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オーストラリア ユースチャンピオンシップ
Report & Photo by 橋元郷・佐々木共之
日 程:2011年1月5日~1月10日
開催地:オーストラリア・シドニー
出場選手:
●レーザーラジアル級 男子
岡崎 一輝(埼玉栄高等学校)
國政 真平(佐賀県立唐津西高等学校)
●レーザーラジアル級 女子
土居 愛実(山手学院高等学校)
●レーザー4.7級 男子
北村 勇一郎(浜松市立三方原中学校)
●レーザー4.7級 女子
村山 仁美(東海大学付属高輪台高等学校)
帯同コーチ:佐々木共之・橋元郷
大会サイト:http://www.youthchamps.org.au/
開催地であるジョージズリバー セーリングクラブ前で健闘を誓う選手1月3日ラジアル級・4.7級の代表選手は寒い日本を離れ、オーストラリアのシドニーに無事到着しました。この海外遠征はISAFユースワールドおよび世界選手権強化遠征として計画された海外強化遠征です。2010年秋季に実施された選考大会で代表権を勝ち取ったラジアル級3名、4.7級2名の選手達が参加しています。
現地入りして3日目には、選手たちもシドニーでの生活に少しずつ慣れてきているようで、食欲もあり、南半球の夏を楽しんでいるようです。ようやくチャーター艇も受け取ることができ、チェックやフィッティングを入念に行い、午後から2時間程の海上練習をしました。
比較的フラットなコンディションの中で、船のスピードを落とさないために、風の細かなシフトやムラに合わせて、常にフルパワーで走れる様なセッティングを作る素早さと確実さが必要とされます。
また、波が出た場合に、波を超えるためのティラーワークとボティワークの体得も今遠征の目標です。初めてのことで戸惑いやストレスも有るかとは思いますが、一つひとつクリアしていって欲しいです。
明日(6日)は、午後からプラクティスレースとオープニングセレモニーが予定されています。
大会終了までの間、シングルハンドチームの課題とする強風域での帆走をレベルUPするため集中して取り組んでいきます。現地での遠征生活を含めレポートしていきます。
AUSレーザー銅メダリストと記念撮影で気力もUP朝取トレ後のカフェでの朝食…ボリュームが違います
待望のチャーター艇を念入りにチェックしますセーリングしている真上を飛行機が飛んでいきます
久しぶりの白米ご飯の夕食に思わず笑顔が…
Practice
4.7クラス北村選手第1マークトップ通過!本日は各種目ともプラクティスレースが行われ、
150°〜160°・7〜9m/secのコンディションの中、
ラジアル:約20艇
4.7 :約30艇が出走していました。
日本チームは、12時半から出艇し、14時の予告信号までの間海面のチェックと強風でのダウンウィンドの走り方の指導を佐々木コーチから受けていました。
プラクティスレースでは、4.7クラスの北村選手が、第1マークをトップで通過し、昨年末の和歌山合宿中に、強風下で練習した経験が活かされているように感じました。また、ラジアルクラスの土居選手も、ダウンウィンドの走りが良く、両選手ともに明日からのレースに期待が持てます。
プラクティスレース後はクローズホールドを中心に走り方のチェックを佐々木コーチから受けました。帰着後は、艇のチェックとハル磨きを行い、明日からの本レースを前に準備を整えました。そして、18時からはオープニングセレモニーが開かれました。ここでは、オリンピック470級の金メダリストセーラーを招いて、講演や質問コーナーを設けるなど今大会が単なるレースではなく、現役のトップセーラーと直に触れる機会を作り、ジュニアユース世代に高い目標と意識を抱かせる様な努力が見られる大会であると感じました。
また、日本国内のレースより圧倒的に参加数の多い4.7クラスの村山・北村両選手は、その数の多さに驚いていました。しかし、その驚きと同時に、高いレベルの集団の中で、次へのステップとなる技術や精神力を獲得していって欲しいものです。
明日は、ラジアル・4.7クラスともに、2レースが予定されています。
日本選手の走りに期待です!
