第1回 YOG
第1回 ユースオリンピック大会
レポート:オリンピック特別委員会 ウインド専任コーチ 宮野 幹弘
日 程:2010年8月14日~26日
開催地:シンガポール・ナショナルセーリングセンター
日本代表選手:
●男子:倉持 大也(東京・東亜学園高校1年 16歳)
●女子:由里 汐里(京都・府立西城陽高校1年 15歳)
参加艇:男子/20艇
女子/20艇
帯同コーチ:宮野 幹弘
大会公式サイト:
http://www.singapore2010.sg/public/sg2010/en/en_sports/en_26sports/en_sailing.html
他の競技選手たちと今回開催されるユースオリンピック大会(YOG)は2007年7月にグアテマラシティで開催された国際オリンピック委員会(IOC)総会において、ジャック・ロゲ会長が青少年にもオリンピックを体験させようと提案し開催が決定しました。
大会は205の国と地域から約5,000人の14歳から18歳までの若い選手が26の競技と5つのテーマ、7つのタイプの文化・教育プログラムに参加します。
セーリング競技は15歳、16歳、バイト、テクノ293の2種目が行われ、日本からテクノ293男女2名の高校生が参加しています。
今回、競技と一緒に行われている文化・教育プログラムはオリンピックイズム、地球とスポーツの問題、環境、他の参加者との交流などを目的として行われます。プログラムの中にはオリンピックメダリストとの交流や、シンガポールの島の一つに行き、ドラム缶や丸太、ロープなどを使い他国の選手たちと一緒に協力し合いイカダを作ったりなど、ユース世代にふさわしい競技以外の楽しいプログラムが数多く用意されています。
セーリングは大会期間が長いため、その中のいくつの文化・教育プログラムに参加できるのか分かりませんが、できるだけ多くのプログラムに参加し、沢山の友達を作る機会を持ちたいと考えています。
選手村は、シンガポールの西に位置する大学構内に作られ、宿泊棟はその大学の学生寮をリフォームした建物を利用しています。競技が行われるナショナルセーリングセンターは選手村から約1時間から1時間半ほど東に車で移動した場所に位置しています。セーリングセンターはとても広く、普段はシンガポールのセーリング選手たちがトレーニングするベースとなっています。
スケジュールは8月16日がプラクティクスレース、17日から25日までの9日間に16レースが予定されています。この時期の海面は潮が強く、風も弱く、非常に難しいコンディションです。この中、日本選手2名が世界の強豪を相手にどのようなレースをしてくれるのかとても楽しみです。
今日8月14日、開会式が9月に当地で行われるF1の会場特設ステージで行われました。
選手たちは、他競技の選手たちともすぐ仲良くなり、初めて知る国や多くの国旗など世界の大きさを感じていました。
皆様、応援よろしくお願い致します。
チャーター艇聖火
1日目
ユース五輪初日
テクノ293級 男子・倉持 6位 女子・由里 12位 発進
男子倉持 第2レーススタート由里 1下回航昨日予定されていたプラクティクスレースは、風不足ため中止になり、選手たちは少し不安を残しながら本番初日のレースにのぞみました。
第1レーススタートは12:00を予定していましたが、風がないため延期に。いつもだと、楽しそうに話している選手たちもレース前の緊張か、帆走指示書を読んだり、音楽を聴いたりと集中している中、その緊張をほぐすかのようにスケッチホワイトボードが登場。各選手がそのボードに国旗や、自分の名前を書いている間に緊張がほぐれ、選手たちにも昨日までの笑顔が戻りました。一安心です。
私はレースが始まる前に2人に5つの事に気をつけるようにアドバイスをしました。
1. 良いスタート切る
2. ボードスピード(角度をつけすぎない)
3. ルールを守る(ケースを起こさない)
4. パンピングをする
5. コース取りをしっかり考える
ようやく風が入り始め、12:20にテクノ293男子クラス第1レースがスタートしました。風向180から200度、風速4から7ノット 潮も強くとても難しいコンディションの中、倉持は、他国の選手にも負けないボードスピードで1上を2位で回航、その後2上まで2位をキープするも英国の選手にプロテストをかけられ、ペナルティーを解消している間に後続艇に抜かれ4位でフィニッシュしました。
