大会6日目

ファイナルレースは寒かった
昨日の熱風が温風器のスイッチを切ったようにストップし、今日は朝から冷たい南が吹きはじめ、たった1日の違いで気温が20度も異なる寒い1日となりました。
午前中に27ノットまで吹き上がった中で、レース運営スタッフが海上に出ました。レースをするかしないかを決定する時間帯には風速は18ノットに落ち、ファイナルレースに出る艇は海上に出て、12時20分にスタート、60分近いレースを行いました。

20ノットオーバーとなった迫力あるメダルレースはその後に10艇で行われ、ニュージーランドのジュニア選手が初タイトルを獲得しました。ニュージーランドは過去にクーツ、カトラー、モンクなどオリンピックメダリストはいるものの、ゴールドカップを手にしたことはありませんでした。ニュージーランドの快挙でした。2位にオランダのハイナー選手、3位は昨年チャンピオンのハンガリーのゾンボ選手となりました。

日本の4選手にとっては1回目の代表選考でしたが、フィンの国枠である19カ国以内をクリアできませんでした。それでも、昨年の世界選手権からほとんどフルタイムで活動し、増量、体力強化に取り組んできた成果は出ており、上位陣との差も少なくなりました。60艇のレースではスタートラインの有利な側から出ることは重要です。スタートで確実に出ることと、ダウンウインドでの技術があがれば、もっと上の順位をキープできるようになります。

まもなく2020年になります。フィン級は5月のゴールドカップが最終選考大会になります。今以上のトレーニングを重ねて、5月のマヨルカで、「あと少し」にチャレンジです。

大会サイト(https://2019.finngoldcup.org/)
大会成績(http://sailingresults.net/sa/results/overall.aspx?ID=80280.2)

成 績
FINN【23カ国/60艇】本日1レース

1位Josh Junior(ニュージーランド)
2位Nicholas Heiner(オランダ)
3位Zsombo Berecz(ハンガリー)

39位西尾 勇輝(和歌山医科大学)
37-(42)-41-38-35-40-40-40-15-28

48位國米 創(株式会社EYEVAN)
39-48-(54)-43-43-44-45-48-48-37

49位藤村 裕二(所属なし)
48-46-39-48-46-(50)-43-47-46-40

51位佐藤 嘉記(所属なし)
50-(53)-43-51-49-51-51-51-47-41

▲本部艇は180度のコース設定
▲地元ユースの選手もゴールドカップレースを観戦に来ています
▲アウターの担当も60艇のスタートでは苦労が多かったようでした
▲ダウンウインドを走る西尾選手(右端)JPN7
▲2上の西尾選手
▲Royal Brighton Yacht Clubのヒーローはフィンでオリンピック代表、その後アメリカスカップで83年にアメリカを破ったジョン・バートランドです。プレゼンターとして表彰式に来ました
▲日本領事館の松永総領事が東京2020のマスコットを抱えて、プレゼンターを務めました。東京の夏は暑いけれど、昨日のメルボルンの熱風を乗り切った選手達はみな大丈夫とスピーチされていました
▲2019年フィンゴールドカップは長い歴史の中で初めてニュージーランドが勝ちました。最後に選手とウイナーと記念撮影。この後、シャンパンファイトが始まりました

Report & Photo by 齋藤愛子

大会5日目

猛暑・熱風での2レース
シドニーの山火事で猛暑が話題になっているオーストラリアですが、今朝、メルボルンがあるビクトリア州の内陸でも森林火災が発生したと注意情報が出ました。
その影響ではありませんが、今日のメルボルンは内陸からの吹き出しの北風で、乾燥した砂塵の混ざった、ドライサウナの中のような熱風が15ノットで吹き下りてくる、厳しいコンディションでした。
最初は北から350度で軸は安定していましたが、熱風が右からレース海面におりてきては、休みになって左へ戻る、というシフトの大きな状況でした。

最初の2レースは比較的スムーズに終わりましたが、3レース目のスタート予定である16時を過ぎるころから西への変化が始まり、風軸が安定せず、上マークやスタートラインが設定できなくなりました。
レース運営はこの猛暑のコンディションの中で3レース目まで選手を待たせることは健康に害を及ぼすと判断し、すみやかにハーバーへ帰着することを選手に指示して、本日のレースを2レースで終了しました。熱中症というよりは、ひからびてしまうような熱風でした。

今日は2レース目で西尾選手が1上を12位で回り、そのまま2上まで12位をキープ、最後のダウンウインドでワールドチャンピオンだったブラジルとハンガリー、ロンドン銅メダルのフランスに抜かれて15位に落ちましたが、15ノットの風でこのメンバーの中で順位がキープできて、嬉しいフィニッシュでした。「吐きそうなくらい、パンピングとロッキングをしました」(西尾選手)のコメントに、Welcome to Finn Family!

