期間:2022年6月16日(木)~6月19日(日)
開催地:和歌山ナショナルトレーニングセンター(和歌山セーリングセンター)

第5回目となる合宿では、HOPE育成合宿に加えて470級強化合宿、ユースワールド代表選手合宿、スキフ合宿の4事業合同合宿となりました。今回、470クラスのナショナルチーム選手もプログラムに参加し、講習や陸上・海上トレーニングを一緒に取り組んだことで、全ての面でレベルの高さを間近で感じることができ、学びの多い合宿となりました。ユースワールドに出場する選手は講習、海上練習に参加するだけでなく、大会に向けた目標や意気込みを発表していただき、合宿参加者全員で選手たちを送り出しました。ユース世代から、世界で戦ってきた実績のあるナショナルチームまで、幅広い世代、様々なクラスの選手が集まったことで、選手達には切磋琢磨に繋がる良い刺激となったようでした。

①メンタル講習「目標設定+感情コントロール」(講師:高士真奈)

今合宿では初めに前回の合宿の振り返りでもある目標設定を行いました。目標設定では最近の自分を振り返りKPT法(Keep, Problem, Try)での分類を行いながら、今合宿でのゴールセッティングをしました。
その後に前回合宿で選手からのフィードバックを基に課題として多く挙がった、感情のコントロールについての講習を行ないました。感情のコントロールをするにあたり、セルフモニタリング(自分自身を客観的に分析)が非常に重要となります。どんなに良い技術を持っていたとしても、心理状態が不安定ではパフォーマンスを最大限発揮することはできません。そのため自身のパフォーマンスが最大限発揮できる心理状態は今までどのような状態だったかグラフを用い把握しました。その後に良い心理状態に持っていくには、リラックスすることが必要なのか、アクティベーションすることが必要なのかそれぞれが理解し、実際どのように実践するのかを、実技を交えながらやり方を学びました。
1度のトライで判断するのではなく、継続して行い判断していくことが非常に重要なので、今後の練習や大会で自分に合った方法を見つけてトライアルし精度を高めて欲しいと思います!

▲講習の様子
▲今回用いたセルフモニタリングシート

②気象講習(講師:岡本治朗)

今回の講習では今までの合宿で学んだことの振り返りを行いました。まず今までの講習で一番印象として残っていることを一人一人発表しました。アウトプットをすることで、理解度を上げていくとともに、グループ全体への共有ができました。そしてアウトプットの中で多く挙がった、「海風」と「10種雲形」について講師に方から再度詳しく説明していただきました。また、ユースワールドが7月に控えているため、開催場所であるオランダの地形を全員で確認しながら詳しい説明を受けました。
毎日の気象ミーティングではこれまで通り順番に発表してもらい、その情報を基に気候の変化を意識しながら海上トレーニングを行いました。また、海上トレーニング後のディブリーフでは予報と実際の風はどうだったかの比較をしました。梅雨の季節であったため、予報とは異なり天気の移り変わりがあり、その際どういった風の変化が起きるかを実際に体験し学んでいくことができました。
次回合宿では振り返りのテストが予定されています。そこでさらに気象に対する理解を深めていきたいと思います。

▲気象講習の様子
▲気象予報、発表の様子

③マッチレースプログラム(講師:辻寛基、市川航平)

マッチレースプログラムは今回で4回目の実施となりました。
今合宿は日数が4日間ということもあり、講習内容としては新しいものや、発展させたものというよりは、これまでのプログラムを通して浮き彫りとなってきた課題やレースで勝つ為の基礎となるテクニック、考え方など、ベーシックな部分に重点を置いて反復練習を実施しました。2022年470級ナショナルチームでオリンピック出場経験が複数回ある吉田愛選手、クルーの木村直矢選手2名が参加し、HOPE選手に混じって同じチームとしてJ/24に乗艇し、HOPE選手達は多くのことを学べ非常に良い刺激になりました。3日間の海上練習のプログラムでしたが、チームワークやボートハンドリング、スタート時のタイム&ディスタンスなど、基礎が少しずつ身に付いてきたので、次回以降はより発展させたプログラムの進行を考えていきたいと思います。

