期間:2021年11月2日(土)~11月11日(木)
開催地:和歌山ナショナルトレーニングセンター(和歌山セーリングセンター)

第6回第一期NF_HOPE育成プログラムのテーマは「体力強化」。毎日1時間のフィジカルトレーニングの他に、山登り、サーキットトレーニングを取り入れ、トレーナーの体調管理のもと体力強化に取り組みました。

新型コロナ対策も引き続き実施。選手、スタッフ全員のPCR検査を行い、期間中は毎朝の体温、体調チェック、抗原検査を実施、徹底した感染防止対策の中でプログラムを行いました。

プログラムの内容は下記のとおりです。
① 朝のウォーミングアップ
② 海上練習
③ ECC英会話講習
④ ルール講習
⑤ 気象講習
⑥ 栄養講習
⑦ メンタル講習
毎日のフィジカルトレーニング

■プログラムの内容
海上練習

海上ではベーシックプログラムの課題であるボートハンドリング・ボートスピード・コーストレーニングを中心に練習を行いました。これまでのプログラムで得た知識をフルに活用し、選手自身で考え改善していくことができるようになりました。感覚的に行なっていたことを理論的に考え、対応できるまでに成長してきたことは今後につながる大きな成果です。
コーストレーニングではシニアの選手もまじることで、シビアなボートハンドリングやコンビネーション、コミュニケーションが求められますが、これまで5回のプログラムでその重要性を十分に理解し、取り組んできた成果を実感し、ヨットが楽しくなってきたことに喜びを感じていたのが印象的でした。

ルール講習会

ルール講習では吉本先生に新しい抗議書の説明を受けたのち、インシデント例に対して、抗議者、非抗議者に分かれて抗議書を作成、シニア選手と合同で審問練習に取り組みました。これまで審問での証言力を上げるための練習をプログラムの中で数多く取り入れてきましたが、新しい抗議書にしっかり記入できなければ審問さえもできない状況になることを理解し、たくさんの抗議書を書くことで講習の終わりには3分程度で記入できるまでになりました。選手たちの順応性にはいつも驚かされるばかりです。継続は力なり、引き続き取り組んでいきます。

気象講習

気象講習ではこれまでプログラムで勉強した内容を振り返っていただきました。気象に関しては、毎朝のブリーフィングの中で、選手が順番にその日の気象を調べて1日の予報を発表することになっています。
発表した予報動画を岡本先生に送り、さらに深掘りした情報を受け取り、気象変化に関する意識と気づきを持つことで、プログラムの終わりには全選手が信頼性の高い予報を発表できるまでになってきました。気象を理解するのは非常に難しい取り組みですが、これまで試行錯誤で取り組んできた成果が出始めて「形」が見えてきました。今後も引き続き取り組み、より早い段階で選手に浸透する環境を構築していきたいと思います。

栄養講習

今回は「増量」に関して講習を行いました。
若い選手の多くは成長スピードが速いため増量よりも減量経験の比率が多いように感じます。艇種によりますが、世界を目指す選手は今後大型艇に乗り換える際に艇のパフォーマンスに適した基準体重に合わせていく必要があります。その中で「増量」というテーマの下、正しい方法で個人差に合わせ適量の栄養を取ることの重要性など、成長期の選手たちにとって学びの多い講習となりました。また、コーチからも減量・増量の経験談を聞き、増量に関する重要性を共有することができました。

メンタル講習

前回に引き続き、自己分析Part2として「多角的に自己分析を行い、自分の特徴・傾向をつかむ」をテーマに、これまでに選手が行なってきた心理自己分析表を見ながら、自分にどのような特徴があるのか、ピークパフォーマンスと心理状態の関係性を講習の中で学びました。また、セーリング競技において自分ができること、できないことをテーマにコーチ陣もグループに参加し、それぞれに項目を洗い出し、その結果に関しての話し合いを行い、自分にはない発想や考え方を共有することで、自分の特徴や傾向をつかむ訓練を行いました。メンタル講習は成長期の若い選手たちにとっては非常に重要であることを講習の中で改めて実感しました。

まとめ

今回の目標である体力強化は脱落者もなく達成できました。選手たちはこれまでの6回のプログラムの中で、体力測定による結果を見ても右上がりに成長しており、本当に逞しくなりました。まだまだ世界に挑戦するには継続的な取り組みが必要ですが、しっかりとした数値目標をもって取り組んでいるので、自身で考え行動することが重要となります。
我々もプログラム構成のアップデートを図り、より良い環境づくりに努め、選手と共に成長してきました。その成果もあり、HOPE育成選手の中から企業にスカウトされ、オリンピックキャンペーンを行う選手が現れました。このような形が今後も継続するよう、より良い環境づくりを構築し、世界を目指す選手育成のために取り組んでいきます。選手、コーチ、スタッフの皆さん、お疲れ様でした。

参加選手:HOPE育成選手5名
上園田心太浪・吉井稀世輝・後藤凛子・市橋愛生・山﨑彩加

次回の第7回第一期NF_HOPE育成プログラムは12月18日〜29日です。

オリンピック強化委員会HP:https://jsaf-osc.jp/nor/nor_134.php

Report & Photo by 中村 健一

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