ルールのこと、良いスタートが切れなかったことを再度アドバイスして、2レース目へ。倉持は好スタートを切り5位で1上を回航しましたが、その後韓国の選手にまたしてもプロテストをかけられ、解消している間に6位へ落ち、2上では風が右に振れたことに気づくのが少し遅れボードスピードが落ち、1つ順位を落とし7位でフィニッシュしました。
レース終了後、同じミスを繰り返したこと、前の選手にばかり気を取られてしまいボードスピードがなかったことを指摘し、これからのレースも接戦が予想されるのでミスを少なくすることが大事と話をしました。
女子の由里は、2レース共にコースが上手く引けず、シングル後半で1上マークを回航しながらも、下りでのパンピング、下マーク回航でミスが続き1レース目12位、2レース目11位でフィニッシュしました。レース終了後、ミスをしたところとスタート位置について、再度確認をして頑張ればシングルに入れることをアドバイスしました。
今日はレースが予定よりも早く終わったので、文化教育プログラムの1つである【チャンピオンとの会話】に参加をしました。講話の選手は、棒高跳びで35回の世界新記録を樹立し、1988年オリンピックゴールドメダリストのSergey Bubkaさん、同じく棒高跳びの女性で初めて5mのポールを使い2度のオリンピックゴールドメダリストに輝いたYelena Lsinbayevaさんでした。大会前の気持ちや休日の過ごし方、どのような事を考えながら練習を行ってきたかなどのユースの選手たちからの質問に応じ、いろいろなエピソードを話してくれました。目を輝かせながら聞き入る選手たちがとても印象的でした。
明日は3レースが予定されています。コンディションは今日とほぼ同じ予報です。
明日の成績が大事になってくると思います。気合を入れ直しレースに挑んでいきましょう。
■選手コメント
倉持 大也
『思っていた以上に前を走ることが出来、少し安心しました。明日のレースは今日と同じミスをしない様に注意して走りたいと思います』
由里 汐里
『もっと上位に入れるように明日からがんばっていきたいです』
■成績 大会1日目
男子(21艇) 倉持 大也 4-7 6位
女子(18艇) 由里 汐里 12-11 12位
食堂にて夕食お絵かき完成
2日目
2日目 未体験の強い潮と戦う二人
順位伸ばせず
突然のスコール大会2日目
今日は予報と違い朝からとてもよい風が入り、予定通りに3レースと思われましたが、レース予定時刻近くになり、突然の雷とスコールでレースが1時間ほど延期に。その後回答旗が下がり海上へ出るも今度はスタートシークエンス中に風がなくなり、AP/Aが上がりセーリングセンターへ戻ることになりました。選手たちも一生懸命モチベーションを保ちながら1時間後に再度海上へ。
前日の5つのアドバイス+潮が風上からとても強く入っているのでスタートがへこむ可能性があるのでしっかりレイラインを確認するように伝え、風向200°、風速6~7ノットの中、第3レースがスタートしました。
●男 子
倉持はスタートで他国の選手につぶされ右海面へ、潮が強いこともあり思うように走ることが出来ず1上を12番で回航、その後必死のパンピングで10位まで上がり、最後の下りで9位まで上がるも、パンピングに集中しすぎたのかフィニッシュラインを間違え結局10位でフィニッシュ。
続く第4レースは前のレースでは他国の選手よりパンピングが出来ていなかったこと、レースでの優先順位をアドバイスしてスタート。このレースもスタートは失敗しましたが必死のパンピングで1上を7位で回航、フランス、イタリアとのパンピングバトルで最終マークをフランスに続き7位で回航。その直後、足を滑らせセイルを落としてしまうアクシデント。急いでリカバリーをするも、後続のイタリアに抜かれ、8位でフィニッシュしました。総合で7位です。
●女 子
由里は第3レース、スタートは振るわなかったもののガッツあるパンピングで、シングルで1上を回航しましたがタイの選手と接触してしまい、ペナルティーを解消している間に後続艇に抜かれ、12位フィニッシュ。パンピングがとても良かっただけに、スタートが良く、接触がなければもっと上位を狙えたはずでした。
