期間:2025年6月9日(月)〜6月10日(火)2日間
開催地:国立スポーツ科学センター(JISS)
概要 2025年6月、HOPE育成プログラムの一環として、第5期 HOPE育成プログラム(HOPEユース第2回・HOPE第1回 体力測定補講)を実施しました。今回の測定は、定期的に行われる体力評価の一部であり、選手たちのトレーニング成果や身体的な成長過程を科学的に把握することを目的としています。得られたデータは、個別育成計画の立案や今後のトレーニング指導に活用されます。
測定にあたっての準備
測定開始前には、選手の体調確認シートの記入および体温チェックを行い、健康状態を確認しました。JISSのフィットネスチェック担当スタッフからは、測定内容とその目的についての説明が丁寧に行われ、未成年の選手に関しては保護者の同意書を提出のうえ、安全かつ適切な環境で測定を実施しました。
測定種目と目的
本測定では、筋力・パワー・持久力・敏捷性など、体力の主要な構成要素を多面的に評価しました。各項目は、選手の競技特性や成長段階に応じた支援を行うための貴重なデータとなります。
測定実施内容
【1日目 午前セッション】
〇体組成測定(INBODY・BODPOD)
選手の身体構造を構成する筋肉量・体脂肪率・骨量等を把握し、競技パフォーマンスの基盤を定量的に評価。体組成は、競技パフォーマンスの土台となる身体構造の質を把握する上で不可欠な要素です。
〇最大持久力評価(2000mローイング)
最大酸素摂取量(VO₂max)の推定および有酸素持久力の評価し、全身を使った有酸素運動による心肺持久力の把握。特に長時間におよぶセーリング競技で必要な疲労耐性や回復力と直結する指標。
昼食休憩:JISSにて
施設内で提供される栄養バランスに優れた食事を体験し、午後の測定に向けて身体を回復・調整しました。
【1日目 午後セッション】
〇筋持久力評価(30秒ローイング)
短時間に高出力を求められる場面における加速力および無酸素性パワーを評価しました。
【2日目 午前セッション】
〇等速性筋力評価(BIODEX)
関節の角速度(60°/秒、180°/秒)で全力収縮を繰り返し、純粋な筋力(ピークトルク)を測定しました。
〇スプリント能力(30m走)
スタート時の初速および最高速度を評価し、加速局面でのパフォーマンス特性を測定しました。
〇敏捷性(反復横跳び)
方向転換の速さと下肢の瞬発力を評価し、競技中の動きの鋭さに関する指標とします。
〇背筋力測定
姿勢保持筋群(脊柱起立筋等)の筋持久力と最大筋力の評価。セーリング中の長時間の体幹固定、ハイクアウト中の支持に必要な体幹持久力を反映します。
〇シャトルラン
有酸素運動を基礎とした持久的な運動耐性を測定し、反復的な全身運動による心肺持久力を評価します。
今後に向けて
今回の測定を通して得られた評価結果は、選手の身体的成長や競技力の向上を客観的に把握するうえで非常に有用です。今後も定期的な評価を継続することで、個々の選手に最適なトレーニング指導とフィジカル強化支援を行い、科学的根拠に基づく育成を推進していきます。
Report & Photo by オリンピック強化委員会