最終日
2012 LASER 4.7 YOUTH WORLD CHAMPIONSHIP
2012 4.7級ユース世界選手権
Report & Photo : 藤谷 匠
(ジュニア・ユース育成強化委員会)
Edit:オリンピック特別委員会・広報
体重増とさらなる体力をつけて世界と戦おう
大会閉幕 男女5選手 頑張りました
▲男子U18で優勝したハンガリーのVadnaiと高山4月7日(大会6日目:決勝2日目最終日)
長いようで短い、あっという間にレース最終日を迎えました。
今日は最初の予告信号が11時といつもより2時間早くレースが始まりました。風向は昨日と同じで北西から12~20knotの風が吹きました。選手たちは「やってやる!!」と意気込んでレースに臨みました。
結果、昨年の成績と比べると男子は全体的に下がってしまいましたが、女子は昨年よりも成績が上がりました。今回は軽風~強風とすべての風域コンディションだったためオールマイティな実力が問われました。今回の結果を見て男子は中風以上では世界上位選手と遜色なく走れることがわかりました。女子はその逆で軽風から中風の風域では世界と互角に戦うことができます。男女それぞれの課題が浮き彫りになった形ですが、今後は風域ごとの基本ボートスピードの向上、また今回のレースでの課題でもあったレース展開と混戦でのポジショニングが重要になると考えます。また、今回優勝した男子ハンガリー、女子ノルウェーの選手は毎日違うコンディションにも関わらずどの風域でもスコアを崩さなかったのは、ミス、ロスが少なかったことだと思います。日本選手はミス・ロス(スタート、ケース、マークタッチ、沈など)がどのレースでもあり、順位を落とす原因となることが多くありました。
これから艇種が変わる選手、4.7級で再チャレンジする選手がいますが、今回の経験を活かして、次のステップに上がって欲しいと思います。
▲女子U18で優勝したノルウェーHerudに先行する国見ユースの大会に出られる期間は限られています。その中で結果を出すことは難しいとは思いますが、今の日本選手の実力ではけして不可能ではないと思います。今後の取り組み、姿勢を考えさらなる精進をして欲しいと思います。
世界選手権は同じ世代の国際交流の機会です。大会では選手が積極的に海外選手とコミュニケーションをとり、レースの話や天気の話、または、セーリング以外にもたくさんの話をしていました。いい光景でした。クロージングセレモニーではユニフォーム交換、連絡先の交換をするなど、世界中のセーラーと知り合いになることは選手たちの今後にとって大きな財産になると思います。世界を知り、交わり、そして学ぶ・・・国際大会参加の大きな意義です。
最後に、当地でたくさんのサポートをしていただいた水上大使夫妻、選手のご両親をはじめ、日本から応援していただいたすべての方々に感謝申し上げます。また、大会に派遣して頂いた関係者各位にも感謝申し上げます。有難うございました。
▲本部船サイドでポジション争いする樋口
【高橋昌威コーチの各選手講評】
最終日も世界選手権にふさわしい中〜強風域の良いコンディションとなりました。全体的な傾向はほぼ5日目と変わりませんが、風軸がずれていくことはなく320~325°付近で安定していました。ただし、ブローの出方は本日の1レース目は左寄りが多かったのですが2レース目は右寄りのブローをうまく拾った選手が上位に来ていたため、今までの傾向だけを拠り所にして左に展開していった選手達は苦しんでいました。潮流も風軸方向から1ノット程度あり、 マークタッチをする選手が続出していました。
最終日にようやく佐藤が意地の走りを魅せてくれました。アウター寄りで良いスタートを決め、アウターループの第1マークから第3マークまでトップを維持していました。次のレグで強風が速いデンマークの選手 に抜かれてしまいましたが、ずるずると落ちて行くことも無く2位フィニッシュになりました。レース前の走り合わせでも良いセッティングで走れていましたので、ボートスピードの改善が良い結果に繋がったのだと思います。
女子もスタートに改善が見られ、1レース目に国見はアウターエンド2番手、林は7番手で良いスタートを決めました。特に林は強風域のスタートで頭を出すことができていなかったのですが、次に繋がる良いスタートだったと 思います。ただ体重が軽いせいもありスタートが良くてもその後の順位を落としてしまいました。しかし国見は何とか踏みとどまり、1レース目は13位、2レース目も19位と10番台でまとめ、強風域にも関わらず総合でも前日より2つ上げることができました。
