最終日
2011 RS:X Youth World Windsurfing Championships
2011 RS:Xユースワールド
ウインドサーフィン世界選手権
Report & Photo : 宮野 幹弘
Edit : オリ特・広報委員会
開催地:イタリア・カリアリ
レガッタ期間:10月24日~28日
日本代表選手:
●男子:倉持大也(東京・東亜学園高等学校)
●女子:由里汐里(京都府立西城陽高等学校)
大会公式サイト:http://www.windsurfing-cagliari2011.eu/
大会閉幕 世界に学べた貴重な経験
男子倉持 69位 女子由里25位
男子スタート3秒前由里最終レーススタート10月28日 大会最終日
今日は朝から曇り空です。最終1レース、予報とは違い風もあまり入っていません。
出艇前に選手たちにスタートの位置取り、風の傾向などをアドバイスしました。
男子からスタートです。倉持は、良いポジションからスタートすることができ、そのまま左へ、岸沿いに入ってくる風をうまく使い上マークを9位で回航しました。1下までは変わらず2上へ、ここで風の入り方をしっかり説明したはずでしたが、他の選手と一緒に右へ行ってしまいます。1下回航後右へ伸ばした選手は後続艇の左へ伸ばした選手にことごとく抜かれてしまいます。倉持も15位まで順位を落とし最終レースをフィニッシュしました。今日の目標であったシングルを取るまであと少しでしたが、残念です。
引き続き女子がスタートしました。トップ艇10名は午後からメダルレースのためこのレースには出場していません。そのためスタートには余裕があったのですが、由里はタイミングが遅れてスタート。プレーニングコンディションでもしっかりセイルを引き込めるようにはなったのですが、波が入るたびにセイルが開きボードへのプレッシャーを掛けることができません。スタート後、他艇のブランケもあり、下って行ってしまいます。結局このスタートが響きいつもの順位でフィニッシュしました。
午後からはメダルレースが行われ、男女共に圧倒的な速さを見せたポーランドが優勝
女子のクラスは1位から3位までポーランド選手入るという結果になりました。
今回は男女ともにポーランド、フランスが参加人数や上位に入る選手たちも多かったこともあり、これら強豪国の強化システムや強化方針を聞くことができました。今後の選手強化の参考にしていきたいと思います。
今大会は、初めての世界選手権と言う事もありましたが、他国選手の体格の大きさにはまったく驚かされました。ユース五輪に出場していた選手たちのほとんどはゴールドフリートでレースをしていました。皆1年前とは違い、しっかりとしたトレーニングを行っていたようです。
大会をなんとか無事に終えることができましたが、倉持、由里ともにフィジカルトレーニングの重要性、今までのプレーニングとは違うレースとしてのプレーニング、他の選手のまねではなく自分に合ったセッティングなどなど…いろいろな事を今大会で学習したと思います。この貴重な経験を生かし、さらに飛躍してもらいたいと思います。
日本の皆様には最後まで応援していただきありがとうございました。
今大会は、会場が「島」でしたので、自分たちのボードを持ち込むことができませんでした。そのような中、RS:X艇をチャーターするために、ご協力してくださった皆様にも御礼申し上げます。
【倉持のコメント】
「初めて海外の選手と強風下でレース行いました。体格差や体重差での角度、スピードの違いを痛感しました。プレーニングでのレース経験不足があったので、スタート後のポジション取り、コースの引き方などの課題も多く見つかりました。この事を今後に生かして練習していきたいと思います。大きく頑丈な身体作りのためのフィジカルトレーニングもしっかりやりたいです」
【由里のコメント】
「今回のレースで、自分の体力の無さや、他の選手との実力の差を実感しました。基礎体力作り、基礎練習をしっかり行い、今後とも努力していきたいと思います」
大会ホームページ:http://www.windsurfing-cagliari2011.eu/
【大会最終日 総合成績】
倉持大也〔男子:16か国・86選手〕11レース
69位 38-37-35-33-(OCS)-31-14-28-20-14-15
由里汐里〔女子:11か国・29選手〕10レース
25位 27-27-25-25-23-(DNF)-DNF-27-25-24-23
