省しています。この教訓を生かして、これからは(このようなレースで)トップを取りたい」。
RS:X男子は、北東の中風域で予定通り3レースが「KAMAKURA」エリアで行われました。鎌倉湾と逗子湾の二方向から入ってくる大きく変化する風を使っていかにマークまでアプローチするかがポイントとなりました。
富澤選手は1レース目でトップグループのなかでレースを展開し、2位でフィニッシュ。2レース目は両サイドからの風に惑わされ、中途半端なコースとなって18位でフィニッシュ。3レース目は選択するサイドを誤り第1マークを19位で回航しましたが、その後は9位に順位を上げてフィニッシュ。1レース目に関して「風が振れて難しい海面で、いい時、悪い時を繰り返しながら走りました。陸からの風は難しいです」と言いながら「1レース目がよかったので気持ちよく走れました」と冨澤選手。
女子の小嶺恵美選手はなかなか思うように成績を上げられません。萩原正大コーチは「コースの選択、スタートはそれほど悪くないですが、トップ集団に絡めません。世界のハードルは高いですが、諦めたらそこで試合終了です。何とか工夫して、少しでも上位を獲得できるように試みるしかありません」と話します。
レーザーラジアル級の土居愛実選手は6-15-22と走り、総合は8位。「この風でレースすることが少なく、なかなか風が読めなかった」と今日の感想を語る一方で、「スタートがよくなってきており、それがレース展開に影響しています。ラインの見極めがよくなってきています」「(今回は)自分がしたいレースをし、相手を気にせず、ストラテジーを考えてレースを組み立てています」と本大会にかける姿勢を話してくれました。
20日からは後半戦となります。
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大会2日目
470男女の第4レースは「フジサワ」エリアで行われました。
風向240度、風速8.3ノット
女子はゼネリコを2回繰り返した後、黒色旗でスタートし、吉田・吉岡組は少し出遅れました。男子はU旗掲揚でスタート。
レース中、風が一気に落ちて4ノット前後の神経戦となって、吉田チームは15位でフィニッシュ。「風が急に落ちてきてシフトも大きく、クローズのアップダウンもあって、うまくはまらなかった」とレースを振り返った吉田愛選手です。
一方、磯崎チームは8位でフィニッシュ。しかし、フランス艇との間でフィニッシュ間際にケースが発生。長い審問の結果、磯崎チームが失格となり、総合で19位となりました。順位は落としたもののこういったケースも貴重な経験。テストイベントの教訓として生かしていきたいものです。
レーザーラジアル級の土居愛実選手は、「スタートからうまくいき、いいコースが引けるようになりました」と手応えを感じた走りで、この日は2位。総合で7位にアップしました。
RS:X男子は女子のレース進行が遅れたこともありスタート時刻が延期され、レース海面に到着した頃には風が弱くなり始め、6ノット前後の軽風で1レースが実施されました。
富澤選手はスタートからトップグループの中で走り、第1マークを5番。最終レグで1艇抜いて4位でフィニッシュし、総合8位に上がりました。「スタートに集中しました。昨日悪かった右海面は狙わず、楽なポジションからスタートして左海面を走りました」と思い通りのレース展開だったようです。しかし、レース途中で脱水症の症状のような寒気を感じたと言います。「今日のような暑さで3レースをやれと言われたら想像できません」と、暑熱対策の必要性を実感したようです。
一方、RS:X級女子は軽風域の中、2レースを実施しました。小嶺恵美選手は15-14と走り総合で17位。萩原正大コーチは、「苦手ではない風でしたが、なかなか前を走らせてもらえません。良い局面がありますが、少しのミスで、順位を大きく落としてしまいました」と振り返ります。
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READY STEDY TOKYO-Sailing(東京五輪ヨット競技テストイベント)が始まりました。
運営、選手、ボランティア、メディアなど東京五輪セーリング競技にかかわる人々が江の島に結集し、46カ国・地域、選手356人規模のレースがスタートしました。