明日は11位以下の選手が12時からファイナルレース(1レース)、10位以内の選手がその後、岸に近いエリアでメダルレースを行います。最終レースでも日本選手がチャレンジしてくれること、期待します。

大会サイト(https://2019.finngoldcup.org/)
大会成績(http://sailingresults.net/sa/results/overall.aspx?ID=80280.2)

成 績

FINN【23カ国/60艇】本日3レース

39位西尾 勇輝(和歌山医科大学)
37-(42)-41-38-35-40-40-40-15

47位國米 創(株式会社EYEVAN)
39-48-(54)-43-43-44-45-48-48

49位藤村 裕二(所属なし)
48-46-39-48-46-(50)-43-47-46

51位佐藤 嘉記(所属なし)
50-(53)-43-51-49-51-51-51-47

▲スタートラインの向こう側には摩天楼が見えるはずなのに、熱風のガスで陸がかすんで見えません
▲熱風のガストでプレーニングする藤村選手(JPN3)
▲同じく爆走の佐藤選手(JPN8)
▲ポートアプローチの國米選手(JPN6)
▲2上で12位、現在トップのNZL24の前で入る西尾選手(マストとJPNが見える)
▲フィニッシュして息があがる西尾選手
▲ジュリーの田中さんはジュリーチェアマンと同乗
▲風が安定せずAP+Aで選手を帰した本部船

Report & Photo by 齋藤愛子

大会4日目

待望の風が吹き、3レース
やっとメルボルンらしい190度からの安定した15ノット前後の風が吹きました。
予定されていた3レースも13時からスムーズに運営でき、18時過ぎには終了しました(ターゲットタイムは60分)。
最初のレースで1マイルに設定したコースを1.3マイルに伸ばしたくらいで、後はマークの移動はなく、最終艇がダウンウインドでフィニッシュすると、フィニッシュラインをスタートラインへ作り変えてすぐにレースが始まるというスムーズな運営でした。
シフトも左右へ5度くらいずつしかなく、O旗が上がったのでダウンウインドはゆすりまくりのパンピング合戦。スピード勝負の3レースとなりました。

R5での西尾選手は1上を上位で回ることができましたが、ダウンウインドで数艇、次のアップウィンドで数艇と抜かれて、最後は30番台後半まで落ちてしまいました。60艇とはいえ、オリンピック代表に決まった選手、代表選考で争う上位選手、これから枠をとるために必死の各国エース選手達が集まっていますから、35位の壁が高く、手がかかっていながら届かないという状況です。スタートを改善し、明日も壁にチャレンジしていきたいと思います。

吹き始めた海風に向かってスタートするフィンセーラーからは、昨日ノーレースになってたまったエネルギーが爆発したような戦うオーラが出ていました。3レース目のスタートも積極的で、疲れを全く感じさせない勢いに圧倒された1日でした。明日も3レースを予定しており、オープニングシリーズの10レースを終了して、最終日はメダルレースとファイナルレースに進めたいというのが運営側の目論見です。
今日のように安定した風になると嬉しいです。

大会サイト(https://2019.finngoldcup.org/)
大会成績(http://sailingresults.net/sa/results/overall.aspx?ID=80280.2)

成 績

FINN【23カ国/60艇】本日3レース

42位西尾 勇輝(和歌山医科大学)
37-(42)-41-38-35-40-40

45位國米 創(株式会社EYEVAN)
39-48-(54)-43-43-44-45

46位藤村 裕二(所属なし)
48-46-39-48-46-(50)-43

51位佐藤 嘉記(所属なし)
50-(53)-43-51-49-51-51

▲Royal Brighton Yacht club のビーチ、クラブハウスも立派です
▲まもなくスタートでレース海面をチェックする國米選手
▲ジュリーの田中さんも今日はオスカーが上がっているので余裕
▲15ノットの走りは藤村選手
▲頑張る佐藤選手JPN8
▲3レース終えた西尾選手