▲シルバーフリート第11レースでトップを快走する佐藤▲最終第5マークにフルハイクで向かう林一方、高山は苦しみました。1レース目の4マーク回航は10位でしたが、次のクローズのレグの展開で2、3艇に抜かれてさらに2回目の第1マークでマークタッチ、次第に順位を下げたところに今度はリーチングが極端に遅くなってしまったらしくここでも大幅に遅れ、フィニッシュは何と29位まで落ちてしまいました。2レース目もうまくいかず、維持していた上昇傾向はここで途絶え、総合でも順位を落とすこととなってしまいました。
樋口は良いところなしで終わってしまいました。1レース目シングルで走っているところで沈をしてしまい、2レース目も3、4番手で走っているところで沈をしてしまいました。「沈」は当然ながら大きく遅れてしまいます。強風域のハンドリング強化が必須です。
藤谷コーチのレポートにもありますが、今回の世界選手権は前半2日間が微軽風域、後半4日間が中強風域であったことから、どの風域でもオールマイティに走れる選手が上位に残りました。軽い選手は前半元気でしたが風域が上がると上位を維持するのが難しくなっていたため、どの風域になっても戦える体重と体力の必要性を改めて認識しました。
4.7級としては、オールマイティに戦えるベストの体重は60kg前後(57~62kg)ではないかと思いま す。最低でも55kgは必要ですが、65kgあると重すぎて軽風域がとても苦しくなります。日本国内ではレベル的に体重差を技術で補えることもできますが、海外では通用しません。世界を狙うならば、体重の軽い選手はより積極的に体重を増やすことと体力トレーニングをしてほしいと思います。
【選手コメント】
国見:自分に合っていた風域が2日間でしたが、風域が上がっても大きく順位が落ちなくて良かったです。強風域で大きい選手に勝つためにはスタート、クローズのメイントリムを意識して練習していきたいと思います。
林:軽風の時の2日間は、思った以上の結果で、半分以上いけるのではないかと思っていましたが、強風になってから帆走で置いていかれてしまい、また、スタートも出遅れてしまって全然良い順位をとれませんでした。強風のクローズの走り方が分かったので、次のレースではスタートで頭を出して、第一線でトップ集団と一緒に走るようにしたいです。
樋口:初めてのレーザー世界選手権で正直これが世界だというより、これが自分の実力なのかと思い知らされました。帰国してもこの悔しさを忘れないで、人よりも努力して来年のワールドで世界一を目指したいと思います。
高山:レースの最初と終わりの結果が悪かったです。中盤から良くなりましたが、そのムラをなくし、安定した成績を取れるようにこれから練習を頑張ります。
佐藤:初めてのレーザーでの世界選手権だったので、緊張もあり、場慣れするのに時間がかかってしまいました。次回は今回の経験を生かして、あとはスタートを改善し、磨きを上げて頑張りたいと思います。
【総合成績】6日目 12レース終了
●男子(参加艇数72艇)
高山達矢 28位
25-(30)-(BFD)-19-15-6-2-9-22-5-29-24 150p(ゴールドフリート)
樋口 碧 39位
9-(27)-(26)-13-18-22-15-14-8-17-7-11 134p(シルバーフリート3位)
佐藤宏樹 51位
23-24-(30)-13-18-24-(29)-24-25-16-2-12 167p(シルバーフリート15位)
●女子(参加艇数46艇)
国見彩乃 18位 15-19-18-5-(31)-14-22-21-(30)-22-13-19 168p
林 佳奈 28位 9-33-22-11-22-27-30-(34)-(37)-26-22-34 236p
▲軽風域でトップレベルのスピードがあるものの後半失速のオーストラリアVaughan▲続けて開催されるスタンダードジュニア世界選手権に参加する南里が応援に来てくれました
▲今年はキューブではなく豪華なカップです。 ▲女子U18の表彰(左から2位スペイン、優勝ノルウェー、3位クロアチア)
▲男子U16の表彰(左から2位シンガポール、優勝スペイン、3位セルビア) ▲男子U18の表彰(左から2位スペイン、優勝ハンガリー、3位イタリア)