倉持2上へ由里最終ジャイブマーク回航
4日目
世界の走りを目の当たりに、学習の毎日
がんばれ! 2人のウインドチームJAPAN
倉持最終スラローム大会1位のポーランドの選手10月27日 大会4日目
今日は朝からしっかり風が入りプレーニングコンディションで予定通りにレースが始まりました。
125~130°・11~13ノット・Max15ノットの中、最初に女子がスタートしました。
由里は、好スタートを切るのですが、その後波に押されてうまく角度を取ることができません。いつもの順位で上マークを回航、フリーで前の集団に追いつきますが、2上で再度差をつけられ、27位のフィニッシュでした。
次のレースが始める前に、セイルの引き込み方、体重のかけ方、セッティングを再度アドバイスしました。レースがスタートしましたが、何とかついていけるようにはなったものの、波に押されるたびにセイルが開き失速してしまいます。最後のフリーで何とか2艇を抜きことができ25位でフィニッシュ。3レース目も同じような展開になり、24位でした。
続いて同じコンディションの中、男子がスタートしました。倉持も、好スタートを切るのですが、その後の位置をしっかり維持することができません。角度、スピード共にうまく維持することができずに28位でフィニッシュしました。
倉持にはスタート後の角度の取り方、相手艇との位置関係をアドバイスしました。
その後のレースでは、スタート後角度も取れたのですが、相手艇と自艇との位置関係を嫌いタック返ししてしまいます。前レースと同じような順位で上マークを回航、2上で22位まで順位を上げ、得意の最終スラロームレグで2艇を抜き20位でフィニッシュ。再度、位置関係、波に対しての後ろ足の使い方、セイルの引き込み方をアドバイスしました。3レース目はスタートから攻め、角度、スピード共に今までで一番良い走りで1上をシングルで回航しました。その後のフリーでは波に叩かれダガーが出てきてしまい順位を落としてしまいますが、2上で再度挽回し、最終スラロームレグでも2艇抜き14位でフィニッシュしました。倉持は今日のレースで他国選手とは体格は違うが、自分なりのセッティングで走ることがわかったようです。今日の3レースで総合66位まで順位を上げることができました。(掲載写真の対比をよくご覧ください)
2選手ともに当初とは変わり、自分なりのセッティング、フォームなど、どのようにすれば波に押されないかを考えて、逆に私に話してくるようになりました。
明日は大会最終日です。今日の風がさらに上がり、ハードコンディションが予想されます。
学習効果を発揮して、さらに順位が上がるように頑張っていきたいと思っています。
大会ホームページ:http://www.windsurfing-cagliari2011.eu/
【4日目終了時成績】
倉持大也〔男子:16か国・86選手〕10レース
66位 38-37-35-33-(OCS)-31-14-28-20-14
由里汐里〔女子:11か国・29選手〕9レース
26位 27-27-25-25-23-(DNF)-DNF-27-25-24
3日目
風無く、夕方から男子1レースのみ
倉持、気合のパンピングで11人抜き
最終レグバトル10月26日 大会3日目
今日は昨日とはうって変わって清々しい朝を迎えました。
男子は前日で6レース予選ラウンドが終了、今日から決勝ラウンドです。
倉持はシルバーフリート(予選44位以下)でのレースになります。
予報通り朝から無風でしたが、陸上の回答旗は上がらず選手たちは、レース海面へ向かいました。
レース海面も風はなく、海上で回答旗が掲揚され2時間ほど海上でウェイティング。
その後も風は上がらずに一度帰着することになりました。各選手には、最後まで諦めずにパンピングをすること、セイルの引き込み、パンピング時の腰の位置などをアドバイスしました。夕方になりようやく風が入り始め、風向160~170°、風速5~7ノットでレースがスタートしました。
倉持はスタートでフランスの選手と接触をし、ペナルティを解消後、猛パンピングで1上へ向かいました。そこから風を見ながらパンピングをやめることなく順位を上げ2上で10人抜き、15番まで上がり最後のスラロームレグでも1人を抜き14位でフィニッシュしました。得意な風域だっただけにスタート時の接触が悔やまれます。今日はこの1レースのみでした。
