期間:2022年9月17日(土)~9月25日(日)9日間
開催地:和歌山ナショナルトレーニングセンター(和歌山セーリングセンター)

第2期HOPE育成プログラムの第8回目を9月17日(土)〜25日(日)の間和歌山セーリングセンターにて開催しました。今合宿は当初計画していたJ24を使ってのマッチレーストレーニングを台風接近に伴い中止し、ディンギーを使ってのトレーニングを行いました。今回のテーマは「スタート」。今年度、多くの選手が今年参加した海外レースでの反省でスタートを挙げており、その課題克服に取り組みました。

①スタート講習/辻・中村(悠)・市川コーチ

よくいつも通りにレースをすると言いますが、レースの時だけ行う行為はいつも通りではなく、練習の時からレースの際にスタート前に行うことをしなければ、『いつも通り』になりません。ラインを把握する。潮を測る。ラインの傾きを確認する、等やるべきことはたくさんあり、また人によってはやり方は違います。陸上ではスタート前のルーティンについて学び、海上では繰り返し行い自分に合った方法を探しました。

②メンタルトレーニング講習/高士講師「これまでの振り返り」「感情のコントロール」

1日目の講習では今年3月から行われたメンタルトレーニング講習の振り返りを行い、次に自分自身に今年起こったことを思い出して自分自身について分析を行い、その後次の半年の行動(目標)を決めました。
2日目の講習においては実際にレースで起こる場面、今回はスタートを例にあげ、局面局面での選手の心理状態を選手自身、コーチの両サイドから見つめなおしてそのズレを把握し、今後お互いがどのようなコミニュケーションを取っていくのが良いか考えました。

③トレーニング講習/吉松講師 石井講師「コア・バランストレーニング」

今回は「コア・バランストレーニング」について学びました。コア(お腹周り)は筋肉のバランスが整われてこそ適切に使うことができます。コアの構造(筋肉)から学び、適切な呼吸、力の入れ方ができないとトレーニング効率が悪いどころかトレーニングによって怪我をしてしまいます。スライドを見て、実際に実技を行いコア・バランストレーニングについて学びました。

④インティグリティ講習/宮本委員長「リスクマネジメント」

代表アスリートはその一挙手一投足が注目され、言動が常に周囲の目にさらされていることを忘れてはいけません。このくらいは良いだろう、という自身のリスク判断の誤りによって生じたちょっとした行動が、SNSやメディアを通じて本人ではコントロールのできない社会的な問題に発展してしまうことが実際に起こっています。また、スポーツベッティングや薬物汚染の問題など、新たに生じてきたリスクにも選手は晒されています。今回はそのような事例を学んだうえで、自分自身であればどのように行動するのが適切なのか、どのようにリスクと向き合っていくのか、について講習を通して考えてもらいました。こうした機会を通して、確りと自分の頭で考え、何が適切なのかということについて自分で答えの出せる人間になっていってほしいと切に願います。

⑤気象講習/岡本講師

今回は選手が朝の天気予報、天気図を見て予測した気象情報をもとに講習をしていただきました。予報通りの天気の場合の風の傾向と予報が外れた場合の風の傾向を予想してレースに役立てることを目標にします。丁度、講習当日は夏から秋にかけての天気の移り変わりの時期で予報が難しく、予想とは外れた風が吹くことも多く、そうした場合にどうして予報とは異なる天気になったのか説明をしていただきました。

⑥ルール講習会/吉本講師

今回は、第何条を学ぶ、という切り口ではなく、実際の事例に基づいたいくつかの例題をあげ、時系列に沿った局面局面でお互いの艇に関係のあるルールを考えてから模擬審問を行いました。一つのケースでもケースが起こる前、起きた時、起きた後で気をつけなければいけない規則が変わります。その点をしっかり理解して審問で説明しなければいけないことを学びました。

⑦栄養講習/武田講師「水分補給、暑熱対策」

第4回目の栄養講習は水分補給、暑熱対策について講習を受けました。なぜ水分補給が必要なのか?どのようなものをどの時期にどれくらい飲んだ方が良いのか?また、市販されているスポーツドリンクでも種類によって栄養補給、水分補給の優先順位が変わることも知りました。セーリング競技は夏の暑い時期、炎天下で行われることも多く、その際には暑さによってパフォーマンスが低下する場合があります。パフォーマンス低下を起こさないためにも身体冷却の方法や暑熱順化について学びました。

⑧海上練習

今回はより艇種に特化したスキル獲得を目指して、艇種別に海上トレーニングを行いました。艇種特化スキルと言っても全体の取り組む課題を同じにして、デブリーフィングではクラス間を超えて情報共有を行うことで課題認識の共有を図りました。今回の合宿の課題(ターゲット)はスタート。スタート時のルーティンについて陸上で講習を受け、ディスカッションを行い、繰り返し海上でスタート練習を行いました。艇種は違いますが、目的は同じということで他艇種の発表からも新たな学びが多くありました。さまざまな風域で多くの発見をしながら全選手が、日々レベルアップをしていきました。

⑨海上練習の様子

9日間という長期間の合宿となりましたが、怪我等することなく無事に終了しました。次回の合宿まであまり期間はありませんが、更に成長した姿で次回お会いできることを楽しみにしています。
次回の合宿日程は2022年10月6日から10日になります。
選手・スタッフの皆さんお疲れ様でした。

Report by オリンピック強化委員会
Photo by 平井 淳一