▲藤谷コーチと高山、林、国見
▲出艇準備を整えリラックスする樋口と佐藤
▲笑顔の日本チームの選手達。各参加国毎に参加賞のメダル授与がありました
5日目
男子・高山 ゴールドフリートでも健闘
順位あげ通算25位
▲1マーク回航前の高山4月6日(大会5日目:決勝1日目)
今日から男子は決勝レースです。ゴールドフリートは高山、シルバーは樋口、佐藤です。女子は1フリートなので変わりません。
今日も大使からお届けいただいたお弁当を食べて、力をつけて出艇しました。
前日同様の中風~強風コンディションでしたので、高山はゴールドの中でも走り負けすることはなく、トップ集団で戦っています。樋口、佐藤、女子の国見、林は順位の変動が激しいです。落ち着いてミス、ロスなくすることが課題です。
着艇後は、レーザーの世界選手権では補食が出されるので(今日はパスタ)、各国の選手と一緒に食べます。日本チームはシンガポールと一緒に食べています。シンガポールはセーリング競技に国を挙げて力を注いでいて、今回もかなり前から現地入して練習していました。こういったまじかに国際交流が出来るのもユース世界選手権の特徴ではないかと思います。
大会はあと1日です。
【高橋昌威コーチの各選手講評】
12時時点の風軸は310°で右は320°左は295°が入ってきますが、時間が経つにつれて徐々に左からのブローが多く入るようになり、女子2レース目のスタート時には265°に風軸が移っています。風速は安定して平均では12~17ノット、最大で20ノット程度でした。展開としては昨日ほどのギャンブル性はなく、集団を見ながら有利サイドでブローを拾えるようにポジショニングすることと、この風域でのボートスピードがポイントだと思います。
高山はゴールドフリートでの戦いとなり難易度が2倍になりましたが、ここでも良い走りを見せてくれました。スタートは2回ともあまり良いポジションで出ることができなかったのですが、他の選手が早めに返して行く中、大きめの1stブローをしっかり拾って集団に当てていくことができていたので第1上マークは1レース目7位、2レース目4位とシングルで回航できています。ただし1レース目は2回目のクローズで一瞬の判断ミスから左への展開が遅れ、左からのブローを拾った集団に抜かれ大きく順位を落とすことになりました。非常にもったいないレースでした。2回目の1マークから3マークへのリーチングでも後続のスペインに抜かれていました。コンディションに合わせて出来るだけリグのセッティングをパワフルにすることと失速している時間が長かったため早めに加速動作に移る必要があることを彼にはアドバイスしました。
国見はスタートのタイミングは常に安定して良いのですが、第9レースではアウターサイドから返して来たボートにほとんど前を切られてしまっていました。より有利サイドを狙ってスタートを決める必要があります。
林は果敢にアウターサイドのポジションを狙いますが、混雑した艇団の中で頭を出すことができず、結果として不利なサイドに追いやられてしまいました。▲林の3マーク回航女子2人とも2レース目のスタートは良かったようです。また、林は最初の第3マークを17位で回航するものの、その後の展開でのミスが響きフィニッシュは大きく遅れてしまいました。
シルバーフリートの樋口、佐藤はスタートは良くボートスピードも遜色ないのですが、展開で負けるケースが多くみられました。また樋口はダウンウインド、佐藤はタックで沈をするミスをしてしまいました。正確なボートハンドリングをもっと練習しておかなければなりません。
【総合成績】5日目 10レース終了
●男子(参加艇数72艇)
高山達矢 25位 25-(30)-(BFD)-19-15-6-2-9-22-5 103p(ゴールドフリートへ)
樋口 碧 38位 9-(27)-(26)-13-18-22-15-14-8-17 116p
佐藤宏樹 54位 23-24-(30)-13-18-24-(29)-24-25-16 167p
●女子(参加艇数46艇)
国見彩乃 20位 15-19-18-5-(31)-14-22-21-(30)-22 136p
林 佳奈 29位 9-33-22-11-22-27-30-(34)-(37)-26 180p
▲佐藤のスタート▲フィニッシュ手前で競り合う国見
