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最終日



2012 AUSTRALIAN LASER CHAMPIONSHIPS
2012 レーザー
オーストラリア選手権

Report & Photo : 佐々木 共之

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開催地:オーストラリア・ブリスベン
レガッタ期間:12月27日~1月4日 
日本代表選手:
多田桃子(シエスタ)
土居愛実(山手学院高等学校/神奈川ユースヨットクラブ)
帯同コーチ:佐々木共之

大会公式サイト:http://www.rqys.com.au/index.php/2012-australian-laser-championship/
成績表:http://results.rqys.com.au/12-AustralianLaserChampionship/12-AustralianLaser-Radial.htm


2人の大きな飛躍を予感させる 最終レースの走り
大会閉幕 土居愛実 総合16位 多田桃子 同24位


1月4日:6日目(決勝 2日目/最終日)Race11,12
 今日も1レース目は軽風でのスタートとなりました。最終日の今日、出発前に3名でミーテングをおこない、これまでの課題と成果を再確認し残り2レースの取り組み方を打ち合わせ、宿舎を出ました。
【課題1】
・スタートの位置取りと加速のタイミング→ハードなハイクアウト
・集団に並走できる帆走→完璧なバランス、スピード維持、ハードなハイクアウト
            土居…ボディーアクション、多田…ハイクアウト維持
・タック後の加速→男子のような力でヒールを起こすタックへの取り組み
・第1マーク回航前後のスピード維持
・リーチング/フリー時の上半身を含めた前後移動→メイントリム→上半身のバランス取り 
 と合わせたラフィングとベア-
・最終レグのハードハイクアウト
【課題2】
・コースプランを考える習慣→艇速が遅い状態でのコース取りの修正
・リーチングでの位置取り→守り方と抜き方
・第2マークでの位置取り→混戦状態での回航方法
・フリーの位置取り(混戦時の位置取り)→風の受け方
・第5マーク回航→位置取りと回航方法
・最終の上り(クローズ)の戦術とフィニッシュラインのアプローチ
*レース前ルーティーンはチームとして士気を高めておこなう

1201_radial-AUS_40.jpg軽風では互角の戦いができ、5位獲得の土居1201_radial-AUS_41.jpg女子優勝のKrystal選手を追う土居1201_radial-AUS_42.jpg11レース第1マーク回航の多田【Race11 35°3~4m コース:O-2】
このレース、土居は中央から下寄り、多田は上寄りからのスタートです。スタートライに付きだしてから徐々に風下に振れだした中、左海面に向かう集団に軽いブローが入り始めます。昨日までの右上奥に陸を位置するエリアから離れたため、右に伸ばす集団には風も弱く陸ベンドも入らない状況です。スタート位置から土居は左に、多田はスタートミスもあり右に逃げのタックを打たざるをえない状況。ここで明暗がわかれました。集団と共に並走しながら第1マークを目指す土居に対し、集団と並走すら困難な多田は第1マーク38位と出遅れます。土居は接戦の10位でマーク回航、この風域ではスピードに負けていません。その後リーチングで好位置につけ、フリーでは混戦の中からも風をとらえ2艇を抜いていきます。特に上半身の使い方が上手くなって、リグは揺らさない丁寧な前後・円運動ができてきました。徐々に前に出られる走りに繋がっています。第2上マークまでは上位8艇に対しブローをつなぎながら長いレグを走り5位に浮上、その後は危なげなく他艇を離しました。多田は第1マークでの回航順位に加え軽風下のスピードが少し足りません。ブローの強弱、シフトで前に出せない走りから苦しい34位でレースを終えました。

