期間
Basic:2023年6月21日(水)~6月25日(日)5日間
Advance:2023年6月19日(月)~6月25日(日)7日間
開催地:神奈川県・江の島ヨットハーバー
6月HOPE合宿を江の島で、国際大会であるEnoshima Olympic Weekと併せて実施しました。
今回のプログラムは、HOPE BASICの6回目とHOPE ADVANCE/RACINGの5回目を合同で行い、また合宿の後半にはレースにも参加したことから、短い期間ながら選手たちにとって刺激の多い合宿期間となった様子でした。
選手に対しては、今後始まっていく海外遠征を見据えて強化委員会が定める遠征計画書・報告書といった各種遠征手続きを併せて疑似体験してもらい、実際の遠征に向けた準備を行う事ができました。
昨年はコロナの影響で参加人数も少ないオリンピックウィークでしたが、今年は海外からの参加もあり総勢450人もの選手が集まる大会となりました。
HOPE選手も普段部活で組んでいるペアなどと合宿、大会に参加しました。
【セーリング講習】担当講師:山田コーチ
今合宿はBASIC、ADVANCE/RACINGが合同開催であった為、それぞれの講習を分けて実施しました。
<BASIC講習:コース・ストラテジーについて>
レース前、そしてレース中…風や潮などの変化する要因から、どうコースを組み立てるのか、コースを決定する上での考え方の基礎を学びました。
選手たちには、この講習での内容を意識してもらった上で実際のレース(オリンピックウィーク)に臨んでもらいましたが、自主的に考える癖をつけるだけでなく、それを海上でコーチに言語化するところまで発展してトレーニングすることが出来ました。
<ADVANCE/RACING講習:について>
先合宿ではボートスピード向上のためのチューニング知識を講習しましたが、今合宿はVMGをテーマにボートのスピードと角度の使い分けまで考えた走りについて講習を行いました。
常にトップスピードを意識して走るレベルから更に発展させ、自身のストラテジー・タクティクスに合わせて、走りのモードを使い分ける重要性を選手に考えて貰いました。
単に速く走るだけでなく、周囲の変化に有効に対応できる能力というものもトップセーラには重要なスキルとなるので、Advance以降の選手たちに向けコーチングしています。
【ルール講習】講師:吉本ジャッジ
今合宿はレースも控えていたことから、より実践的なルールの活用方法・ケーススタディに重きを置いてルール講習をしていただきました。
国際大会ということでインターナショナルジャッジが複数来ていることも良い機会だと選手には捉えてもらい、今大会でプロテスト(抗議)を出すことも重要な練習と1人1人に強く意識して貰いました。トラブルを避ける能力は大切ですが、海外大会、重要な場面で避けきれないインシデントに巻き込まれた時に、選手たちが自分の順位や艇を守るためにルールを上手く使えるスキルというものを基礎から学んでいってもらっています。
【フィジカルトレーニング&ケア】講師:鈴木トレーナー・岩田トレーナー・高橋トレーナー
朝のランニングとトレーニングに始まり、海上練習前のウォーミングアップ、練習後のストレッチ、大会開始前のコンディショニング、また海上練習時のトラブル(ケガ)対応など、今回も3名のトレーナーの方々にサポートしていただきました。
合宿から大会の流れだったこともあり、前半はしっかりしたトレーニングを選手達に課して、後半はコアのトレーニングやコンディショニングをメインに実施しました。
【海上練習】講師:各クラスコーチ
今回はiQFOiLクラスの穴見、大島の2名を除いて、全ての選手がオリンピックウィーク大会に参加予定であったことを考慮し、各クラスに分かれてボートススピードや基本アクションの確認、またより実戦的なコース練習などに取り組みました。
今合宿の始めにセーリング講習で学んだことをベースに、Basicクラスはコースストラテジーの基礎について、Advance/Racingの選手たちはVMGとストラテジーへの応用について意識して練習及び大会に挑んでもらいました。
【気象発表】
通常のHOPE合宿と同じように、毎日の朝と晩に気象の発表を選手にしてもらいました。
大会に向けて海上練習を通して収集した情報を共有すること、それぞれの戦略・ストラテジーに落とし込むことに活かすところまで、ルーティンワークとして取り組みました。
【OLYMPIC WEEK レースの様子】
レースは3日間を通してライトウィンドのコンディションで行われました。
南風のシーブリーズを待って風待ちをする時間も長くあったりと、陸上と海上でオンオフを上手く切り替えられるか、海上に出てから必要な情報を素早く集められるかなど、ボートを速く走らせるだけでなく、レースにコミットする能力が高く求められた大会になったように思います。
艇数の少ないスキフクラスなどはコース設定も短いことからレース数も十分に実施されましたが、艇数が多くゼネリコなどを繰り返したクラスなどは、いかに軽風域の難しい状況の中でスコアを低得点にまとめられるかが求められるレガッタとなりました。
また、軽風レガッタということもあり推進方法違反の42条違反も多く見受けられました。
HOPE選手の活躍は、まずは420クラスで出場した上原選手が合宿で磨いてきたボートスピードを武器にし、またJOCカップで課題として挙がったタクティクスの面でも成長を見せ、見事に優勝を果たしました。
また、29erクラスでもライナス選手が他男子ペアのチームに負けない走りを見せてくれ、こちらもオールトップで優勝を飾りました。
レースで思うように結果を残せなかった選手も、一方でこれまでの成果が実り良い結果を出せた選手も、次の自分の目標に向けて邁進していって欲しいと思います。
【HOPE選手 大会成績】
420級(参加36艇)
1位 上原 慎平(和歌山工業高等学校)
1-1-(4)-1-3-2
4位 中村乃々子(山口県立光高等学校)
(10)-6-3-5-4-3
29er級(参加4艇)
1位 ライナス 海波(江ノ島ジュニアヨットクラブ)
(1)-1-1-1-1-1-1
470級(参加44艇)
8位 池田 海人(日本大学)
5-12-7-(UFD)-8-6-15
9位 宇田川 涼太郎(日本大学)
9-14-9-15-7-(17)-3
49er級(参加6艇)
5位 嶋倉 照晃・上園田 心太浪(早稲田大学・Nabtesco/佐賀県ヨットハーバー)
5-3-2-5-5-(UFD)-4-UFD
49erFX級(参加4艇)
2位 市橋 愛生・後藤 凛子(早稲田大学/青山大学)
2-2-2-1-2-(3)-3-3
ILCA7級(参加11艇)
6位 黒田 浩人(Nabtesco)
3-6-3-(RET)-RET
ILCA6級(参加25艇)
5位 豊澄 成光(広島セーリングチーム)
(16)-9-6-1-5
7位 占部 心美(福岡第一高等学校)
5-11-10-3-(18)
8位 岡田 佳悟(江ノ島ジュニアヨットクラブ)
9-3-5-(13)-13
13位 三浦 帆香(神奈川大学)
(22)-5-12-18-10
16位 豊澄 麻希(広島セーリングチーム)
(17)-12-14-16-12
17位 ダウスト 絵麻(芦屋フリート)
6-14-(22)-20-15
次回7月のHOPE合宿は鳥取・境港公共ハーバーでの実施となります。
コーチ・スタッフで更により良い合宿を企画・準備していき、HOPE選手たちの目標や結果にコミットしていける引き続き努めて参ります。
Report & Photo by オリンピック強化委員会