▲風軸が変わると本部船が積極的に動きます▲樋口の3マーク回航
▲大混戦の3マーク
▲大使にお弁当差し入れていただきました
4日目
男子・高山 奮起の2-9 11番抜きでゴールドF入り
樋口 1番違い3点差でゴールドF入り逸す
佐藤と女子2選手は順位落とす
▲第7レースで2位フィニッシュを決めた高山4月5日(大会4日目:予選最終日)
今日は南西から風速12~20knotの風で、出艇前の男子は得意風域に喜ぶ反面、予選最終日で少し緊張しているようでした。艤装やフィッティングの確認、レースの注意事項を確認、集中力を切らさない程度の雑談でリラックスして出艇しました。
男子は72艇がエントリーしていますから総合36位以上がゴールドフリートです。
そして、高山が得意風域で奮起しました。1レース目を2位、2レース目を9位とシングルでまとめ前日の43位から32位にジャンプアップ、見事ゴールドフリート入りを果たしました。樋口は実力があるものの自分のミスで順位を落としてしまい総合成績も37位になりました。あと3点でゴールドフリートというところだったので最後のミスが大変悔やまれます。佐藤は1マークまでは良いところにいるのですが、世界選手権の長いコースに体力が続かず総合49位まで順位を落としてしまいました。
女子も懸命に乗っていますがトップの選手たちには置いていかれてしまいます。メイントリムとチョッピーな波に対応できれば勝負ができると思いますが、うまくいきません。それぞれ順位を4番下げる結果となりました。
今日は風向的にヨットクラブから出るとちょうど真下がレース海面になりますが、レース海面は本線航路を避けているため、かなり沖に出ています。行きは良いのですが、帰りはクローズで帰ることになるのでレース後の選手たちには辛かったと思います。しっかりとクールダウンをして明日に備えます。
また、今日は国見のご両親に夕食に招待していただきました。選手たちは当地のステーキに興奮しつつ美味しくいただきました。御礼申し上げます。明日はまた大使から昼食の差し入れをいただけることになりました。たくさんの方に応援していただき大変ありがたく思っています。
予選ラウンドを終えて目標が変わった選手もいますが、気持ちを切り替えて応援していただいている方々の期待に応えられるようにラスト4レースの上位を目指します。
【高橋昌威コーチのレポート補足】
4日目は全体的には中〜強風域のレースとなりました。今までは北寄りから東を中心とした沖から入る風でしたが今日は西南西を中心に陸から下りてくるシフティーな風で、風速は平均的には12~16ノットが中心で最低5.5ノット/最大20ノットと強弱が激しく、ブローの出方で一気に順位変動がある難しいコンディションでした。そのため、集団に対する位置関係をどうポジショニングするか、また風速の変化に合わせて適切なタイミングでセッティングチェンジができるかがポイントでした。
男子は予選最終日で明暗が分かれました。高山は2レースともに安定して上位に残れています。スタートでしっかり頭を出せていることと16ノットの風域でのボートスピードがあったことで展開に余裕が図れたことが要因だと思います。ゴールドフリートでも上位に残れるボートスピードを期待します。ただ、第8レースではスタート90秒前にポジション変更しスペースを探し始めたものの、どこにも入るスペースを見つけることができないということもありました。結果的にゼネリコになったので良かったのですが、ワールドクラスのスタートの厳しさを▲混戦の中第一上マークを回航する佐藤と樋口経験できたのは良かったと思います。
樋口は、あと一歩のところでゴールドフリート入りを逃してしまいました。第8レースの2回目の3マーク時点では9位でしたがここで不覚にもケースを起こし、720°ターンをしたことでフィニッシュが14位となってしまいました。この悔しい経験を次に活かして欲しいと思います。
佐藤、女子の国見、林は全体的に苦しい展開となってしまいました。スタートが良くても16ノット風域でのボートスピードを引き出せないと上位に残ることはきわめて難しい状況でした。
【選手コメント】
樋口:コースの展開(ファーストタックの位置)とポジショニングを考えて、シルバーで優勝。
高山:ペースを上げるのに時間がかかりましたが 調子が上がってきたので、総合10番台を目指します。
佐藤:スタートを決めてトップを取ります!!