【Race12  35°5~6.5m コース:O-2】
下有利の中、土居は風下集団12番手、多田は中央から最高のスタートです。二人とも今大会の一番のスタートを切りました。特に風上艇への位置取りは非常に良く、走りだしも最高です。3分ほど走ったあたりから、左からのブローが入り下スタ集団はそろってタックしていきます。土居も合わせて返せる位置をキープします。多田はスタート後の走りで少し遅れ、集団の後ろを通って左に出てからタックしてトップ集団を追いかけます。左からのブローが入りだし風速も6mに上がります。多田はスタート後の差をこの場面で挽回し12位まで上がってきました。ファーストタック後の集団との位置関係では6位にいた土居は、集団と並走している中で「少し競り負け」振れに合わせたタックが1回出来ませんでした。11番で回航、多田とそろってリーチングに入ります。リーチングでは先行艇に対し落とし目に走った土居、風上位置をキープした多田の順位が入れ替わります。そのまま混戦でフリーに入ります。フリーでの順位は変わらず土居11位、多田12位。6.5mまで上がった中、上マークを目指します。その後も課題であるハードなハイクアウトに挑戦し、土居14位・多田16位で最終レースを終えました。

総合成績は土居愛実16位(女子4位)、多田桃子24位(同6位)でした。今回は3人だけの遠征でしたが、2人は一生懸命、ひたむきに走りました。それぞれにエールを送りたいと思います。

【大会を終えて:佐々木共之の総括】
決勝に入り順位が落ち込むことがありましたが、それは「接戦状態が増えたことから、わずかに位置取りが困難になった(スピード/ハンドリング)」こと、その中で「自らのミスやロスが増えた事(帆走技術の完成度/思考能力)」が原因でした。最終レースではそれらの抑えるべきミスとロスが最小限にとどめられ、先の艇団の動きと風を考える習慣を実行できたことで実りある最終レースになったと思います。
今大会では上位陣のスピードと自分たちの差を客観的に理解し(認め)その中でもヨットレースができる判断力を学び習慣化することを目標にしました。ユースを卒業したばかりの両選手とラジアル世界選手権で活躍する女子選手との差は大きいと感じましたが、近い将来、必ず互角にレースができると確信しました。

最後に本大会への参加に当たり、各方面から多くのご協力ご支援を頂きましたことに感謝申し上げます。今後ともジュニア・ユース、U-22 (NTホープ)選手を応援いただきますようよろしくお願いいたします。


大会最終総合成績
レーザーラジアル級【男女混合】83艇 全12レース(ディスカード:2レース)
24位 多田桃子 13-9-8-14-10-15-(18)-12-24-21-(34)-16=142
16位 土居愛実 8-(17)-11-8-12-11-13-11-(16)-14-5-14=103

大会ホームページ:http://www.rqys.com.au/index.php/2012-australian-laser-championship/

1201_radial-AUS_43.jpgスタートの位置、加速が良くなりました1201_radial-AUS_44.jpgそろって第1マーク回航の最終レース
1201_radial-AUS_45.jpgフィニッシュまでしぶとい走りができるようになりました1201_radial-AUS_46.jpg6日間の大会を無事終えた多田、土居選手

7日目


決勝初日 土居16位(女子4位)多田24位(女子6位)
日本チームに必要なものは
「ハードなハイクアウトを続ける帆走能力」


1201_radial-AUS_34.jpgレース前の二人揃ってのスピードチェックも日課となりました1201_radial-AUS_35.jpgフリー帆走のリーチテンションもコーチも加わりチェックします1月3日:5日目(決勝初日) Race9,10
いよいよ決勝ラウンドが始まりました。日本チームの2艇はそろってスピード練習をおこないながらレース海面に向かいます。ブリスベンに来てから強風中心のレースでしたが、今日は風の入りが遅く、軽風のレースがひとつ出来ました。

【Race 9 85°4-3m O-2(Gold )】
スタートラインチェック時に吹いていた風が20秒前に下に振り、併せて風速が落ち傾向になりました。レース海面は風の強弱がはっきりしブローに乗れない艇からどんどん離れていきます。多田は上側からのスタートで出遅れ、タックして振れに合わせますがブローが十分に届かない位置で苦戦しました。土居は中央アウター寄りからスタートしましたがスタート後、即タックしてきた艇団を受けることができず、艇団の後ろを通りブローを取りに行きます。この間のヘダ―を走る距離が長すぎました。土居21位、多田30位で第1マークを回航。風は3mまで落ちさらに70°まで左に振りました。下マークではC旗が揚がり、コース変更。ここまでで二人は共に4艇を抜き、第2上マークまでのコース引きでも二人とも1レグ目のミスを取り返す「ブローをつないでリフトをより長く走る」丁寧な走りで土居11位、多田20位に浮上。さらに土居はフィニッシュまでの上りで、タクティクスをしっかり実行し、直前の艇を僅差で抑え充実したレースとなりました。

