第3回ユースナショナルチーム候補合宿
兼 2012年JSAFジュニア・ユース種目 日本代表選考レース
Report & Photo : 重 由美子
(ジュニア・ユース担当コーチ)
世界レベルの走りを間近に見て学んで 収穫大の合宿&レース
7月ISAFユースワールド日本代表チーム・選手 決定!
開催地:和歌山セーリングセンター(NTC)
会期:2012年3月24日(土)~28日(水)
種目・選手:
●レーザーラジアル級/男子10艇・女子7艇(含:AUS招待選手男女各1艇)
●420級/男子11艇・女子8艇(含:AUS招待選手男女各1艇)
●RS:X級/男子3艇・女子2艇
▲強風レースでいい走りを見せた倉持3月24日から遅い春を迎えた和歌山にて2012年ISAFユースワールド日本代表選考兼ラジアルユース・420・RS-Xワールド補助対象選手選考を目的とした「ユースナショナルチーム候補選手強化合宿」が行われました。今回はオーストラリアのユース選手及びそのコーチを招聘しての合宿も併せて行われました。遠来のオーストラリアン達は420級男子(スキッパーがISAFユースワールド代表選手、クルーは他チームからの選手)、420級女子(オーストラリアユース選手権1位チームでISAFユース代表)、ラジアル級男子(オーストラリアユース選手権8位)、およびラジアル級女子(ISAFユースワールド代表選手)の6名。そして420級のコーチとして北京五輪女子470級金メダリストのクルー、テッサ・パーキンソンさんが帯同されました。
3月24日(初日)
寒風吹き荒む中、参加者全員が体力測定を行いました。この体力測定は4年前から始めたものですが、選考レースの前にハードに行うことについて賛否両論があります。しかし、1週間続く世界選手権にも耐えうる体力と強い精神力をつけるためにジュニア・ユースの方針としてそれを実行してきました。その成果もあって、年を重ねるごとに選手たちの測定数値が良くなり、敬遠されがちな体力トレーニングのひとつのバロメーターとなっています。
夜の講習では、JOCキャリアアカデミーの相馬さん、体操の田中選手やハンドボールの宮﨑選手に講話をしていただきました。熱心に聞き入る選手たちには翌日からのレースに向けたモチベーションアップとなりました。
▲由里のフリーパンピング▲強風で素晴らしい速さの420オーストラリア女子3月25日
朝から風軸305°16~30ノットの強風で3レースが行われました。日本チームは次から次へと押し寄せる大きい波に苦しめられましたが、一方のオーストラリアチームは強風のセーリングを逆に楽しんでいる様子でした。特に420級はオーストラリアチームに大きく離され、初日から格の違いを見せつけられた結果となりました。この日、フィニッシュできた日本チームは半数程度で、技術・体力面でもまだまだ劣っていることが明らかになりました。
3月26日~28日
25日の強風とはうって変って、軽風シリーズとなりました。日本チームは振れ回る風の中で順位が大きく入れ替わりましたが、オーストラリアの420級女子選手は、軽風でも丁寧に船を走らせ、1上のコースで失敗してもその後トップまで上がってくる粘り強さには脱帽でした。
夜の講習では、テッサ・パーキンソンコーチの「五輪で金メダルを取るまでの過程」と「その中で大切だったこと」を中心に講演が行われ、オーストラリアユース女子選手からは同世代の高校生に向けてのメッセージをいただきました。またオーストラリアの強化システムや、セーリング先進国として海外のトップを走る同国ならではの貴重な話を聞くこともできて大変有意義でした。
レースはトータル8レースを行い、その結果を受けてISAFユースワールド(2012年7月12日~21日:アイルランド・ダンレアレ)日本代表チーム・選手8名が決定しました。
●レーザーラジアル級/男子 北村勇一郎(レーザー江の島フリート)
●レーザーラジアル級/女子 村山仁美 (レーザー江の島フリート)
●420級男子/岡田奎樹・飯島 誠(玄海セーリングクラブ)
●420級女子/中山由佳・眞鍋智佳(玄海セーリングクラブ)
●RS:X級男子/倉持大也(東亜学園高等学校)
●RS:X級女子/原 百花(武庫川女子大学付属高等学校)
「3種目別 担当コーチの講評」
▲420級アビーム【420級コーチコメント】
新旧交代した日本チームは、オーストラリア女子チームの風域を問わない圧倒的な強さに全く歯が立たなかった。2011ISAFユースワールド4位の女子チームは今年の優勝を狙ってしっかり練習をして、今回のレースに参加している。彼女らのセーリングは圧倒的で、レースを通じて日本側の選手・コーチは世界トップレベルの走りを間近に見て、自分たちの立ち位置を改めて感じる結果となった。
得るものが多々あった大会で、そこに近づくためのさらなる強化策の必要性を痛感した。
しかし、日本チームの中でも12月の合宿では強風では出艇禁止とされたチームが3か月間で大きく成長し、初日の強風でもスピンを張って果敢に攻め、軽風でもよい走りをするようになり、練習方法によっては短期間で成長できる高校生の可能性とたくましさを感じることもできた。
この無限大の可能性を持った高校生たちに夢を持ってかなえさせることができるよう、ユースの制式艇種の推進を加速させ、水域と協力しながら地道に強化していくことの必要性を感じた。
▲ラジアル級スタート【レーザーラジアル級コーチコメント】
昨年大会とは違う強風レースが予想されるISAFユースワールドを考えた上での課題は①男子・女子ともに強風でのボートスピードのアップ②正確なセールトリムとボートハンドリング③体重アップ(最低3kg)である。女子については軽風では優れたセーリングを見せてくれたものの、強風域では苦戦が予想されるため基礎体力の早期改善と体重アップ(最低3kg)を図ってほしい。強風域で世界と戦える体格で挑むことが日本代表に課せられた使命と考え、これにふさわしい取り組みを3か月間してくれることを強く望みたい。12月からの3か月間で大きく進化したように、今後の3か月もこれまで以上の取り組みに期待したい。
【RS:X級コーチコメント】
RS:X級は日本代表選手の中で最も身体的能力が求められる種目である。しかし、残念ながら今回実施された体力測定では参加したクラスの中でもRS:X級の数値があまり芳しくなかった。日本代表となった男女2選手をはじめとする全てのRS:X級参加選手は世界基準の体格・体力からは程遠いと言わざるを得ない。今後RS:Xクラスの選手達は体力測定で上位を独占できるように日々のトレーニングに取り組まなくてはならない。レースについては昨年までの状況から考えると男子3名それぞれが課題を克服してきた状況が伺えた。女子についても確実にレベルUPしていることを確認できた。
今大会の経験から代表選手を中心に3か月間の強化練習会が必要だと思う。日本の次世代RS:X級をけん引している5選手のさらなる頑張りに期待したい。
最後に、年度末の大変忙しい中運営を担当してくださった皆様、参加選手の皆さん、救助活動を共に働いていただいた引率の皆様、貴重な機会を与えていただいたJSAFの皆様、和歌山セーリングセンターの皆様にこの場をお借りして心からの御礼申し上げる次第です。
ありがとうございました。
▲RSXクラスのスタート前
▲原の上マーク回航
▲AUS選手から送られた国旗と共に記念撮影