朝のトレーニング風景日本ではめったに見られない4.7クラスの集団
1日目
第1レース4位でフィニッシュする土居選手本日はラジアルクラス、4.7クラスともに予定通り2レースずつ行われました。
第1レースは、155°・3~5mのコンディションで、ラジアルクラスの土居選手は、アップウィンドでのボートスピードが良く、男女合わせた中で4位フィニッシュ。男女合わせて42艇参加の4.7クラスの北村選手は1位、村山選手も4位でフィニッシュしました。
風向・風力ともに不安定な状況の中行われた第2レースは、第1マーク145°・4~5mの設定でした。ここでは、レース中盤からの雨の影響から左海面から来た雲の吹き下ろしの風を上手く掴み、土居選手5位、國政選手7位でフィニッシュしました。
常に先を読み、得られる情報すべてを考えてレースすることの大切さを改めて学んだことと思います。
また、特にラジアルクラスの選手は、フリーで抜かれてしまうことが多く、もっと積極的に体を使って波に乗せたり、スピードを落とさない様なティラーワーク・セールトリムを実行することが課題として挙げられました。
本日は、4.7クラスの全艇にトラッキング装置を積むことが義務付けられ、すべての選手のレースごとの航跡を大会HPから見ることが出来るという、昨年末のセールシドニーと同様の取り組みも見られました。自分のレースを客観的に考察出来ることは、ジュニア・ユース世代の選手にとって、とても良いチャンスであると感じました。
明日は、3レースが予定されています。
今日のレースを反省し、明日からのレースで実際に行動に移して、より上の成績と技術を得て欲しいです。
■総合成績:1日目終了時
●レーザーラジアル級
【男 子】
岡崎 一輝 21位 12-25
國政 真平 20位 30-7
【女 子】
土居 愛実 3位 4-5
●レーザー4.7級
【男 子】
北村 勇一郎 4位 1-10
【女 子】
村山 仁美 2位 4-3
4.7クラス北村選手第1マークトップ通過!4.7クラス第1レースからブラック旗の洗礼
2日目
ラジアル 第5レース GBR,AUS,FRA,SIN男子と互角に戦う土居選手しかし…大会4日目。レース2日目の本日は、ラジアル・4.7クラスともに予定通り3レースが実施されました。
初めは左右から交互に風が入り、風向75°-95°、3〜4mの風、第1マークは85°設定で風の振れの間を取ったマーク設定でした。そんな中、運営側も一度はスタートを試みたものの、振れ幅が大きく、しばらくの間振れが収まるのを待つこととなりました。そして、ようやく始まった第3レース、先にスタートしたラジアルクラスでは、まだ大きな振れが残っており、ラジアルの3選手ともにいくつかの風の振れに合わせられず中位に沈んでしまいました。
しかし、4.7クラスがスタートする頃には振れ幅も小さくなり、北村選手は持ち前のスピードとシフトに上手に合わせ大差で1位フィニッシュ。
北村選手は、その後も上手くまとめ、本日は1-6-2で、総合トップに立っています!
前日2位のラジアル土居選手は、第5レースAUS、GBR、FRA、SIN男子選手と激しい上位争いを繰りひろげて2位でフィニッシュ、7mまでは男子に負けない自信がつきました。しかし、残念ながら記録はBFD! カットレースを作ってしまいました。
ラジアル岡崎選手は、スタートと風の振れの読みが上手くいかず、少し苦しいレース展開を余儀なくされています。スタートの良いポジショニングと風の正確なデータ収集が求められます。
同じくラジアル國政選手は、スタート・レース展開ともに良い時と悪い時の差が大きく、落ち着いて状況を判断するとともに、良い点と悪い点を次のレースに反映させることが大切です。
また、夜のミーティングでは、ラジアル土居選手と4.7北村選手が、海外のトップ選手とランニングの走りで自分との違いを痛感したことから、ランニングでの走りを明日からの課題として挙げていました。
レースも半分を消化し明日からは後半戦です! 全選手とも、まずはスタートで飛び出し、第1マークを目標の10位以内で回航することを目標に、チャレンジして欲しいです。
■総合成績:2日目終了時
●レーザーラジアル級
【男 子】
岡崎 一輝 28位 12-25-36-(44)-27
國政 真平 24位 30-7-(33)-18-26
【女 子】
土居 愛実 3位 4-5-24-9-(51)BFD
●レーザー4.7級
【男 子】
北村 勇一郎 1位 1-(10)-1-6-2
【女 子】
村山 仁美 30位 4-3-(46)DNC-46DNC-46(DNC)
ラジアル男女各1位選手が着用するオレンジビブを付けるラジアル土居選手なんとか前の集団にくらい付きたい國政選手
3日目
4.7クラス首位を守った北村勇一朗日本チーム共通の課題のスタート!レース3日目、本日も昨日に引き続き、ラジアル・4.7クラスともに3レースが実施されました。本日は、これまでよりも左から7〜8mの風が吹いていました。定刻の11時にラジアルの第6レースがスタート、午後2時半には4.7の第8レースが終了し、なんと約3時間半で両クラス3レースを消化するとてもスピーディなレースデイでした。