【Race10 110°6.5m I-2(Gold)】
海風がしっかり入るまでレースは延期され14時スタンダードクラスから再開です。
やはりGoldフリートになるとスタートの攻防が激しくなります。自艇の風下にスペースを取り過ぎていれば、他艇が割り込んできます。このスタートでも土居は15秒前に風下に割り込まれ、スタート失敗。タックして挽回を図ります。
第1マーク付近での風向は岸に近づくにつれ右にベンドする傾向です。その位置までブローとリフトをつないで集団に負けない位置関係で行けるかがポイントです。帆走している姿からトップ集団と日本チームの二人のハイクアウトの差が感じられます。集団と共に良い位置で走りだしても、数分後にはタックして逃げなければならない状況は、タック回数を増やし、競い合うステージから徐々に下がってしまいます。日本チームに必要なものはスペシャルテクニックでなく「ハードなハイクアウトを続ける帆走能力」という地味ともいえる取りくみであると痛感しました。
土居14位、多田21位でフィニッシュです。両艇との最後の上りは、アプローチを考え順位を守りながら攻めるという走りを実行出来てきました。
明日は大会最終日。最後の最後まで実りあるレースになるよう準備したいと思います。

総合成績:5日目終了時 予選8レース・決勝初日2レース
レーザーラジアル級【男女混合】83艇
24位 多田桃子 13-9-8-14-10-15-(18)-12-24-21=126(女子6位)
16位 土居愛実 8-(17)-11-8-12-11-13-11-16-14=98(女子4位)

大会ホームページ:http://www.rqys.com.au/index.php/2012-australian-laser-championship/

1201_radial-AUS_36.jpgちょっとのミスで30番台に落ちてしますGoldフリート1201_radial-AUS_37.jpgあと3艇身前を走りたい…ミスをなくして明日も挑戦します
1201_radial-AUS_38.jpgAUS流?洗艇機です1201_radial-AUS_39.jpg明日のためにクールダウンとストレッチは欠かせません

6日目

予選終了 ゴールドフリートには難なく進出
土居20位 多田22位 課題はスピードとコース引き


1201_radial-AUS_29.jpg接戦で回航する土居新しい年を迎えました。本年もよろしくお願い申し上げます。
1月2日:4日目(予選最終日) Race7,8
本日の2レースで予選が終わります。ゴールドフリート入りは見えてきたものの、トップグループとの攻防から多くを学びたいところです。今までのレースでは第1マーク10位以内というレースの割合が少なく、上位を追いかけるといった展開です。トップ10位以内の上位選手の走り、レース運びと比較し今日から再挑戦です。

【Race 7 115°7m O-2(多田)、I-2(土居)】
多田は今大会のスタートの位置取りとその後の加速が良く好調ですが、課題はファーストタック後からの走りとコース引きです。このレースではレース前の走り合わせでしっくりいかないままのレースとなり、集団と共に走りきることができずタックの回数が増えます。フルパワーの風域で高さをキープしつつ前に出せる走りをしたいところです。多田はこのレース18位と捨てレースにしてしまいました。
土居はスタート時の加速が少し遅く、スピードに乗りきれていません。位置取りは良くなってきたものの、スタート号砲時に加速しきれていないことから自分の考えているファーストタックまで行けないという状況が増えています。位置取りからの加速、下艇・上艇との距離の保持を課題にして挑戦です。第1マークのアプロ―チ、右サイドに向かう集団に付いて行けず11位回航、その後2艇に抜かれ13位でした。