林:強風時のスタートで出ないように気を付けて、総合順位が半分以上になるように頑張ります。
国見: 15位以内を目指します。
【総合成績】4日目 8レース終了
●男子(参加艇数72艇)
樋口 碧 37位 9-(27)-26-13-18-22-15-14 117p
佐藤宏樹 49位 23-24-(30)-13-18-24-29-24 155p
高山達矢 32位 25-30-(BFD)-19-15-6-2-9 106p(ゴールドフリートへ)
●女子(参加艇数46艇)
国見彩乃 18位 15-19-18-5-(31)-14-22-21 114p
林 佳奈 26位 9-33-22-11-22-27-30-(34) 154p
▲必死にハイクアウトする林▲第一上マークを回航する国見
▲第一上マークにアプローチする樋口▲ブエノスアイレスの夜景
▲国見ご夫妻にディナーに招待いただきました
3日目
中風から強風域の3日目
男子・高山が2レース目6位フィニッシュ
がんばれ!男子3選手
▲3日目は風が強くなりました4月4日(大会3日目)
今日も2レース実施しました。朝から12~14ノットが吹いていました。男子は期待していた風が吹き「早くレースがしたい」とやる気十分でした。
朝のコーチミーティングでは男女のフリートのオーバーラップについてコーチ陣から質問が出ましたが「オーバーラップする原因はゼネリコをするのが問題で、他のフリートを待っていると時間が空きすぎてしまう」という回答で、やはりこのままで行うということでした。風速も上がっているのでさらに混戦でのケースやトラブルに巻き込まれることが予想されます。選手には巻き込まれないように早め早めの判断でポジショニングするように伝えました。
1レース目、女子、男子イエローがスタートして男子イエローの1上の途中で風が大きく右に振れ、男子が1マークを回る前に本部船が4マークを打ち変えます。とても機動力のある本部船です。また、今回のS.Iにはコース変更する際は、オレンジからイエローのブイに変更すると明記されていましたが、2か所でコース変更にもかかわらず、マークはオレンジブイのままでした。コース変更については救済の要求ができないと明記されていますが、マークを間違える選手がいなかったのがせめてもの幸いでした。
明日は男子予選ラウンド最終日です。今の順位ではシルバーフリート止まりですが、頑張れば十分ゴールドに入れる点差です。
【高橋昌威コーチのレポート補足】
3日目は中風〜強風域のレースとなりました。最初のスタート時刻の13時での20~30°/8.8~9.3ノットから徐々に右に振れていき、2レース目終了時には80~90°/16~18ノットまで上がりました。この徐々に右寄りから入ってくるブローをうまく拾って伸ばせるかどうかがポイントでした。
今日は高山が見せ場を作りました。風速の上がった第6レースでインナーループの4マークを2位回航していきました。その後のクローズの展開でミスをしてフィニッシュは6位となりましたが、強風域のボートスピードはトップ選手と遜色ありませんでした。
スタートについては国見、高山が2レースともに頭も出せてスピードもある良いスタートを切れています。林と樋口は1レース目は良いスタートが切れたものの、▲第6レース終了後の佐藤2レース目ではスタート時の加速で競り負けブランケットの中を走らなくてはならなくなりました。佐藤は2レースともに苦しいスタートでした。うまくスタートできなかった選手は、特に風速が上がった時に最後の加速で競り負けないようにする必要があります。
日本チームは中風域の第5レースではボートスピードは問題ないレベルになっています。強風域となった第6レースでは体重の軽い林は苦しくなりました。また、体重が軽く軽風域で速かった海外の選手達も軒並み順位を落としています。
【選手コメント】
樋口:ゴールドフリートに入れるように今日失敗したスタートを意識して、ゴールドを目指します。
高山:集団に合わせてコースを引き、シングルを取ります。
佐藤:スタートを成功させます!