女子のレースは、スタートはしたものの、急激に風が落ちたためキャンセルとなり本日レースは行われませんでした。
夕食はイタリアレストランに行きました。その時倉持は、今日のレース最終スラロームレグでバトルを繰り広げたスウェーデンの選手と笑顔であいさつをして、レースの話をしていました。他国の選手との交流は国際大会でなければ経験できない事だと思いますし、お互い一生懸命レースに臨んでいるからこそできることだと感じました。大会後半に入り選手たちは、自分たちでいろいろな事を考え行動し、他国の選手ともコミュニケーションを取れるようになってきました。臆することなく、もっと大勢の選手たちとコミュニケーションを取り多くの仲間を作ってもらいたいと思います。
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【3日目終了時成績】
倉持大也〔男子:16か国・86選手〕
73位 38-37-35-33-(OCS)-31-14(本日決勝ラウンド1レースのみ)
由里汐里〔女子:11か国・29選手〕
25位 27-27-25-25-23-(DNF)-DNF(本日レースキャンセル)
倉持猛パンピングで2上へ由里風待ち
まさかの2時間海上待機
2日目
高い波と強風を克服できず
厳しい試練が続く2人
倉持1下へ波で下マークが見えない10月25日 大会2日目
今日は昨日からの風が続いて海上は大荒れ状態です。スタートラインから下マークが見えないほどの波です。このハードコンディションの中、定刻通りに女子クラスから風速18~20ノット、130°でスタートしました。
由里は昨日アドバイスした乗り方がしっかりできていたせいか好スタートを切り、途中までよかったのですが、ポートで横からくる波に押され角度を取れずそのままアプローチに入り上マークを回航。その後順位も変わらず、スラロームレグですべてのマークで波にうまく乗ることができませんでしたが、ジャイブを失敗しながらも何とか順位を落とさず23位でフィニッシュしました。
2レース目は、途中でスタラップに足を入れたまま波に押されて飛ばされてしまい足を故障してしまいました。何とか最後まで頑張りましたがDFN。続く第3レースもボードを抑えることができずリタイアしました。
着艇後、救護室で見てもらったところ軽い捻挫と診察され、安静にしてアイシングをしています。明日のレースには問題ないとのことでした。
倉持は第1グループでのスタートです。スタートの感覚をつかんできたのか、第4レースは好スタートを切りましたが、波の中しっかりボードを抑えトリムすることができずに定位置で上、下マークを回航。最終スラロームレグのマーク回航で数艇を抜き33位でフィニッシュ。続く第5レースは、スタートを攻めOCSを取られてしまいました。第6レースも第4レース同様にスタートはよかったのですが、ボードコントロールができない事でセイルがばたつきスピードを伸ばすことができずにいつもの位置でのフィニッシュでした。
今日もユース五輪組はこのハードコンディションの中みんな苦しんでいました。
3レース共に昨日同様に男女ともにポーランド、フランスの選手たちが上位を占めています。そして上位の選手はしっかりとしたハンドリング、ボードトリムで大きな波の中でも安定した走りを見せていました。それを見るにつけ、どれだけ多くハードコンディションの中で練習しているのか?が重要であることを改めて実感した次第です。
明日は微風の予報が出ています。また違うレース展開が予想されます。
2日目を終え、学ぶことだらけの日本チームですが、めげずに頑張ってもらいます。
大会ホームページ:http://www.windsurfing-cagliari2011.eu/
【2日目終了時成績】
倉持大也〔男子:16か国・86選手〕
73位 38-37-35-33-(OCS)-31
由里汐里〔女子:11か国・29選手〕
25位 27-27-25-25-23-(DNF)-DNF
1日目
大会初日 波と強風の中
倉持、由里とも本来の走りができず下位に
由里好スタートだけど10月24日 大会第1日
今日はいつもと違い朝から曇り空。朝食前にジョギング、体操をすませました。