【Race 8 115°7m O-2(多田)、I-2(土居)】
7レースのレース展開から個々の課題を知らせ、再チャレンジです。
第1マーク付近での風向は岸に近づくにつれ右にベンドする傾向です。その中での位置取りが課題ですが、スピードのアドバンテージが無い分、選手は苦しい戦いの様子です。
多田は1レースをこなしてバランス取りが良くなったことと、セールを出し過ぎずに帆走出来たことで、上りの走りが安定しました。第1マークを10位で回航、フリー帆走で2艇に抜かれるものの順位を維持し12位。
土居は果敢にスタートに挑戦しますが、まだスタート号砲時のスピードが足りません。数10秒後にタックしてフレッシュウィンドを目指します。その後振れに合わせてタックをおこなうものの行きたい右方向に今一歩出すことができません。トップ集団に続き12位で回航、その後フリーで1艇抜き前方の集団に近づきますが、下マーク回航のロスから直前の艇を抜く事ができませんでした。くやしい11位でフィニッシュ。
この風域では第1マーク回航時のトップから20番くらいまでは接戦状態です。この中でシングル入り出来るスピードとコース引きが彼女達の越えなければならないハードルです。

予選シリーズ8レースを終えゴールドフリートには問題なく入れましたが、惜しむらくは10番以内での戦いができていません。決勝ではさらに混戦になります。目標は10番から15番以内のレースです。レース状況を整理して、さらに上を目指せるように努めたいと考えています。

【選手コメント】
多田:「明日からゴールドフリートなのでレベルは高くなりますが、慌てずに予選から課題としている『タクティクス(戦術)』を考えながらのレース展開をできるよう頑張ります」
土居:「予選10番台前半を目標にしていただけに悔しいです。今までの8レースでは大事な場面でミスを複数回してしまい、順位を落としました。決勝シリーズではミスを減らし、15番以内をキープ出来る走りをします」

総合成績:4日目終了時 予選シリーズ 8レース 終了時
レーザーラジアル級【男女混合】83艇
22位 多田桃子 13-9-8-14-10-15-(18)-12=81(女子6位)
20位 土居愛実 8-(17)-11-8-12-11-13-11=74(女子5位)

大会ホームページ:http://www.rqys.com.au/index.php/2012-australian-laser-championship/


1201_radial-AUS_30.jpg見事なハイクアウトのAUSユース選手1201_radial-AUS_31.jpgやはり4.7級のコーチボートが多いようです
1201_radial-AUS_32.jpg予選結果が貼りだされるノーティスボード1201_radial-AUS_33.jpg気分をかえていただきまーす

5日目


中風から強風の中 大健闘の二人
ゴールドフリート入りが見えてきた


1201_radial-AUS_25.jpgスタート前の位置取りが良くなった多田1201_radial-AUS_26.jpg最新の注意を払いスタート準備をする土居12月31日:3日目 Race4,5,6
昨日1レースしかできなかったため、本日はスタート時間を11時に早め、これまで待ち時間の多かったラジアル級からのスタートとなりました。ラジアル内のグループは多田、土居共に(黄)です。

【Race 4 120°5-6m O-2(アウターループNo2)】
まさかの年末3レースとなったラジアル級ですが、スタート時刻を早めたため、シーブリーズが上がる手前でのレースとなりました。中風域でのスタートです。岸からのベンドした風と岸と小島の間を通りぬける風の中、シフトを掴みブローラインに乗り続ける艇が先行していきます。
土居はこのレース、スタートの位置取りが悪く、数十秒後には逃げのタックを余儀なくされ既に3艇身遅れてしまいます。その後はシフトを掴み、スピードも維持し続けなんとか9位で第1上マークを回航、トップ集団を追いかけます。
 多田はスタートを無難に決めるものの、その後のコース引きで右サイドに出過ぎ、オーバーセール、単純なミスで16位と出遅れます。二人ともリーチングの帆走でパンピングが足りなかったり、センターが下がり過ぎていたりとまだまだ完成度が低い状況です。この細かな修正を引き続き心掛ける必要があります。土居8位、多田14位でフィニッシュ。