Report & Photo by 齋藤愛子

大会3日目

吹かないメルボルン?
今強風のメルボルンはどこへいってしまったのでしょうか?
今日で3日目、しかも海風が入らず、陸上待機で朝からAP+1、13時にAP+2になり、14時にAP+3。全く風がない海面を見ながら15時にAP+Aがあがり、今日はレースができませんでした。

明日は3レースの予定に変更となりましたが、スタート時刻の13時はそのままです。最終スタートは18時まではできると運営側は考えており、20時の日没までにもどれればいいということです。

今日はクラブのハンバーガー・パーティーでした。今朝から気温が30度を超える猛暑が始まり、外に出るとムワっとした空気で鼻の内側まで乾燥してしまうような感じです。明日はもっと暑くなると予報がでているので、まずは汗が出やすくなるように調整して、体調を崩さないようにしたいものです。

大会サイト(https://2019.finngoldcup.org/)
大会成績(http://sailingresults.net/sa/results/overall.aspx?ID=80280.2)

成 績

FINN【23カ国/60艇】本日レースなし

41位西尾 勇輝(和歌山医科大学)
37-42-41-38

46位藤村 裕二(所属なし)
48-46-39-48

48位國米 創(株式会社EYEVAN)
39-48-54-43

51位佐藤 嘉記(所属なし)
50-53-43-51

▲風待ちは陸上で、冷房のある室内で待機。外は30度以上で猛暑
▲そんな夏なのにサンタクロースは冬着のままです
▲15時にAP+Aがあがり、終了
▲16時からハンバーガーパーティーで、2個目をゲットした國米選手

Report & Photo by 齋藤愛子

大会2日目

軽風での2レース
今日も弱い海風の吹き出しを待って2レースが行われました。最大でも9ノットを超えることはなく、弱まると4ノットまで落ちる時もありました。
13時予定のスタートはまず1時間の陸待機となり、13時15分にAPが降りてレースエリアへ向かいました。14時30分に第3レースがスタートしましたが、1レースを終了したところで風がなくなり、17時過ぎまで風待ちをしてスタートをしました。

60艇のスタートラインだと、有利なエンドから出ていかないとそれだけで300m以上の差がついてしまいます。第3レースでは下エンドが有利なラインでよいスタートで飛び出した藤村選手が1上マークを13位で回航しました。
第4レースでは國米選手が中央より少し下エンドよりからスタートし、1上を20位前で回航しました。同じスタートで完璧に出遅れてタックし、右サイドへ逃げた西尾選手は右シフトに助けられ、國米選手と一緒に上マークを回航していきました。不安定な吹き出しの中でのレースだったということです。

日本チームの課題はスタート時のハンドリングとダウンウインドです。アップウインドは結構走れるようになりました。

明日は今日よりも風に期待できます。気温も上がってきたので、夏が始まったということでしょうか。メルボルンらしい強めの海風が練習期間中はずっと続いていたものの、昨日から一休みとなり、木曜日の陸風が終わるとまた安定して吹き出しそうです。

大会サイト(https://2019.finngoldcup.org/)
大会成績(http://sailingresults.net/sa/results/overall.aspx?ID=80280.2)

成 績

FINN【23カ国/60艇】本日2レース

41位西尾 勇輝(和歌山医科大学)
37-42-41-38

46位藤村 裕二(所属なし)
48-46-39-48

48位國米 創(株式会社EYEVAN)
39-48-54-43

51位佐藤 嘉記(所属なし)
50-53-43-51

▲スタート良く飛び出し、1上を13位で回航する藤村選手(JPN3)
▲強豪に囲まれてダウンウィンドは苦戦中の藤村選手
▲R4で1上を20位で開国する國米選手(JPN6)と西尾選手(JPN7)
▲スウェーデンに続いて中盤で回航する佐藤選手

Report & Photo by 齋藤愛子

大会1日目

中軽風での2レース
陸上で1時間の風待ちの後に出艇し、14時05分に第1レースがスタートしました。
1上マークまでの距離は1マイル以上で、アップウインドに25分前後かかります。ターゲットタイムは75分で、長いコースでした。

