ワールドカップ江の島大会は9月1日、470級男子などのメダルレースを行い、土居一斗・木村直矢組(アビームコンサルティング)が3位に入り、総合3位で銅メダルを獲得しました。今大会の日本勢としては唯一のメダルです。このほか、高山大智・今村公彦組(Yamaha Sailing Team 'Revs')もメダルレースで4位となり、総合8位でした。

これで、470級男子の東京オリンピック代表選考は終了し、岡田奎樹(トヨタ自動車東日本)外薗潤平(九州旅客鉄道)組が選考対象3レースの選考ポイントの合計で首位となり、代表に内定しました。

岡田・外薗組は今大会、総合11位でメダルレース進出を逃しましたが、選考順位2位の土居・木村組に選考ポイント6点差をつけて、代表の座をつかみました。

日本セーリング連盟理事会の承認を経て、日本オリンピック委員会(JOC)に推薦され、JOCの承認により、正式決定となります。

メダルレース終了後、江の島ヨットハーバーのセンターハウス2階で、代表内定の記者会見が行われました。スキッパーの岡田は23歳、外薗は5歳上の28歳ですが、コンビの息はピタリと合っているようです。
強みを尋ねられた外薗は「何でも言い合える関係」と即答しました。年上の外薗に対して、岡田は気兼ねせず指摘するそうで、艇の中でのコミュニケーションの良さをうかがわせました。

代表選考順位で2位の市野直毅(島精機製作所)・長谷川孝(横浜ゴムMBジャパン)組に2点の僅差のリードで臨んだこの大会。メダルレースに進出して、代表内定に花を添えられればよかったのでしょうが、そうはいかなかったのは代表内定を優先して、手堅い戦いをしたためのようです。

岡田が「点差の近い選手にどう戦うか。点差を意識してなかなか苦戦した」と振り返れば、外薗は「いつもの2人の空気での入り方ではなかった。メダルレースは出たかったけど、第一に代表権を勝ち取らなければならなかった」と認めました。

苦しんで到達した代表の座。岡田は「5歳からヨットを始め、世界と戦いたいと思っていた。18年くらい夢見ていたことに、ようやくたどり着いた」と、晴れやかな笑顔を見せました。

オリンピックでの抱負を聞かれると、岡田は即座に「金メダル」。強風での帆走を課題として認識しているようで「(外国勢と)現実的に差がある。風がなければラッキー、だけではいけない」と口元を引き締めました。

外薗が「セーリングの感覚が鋭い。風を読む力もある」と表現したスキッパー。東京オリンピックのときはまだ24歳です。いつも明るい年長のクルーとともに、来年、江の島でどんな走りを見せてくれるのか、楽しみです。

見事に銅メダルを獲得した土居・木村組は表彰台で、1位のオーストラリア、2位のスペインとシャンパンを掛け合い、喜びを全身で表しました。クルーの木村は何度も、目頭を押さえる場面がありました。猛烈な追い上げを見せたもの、代表の座に届かなかった悔しさが喜びの中ににじんでいました。

Report by 山﨑恵司
Photo by オリンピック強化委員会 広報