期間:2024年5月13日(月)〜5月20日(月)8日間
開催地:江の島ヨットハーバー

江ノ島ヨットハーバーにて470 クラス HOPE 選手を対象とし、470Jr.ヨーロッパ選手権でのメダル獲得に向けて帆走技術/セーリング理解力/フィジカル等、総合的なセーリングパフォーマンスの向上を目的に開催しました。

【海上練習】
今回の合宿目標として3項目の課題を設け、取り組みました。
①動作練習(主にマークラウンディング動作の向上)
②セッティング(風・波の状況に合わせたセルフセッティング)
③フィジカルトレーニング(体幹トレーニング/持久トレーニング)

毎日の練習始まりはウォーミングアップを兼ねて1つのマークを右回り、左回りで5分間回り続け、これを2セット実施しました。このメニューにはセールトリムやハンドリング、へルム、タック・ジャイブタイミングの要素が含まれており、セーリングで重要な上マーク・下マーク(ゲート)回航の動作を確立することを目的に取り入れました。

▲朝イチのグルグル周りは基礎動作の確認です

①動作練習(主にマークラウンディング動作の向上)
ショートマークラウンディングで各マーク回航時の動作、マーク回航後のポジショニング、対艇に対してのポジショニングなど、混戦時や自分の回航順位で想定される戦略を瞬時に判断し、チームでコミュニケーションしたことに対して現実的にベストな動作対応ができたかどうか、をレース後に動画を確認し、細かい修正を繰り返し精度を上げていきました。
合宿が進むごとにレベルも上がり、基本的なタックやジャイブ、ボートバランス、細かいセールトリムの重要性を改めて感じ、多くの気付きを得ることができたようで、会話の質も格段に向上したことを確認できました。

▲上マーク回航前に次のレグの戦略を立てることが重要

②セッティング(風・波の状況に合わせたセルフセッティング)
今回の合宿では強風から微風まで全ての風域の風が吹き、南風のうねりとチョッピーコンディション、北風のガスティーコンディションなどセッティングを調整していく過程において非常に好条件な合宿となりました。
前半は強風コンディションの中でどのようなセールシェイプが理想的なのかを動画を撮って改善前と改善後の比較を行い、テンションやスプレッダー、各種コントロールロープ、乗艇位置など、スピードとヘルム感覚を確認しながら最適なポジションの割り出しを行い、着艇後にはテンション、レーキの確認を行い再現性がとれるようマーキングを施しました。
後半は微風から順風の風で、うねりや波が残っている状態でのセールセッティングとなり、セールシェイプをどのようにセットすることが重要なのか、たくさんのトライをするよう指導し、自分たちでトライアンドエラーを繰り返しコーチとコミュニケーションしながら確立していきました。
日々のミーティングの中では、セールの特性や各種コントロールロープの役割を指導することで理解を深め、自分自身で即座に対応できるよう取り組みました。
基本セッティングはありますが、色々なコンディションの中でセッティングを素早くベストな状態に対応できることが非常に重要です。そのためにもしっかりとデータを蓄積する癖をつけておくことがトップセーラーになるために必要な条件となります。

▲強風でのセッティング調整風景
▲ダウンウィンドは主にコントロールロープ・ヘルムの調整を指導

③フィジカルトレーニング(体幹トレーニング/持久トレーニング)
フィジカルトレーニングは世界を目標に取り組んでいる選手には非常に重要な項目となります。強風時のセールトリム、ヒールコントロール、パンピング、ロッキング、キネティックス、周りを見て状況判断等々、艇を早く走らせるためにはフィジカルを持ち合わせていなければ上位でフィニッシュすることは永遠にありません。
自分の目標がどこにあるのか明確なビジョンを持って日々積み重ねた選手だけが2、3年後に大きな差となって成果として現れます。孤独と戦う中で、ダブルハンドは互いを刺激し高め合える種目ですので、頑張って欲しいと思います。
今合宿では、サーキットトレーニング(体幹トレーニング系)と江ノ島階段ダッシュを中心に取り組みました。合宿最終日はショートダッシュも入れて選手はくたくたになりながら互いを鼓舞し合い最後まで走り抜けました。

▲江ノ島階段ダッシュ!
▲陸上サーキットトレーニング
▲合宿最終日のショートダッシュ!

合宿最終日は合宿の成果を確認するために北風のシフティーコンディションの中でロングコースのレースを実施しました。実践レースでは着順にこだわりながらも各動作の再現性ができたかを毎レース確認。レースでは緊張感が増し、シフトの激しいコンディションでは一喜一憂する場面が多く判断力が鈍り、全ての動作にまで影響します。常に冷静に判断できたチームが上位となるため、メンタルコントロールも学ぶことができ新たな気付きを得て合宿を締めくくりました。

▲最終日のレース練習スタート風景

今合宿で新たに出た課題(項目)に関しては、次回合宿の重点課題としてしっかり取り組んでいくことを確認し合宿を終了しました。皆さんお疲れ様でした!

▲秋間トレーナー HOPE選手他

Report & Photo by オリンピック強化委員会

日本スポーツ振興センター

本合宿は、スポーツ振興くじ助成金を受けて実施されています。