2020年東京東京オリンピックのセーリング、RS:X級男子代表に、富澤慎が9月28日、内定しました。富澤は28日に終了したRS:X級ウインドサーフィン世界選手権(イタリア・トルボレ)で10位に入り、日本セーリング連盟が定めた規定をクリア。五輪代表に選考されました。今後、同連盟理事会の承認を経て、日本オリンピック委員会(JOC)に推薦され、JOCの承認により、正式決定となります。
富澤は9月30日、羽田空港に帰国した後、そのまま空港内で記者会見に臨みました。集まった報道陣は新聞13社、テレビ6社の計19社、26人。出身地新潟のテレビ局が記者会見の模様を生中継するなど、関心の高さは相当なものでした。「恥ずかしいけど、注目してもらえるのはうれしい。ラグビーのワールドカップをやっているので、誰も来ないかなと思っていた」と控えめな感想を口にしました。
今回の世界選手権10位は過去5度出場して、11位が最高でしたが、今回は自己記録を更新する10位。自分でも手応えをつかんだのか、記者会見での受け答えに自信がにじみました。
世界選手権では「走っているとき、10位よりもっと上の実力を感じた」と振り返りました。強豪の中で競い合った経験から「恐れられる立場に変わりつつあると思うので、実力を伸ばしていきたい」とさらなるレベルアップへの意欲をのぞかせました。
来年の東京は4度目のオリンピック出場となります。2016年リオデジャネイロ大会を終え、変化を求めて大きな決断をしました。同五輪の銀メダリスト、ニック・デンプシー氏(英国)をコーチに迎え、東京を目指す態勢を整えたのです。「僕を格上の選手の中にぶちこんでくれた」と表現した環境の中で、さらに磨きをかけようとしています。指導態勢を含め、環境の変化が上記のような、にじみ出る自信につながっているのかもしれません。
世界選手権では自信とともに課題や今後の足取りも見えたと言います。課題として挙げたのは、スタートのミスをなくすことと、風下帆走のスピードアップです。スタートを改善し、ミスをなくせれば、現状でも8位に入れるとの実感を持っているようです。
今回の世界選手権ではオランダ勢が1、2位を占めました。「彼らは大きい。体格が違うと言ってしまえば、それまでですが」と言いながら、風下へのセーリングについてはにオランダ勢から学ぶ意向です。この冬にはニュージーランドでの合宿を予定しており、そこでオランダ勢も一緒になるそうで、そこで風下帆走を「教えてくれ、と頼み込む」と冗談めかして話しました。
記者会見が終了すると、国体が開催されている茨城・霞ケ浦へ向けて、慌ただしく出発しました。成年男子国体ウインドサーフィン級に新潟県からエントリーしているためです。同級は10月1日が最終日で、わずか1日だけの出場となりますが、イタリアからの長旅の疲れも見せず、35歳のベテランは出身県のために国体出場を目指しました。
Report by 山﨑恵司
Photo by オリンピック強化委員会 広報