林:強風だとヒールを起こせなかったので、明日はしっかり起こすようにします。
国見:スタート後のレース展開を考えて、自分のコースを引けるようにします。
【総合成績】3日目 6レース終了
●男子(参加艇数72艇)
樋口 碧 38位 9-(27)-26-13-18-22 88p
佐藤宏樹 47位 23-24-(31)-13-15-6 95p
高山達矢 43位 25-30-(BFD)-19-18-24 102p
●女子(参加艇数46艇)
国見彩乃 14位 15-19-18-5-(31)-14 71p
林 佳奈 22位 9-(33)-22-11-22-27 91p
▲おにぎりをほおばり気合い十分の林▲艤装のチェックをする藤谷コーチと高山
▲4マークを2位回航する高山▲4マークにアプローチする樋口
▲頻繁に大型船が通り足止めされます▲朝のウォーミングアップ
▲3マーク回航する国見
2日目
2日目 女子善戦 男子まだ本調子出ず
審問でも学ぶことが多い世界選手権
▲笑顔の国見4月3日(大会2日目)
当地の宿舎はヨットクラブから1kmほどの街中にあります。今日もたくさんのサラリーマンが朝早くから出勤する中、街中の公園でウォーミングアップを行いました。少し周りの状況からは浮いているので、選手たちも初めは照れくさかったようですが、すぐに慣れてしまった様子です。
今日は初め風向が安定せず、風速も5ノット以下のため女子のスタートが延期になりました。待機の間、みんなで大使館の水上大使から差し入れのランチパック(オニギリ、和食弁当)をいただきました。久しぶりに海苔のオニギリと和食の唐揚げが食べることができて選手たちも大喜びでした。大使、有難うございました。
その後、5~7ノットの風が入り始めて女子2レース、男子2レースを行うことができました。
今日の日本チームは皆良いスタートを決めていました。前日の反省であるスピードを付けたスタートが出来ていました。とくに女子の2レース目のスタートは素晴らしいものがありました。その後、レース展開も良く1上を国見が1位、林が3位で回航し期待しましたが、フリーで抜かれてしまいました。明日は今日の反省を活かし、順位を落とさないで欲しいと思います。
男子はコース展開で順位を下げてしまっています。風に素直に合わせて走ることができれば問題はないと思います。
今大会のスタートでは男女別の順、コース別設定等がスムーズさを欠き、トラブルを招いています。必ずと言ってよいほど女子と男子ブルーのフリートがアウターループでラップをします。ひどいときには全フリートがラップをしてしまいます。2日連続でこのようなことが起きているのですが運営側はこのまま続けるようです。フリートがラップすると当然混戦状態となります。そこで重要になるのがポジショニングです。先の展開を見据え、自分がケースに巻き込まれたり、不利にならないようにポジショニングする必要があります。
▲予想外の走りを見せる林そして、そのような状況下で今日も樋口がプロテストを出されました。トルコから米国、チリ、シンガポール、日本の4艇に対してのプロテストです。内容は下マークのマークルームについてのプロテストでした。このケースが起きたときは抗議された艇以外にも多くの艇が混戦状態でマークに向かっていたためとても難しいケースでした。また、全員の主張する艇のポジションが違い、プロテスト委員会も何度も質問と協議を繰り返しました。幸いに高橋コーチがこのケースをカメラで撮影していたので最終的には写真でポジションを確認することになりました。見解としては他にも多数の艇がいて一概に抗議された艇が悪いとは言えないという理由で結局このケースは却下になりました。長い審問になりましたが抗議した選手から最後に「私はこのケースで2,3点順位を落とし、不利益を被ったので抗議をしました。結果は却下になってしまいましたが私の気持ちを理解して欲しい」との発言がありました。彼は順位を落として不運でしたが、自分の意見をしっかりと主張し1対4の審問を最後までやり抜きました。自分の権利を主張し1点、2点を貪欲に取り戻そうとする姿勢は日本選手も学ばなければならないと思いました。最後に全員で握手をして解散となりました。
【高橋昌威コーチのレポート補足】
2日目も予想に反せず微軽風に終始し第3レースは4.8~6.9ノット、第4レースは5.4~8.0ノット程度の風速となりました。上マークは105°設定で風向は100~105°を中心に左は80°、右は120°の振れ幅大きいブローが入ってきていました。右から入ってくるブローの方が長く強い傾向にあり、ブローをリフトで拾いながら有利サイドに寄せられるかどうかがポイントでした。潮流は第3レース時点では70°方向から0.2ノット程度と弱かったのですが、第4レースでは330°方向から入ってきていたためどのフリートでもゼネリコを繰り返していました。