【Race5 140°7-8m O-2(アウターループNo2)】
第4レースから20°右に振った中でのスタートです。上スタート、スターボロングになったコースでは、スタートの失敗が順位に大きく影響します。スタート前、その点についてアドバイスをおこないレースに挑みました。
 多田は今回も上スタート10番目の好位置をキープ、集団と共にリフトを走ります。土居も中央部分ではありますが自艇の下側に十分なスペースを確保し最高のスタートを切ります。しかし多田の位置に比べ高さが離れている分、ブローが多少届かなかった土居は苦戦しながら第1上を21番で回航。多田はその前100mを16位で先行します。このレースも考えるべきはリーチング、フリーでのおとなしい走りです。「もっとパンピングを有効に使い、身体の前後移動おこなう!」次のレースの課題です。多田10位、土居12位。

【Race6 120°8-9m O-2(アウターループNo2)】
いつもの風速になってきました。多田のコンディションに比べウエイトの少ない土居に対しセールの作り方の変更を指示しました。9m前後からセールの出が大きくなることから他艇に対し高さを維持できない状態を改善しなければ、集団と走る事ができないとの判断からです。レース前に艇速とヘルムの違和感が無いかの確認をおこない、強風レースへ挑戦です。
チューニング変更は走りに良い影響を与えたようでした。それまでの集団の一歩手前で走りきることができました。新たに上マーク回航時の動作の違いを確認し、明日からの課題としました。課題は多くありますが、一つ一つ改善して行けそうです。
1日3レースという過酷な状況でしたが、集中を切らさず最後まで走りきることができました。
3日目を終え、6レースを消化。ディスカード(捨てレース)が1レース。総合成績は男女混合の中、土居が18位、多田が21位につけています。
明日新年1月1日はレイデーとなります。十分な休息を取り、新年明け2日の予選最終日をよい形で通過したいと思います。

【選手コメント】
多田:「今大会ではクローズホールドの走りの中、場面、場面において走らせるモードを変化させて『前に出す・少し上る』を心掛けています。予選最終日の2日はこの走りを他艇と競り合っている中でも出来るようにトライします」
土居:「7m以上の風ではスタート後の集団の走りについていけません。『走り負けないという気持ちを強く持ち』ハイクアウトをハードにします。特にブローでのメインシートの出す「タイミング」と「出す量」を完璧にしてバランスを維持し続けます」


総合成績:3日目終了時
レーザーラジアル級【男女混合】
21位 多田桃子 13-9-8-14-10-(15)=54
18位 土居愛実 8-(17)-11-8-12-11=50

大会ホームページ:http://www.rqys.com.au/index.php/2012-australian-laser-championship/

1201_radial-AUS_27.jpg接戦の第3マーク1201_radial-AUS_28.jpg目標のハイクアウトまであと少し「今年は年末までいっぱいハイクアウトしました」