第4レース、今度は好スタートを切り、途中までとても良いところを走っていたのですだが、周りの選手に惑わされてしまいプランどおりのコースが引けず1上を12位で回航。その後必死のパンピングをするも、順位は変わらずそのままフィニッシュしました。
2日間を通し、パンピングやボードドスピードがとても良くなっているし小さいミスを少なくすればシングルに入ることは可能と伝え、マーク回航、タックの位置などを再度指導しました。総合12位です。
今日は気象の変動が激しく、不安定なコンディションで選手たちはモチベーションを保つのに必死でした。またパンピングを一生懸命しても前に進まないといったこれまでに体験したことのない程の強い潮に遭遇しています。そして周りは強い選手ばかり。しかし、これが国際大会です。その中、ふたりは私のアドバイスを聞き、実行しようと必死に頑張っています。まだ2日間足らずですが、選手たちの日々の成長を実感することができます。試練こそが次につながります。この後のレースに期待したいと思います。
今日はレース終了時刻が遅かったので文化教育プログラムを受けることができませんでした。
明日はレイデイですが、選手たちといろいろと受講したいと思っています。
■選手コメント
倉持 大也
『こんなに潮が強いのは初めてだったので、戸惑ってしまいました。いくらパンピングしても前に進まないので、パンピングの改良が必要だと痛感しました』
由里 汐里
『これが定位置とは思っていません。シングルを取れるように頑張ります』
■成績 大会2日目終了
男子(21艇) 倉持 大也 4-7-10-8 7位
女子(18艇) 由里 汐里 12-11-12-12 12位
潮が強くて帰れないストレッチ
3日目
海外選手に負けない身体づくりが必要
毎日が学習の場 がんばれ両選手!
総監督が応援に昨日はレイデイ。他競技の選手たちとシンガポール観光に出掛け、選手たちとの交流を深めました。戦いの合間のリフレッシュデイ。楽しく有意義な1日を過ごすことができました。
大会3日目
朝から大雨。雷鳴もあり、レースが延期になるのかと心配していましたが、レース1時間ほど前にそれもおさまり、今大会初めて予定通り12:00に風速8から10ノットの中、第5レースがスタートしました。選手たちには今日も5つのポイントを話し、いつもより風がシフティーだったのでその点を注意し周りを良く見てレースをするように指示しました。
●男 子
倉持はスタートも良くしっかり海面を見ながらスピードにも乗り、順位は7位でした。とても良いレースが出来たと思い、次のレースもこの調子でいくように伝えました。
●女 子
由里は、しっかりパンピングも持続し頑張っているのですが、レース慣れしていないせいか、どうしてもマーク回航、下りで他の選手に抜かれてしまいます。上マーク、下マーク付近まではシングルで来るのですが下マーク回航の際緊張のためか順位を落としてしまいます。自分の権利をしっかり主張するように話すのですが、初めての海外レースで思っているようには運ばないようです。
第6レース、風速5から6ノットでスタート。
●男 子
倉持は、混戦の中からのスタートに失敗し出遅れてしまいました。懸命にパンピングをするも好スタートを切りブローを上手く使った香港、ロシアの選手が上位で1上マークを回航、その後風は落ち、大人顔負けのパンピングをする香港の選手が1位でフィニッシュ。倉持はスタートの失敗が響き11位でフィニッシュ。総合では順位を一つ落とし8位となりました。
●女 子
由里は良いスタートを切りましたがOCSでした。上位選手に交じりしっかりとしたスタートだっただけに残念なことをしました。
今大会、他国の選手を見て感じることは、ユースとはいえ、みんな立派なアスリートに仕上がっているということです。体つきから見ても日常的にフィジカルトレーニング、ジョギングを行っていることがわかります。パンピングを見ていてもまさに納得です。
日本選手たちもしっかりトレーニングを行い海外選手にも負けない身体づくりが必要であることをいまさらに痛感しました。
今日は、日本選手団総監督をつとめている福井烈さん(プロテニス選手)が応援に来てくれました。
また、IOCのジャック・ロゲ会長も会場を訪れ、選手たちを驚かせていました。