第1レースは8ノット以上の風でスタートしましたが、途中で上がったり下がったりしながら、やや弱まってしまいました。
第2レースは16時10分にオスカー旗があがらないオンデッキか少しハイクアウトするくらいのコンディションでスタートし、最後まで風がつづくか心配でしたが、16時30分を過ぎる頃から安定した8ノット程度の風になり、無事にフィニッシュできました。
途中から右へ変化した風に合わせて、2上ではコースチェンジがありました。

第1レースをJosh JUNIOR選手、第2レースをAndy MALONEY選手とニュージーランド勢がトップを占めました。ニュージーランドは来年5月まで代表選考が続くそうです。どちらも譲らない、一緒に練習する、そしてコーチは笑顔で2選手の指導を続けている、東京を目指してうらやましいほどのハイレベルな戦いを繰り広げていました。今日の2レースを終えて2人は同点首位です。

明日も2レースを予定しています。

大会サイト(https://2019.finngoldcup.org/)
大会成績(http://sailingresults.net/?ID=80280)

成 績

FINN【23カ国/60艇】本日2レース

38位西尾 勇輝(和歌山医科大学)
37-42

44位國米 創(株式会社EYEVAN)
39-48

49位藤村 裕二(所属なし)
48-46

52位佐藤 嘉記(所属なし)
50-53

▲中盤の混戦の中、國米選手
▲ダウンタウンの摩天楼を背景に西尾選手
▲チャーター艇で頑張る藤村選手
▲回を重ねる度に差が少なくなっている佐藤選手
▲本部艇
▲海上の藤井さん
▲オリンピックチャンピオンのジャイルズ選手(英国)

Report & Photo by 齋藤愛子

大会前日 明日、ゴールドカップ第1レース

フィン級は1952年ヘルシンキ大会から五輪種目となり、五輪では最も長く採用されているクラスです。身長190cm、体重90~100kgと大きな体格の選手に適しており、欧米の若い選手に人気があります。
初期のころのフィン級は体重のある選手が有利とされており、どちらかというと太った体格の選手が多かったのですが、2000年シドニー大会の頃からはレーザー級から乗り換えてくる選手が増えて、走りも体格も変わってきて、90kg前後で動ける選手が台頭してきました。
日本からは4選手が東京大会での代表を目指しますが、全員が90kgを超える大男で、世界に挑戦します。

▲計測中の藤井さん

開催地:オーストラリア・メルボルン
日程:12月13日~12月21日
12月13日〜12月15日受付・計測
12月14日開会式
12月15日ブリーフィング、プラクティスレース
12月16日〜12月21日レース・21日はメダルレースとファイナルレース

日本の参加艇

國米 創(株式会社EYEVAN)
西尾 勇輝(和歌山医科大学)
藤村 裕二(所属なし)
佐藤 壽記(所属なし)

大会サイト(https://2019.finngoldcup.org/)
大会成績(http://sailingresults.net/?ID=80280)

エントリーは60艇、23カ国。五輪代表選考の1回目の大会になりますが、国枠となる19カ国目に入ることを目指します。2回目の代表選考大会は来年5月の世界選手権です。今回で枠に入れば2大会の合計ポイントとなり、今回枠に入れなければ5月の1回だけとなります。

今大会にはジュリーとして田中正昭さん、計測員として藤井茂さんが運営メンバーで参加しています。藤井さんは5年前のオークランドでのゴールドカップからフィン級の計測チームに参加しており、東京五輪へ向けてさらなる勉強中です。

開会式にはメルボルン領事館の松永総領事もお見えでした。セーリングの世界選手権を12月と2月に8種目行うメルボルンであり、フィン級はその最初のクラスとなります。

今大会は1グループで、レース時間も1時間を超えるものとなり、1日2レース、合計10レースとメダルレース(10位以内)とファイナルレース(11位以下の艇)を実施します。予選、決勝はありません。60艇余りの長いスタートラインになるため、ゼネリコが増えそうです。

メルボルンは南極からの冷たい風と海水温の低さ、内陸の40度を超える熱風、ダイナミックな気象条件を背景に生み出される海風、夏を前に様々なコンディションでのレースになりそうです。日本のフィン男子が活躍できますよう、最終日の12月21日まで応援をお願いします。

▲運営の弁当と飲み物を運ぶカート
▲出艇申告をする藤村選手
▲ジムの窓ガラスで見にくいですが、公式掲示板です

Report & Photo by 齋藤愛子