2012年ISAFユースワールド・420
ラジアルユースワールド
代表候補選手強化合宿
Report & Photo : 高橋 香・中村 健一・藤谷 匠
学んだ課題を今後の2か月間で克服することが
ワールド活躍の鍵
開催地:佐賀県ヨットハーバー
会期:2012年5月3日(土)~6日(水)
コーチングスタッフ:JSAFジュニア・ユース育成強化委員会
○中村 健一 ○藤谷 匠 ○重 由美子
○庄崎 賀絵 ○高橋 香 ○岡 美江
2012年ジュニアオリンピックカップが5月3日~6日の4日間、佐賀県唐津市のヨットハーバーで開催されました。レーザーラジアル級27艇(ユースのみのラジアルの大会としては過去最大数)とシーホッパーSR級10艇、レーザー4.7級17艇、420級12艇とFJ級が39艇それぞれ参加しました。今回、4.7級の参加に中学生の姿が目立ってきていることに新しい流れを感じました。
その中で世界選手権候補選手のレーザーラジアル級7艇、420級5艇の計17名が大会の中で個々の課題を洗い出し、残る2か月の練習につなげ、合わせて帯同コーチと選手とのチームワークを図ることを目的に合宿形式でレースに参加しました。
また今回は7月にオーストラリアで行われるレーザーラジアル級ユース世界選手権、オーストリアで行われる420級世界選手権の補助対象枠の最終選考もかねていました。
選手は3日に全員集合し、午前中に体力測定をすませ午後は海上練習を行いました。レース期間中は全員で朝のウォーキングをして朝食をとり、体操をしてからレースに臨みました。レースでは両クラスにコーチボートがつき世界選手権と同様の形でサポートを行いました。夜にはミーティングをしてレースのフィードバックも行いました。
大会では7レースを消化、選手にはよい前哨戦となりました。
大会成績を受けて世界選手権補助対象選手として
●レーザーラジアル級
○北村 勇一朗(浜名湖)
○川村 岳(江の島ヨットクラブJr.)
○平川 竜也(神奈川ユース)
○村山 仁美(レーザー江の島フリート)
○多田 緑(玄海セーリングクラブ)
●420級
○神木 聖(関西学院大学)・尾崎 玄弥(甲南大学)組
○樋口 太郎(日章学園高校)・原竹 優弥(西南学院高校)組
○角田 きあら(葉山町ヨット協会)・土屋 百茄(福岡第一高校)組
○新谷 つむぎ・馬渡 凪沙(江の島ヨットクラブJr.)組
がそれぞれ決定しました。
代表選手には日本代表のプライドを胸に、今回浮き彫りとなった課題を残り2か月の練習で克服し、世界の舞台で活躍できるよう切望します。
●コーチコメント
【420級コーチ:中村 健一】
今回の合宿では、レースに臨んで行くための一日のルーティーン(行動)を確立することと、選手と帯同コーチとの交流を深めることをベースに、レースを通じて技術や戦術の指導を行いレース本番と同じような形で競技力向上を図りました。
ルーティーンの確立では、朝のウォーキング・ストレッチに始まり、レース後にはクールダウン・ストレッチ・ミーティングと、最高のパフォーマンスを発揮するための一連の行動もスムーズに行われ、こうしたことがこれまでのジュニア・ユースの活動の中で選手たちに浸透していることを改めて確認できました。
また、体力測定を取り入れたランキングシステムにしたことでレースの結果だけでなく日頃からの努力の積み重ねが反映されるため、選手たちは自己啓発的に努力しており、合宿を重ねるごとにたくましくなっていました。
レースは3~6mの風で、潮も速くシフティーコンディションの中、予定されていた8レース中7レースが消化されました。結果は高校1年生コンビの小泉・有岡チームが優勝、ジュニア・ユースNTチームは、ニューフェイスの果敢なチャレンジに苦杯をなめる形となりました。
今回優勝したスキッパーの小泉くんは、中学2年生からシングルハンド(4.7級)に乗り換え、中学3年生ではダブルハンド(SS級)でクルーとして国体に出場し優勝しています。本来であれば中学3年生までOP級に乗って世界を目指していくといった本来の流れとは異なり、新しい「流れ」がひとつできたのではないかと思います。
彗星のごとく現れた新人選手に惨敗した形となりましたが、合宿を通じてNT選手は大きく成長することができました。
若い世代の選手の伸びしろは我々の想像をはるかに超える未知の可能性があります。世界に挑戦するための2回の強化合宿は彼らを大きく成長させるものと確信します。次回は5月18~20日に第2回合宿が開催されます。
ISAFユースワールド・420級世界選手権の我々の目標は「メダル獲得」です。より目標に近づくためにコーチ陣もできる限りの指導をしていきたいと考えています。
選手の皆さん、お疲れ様でした。
【レーザーラジアル級コーチ:藤谷 匠】
今回はJOCジュニアオリンピックカップと併せた形で合宿を開催しました。大会期間中はほぼ軽風から中風域でのレースでしたが、世界選手権に向けて課題が見つかりました。フルハイクコンディションでは(日頃トレーニングをしている選手たちなので)ボートスピードにアドバンテージがあり苦しい展開の中でもスコアを崩すことはありませんが、今回の風域では他選手たちとのアドバンテージがなくなってくるので、ひとつのミスが大きなロスにつながります。今回のレースでは小さいミス(スタート・レース展開など)が多く見受けられました。世界選手権ではトップから最後尾まですき間なく連なっていきますので、風域に関係なくミスをすると確実に順位を落とします。そのことを日本でも意識できるといざという時に役立つようになります。ミスを少なくすることが好成績につながります。
世界選手権までに今回学んだ課題(スタート、レース展開)に併せて、ボートスピードの強化をしていきたいと考えています。
最後に今回運営していただいた皆様、合宿にご協力いただいた皆様に感謝申しあげます。