第32回オリンピック競技大会(東京)セーリング競技日本代表選手団オンライン壮行会・記者会見
開催日時:2021年7月9日(金)

セーリング競技 日本代表選手:
470級 男子 岡田奎樹選手(トヨタ自動車東日本株式会社)・外園潤平選手(九州旅客鉄道株式会社)
470級 女子 吉田愛選手(ベネッセホールディングス)・吉岡美帆選手(ベネッセホールディングス)
49er級 高橋稜選手(Japan SailGP Team)・小泉維吹選手(早稲田大学)
49erFX級 山崎アンナ選手(ノエビア・日本体育大学)・高野芹奈選手(ノエビア・関西大学)
Laser級 南里研二選手(百五銀行)
LaserRadial級 土居愛実選手(アビームコンサルティング株式会社)
RS:X級 男子 富澤慎選手(トヨタ自動車東日本株式会社)
RS:X級 女子 須長由季選手(ミキハウス)
Nacra17級 飯束潮吹選手(株式会社エス・ピー・ネットワーク)・畑山絵里選手(株式会社エス・ピー・ネットワーク)
Finn級 瀬川和正選手(鳥取県スポーツ協会)

23日に開幕する東京オリンピックのセーリング日本代表選手団が9日、オンラインで記者会見を行いました。白と赤のユニホーム姿で画面に登場した15人の日の丸セーラー。コロナ禍で海外遠征が制限されるなど、必ずしも思い通りの調整ができない状況で、それぞれが自国開催のオリンピックに向けてベストを尽くしてきました。江の島で25日にスタートする競技本番に向けての思いや現在の調整などについて語りました。

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セーリング競技 日本代表選手団

メダル争いの期待がかかる男女の470級ですが、男子の岡田奎樹選手(トヨタ自動車東日本株式会社)外園潤平選手(九州旅客鉄道株式会社)ペアは今年3月、ポルトガルで開催された世界選手権を除き、海外でのレースで世界のトップクラスと戦う機会はありませんでした。スキッパーの岡田選手は「海外遠征はできなかったが、この間にボートを熟知していくということで、艇の性能だったり、性質を勉強していくところを強化した」と説明しました。

世界選手権ではメダルレース進出を逃しましたが、岡田選手は「レース感覚を鍛えるということで出場し、そこはかなり手応えがありました。ボート的には速くなくても、しっかりレースを組み立てられた」と得たものはあったようです。クルーの外園選手も「レースができない期間が長かったが、レース感覚を取り戻せた」と振り返りました。

日本のセーリング史上、オリンピックでの最高位は1996年アトランタ大会の女子470級で重由美子、木下アリーシア組が獲得した銀メダル。岡田選手は、重由美子さん(2018年死去)に佐賀・唐津西高時代に指導を受けた経緯があり、「重さんの銀メダルを超えられるように、いい報告ができるように頑張りたい」と述べました。

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岡田奎樹選手(トヨタ自動車東日本株式会社)(左)・外園潤平選手(九州旅客鉄道株式会社)(右)

女子ペアの吉田愛選手、吉岡美帆選手(ベネッセホールディングス)はコロナ禍のため、国際大会で腕試しの機会なく、本番へ臨むことになります。とはいえ、吉田選手にとってオリンピックは2008年北京、2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロに続き、4度目の出場です。「不安がないわけではないが、しっかり練習できたし、準備もできているので、本番のレースで自分たちの実力を百パーセント出せるように頑張るだけ」と、経験豊富なベテランらしく落ち着いた口ぶりでした。

女子470級の先駆者である重さんへの思いを尋ねられると「重さんを超えたいと思っていたので、金メダルを目指して頑張りたい」と意欲をにじませました。セーリングも無観客になったことを問われると「このような時に大会に参加できるだけで感謝の気持ちでいっぱいなので、私たちができることは精いっぱいレースをするだけだと思っています」とあらためて覚悟を示しました。

クルーの吉岡選手はリオに続き2度目のオリンピックです。「海外に行けませんでしたが、力強い動作を身につけたかったので、フィジカルの強化に集中的に取り組みました」。レベルアップしたクルーワークで、本番に臨みます。

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吉田愛選手(ベネッセホールディングス)(左)・吉岡美帆選手(ベネッセホールディングス)(右)

男子レーザー級の南里研二選手(百五銀行)と男子フィン級の瀬川和正選手(鳥取県スポーツ協会)はともにオリンピック初出場です。南里選手もコロナ禍で海外に出られなかった時期はフィジカルを鍛えていたそうです。それが4、5月の海外遠征でプラスとして表れたそうで「(セーリングで)修正するのも体力的に余裕があったので、すぐ修正できるようになった。そういうところが良かった」とフィジカルの効果を挙げました。