▲マッチレース講習の様子
▲470級ナショナルチームメンバーも同乗して練習
▲チームワークが大事なアクション
▲レース形式での白熱した練習

④ルール講習(講師:吉本)

ルール講習はアンパイアの吉本さんに来ていただき実施しました。
ユースワールドやジュニアワールドなど、これから海外大会を控えたHOPE選手も多くいるので、多角的に様々な立場から自分の権利を主張する練習などを、ディスカッション&プレゼン形式で選手たちに取り組んでもらいました。
また、マッチレース講習の海上練習時にはオンザウォーターでジャッジしていただき、選手たちは実戦の中でケーススタディーすることも出来ました。最終日には、海外大会で起こりうることを想定したマニュアルをもとに講義を行っていただき、選手たちは海外で戦うということの大変さと、準備の大切さを深く学べたようでした。

▲吉本アンパイアからの講習
▲470級の吉田・木村組もルール講習に混ざりました

⑤インティグリティ講習(講師:宮本委員長)

インティグリティ講習を宮本委員長より実施していただきました。
7月に迫ったユースワールド出場予定の選手の中には、海外遠征の経験も少ない選手が多かったこともあり、渡航時の留意点なども踏まえながら説明を受けました。
講習を通じて、競技者として、強化指定選手として、結果を残すことはもちろん大切ですが、世界で戦う中で、尊敬される、応援される良い選手へと成長していくことの大切さを学ぶことができました。
今後もJOCからの資料等を活用させていただきながら、定期的にインティグリティ講習を取り入れていき、講習を通してスポーツマンとしてあるべき姿、誠実さ、振る舞い、価値観などを正しく身に付けていきたいと思います。

▲宮本委員長からの講習の様子
▲海外遠征に向けた注意を共有しました

⑥フィジカルトレーニング(吉松大樹・與那嶺寛樹)

前回合宿同様、毎朝のウォーミングアップ集合時に体温と体重測定を行い、選手の体調管理を確認後、紀三井寺の階段ランとラジオ体操を行いました。
フィジカルトレーニングでは、前回は体を安定させることを主な目的としたトレーニングでしたが、今回はステップアップして筋肉を伸ばして縮めるプライオメトリクストレーニングの要素を追加し、爆発的な筋パワーの出力を狙うことを目的に取り組みました。砂浜でのトレーニングが多く、選手たちは肉体的に疲れたと思いますが、皆で鼓舞しながら最後までやりきっている姿が印象的でした。次回合宿ではさらに強度の高いトレーニングができることを期待しています。(トレーニング中のみマスクを外しています)

▲與那嶺トレーナー指導による砂浜ダッシュ
▲チューブを使用したトレーニング

⑦その他合宿風景

▲トレーニング風景①
▲トレーニング風景②
▲出艇前体操
▲ユースワールド開催場所の気象講習
▲49erジュニアワールド代表選手の抱負
▲29erワールド代表選手の抱負
▲ユースワルド代表選手の抱負
▲ルール講習の一コマ
▲朝の紀三井寺階段ダッシュ
▲與那嶺トレーナー指導のストレッチ
▲毎朝の気象予報
▲特別参加のシエスタチーム
▲白熱したレース展開

今回も怪我なく最後まで良い合宿ができました。専門スタッフをはじめコーチ・スタッフの皆様、和歌山NTCの皆様お疲れ様でした。
これから海外に挑戦していく選手の皆さん、悔いのないよう頑張ってきてください!

▲次回7月の合宿日程は7月23日(土)〜31日(日)の9日間となります。
※集合写真(撮影時のみマスクを外しております)

Report & Photo by オリンピック強化委員会