大会3日目

2025キールウィークのレース3日目、この日から日本チームは49erクラスの嶋倉/上園田(HOPE)、49erFXの田中/永松(豊田自動織機)の2チームともに、ゴールドフリートでの決勝シリーズに挑みます。

昨日までの温暖で穏やかなコンディションから一変し、朝から非常に強い西の風が吹きつけており、天候も曇り〜雨の予報…、いよいよキールらしいコンディションといった感じです。まずはILCA6とILCA7のゴールドフリート、29erクラスのゴールドフリート、そして49erFXクラスのゴールドフリートが続々と出艇をしていき、各クラス定刻でのレースが進行していきました。

海上は雨雲での強烈なブローと晴れ間のラルが交互に入り乱れる非常に変化の激しいコンディション。風速にして6ノット〜25ノットほどの強弱が短時間で繰り返されており、セッティングや走り方・コース選択など、選手は難しい判断を常に求められる状況でした。
特にスキフクラスは、スタート前の艇を風上に立てた状態でのポジショニングにおいて、強烈な風の変化に対応出来ずに沈をしてしまうケースが多々見られていました。

田中/永松チーム(豊田自動織機)は、1レース目のスタートで果敢に混み合う本部船側を狙いましたが、スタート直前にボートバランスを崩して沈をしてしまい、艇団から大きく出遅れてのスタートに。フィニッシュまでに若干挽回は出来たものの、スタートでのビハインドが尾を引いてしまい24艇中15位でのフィニッシュとなりました。
続く第2レースでは、ハードなコンディションの中でも粘り強く順位を上げる走りを見せて6位でフィニッシュ。

本日、女子49erFXクラスは3レース実施の予定でしたが、2レース目が終了する前に海面に到着していた男子49erクラスは、女子のレースが消化しきるのを待つ長い時間海上待機となりました。海上では強烈なブローと雨が選手とコーチを襲っており、ブローの入りごとに数チームが沈を繰り返している様な状況です。

いよいよ女子49erFXの3レース目が始まりスタート2分前を過ぎた頃、この日最大の強烈なブローが海面を襲い、スタートシークエンスでライン上にいた49erFX女子チームが次々に薙ぎ倒されていきました。1分前を過ぎた頃には半数近くが沈をしている状況になってしまい、AP+Aでレースは中止に。海上待機をしていた男子49erのゴールドフリートもAP+H(レース中止ハーバーに一旦バック)で陸上に避難となりました。
ちょうどハーバーに全艇が戻った頃、晴れ間とともに風も落ち着き、30分後には男子49erゴールドフリート、29erゴールドフリートが再出艇となりました。
各チームがレース海面に着く頃になると、また黒い雲と一緒に強烈なガスト(Gust)と雨が海面を襲い、無線ですぐにAP+A(本日のレースは終了)の判断が下されました。

ゴールドフリートの選手達であれば走れなくもない強風でしたが、視界不良や雷のリスクなど様々な要因から中止になったのかと思われます。晴れ間や風の抜けるタイミングもあったので、D旗コントロールのタイミング次第では2レースほど出来ていた印象でしたが、男子のゴールドフリート決勝は明日に持ち越しとなりました。
男子49erの嶋倉/上園田(HOPE)の成績は昨日と変わらず、2レースを実施した女子49erFXの田中/永松(豊田自動織機)の成績は昨日から2つ順位を上げての20位となっています。
引き続きゴールドフリートでの決勝シリーズは実施されますので、日本2チームの応援をよろしくお願いいたします!!

【DAY2 総合成績】
49er(男子)【参加74艇/23ヵ国】

19位 嶋倉 照晃 / 上園田 心太浪(HOPE:早稲田大学/佐賀県ヨット連盟)
8-3-12-(30)-22-10

49er(女子)【参加48艇/19ヵ国】
20位 田中 美紗樹 / 永松 瀬羅(豊田自動織機)
7-14-10-(16)-9 15-6【ゴールドフリート】

▲田中美紗樹/永松瀬羅(豊田自動織機)2レース目 6位でのフィニッシュ前のシーン
▲田中/永松チーム(豊田自動織機)海上ミーティングの様子
▲豊田自動織機チーム 左から田中/永松/石嶺トレーナー/山田コーチ
▲嶋倉/上園田チーム(HOPE)黒い雲と一緒にガスト(Gust)が吹き荒れていました
▲嶋倉/上園田チーム(HOPE)レースはありませんでしたが、強風での走りもチェックすることが出来たので明日に活かします