4日目


強風域の課題をひとつひとつクリア
進化を見せる二人の走り
総合10番台をキープ


1201_radial-AUS_20.jpgGoodスタートの多田、課題はハイクアウト1201_radial-AUS_21.jpg上マークを目指す土居12月30日:2日目 Race3
本日も昨日同様のスタート順でラジアル内のグループも多田(黄)土居(青)のままです。
今朝も風は吹いています。予報では14時から最大風速が13mと予想されています。
 今大会には今月上旬パースで開催されたISAF世界選手権に出場したラジアル女子オーストラリア代表4名が全員参加しています。注目すべきは現在総合2位のKrystal Weir(ISAF世界選手権19位)、8位のAshley Stoddart(同49位)です。Krystal 選手はさほど大きな選手ではありませんが、しっかりとトレーニングを積んでいるといった雰囲気が漂い、セーリングを見る限りは男子同様の立ち振る舞いです。彼女のハイクアウトと波の対処時の大きなボディースイングは日本では見ることのできない素晴らしいものです。Ashley 選手は地元ブリスベン出身の今年ユースワールドに参加した選手で土居と同世代です。大きな体格とハイクアウトはボディースイングこそ目立たないものの18歳の走りとしては目を見張るものがあります。彼女らの走りにどの程度近づけるか、日本代表の二人の健闘が期待されるゆえんです。現時点では成績が示すとおり、強風でのレベル差は歴然ですが二人は7m(14ノット)までは十分戦えます。その上の8~12mの風域幅をなんとしてもマスターすることが今遠征の大目標であり課題です。
14:30 150°12~15m 強風域。ラジアル級は(青)からレースが開始されました。4.7級→スタンダード級のレースを待つ間に、風は勢いを増し見るからにサバイバル状態。日本では見られない光景です。マストが折れる4.7級、ラダ―が折れるスタンダード級とトラブルが続く中、レースは淡々とおこなわれます。ラジアル級はO-3、I-3(アウター、インナー)のクローズホールド3回の長いコースが示されました。

【レース前の2選手コメント】
多田:「昨日の反省から、抜かれない位置取りを心掛け、最終マークからフィニッシュまでのコース取りを正確に実行します。」

土居:「昨日の第2レース(17位)は強風のハンドリングに夢中になるばかりで、コースを考える余裕がありませんでした。この点を克服したいことと、スタート後、ドライブさせて前に出してくる上艇を考慮に入れ、スタート後からファーストタックまで走りきれるポジションを見抜きたいとおもいます。」

 レースは中盤から後半にかけて時折11m程度に落ちはしましたが、かなりの強風下でのレースとなりました。スタートを待つ間から「自らを奮い立たせ」レースをおこなえた事が本日の収穫です。二人にとって最大風速下のレース経験でした。二人とも沈を1回したものの、多田は本日の課題であった「最終マークから先行艇をミスのない位置取り」をおこない、見事抜き去りました。地味なハイクアウトスタイルですが、頭一つ外に伸ばそうとする意識が確認できます。土居もスピードでは負けながらも終始コースを判断する姿勢が見られ11位でフィニッシュすることができました。


総合成績:2日目終了時
レーザーラジアル級【男女混合】
15位 多田桃子 13-9-8
19位 土居愛実 8-17-11

大会ホームページ:http://www.rqys.com.au/index.php/2012-australian-laser-championship/

1201_radial-AUS_22.jpg徐々に上がり始める風速のもとスタートするスタンダード1201_radial-AUS_23.jpgレース状況を見つめるAUSユース選手
1201_radial-AUS_24.jpg強風なんのその笑顔の多田

3日目


レース始まる
強風の走りと戦術を学べた初日 多田17位 土居21位 発進


1201_radial-AUS_15.jpgAUS男子と接戦で回航する多田1201_radial-AUS_16.jpg第1レース8位回航の土居12月29日:1日目 Race1,2
本日は4.7→スタンダード→ラジアル(黄)→ラジアル(青)の順で
13:30からレースが開始されました。後半スタートのラジアル級ですが、レース海面のチェックをおこなうため早めに出艇、スピードチェックを繰り返しながら海面へ。その後左右に分かれてレース海面をチェック、陸からの影響や上マーク沖にある島の影響の有無を確認し、二人で情報を共有しました。

【第1レース 115°7~9m】
事前のチェックから第1マーク付近の風の入り方を確認した二人は、陸からのベンドを受けるコース取りをイメージして、スタートからのコースプランを立てました。
 1時間海上で待たされた後、ラジアルのスタート時の風向は、115°から125°~130°に変化していました。そんな中、黄グループの多田は良いスタートを切り、リフトを走っていきます。練習当初はスピードが十分出せなかった多田ですが、土居との練習からチューニング、トリム、ブローへの対処方など多くを吸収し、バランス維持が良くなりスピードが向上(落ちなくなった)しました。レース中盤までは上位後方に位置していましたが、中盤から先行して右サイドに出てしまったため、その後の振れを掴めず、第1マークを目標の10番から(課題として第1マーク10位以内としています)遅れた16位で回航、しかし次の上りでは1レグ目の情報を修正し3艇抜きし13位でフィニッシュ。第2課題である各レース15位以内はクリアしました。
 青グループの土居はスタートの入りからミスが出ました。40秒前の時点で1/3艇身凹んだ状態を修正できず、スタート後30秒後には2線になりスターボロングに変化したコースで早くもタックを余儀なくされます。しかしその後はミスを大きくすることなく、スターボ艇団の空いているスペースに素早く入り込み、集団と共にリフトを走り切ります。ミスの後の行動で更なるミスをしない点が第1マークの11番をキープ出来た要因です。第2上で2艇、リーチングで1艇を抜き8位でフィニッシュ、この風域では走り切る自信がつきました。