第3レースは日本チーム全員が上位に残れませんでした。スタートは初日に比べ大きく改善し、競り負けないようになりました。しかしながらブローが来た時の1stタックのタイミングを見誤り、結果的に右サイドに展開するのが遅れてしまい順位を落とすシーンが多く見られました。
第4レースは女子チームが素晴らしい走りを見せてくれました。国見、林ともに抜群のスタートを決め1stタックも完璧なタイミングで返して行きました。その結果、第1上マークは国見がトップ!林が3位で回航しています。その後フリーでトップ集団にかわされフィニッシュはそれぞれ5位と11位になってしまいましたが、トップレベルの選手たちと競り合いが出来たのは良かったと思います。男子チームもようやくエンジンがかかってきました。少し風速が上がったためかもしれませんが、ボートスピードが改善し展開に選択肢を持てるようになりました。
【総合成績】2日目 4レース終了(順位は3日目終了時に更新します)
●男子(参加艇数72艇)
樋口 碧 位 9-(27)-26-13 48p
佐藤宏樹 位 23-24-(31)-13 60p
高山達矢 位 25-30-(BFD)-19 74p
●女子(参加艇数46艇)
国見彩乃 位 15-(19)-18-5 38p
林 佳奈 位 9-(33)-22-11 42p
▲水上大使から差し入れていただきました▲男子Yellow(樋口) 3マーク回航でのケース
▲第4レース後の樋口▲佐藤のフィニッシュ
▲第4レースでトップ争いを演じる国見、林
1日目
いよいよレース開始!
4月2日
いよいよレースが始まります。いつもの様に朝はウォーキングとストレッチ、最後に出艇前体操などのウォーミングアップをします。
朝ごはんを食べたら、みんなで日本から持ってきた炊飯器でおにぎりを作り、自分たちの昼食をつくります。当地ではどこもパン食なので、米飯を食べることができて選手たちは嬉しいようです。
ハーバーに着くと続いていた快晴の空が少し雲に覆われていました。
当地入りしてからはほぼ毎日5~8knotの軽風域コンディションでした。しかし、今日は午後からMAX20knotの予報が出ていたので期待していましたが、結局5~9knotの軽風となりました。
今日は予定通り2レースを行いました。1レース目は潮流が早く1分間に26mの流れを確認、選手にはスタート、マーク際で気をつけるようにとアドバイスをしました。
女子・国見と林は1マークをシングルで回りましたが、林がマークタッチをして少し順位を下げてしまいました。しかし、2上で順位を上げて9位でフィニッシュ。国見は少し順位を落とし、15位でフィニッシュしました。
男子はイエローフリートの樋口がピンエンドから攻めたスタートをしました。アウター船のアンカーシートにひっかかりそうになりましたが、まずまずのスタートでした。そして、シングルで1マークを回りましたが、最初のランニングで42条違反をしてペナルティーターンを履行。順位を落とし9位フィニッシュとなりました。ブルーフリートの高山は良いスタートをしましたが、レース展開で早く右に展開したため左のフリートがブローをつかみ、リードされる形になってしまいました。佐藤はスタートを失敗して苦しいレース展開になってしまいました。
2レース目は、全員スタート後に走り負けてしまい苦しい展開となりました。またせっかく上げた順位を次のレグで落としてしまうことが多く見られました。
選手たちには「スタートではスピードをつけてスタートすること」「スタート後に周りの選手がどのモードで走っているのか注意して自分のポジションをキープすること」「順位を落とさないために堅いコース(艇団から離れないでフリートの中で戦う)を引くこと」をアドバイスしました。
また、今日は樋口が1レース目にプロテストをされ、審問がおこなわれました。結果は却下でしたが、海外のレースで審問に出たことは樋口にとって良い経験になったと思います。
【高橋昌威コーチのレポート補足】
6日間のレース日程の内、最初の4日間は平均5~8ノット/最大11ノットという予報のため、前半は微軽風域での展開となる見込みです。男子はその4日間が予選シリーズ、後半2日間が決勝シリーズとなっており予選は36艇ずつに分かれています。女子は1フリートで46艇での戦いが最後まで続きます。