男子は、2つのグループに分かれ倉持は第2グループでのスタート、女子・由里は男子の後のスタートとなりました。セッティング、準備をしている間に青空が広がり、気温も上がり、風が無くなり回答旗が掲揚。1時間ほどすると南東の風が入り始め、正午前風向140°、風速13~15ノットで倉持がスタートしました。彼はプレーニングスタートに慣れていないせいなのか、上側の艇のブランケに入り出遅れてしまいました。この出遅れが響きフリーで数人を抜くもそれ以上順位を上げることができませんでした。スタートが思っているより全体が早く進んでいることを話し、第2レースがスタートしましたが、また同じことをしてしまい1レース目同様に順位は変わらずでした。再び同じことをアドバイス。また実際に3秒ほどほかの選手より、走り出すタイミングが遅いから自分が思う3秒ほど早く走りだすように指示をしました。第3レース、さらに風向は左に振れ125°、風速は上がり16~17ノットの中スタート。今回は好スタートを切ったが、スタート直後ガスケットがはがれてしまい何とかフィニッシュするも相変わらずの順位に終わりました。
一方の由里も波があるコンディションでうまくボードトリムができず、思うように走ることができません。レースの合間にトリムについてアドバイスをして第3レースへ、このレースも順位は変わることがありませんでした。上りでは、波に押されてしまいうまく角度を取ることができず、下りではしっかり引き込み走ることができて、少しだけですが順位を上げることができました。
レース終了後ビーチに帰る際、上りのフォーム、下りでのアウトのテンションなどを話し、20分ほど練習をしてビーチに戻りました。
この日速かった選手たちは身長180㎝以上の大人顔負けの大きな選手たちでした。彼らが上位を独占しましたが、特にポルトガル、フランスの選手らにはテクニック、艇速など目を見張るものがありました。女子ではポーランドの選手たちが上位を独占、ユース五輪銀メダリストのイタリアの選手が上位に食い込みました。ユース五輪に出場していた他国の選手たちは、上位に入りませんでした。
男子は特にテクノからRS:Xへ艇種を変更する際にしっかりとした体力作りをする必要があることを痛感しました。
明日も同じコンディションの予報が出ています。今日の反省を踏まえて、同じミスを繰り返さないように少しでも上位に入れるように頑張っていきたいと思っています。
大会ホームページ:http://www.windsurfing-cagliari2011.eu/
【初日成績】
倉持大也〔男子:16か国・86選手〕
順位不明 38-37-35
由里汐里〔女子:11か国・29選手〕
順位不明 27-27-25
倉持第1レース4分前ビーチは大混雑
倉持出艇由里出艇
RS:X Youth World
日本から男子・倉持、女子・由里が出場
レースは24日から28日まで
開会式での行進10月22、23日
日本から22時間かけて、RS:Xユース世界選手権開催地のイタリア:カリアリに到着しました。カリアリは、サルディニア島の南、ローマから西へ700km程のところに位置しています。気温は18~21℃くらいでとても過ごしやすくエメラルドブルーの海がとても印象的です。ここは、風が吹く事でも有名で今回もロンドン五輪に向け、多くの選手たちがトレーニングに訪れています。
今大会に日本は初参加です。日本代表2名の選手は、男子:倉持大也(17歳:東京・東亜学園高等学校)、女子:由里汐里(16歳:京都府立西城陽高等学校)です。特に由里は世界選手権が初めての体験とあって受付や計測も緊張の面持ちですが、大会参加はとても良い経験になっています。帯同コーチは私・宮野です。
22日は受付、計測を行い、道具の確認を行いながらセッティングをしてプレーニングコンディションで2時間ほど艇速練習、セッティングの確認を行いました。今回はテクノ293ヨーロッパ選手権も同時に開催することもあり、欧州各国から多くの選手が集まりウインドサーフィンの競技人口の多さを実感しました。
今大会の見どころは、男女ともに2010年に行われたユースオリンピックに出場した選手たちがテクノ293からRS:Xに艇種を変えてレースをするところです。その中でもメダリストがどのようなレースを行うのか、日本代表選手はその選手たちとどのように戦っていくのかもとても楽しみなところです。期待の倉持はISAFユースワールドで悔しい思いをしているだけに、今大会はそのリベンジに燃えています。
明日からいよいよレースが始まります。応援よろしくお願いします。
《参考》RX:S級の艇種案内:http://jsaf-osc.jp/cn08/pg04-04.html
計測準備ホテルの近くの池にフラミンゴ