【第2レース 125°~130°9~10m】
 風速が2m程度上がったこのレースでは、さらに強風でのバランス維持、スピード維持、ハイクアウトの能力が走りに現れました。そんな中、多田はいいハイクアウトを維持し最高のスタートを決めます。今までより頭一つ分は外に伸びているハイクアウトです。課題はさらに頭一つ分外ですが、現状の体幹部の筋力では苦しい状況です。(今後の更なる強化が必要です)その後は終始10位以内を維持、最終マーク手前では8位で回航しましたが、最後の位置取りが甘く9位でフィニッシュ。強風の走りと、戦術を学べたレースとなりました。
 土居はこのレースでも男子選手に挟まれた格好でスタート。数10秒後には上艇がドライブさせ、対応したくても下艇がいることで対応できず苦しい位置となり、併せて複数の波に叩かれ艇速ダウン。このレースも強風の洗礼を受けてのレース展開です。
第1上では28位に後退しましたが、そこから11艇抜きの17位でフィニッシュ。10mを越えたあたりから、トリム量(ブローの時にセールを出す量)が大きすぎ、高さを維持することができません。バランス維持とハイクアウトでは国内屈指の土居ですが、強風大国オーストラリアの選手と比べると、まだまだ完成度は低い事が明確になります。

 帰着は17時になり、二人とも強風の2レースでへとへとです。コーチ(私)は課題の強風レースをしっかり実施してくれる運営に感謝し「ニコニコです」。
 明日も10mオーバーの予報です。

総合成績:1日目終了時
レーザーラジアル級【男女混合】
17位 多田桃子 13-9
21位 土居愛実 8-17

大会ホームページ:http://www.rqys.com.au/index.php/2012-australian-laser-championship/

1201_radial-AUS_17.jpgレースをまつラジアル級1201_radial-AUS_18.jpgマストが折れた4.7
1201_radial-AUS_19.jpg2014年世界選手権の日本開催が決まった4.7級

2日目


レース本番を前にレベルUPに余念のない二人


1201_radial-AUS_07.jpgフィッテング計測を受ける土居1201_radial-AUS_08.jpgセール計測を受ける多田12月27日:大会受付・計測
いよいよAUSナショナルが始まりました。
スタンダード44艇、ラジアル84艇、4.7級42艇の合計170艇に及ぶ大規模大会です。
朝8時からの受付・計測開始から選手の列ができ、同時に厳密な計測がおこなわれました。170艇という計測を多くのボランティアの協力で、てきぱきと進めていく様はとても感心します。日本チームの二人もロ―アーマストのマストプラグ(マスト下部)の変更をする程度で順調に計測を終了、予定通り午後からの練習を行いました。
海上練習では風速4~6mの中、クローズ、フリーのスピードチェック。セールチューニングを中心に実施、その後回航練習と思っていたところに…サンダ―ストーム来襲の情報が入りました。海面にいたレーザーはコーチ陣の指示で全艇ハーバーバックとなりました。快晴の順風から徐々に真っ黒な雲が北東方向から一面に広がり、想像を超える風・状況です。これを目の当たりにできた多田・土居にはよい経験ができました。