第1レースは8~9ノット/80°の軽風でスタートしました。潮流は110°方向から0.85ノットと強めの向かい潮であったため潮で流される分を考慮してスタートのポジションを決める必要があります。日本チームは一部失敗した選手がいたものの、総じて一線からは出られたようです。その中でも樋口は有利なアウターサイドの2番手でスタートを決めています。結果、フィニッシュは9位となりまずまずのポジションです。女子では国見が途中7位回航まで上がってきましたが、その後の展開でミスがあり15位フィニッシュとなりました。林は初の海外遠征ですが落ち着いて周りを見てブローをうまく拾うことができ、9位のシングルフィニッシュを決めました。佐藤と高山はスタートのポジションとその後の展開があまり良くなく、下位になってしまいました。
第2レースは8~9ノット/95°でスタートしたものの、徐々に風速は落ちて行き最後は5ノットあるかないかという状況でした。日本チームは全員が下位に沈んでしまいました。スタートのポジションで良い位置が取れず、スタート直後に競り負けてしまうケースが多々ありました。スタート後から1stタックで良いブローを拾うまではこの競り合いの中で生き残れなければなりませんが、そこで負けてしまっては上位に残ることができません。明日以降はこの点を修正して行って欲しいと思います。
【選手のコメント】
樋口「ノーケース、ノートラブルでシングルをとります」
佐藤「スタートを決めます!」
高山「スピード負けしないように頑張ります」
国見「シングルで1マークを回ります」
林 「今日はシングルでフィニッシュできたので、明日は2レースともシングルをとります」
【総合成績】初日2レース終了
●男子(参加艇数72艇)
樋口 碧 32位 9-27 36p
佐藤宏樹 46位 23-24 47p
高山達矢 58位 25-30 55p
●女子(参加艇数46艇)
国見彩乃 17位 15-19 34p
林 佳奈 19位 9-33 42p
4.7Youth
2012年レーザー4.7ユースワールド
@アルゼンチン・ブエノスアイレス
4月2日からレース 日本から男女5選手出場
開催地:アルゼンチン・ブエノスアイレス
会期:4月2日~5日 予選ラウンド
4月6日〜7日 決勝ラウンド
(女子はディビジョン分けなし)
日本代表選手:
●男子(24か国・72選手)
樋口 碧、佐藤宏樹、高山達矢
●女子(17か国・46選手)
国見彩乃、林 佳奈
オリ特帯同スタッフ:高橋昌威・藤谷 匠
大会公式サイト:http://www.laserworld2012.org.ar/
国際レーザークラス協会大会HP:http://events.laserinternational.org/en/events/overview/100z66
4月1日
日本より乗り継ぎを含め30時間余、大会開催地である南米大陸南部ブエノスアイレスに到着しました。ブエノスアイレスはアルゼンチンの首都で街には高層ビルが立ち並び、ヨーロッパ風のビルも多いことから「南米のパリ」の名で親しまれ、南米の中で最も美しい町の一つとして数えられています。地名の意味はスペイン語で「buenos(良い)aires(空気、風)」という意味で、船乗りの望む「良い風」が地名になったそうです。地名どおり、大会期間中も「良い風」が吹くことを期待します。時差は日本時間マイナス12時間、またこの季節の平均気温は18°前後です。
今回の日本代表チームの構成は、男子選手・3名、女子選手・2名、帯同コーチ・2名の計7名です。
3月31日に計測・受付を無事に済ませて、早速練習を始めました。レース海面はラプラタ川という対岸が見えないほど川幅の大きな河川です。水の色が茶色で選手たちは見慣れない海面に戸惑っていました。
4月1日はプラクティスレースの予定でしたが、風がなく中止になりました。海外選手らとレースをするのが楽しみだった選手たちには残念でしたが、海外選手と合同練習が出来ているので練習通りに力を発揮してほしいと思っています。
午後、アルゼンチノヨットクラブでオープニングセレモニーがあり、在アルゼンチン日本國大使館の水上大使ご夫妻がご招待者としてお出でになりました。ご夫妻から選手たちへ応援メッセージをいただき、記念撮影もさせていただきました。明日からも応援にも来ていただけるということで心強い限りです。
いよいよレースが始まります。練習の成果を存分に発揮できるように代表団一同がんばって戦っていこうと思っています。
開幕を前にした選手の目標です。
樋口「総合5位以内に入ります」
佐藤「総合10位以内に入ります」
高山「総合1位を目指します!」
国見「15位以内を目指します」
林 「半分以上を目指します」