Report & Photo by オリンピック強化委員会

日本スポーツ振興センター
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大会2日目

2025キールウィークの2日目、この日は6〜8ノットほどの軽風、キールでは珍しい南東の風が1日続きレースが行われました。この日の成績をもってゴールド/シルバーのフリート分けがなされることもあり、各チームまず初めの勝負の1日となりました。

そんな中、男子49erクラスでは4レース、女子49erFXクラスでは3レースを実施。レース数を行う為に比較的ショートなコース設定がされており、スタートを成功して第1線に残れるかどうか、ミスした後のリカバリーを迅速に出来るかどうか、この2点がスコアメイクには重要なコンディションとなっていました。

嶋倉/上園田チーム(HOPE)は、スタートの失敗も少しありましたが何とか立て直しを図ったりと、最低限のスコアで4レースを終えることが出来ました。初日のアドバンテージもあり、総合成績を19位として無事にゴールドフリート進出を決めました。
田中/永松チーム(豊田自動織機)も10-(16)-9の順位で、こちらもゴールドフリート進出を決めています。比較的手堅いレース展開は出来てはいますが、実力的にはより上位でのスコアメイクも可能なチームなので、後半の彼女たちに期待です。

大会3日目は20ノットオーバーの強風、雨予報。これまでの晴れて温暖な天気模様から、いよいよキールらしい天候へと変化していきますが、強風コンディションでも国内合宿の成果を発揮して戦ってもらえればと思います。

大会は25日まで。ゴールドフリートでの決勝シリーズに進出した日本2チームの応援を引き続きよろしくお願いいたします!!

【DAY2 総合成績】
49er(男子)【参加74艇/23ヵ国】

19位 嶋倉 照晃 / 上園田 心太浪(HOPE:早稲田大学/佐賀県ヨット連盟)
8-3-12-(30)-22-10

49er(女子)【参加48艇/19ヵ国】
22位 田中 美紗樹 / 永松 瀬羅(豊田自動織機)
7-14-10-(16)-9

▲田中美紗樹/永松瀬羅(豊田自動織機)ゴールドフリート進出を決めました
▲田中/永松チーム(豊田自動織機)レースシーン
▲田中/永松チーム(豊田自動織機)ボトムゲートマーク回航シーン
▲嶋倉/上園田チーム(HOPE)レースシーン
▲嶋倉/上園田チーム(HOPE)1stマークアプローチ(写真左)
▲嶋倉/上園田チーム(HOPE)ボトムゲートマーク回航シーン
▲嶋倉/上園田チーム(HOPE)トップマーク ジャイビングホイストシーン

Report & Photo by オリンピック強化委員会

日本スポーツ振興センター
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大会1日目

2025 キールウィークがいよいよ始まりました。初日は早いクラスでは13時のレーススタートが予定されていましたが、風が不安定なこともあり陸上待機から初日は始まりました。
曇りや雨が多いとされるここキールですが、今レガッタは天候に恵まれ20℃前後の温暖な気候が続いています。この日も23℃ほどの暑い1日で、各国の選手やコーチたちは公園の木陰や出店ブースのテントなど、それぞれ日陰を探して長い陸上待機を耐え忍んでいました。

15時頃にようやくD旗の掲揚で出艇が始まり、16時頃からレースが始まりました。田中/永松チーム(豊田自動織機)が参加している49erFXクラスでは2レースを実施。続いて出艇した男子の嶋倉/上園田チーム(HOPE)も2レースを行い、20時前にようやく着艇をして長い1日を終えました。(キールでは日の出は6時〜日没は23時という日の長さ。)

男子49erクラスも、女子49erFXクラスも参加艇数が多いため、それぞれ2フリートに分かれてのレース進行となっています。女子の田中/永松チームは1レース目を7位でフィニッシュして上々の立ち上がりを見せましたが、続く2レース目を上手くまとめきれずに総合19位でレガッタをスタートしました。男子の嶋倉/上園田チームはリスクを避けたスタートと粘り強い走りをテーマに走り、8-3の成績で2レースをまとめ上げて初日6位での好スタートを決めました。