12月28日:プラクティスレース
 13:30の前に海上練習をおこなう予定で先に出艇し、海面チェックと帆走練習を十分におこない、レースに参加しました。風110°7~9m 、波中程度のコンディションです。インナール―プの上下を終え大半の選手がハーバーへ戻っていく中、二人は再度海面チェックと帆走練習を繰り返し、明日からのレースに備えました。
 練習開始時、土居に走り負けしていた多田も短期間で同程度までレベルUPしてきました。セールチューニングとハイクアウトへの意識が変わったことが要因です。
明日からのレース本番の前ですが、最後までレベルUPを追及する意識が彼女たちを練習に駆り立てているようです。二人のレースが楽しみです。

大会ホームページ:http://www.rqys.com.au/index.php/2012-australian-laser-championship/

1201_radial-AUS_09.jpgマスト類の計測の様子1201_radial-AUS_10.jpgAUS選手との練習
1201_radial-AUS_11.jpg快晴から一変したサンダ―ストーム1201_radial-AUS_12.jpg強風のプラクティスレース
1201_radial-AUS_13.jpgフリーで離されまいと健闘する多田1201_radial-AUS_14.jpg強風のフリー帆走挑戦中

1日目


レーザーラジアル級 NTホープ2選手
多田桃子 土居愛実 オーストラリア強化遠征
29日からの2012オーストラリアレーザー選手権に参戦


1201_radial-AUS_01.jpg練習開始 NZL選手も交えて帆走練習1201_radial-AUS_02.jpgフリー帆走 多田2011年NTホープ選手(レーザーラジアル級女子)の強化遠征としてオーストラリアのブリスベンで開催される2012 AUSTRALIAN LASER CHAMPIONSHIPSに多田桃子、土居愛実が参戦します。二人は昨年の世界選手権、そして今年の世界選手権において参加艇数の30%以内の成績をおさめるとともに、世界へ挑戦する意欲を持ち、強化選手としての活動を希望したことからNTホープとして承認された選手です。

12月23日寒い日本を離れ、成田からシンガポール経由で24日ブリスベンに到着しました。シンガポール経由のため長時間のフライトとなり、到着日は宿舎となるレンタルアパートのチェックイン時刻まで時間調整を行い、軽い散歩とこれからの生活に必要となる備品・食材の購入のみとしました。
宿舎から車で約30分のところにManly湾があります。その中のRQYS(ロイヤルクイーンズランドヨットスコゥードロン)が今大会のホストクラブです。格式の高さを感じさせますが、とてもフレンドリーで日本から来た私達をあたたかく迎えてくれました。広大な敷地の中に数え切れないほどのクルーザーが桟橋に係留され、陸には同じく無数のディンギ―が置かれています。セーリングが普及していることを強く感じさせます。
25日チャーター艇を受け取り、レース準備のためハーバーを訪れましたが、業者の手配ミスと15mの強風という状況から海上練習はできず、陸上トレーニングを行いました。(移動の疲れを回復するには良かったようです)
26日無事チャーター艇を受け取り、練習を開始しました。レースはハーバーの北東2kmに位置する近いエリアで行われます。潮の干満によっては水深5m程度の浅い場所が多くフラットな海面です。このため、沈をした後の対処が遅れると海底の泥にマストが刺さってしまいます。さらに、ひとたび風が吹き出すとフラットだった海面も(8mを超えるころから)風波が大きくなり始め、風速10mともなれば周期の短い波が無数にあらわれ、セーリングを困難にさせます。この海面では身体をフルに使ったハイクアウト、セールトリムと波への対処が非常に重要です。この地で1月4日まで強風下のレース、練習を行いレベルUPを目指します。

大会ホームページ:http://www.rqys.com.au/index.php/2012-australian-laser-championship/


1201_radial-AUS_03.jpgRQYSの前でNTホープ多田、土居1201_radial-AUS_04.jpgManly湾の綺麗な景色を見ながらストレッチ?
1201_radial-AUS_05.jpgホストクラブRQYS1201_radial-AUS_06.jpgManly湾

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●2010.8.28第1回 ユースオリンピック大会 レポート
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