レーザーラジアル級の土居愛実選手(アビームコンサルティング株式会社)は4月にポルトガルで開催されたヨーロッパ大陸予選で3位に入りました。コロナ禍で海外遠征が少なくなった分、苦手としてきたスタートを国内で強化。「それがレースの結果(3位)にもつながったと思う」と自信をのぞかせました。

東京オリンピックを区切りに引退する意向を示した土居選手。「一番いい結果を残して、気持ちよく終われたらいいなと思っています」。子供のころから慣れ親しんだ江の島でハッピーエンドを目指します。

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南里研二選手(百五銀行)(左)・土居愛実選手(アビームコンサルティング株式会社)(右)

吉田選手と同じように、4度目のオリンピック出場となるのが、男子RSX級の富澤慎選手(トヨタ自動車東日本株式会社)です。コロナ禍で海外に出られなくなったために「基本から徹底的に叩き直そうと、フィットネス中心に追い込み続けた」と言います。リオ後から指導を受けているニック・デンプシー・コーチの存在も大きいようで「今までは得意、不得意なコンディションがあったけど、今ではそれもなくなり、トータル的に強くなったんじゃないかな、と思う」。

東京オリンピックでの具体的な目標を尋ねられると「8位入賞は確実に狙いにいきたい。5位までなら現実的な順位じゃないかなと思うし、自分の手が届くところはしっかり狙っていきたい。最後までメダルのチャンスがあれば、必ず取りに行くという気持ちで挑みたい」。

女子RSX級の須長由季選手(ミキハウス)は2012年ロンドン以来、2大会ぶりの出場です。「ウインドサーフィンを皆さんに知ってもらういい機会。最低でも決勝のメダルレースには出場して、8位入賞を果たしたい」と前向きに話しました。

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富澤慎選手(トヨタ自動車東日本株式会社)(左)・須長由季選手(ミキハウス)(右)

女子49erFX級ペアの山崎アンナ選手(ノエビア・日本体育大学)は初のオリンピック、高野芹奈選手(ノエビア・関西大学)は2度目となります。山崎選手は初の大舞台について「オリンピックには魔物が住むと言う人もいるので、私はその経験がないから分からないけど、急に飲まれないような大会にできたらいいなと思います」。

2016年リオ以来となる高野選手は前回、オリンピックのスケールの大きさに「心が乱れ、セーリングに集中できなかった」との反省があるそうで「しっかりとセーリングに集中できるように、ヨットに集中したい」とメンタル面を課題に挙げました。

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山崎アンナ選手(ノエビア・日本体育大学)(左)・高野芹奈選手(ノエビア・関西大学)(右)

男子49er級ペアの高橋稜選手(Japan SailGP Team)小泉維吹選手(早稲田大学)はニュージーランドのオークランドを中心に練習を重ねてきました。高橋選手は江の島に似たコンディションを探し、ニュージーランド北島のツツカカで3週間合宿。「真っすぐのボートスピードの練習をずっとしてきた」と明かしました。世界トップクラスのニュージーランドの選手たちの力は小泉選手は練習などで把握し「自分たちも手応えとしてはかなり成長したと思っています」と自己評価。「ニュージーランド以外の国の選手と(オリンピックで)走り合わせるのが楽しみです」と本番が待ち遠しそうでした。

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高橋稜選手(Japan SailGP Team)(左)・小泉維吹選手(早稲田大学)(右)

男女混合種目のナクラ17級でペアを組むのは飯束潮吹選手と畑山絵里選手(ともに株式会社エス・ピー・ネットワーク)です。昨年11月から今年5月までスペインで練習していました。ヨーロッパの選手が集まって合同で合宿したこともあったそうで、飯束選手は「自分たちの立ち位置が明確にできた。東京で自分たちのセーリングができれば」と自信をつかんだようです。畑山選手は「課題だったスタートや軽風でのボートスピードを重点的にこなすことができた。自信たっぷりでオリンピックに挑めると思う」と手応えを表現しました。

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飯束潮吹選手(株式会社エス・ピー・ネットワーク)(左)・畑山絵里選手(株式会社エス・ピー・ネットワーク)(右)

瀬川選手は新しい艇を手に入れたそうで「その艇のパフォーマンスをだれだけ引き出せるか、ということで、準備してきたが、その中でいい感触が得られたので、本番を楽しみにしている」。艇の性能をフルに引き出すこともレースの重要な要素だけに、瀬川選手のコメントからは静かな自信が感じられました。

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瀬川和正選手(鳥取県スポーツ協会)

コロナ禍で様々な変化への対応を強いられた日の丸セーラーたちですが、記者会見での様子はできるだけの準備を行ってきたことがうかがえました。本番での走りに声援を送りましょう。

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セーリング競技日本代表選手団 団長 中村健次
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Photo by 濱谷幸江