■選手コメント
倉持 大也
『2レース目のスタート失敗はとても悔しいです。明日からのレースは全て上位に入れるように頑張っていきます』
由里 汐里
『初めてのOCSでした。まさか自分がリコールだとは思ってもみませんでした。良いスタートをすると上位で上マークを回航することができますので、明日はしっかりとスタートをしたいと思います』
■成績 大会3日目終了
男子(21艇) 倉持 大也 4-7-10-8-7-(11) 8位
女子(18艇) 由里 汐里 12-11-12-12-13-(OCS) 13位
( )はカットレース
マーライオンと一緒にロゲ会長セーリングの応援に
4日目
無風のためレース延期
陸上での充実した文化教育プログラムに参加
バーバラさんと記念撮影大会4日目
今日は朝から風がなく16:00に本日のレースの延期が決まりました。
とても長い一日でしたが、選手たちは各国の選手と交流を深めたり、応援に見えているご両親と話をしたりレースは無かったものの、ユース五輪ならではの有意義な時間を過ごしていました。
昨日から行われていたチーム写真のコンテストに私たち日本チームの写真が選ばれ優勝しました。選手たちは何が起きたのかよくわかっていませんでしたが賞品をプレゼントされ大喜びでした。
今日はまた、文化教育プログラムの『チャンピオンとの交流』の日でした。チャンピオンはウインドサーフィンで5回オリンピックに出場した1992年バルセロナオリンピック金メダリストのバーバラ・ケンドールさんでした。選手たちはこの日を前々から楽しみにしていたので伝説の選手の話に大感激で、最後には記念撮影もでき、選手たちには思い出に残る1日となりました。
明日もレイデイです。まだ参加していない文化教育プログラムがあるので参加してみたいと思っています。
5日目
レースも折り返し点
ガンバレ! ヤング日本代表
男子スタート交流プログラム大会5日目を迎えました。
久しぶりの晴天。風は4から5ノットと入っているのですが、風向が定まらずウエイティング。選手たちは道具の点検などを行い、風の安定を待ちます。
13時前、風向100から110、風速5~6ノットで女子第7レースがスタート、引き続き男子がスタートしました。 今日のアドバイスは「風が弱いので角度を取りたくなるが、潮が強いので角度ではなくスピードを優先する」でした。
●女 子
由里はアドバイスもむなしく、スタート後に角度を気にしすぎて、スピードがなく出遅れてしまいました。その後風がない右海面へ懸命のパンピングで頑張りましたが、スピードを維持することが出来ず、定位置の12位でフィニッシュ。このレースも好スタートをしたタイの選手が圧倒的なボードスピードで他を寄せ付けず1位フィニッシュ。ダントツの総合首位です。
●男 子
倉持は好スタート、左からのブローを上手く使い1上を上位で回航しました。2上に行く際風が上がりストラップが抜けてしまい、トップスピードが出せないまま結局7位でフィニッシュ。
風が上がってきたので、セッティングを選手に確認しフィーリングを聞き、調整。上りのボードスピードの重要性と下りのアンダープレー二ングでのパンピングについてアドバイス。
第8レースは風向150、風速7から9ノットでスタートしました。
●女 子
由里は、今度は角度を取りすぎ1上を12番以降で回航、下りでも他の選手がブローを見ながらパンピングをしてプレー二ングを維持して走る中、上手くプレー二ングをさせる事が出来ず最下位18位フィニッシュとなってしまいました。
●男 子
倉持は好スタートを切ったかに見えましたが痛恨のOCS。ボードスピード、コース取りも良かっただけにとても悔やまれます。上位に入りたいという強い気持ちが伝わってくるのですが、上ずってしまったのかもしれません。
8レースを終え、両選手とも長丁場と緊張の連続で疲れがピークの気配です。これは各国選手とも同じことです。ビッグレガッタを戦い抜くためには強い精神力と体力が必要です。苦しい折り返し点ですが頑張ってほしいと思います。そうした中、今日はレース後『ワールドカルティービレッジ』という文化教育プログラムに参加しました。