各選手がそれぞれ、良い点と課題となる点を発見し、レースの合間で確認と実証を繰り返す中で、上手くいかないときでも、諦めず辛抱強く上を目指す心が大切であると感じた日でもあったと思います。
4.7の北村選手は、8レースを終了した時点で依然、総合1位に立っています。しかし、3位まで1点差の大接戦です。1位を守りきれるか、明日も頑張って欲しいものです。
その他の選手も、残り2レースで少しでも多くの収穫を持って帰れるよう、それぞれのベストをつくせることを期待します。
また、現地入りして7日目ともなると、友達になった選手や顔馴染みになった人とコミュニケーションを取るシーンが多く見られるようになり、積極的に話すことや英語の能力の必要さについて、チーム内で話し合う場面も見られました。今強化遠征が、競技力の向上とともに、海外にライバルを見つけたり、海外でのレースなどでも臆すること無く自己主張できる様な能力の習得も目標としているため、その成果が表れているのでは無いかと感じました。
それでは、明日のレース最終日を前に各選手のコメントを紹介します。
●岡崎選手
「自分のトップスピードを出して、シフトに翻弄されないよう、自分の好きなコースを引きます!」
●國政選手
「明日の2レースとも目標の15番以内に入ります!」
●土居選手
「スタートをしっかり決めて自分の走りをして、海外のトップ選手の走りを見て勉強したいです!」
●北村選手
「いつも通り自分の走りをして、1位を取ります!!」
●村山選手
「今日得た感覚を持ってダウンウィンドで抜かれないような走りをして、2上マークへのクローズを落ち着いて走りたいです!」
■総合成績:3日目終了時
●レーザーラジアル級
【男 子】
岡崎 一輝 36位 12-25-36-(44)-27-38-41-44
國政 真平 25位 30-7-(33)-18-26-32-(40)-23
【女 子】
土居 愛実 20位 4-5-24-9-(51)BFD-31-19-25
●レーザー4.7級
【男 子】
北村 勇一郎 1位 1-(10)-1-6-2-1-(11)-2
【女 子】
村山 仁美 23位 4-3-(46)DNC-46DNC-46(DNC)-18-18-17
スタート時マストが折れた4.7クラス2位選手オーストラリアで誕生した29erはやはりかっこいい
毎朝おにぎりを作ってます
最終日
4.7クラス優勝の北村勇一朗選手ラジアルクラス女子3位に入賞した土居愛実選手レース最終日、ボタニー湾は本日も当たり前のように6〜8mの風が吹き、残されていた2レースを消化し予定されていた10レースすべてを実施しました。
前日の第8レースを終えて首位に立っていた4.7クラスの北村選手は、本日の第9レースを1位でフィニッシュし、最終レースを待たずして4.7クラスでの優勝を確実なものとするほどのシリーズ成績でした!
また、1つ1つではあるものの、全選手とも前日のミーティングで挙がった課題を着実にクリアしていこうとする姿が見え、日本のユース世代の代表となった今回の選手達のモティベーションの高さと、技術や情報の吸収力の素晴らしさを見せられました。
レース後、ビーチに戻った後の選手の顔は、悔しさが見え隠れするものの晴れ晴れとしていて、選手本人の中に新たな目標が出来たのではないかと感じられました。
そして、夕方からは表彰式とパーティーが行われ、4.7クラス優勝の北村選手とラジアルクラスで女子3位に入った土居選手がそれぞれ表彰されました。Represented from Japan!!(日本代表! の意)と紹介されると、会場全体から一際大きな歓声が上がり、選手達を祝福していました。
さらに今大会は、420クラスを除いて今年のISAFユースワールドのオーストラリア代表を内定する大会であるため、表彰式後に代表内定選手が紹介されました。ジュニア・ユース時代から同年代の代表選手と切磋琢磨していくことが、国全体の競技力を向上させるために不可欠な要素であると改めて感じました。
最後に期間中、応援してくださった皆様ありがとうございました。
今回の強化遠征で収穫できたことを選手・スタッフともに次のステップへ繋がるようこれからも努力していきます。
■大会総合成績
●レーザーラジアル級
【男 子】
岡崎 一輝 39位 12-25-36-(44)-27-38-41-44-44-(45)
國政 真平 28位 30-7-(33)-18-26-32-(40)-23-(34)-34
【女 子】
土居 愛実 21位 4-5-24-9-(51)BFD-31-19-25
●レーザー4.7級
【男 子】
北村 勇一郎 1位 1-(10)-1-6-2-1-(11)-2-1-8
【女 子】
村山 仁美 23位 4-3-(46)DNC-46DNC-46(DNC)-18-18-16-15-33
強風の洗礼を受けつつも果敢に挑戦した村山選手今大会で選考されたISAFユースワールドAUS代表選手
表彰式後の食事の様子(NSWの選手も加わって
日本選手で記念撮影