日程:8月17日~22日(21日、22日がメダルレース)
日本の参加艇
470級男子【参加22艇】
磯崎 哲也・高柳 彬
470級女子【参加20艇】
吉田 愛・吉岡 美帆
RS:X級男子【参加24艇】
富澤 慎
RS:X級女子【参加20艇】
小嶺 恵美
レーザー級男子【参加35艇】
瀬川 和正
レーザーラジアル級女子【参加40艇】
土居 愛実
49er級男子【参加21艇】
髙橋 稜(レオ)・小泉 維吹
49erFX級女子【参加23艇】
波多江 慶・板倉 広佳
フィン級男子【参加22艇】
國米 創
ナクラ17級 男女混合【参加21艇】
飯束 潮吹・畑山 絵里
大会サイト(https://tokyo2020.org/en/special/readysteadytokyo/sailing/)470級のレースは江の島から最も遠い「葉山」エリアを使用しました。
第1レースは風速16ノット、 風向210度。男子、女子の順にオールクリアでスタート。
男子の磯崎・高柳組は1下マークを4位で回航するも、2レグでシフトを逃し大きく遅れ10位フィニッシュ。
女子の吉田・吉岡組は上マーク1位で回航後に1つ順位を落として2位でフィニッシュ。出だしとしては良い形で始まりました。
第2レースは風速14ノット 、風向200度。
男子、女子ともにゼネリコ後にスタート。磯崎・高柳組はトラブルで下位フィニッシュ。
吉田・吉岡組はダントツで1位フィニッシュし、初日、トップに立ちました。
「初日としてはいい出だしでした。今日は、470ワールドでできなかったこと、具体的にはタッキングでの素早い動作などを意識してレースをしました」と吉田選手。「初日を(いい成績で)終えてホッとしました。(今後のことを考え)いろんなことを試して、(積極的に)攻めていきたいです」とは吉岡選手。
RS:X男子はもっとも陸に近い「江の島」エリアでレースを行い、12ノット前後のコンディションで予定通り3レースを実施しました。
通常のシーブリーズとは違い、時折、右海面に5ノット前後のエアポケットが発生し、見た目では分かりづらかったこともあり、そこにはまらないための見極めが勝敗を分ける内容でした。
富澤選手は1レース目でそのエアポケットにはまってしまい、下位でフィニッシュ。2レース目は、スタートから上位グループを維持し、6位フィニッシュ。3レース目は、スタート時に他艇とのケースがあり出遅れからのスタートとなりながらも、順位を上げて12位フィニッシュし、総合で11位。
「(選考がかかっているわけではない)テストイベントですが、いい成績を取りたい。去年は成績を崩し、今年のマルセイユあたりからその悪い流れを断ち切れたので、今回、好成績を取って流れに乗りたいんです」。1レース目につまずきましたが、ほかの選手も同様に崩しており、まだまだチャンスは残っている状況です。
そのほかのクラスの選手の一言コメントです。
フィン級・國米創選手/「毎レース、勉強です!」
ナクラ級・畑山絵里選手/「(逗子エリア)の海面が悪すぎて、洗濯機の中のようだったです」
レーザーラジアル級・土居愛実選手/「第1レースはブラックフラッグにかかってしましましたが、スタートは良くなってきています。第2レースは取りたいコースが引けました」
最後に斎藤愛子チームマネージャーの初日の感想です。「大会準備は台風の影響もあり、決して順調とはいえないものの、海でのレースが気持ちよくできると、選手はいい笑顔で戻っくるものだと思いました。ネットで大会の公式掲示板や成績が素早く確認できないなど不備が多いのですが、18日には解決してほしいと思うばかりです。」
18日は風ががらりと変わるとの予報です。
日本選手の成績
470級男子【参加22艇】
16位磯崎 哲也・高柳 彬
10-21
1位吉田 愛・吉岡 美帆
2-1
11位富澤 慎
20-6-12
18位小嶺 恵美
19-16-17
32位瀬川 和正
34-28
26位土居 愛実
10-42(BFD)
8位髙橋 稜(レオ)・小泉 維吹
7-6-8
23位波多江 慶・板倉 広佳
13-15-15
21位國米 創
20-22
19位飯束 潮吹・畑山 絵里
15-18-19
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