2チームともまずはゴールドフリート進出、そして好成績で大会を終えられるようにレガッタを戦っていきます。大会は25日まで続きますので、引き続きの応援をよろしくお願いいたします。

【DAY1 総合成績】
49er(男子)【参加74艇/23ヵ国】

6位 嶋倉 照晃 / 上園田 心太浪(HOPE:早稲田大学/佐賀県ヨット連盟)
8-3

49er(女子)【参加48艇/19ヵ国】
19位 田中 美紗樹 / 永松 瀬羅(豊田自動織機)
7-14

▲風待ち陸上待機の日本チーム 田中/永松(豊田自動織機)、嶋倉/上園田(HOPE)
▲長い陸上待機から始まった初日でした
▲クラス数と参加艇数が多い大会なので、出着艇は大混雑の模様です
▲田中/永松チーム(豊田自動織機)の出艇準備の様子
▲田中/永松チーム(豊田自動織機)の出艇の様子
▲パブリックビューイングのモニターでは、選手やコーチだけでなくキールウィークのお祭りで来場した一般の方々も多く視聴していました
▲リアルタイムで映像が流れている為、非常に視聴しやすくなっています
▲男子49erクラスのスタートシークエンス前の様子
▲男子のレースシーン。写真右に嶋倉/上園田(HOPE)
▲男子のレースシーン。トップマーク回航後の様子
▲写真右 ドイツに次いで2位で帆走する嶋倉/上園田(HOPE)
▲フィニッシュ前の攻めぎ合い
▲初日を8-3の総合6位で好スタートを決めた49erクラス 嶋倉/上園田(HOPE)

Report & Photo by オリンピック強化委員会

日本スポーツ振興センター
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大会前日

2025 キールウィークが6月20日〜6月29日の期間、ドイツのキールにて開催されます。キールはドイツの北部、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州に位置する港町で、北海とバルト海を結ぶ重要な港として多くの商業や海事、文化が合流して発展してきた街です。

キールウィークでは、オリンピッククラスとしてILCA6、ILCA7、Formula Kite、iQFOiL、470、49er、49erFX、Nacra17のクラスが設けられており、また国際クラス部門としては2,4mR、420、Contender、Flying Dutchman、ILCA4、ILCA6(オープン)、J/24、J/70、OK Dinghy、WingFoil Racing、iQFOiL(ユース)などディンギーからキールボート、フォイリング艇種まで多種多様なクラスでレースが行われるのが本レガッタの特徴です。

クラス数の多さに比例して、街を挙げてのイベント期間としてキール全体がこのレガッタを中心に賑わいを見せ、レース会場には多くのお店やスポンサー企業のブースが並び、セーラーから地元の人々まで多くの人々がハーバーを行き交うイベントとなります。

大会名:2025 KIELER WOCHE
開催地:ドイツ・キール
大会期間:2025年6月20日〜6月29日(日本選手出場のレースは6月21日〜25日まで)

出場選手:
49er(男子)【参加81艇】

嶋倉 照晃 / 上園田 心太浪(HOPE:早稲田大学/佐賀県ヨット連盟)

49erFX(女子)【参加51艇】
田中 美紗樹 / 永松 瀬羅(豊田自動織機)

今大会における日本チームの参加は、49erクラスと49erFXクラスにそれぞれ1チームずつとなっています。本大会は4月頭に行われたプリンセス・ソフィア杯と同様に、World Sailingが定めるセーリングGrand Slamシリーズの1戦となっており、ヨーロッパを中心とした強豪チームも多数エントリーしています。
これまでの練習の成果を確認するとともに、今後の世界選手権やジュニアワールドなどに繋がる重要な1戦となりますので、日本チームの応援をどうぞよろしくお願いいたします!!

▲新艇、新セールで今レガッタに挑む嶋倉/上園田(HOPE)
▲キールウィークの会場「Olympic Center」を背景に帆走する様子
▲嶋倉/上園田は16日の夜に現地入り、17日からボートの準備や海上練習を行っています
▲気温13〜20℃、風速も北西の12ktほどがベースとなっています
▲海外チームとの合同でレース練習なども行って調整・準備を進めています

Report & Photo by オリンピック強化委員会

日本スポーツ振興センター
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