このプログラムは選手村内に各国のブースが作られ、様々な国の文化を探索し楽しい活動や伝統的なゲームに参加するものです。ブラジル、イスラエルなど5カ国のブースに行き国際交流とゲームをしてきました。
■成績 大会5日目終了
男子(21艇) 倉持 大也 4-7-10-8-7-11-7-(OCS:22) 8位
女子(18艇) 由里 汐里 12-11-12-12-13-(OCS:19)-12-18 13位
( )はカットレース
ニュージーランドブーストレーニング場でフランス選手たちと
6日目
6日目を終え、両選手とも頑張っています
海上待機大会6日目。今日はフリートレース最終日。選手たちはこれまでに経験したことのない1週間という長いレースでさすがに疲れているようです。
いつものように選手村内のトレーニング場でストレッチと軽いジョギング、食事(期間中同じメニュー)をし、バスで1時間かけレース会場のナショナルトレーニングセンターへ向かいます。当地の気温は25度から29度。たしかに暑いのですが日本ほどではありません。日差しを避ければ過ごしやすい気温です。建物の中やバスの中はエアコンの設定が低く、寒いほどです。
前日の予報通り、朝から10から12ノットの、よい風が吹いています。選手たちには、いつもの5つの事を話し、3レース予定なので一つでも順位を上げるように気を引きしめて行こうと話しました。スタートシークエンス5分前に風が落ち始めスタート時刻には、すっかり風もなくなってしまい海上待機に。炎天下の海上待機は辛いものがあります。泳いだり、水を掛け合って遊んだりと各選手様々に時間を過ごします。
その後、次第に風も入り始め、14時前、風速5~6ノットの中、フリートレース・第9レースがスタート。倉持にはスタート前、前日のOCSになったスタートを例にあげて、よいスタートをすれば自分のコースがきちんと引ける事をアドバイスしました。
●男 子
倉持は好位置でスタートを切りましたが、香港選手につぶされ、仕方なく右海面へ。思うようなコースが引けず、1上を15番で回航。2上では大小のパンピングを上手く使い分け9位で回航。そのままフィニッシュしました。このレースでは、下1からスタートしたイスラエルの選手が左のブローを早くつかみ、1上をトップで回航し、最後までそれをキープしてフィニッシュしました。
●女 子
由里はスタートに失敗。懸命のパンピングでも追いつくことが出来ず、下りのパンピングにも苦戦しながら、定位置の12位でフィニッシュ。このレースも、他選手とは圧倒的にボードスピードが違うタイの選手が1位フィニッシュ。この選手はフリートレースで6回も1位を取りました。とくにスタート後のスピードには目を見張るものがありました。
第10レース.風向が左に振れ120から130。風速は同じ5~6ノットの中、スタート。
●男 子
倉持はプラン通りのスタートが切れ、しっかりとしたコースを取ることが出来ました。今回覚えた大小のパンピングを使い分け、1上をロシアの選手に続き3位で回航。2上ではゴミがひっかかるアクシデントがありましたが、見事4位でフィニッシュしました。本人も満足げな表情でボートに戻ってきました。
●女 子
由里は、好スタートでしたが、いつもと同じようなレース展開になり、またもや12位フィニッシュ。
第10レースを終え、女子はタイの選手が2位以下と大差をつけ首位を独走。2位から6位までは3ポイント差で並ぶ接戦となっています。
明日はメダルレースです。カットレースにはなりませんが、全選手が参加します。最後のレースです。頑張りましょう。
■成績 大会6日目終了
男子(21艇) 倉持 大也 4-7-10-8-7-11-7-(OCS)-9-4 8位
女子(18艇) 由里 汐里 12-11-12-12-13-(OCS)-12-18-12-12 13位
( )はカットレース
男子スタート倉持4位でフィニッシュ
最終日
初のユース五輪閉幕
男子・倉持8位 女子・由里13位
最後まで大健闘の2選手にエールを
タイの選手たちと大会最終日。選手たちの顔つきが違います。
この期間毎回話してきた5つのポイント。この話をするのも今日が最後です。そして、選手たちには最後のレースを思いっきり楽しんでくるようにと声をかけました。
風が安定しないため予定時刻より1時間ほど遅れ、風向240、風速4から6ノット。13時前にメダルレース女子がスタートしました。
由里は、スタートは全てのレースを通して安定しているのですが、コース取りと下りのパンピングで苦労していました。1上を12位で回航。2上は懸命なパンピングをして1つ順位を上げ11位で回航。下りのパンピングも何とか踏ん張り、そのままの順位でフィニッシュしました。
女子の銀、銅メダル争いは、暫定3位で最終日を迎えた伊が1位でフィニッシュし銀メダル。同じく暫定5位の地元シンガポールが3位で銅メダルを獲得しました。
このレースは誰もパンピングをやめない凄まじいレースでした。常に上位にいたイスラエルの選手は、このレースでのスタート失敗が響き、メダル争いから脱落してしまいました。大泣きしてボートに帰ってくる彼女と、それを迎えるコーチを、一緒にコーチボートに乗っていた私たちは何も言えず下を向いてしまいました。
由里は、今大会でシングルを1本も取れなかったことを悔しく思いますが、これが初めての海外レースであること、ましてやユースオリンピックという大舞台で、とてつもない緊張の中で立派にレースを戦ったと思います。順位は振るいませんでしたが、この大会で彼女が得たものはとても大きいものだと思います。
男子は、風向230、風速5~6ノットの中、スタート。
倉持は、好スタートを切りましたが角度を取りすぎ、ボードスピードが伸びず、パンピングでも他の選手に追いつかれてしまいました。マークアプローチもオーバーして12位回航。2上では上りすぎに気付き、ボードスピードを保ち10位まで上がりましたが、シングルには届かずそのままフィニッシュ。
このレース、1ポイント差で銅メダル争いをしていた英国選手が好スタートを切り、しっかりとブローを掴み、ボードスピードも落ちることなく1位でフィニッシュ。同じく銅メダル争いをしていた韓国選手は3位でフィニッシュ。この順位を受け英国選手と6ポイント差で2位にいた香港選手が、まさかのスタート失敗。1上を8番で回航。「このままでは3位に落ちてしまう」とコーチボートに同乗していた香港コーチは祈るように選手を見ていました。その後、身体を生かした大きいパンピングで、1下で1人、2上で2人を抜き、5位まで順位を上げフィニッシュ。銀メダルを獲得しました。金メダルは、安定したレース展開で2位と9ポイントの差をつけたイスラエルの選手でした。
全レース終了後、新体操の決勝を観戦しました。セーリングはレース期間が長かっただけに、他競技を見る事が出来なかったので、選手たちは新体操が初めての観戦となり、興奮気味でした。
ユースオリンピックは、選手たちにとっては初めての長期間のレース。他競技選手との共同生活や、レース中は選手村の外にも出る事が出来ず、毎日私に口うるさく指導され、とても大変だったのではないかと思います。成績は思うようにはいきませんでしたが、当初は参加国枠すら取れず、また経験の少ない『テクノ293』、そして高校1年生という年齢などなど…それらを考えると二人は大健闘、見事な戦い振りだったと言えます。本当によくやったと思います。そして、今大会にも入っている文化教育プログラムに参加することで、多くの友達を作り、トップアスリートの話等も聞くことができました。セーリング競技をしていなければ、得る事の出来なかったものを今大会でたくさん得ることができました。今回の経験はおそらく今後もトップアスリートを目指すであろうふたりにとっての大きな財産になったことは間違いありません。さらなる飛躍を期待する次第です。
今後オリンピックを目指す上では、今回一緒にレースで戦った選手たちがライバルとなってくると思います。
この世界のライバルたちとレベルの高いレースが出来る様に共に努力していきたいと思います。
皆様、長いレース期間中の応援まことにありがとうございました。とても心強かったです。
また、現地にていろいろサポートしてくださった木村様、小田様ならびにレースディレクターのエドウィン・ロウさんに心からの感謝をささげます。
■大会最終総合成績(全11レース)
男子(21艇) 倉持 大也 4-7-10-8-7-11-7-(OCS)-9-4-10 8位
女子(18艇) 由里 汐里 12-11-12-12-13-(OCS)-12-18-12-12-11 13位
( )はカットレース
テクノ男子表彰テクノ女子表彰
バイト男子表彰バイト女子表彰