2012年度 関西水域合宿
Report : 高橋 香(ジュニア・ユース育成強化委員会)
自分のセーリングを見つめなおす3日間の合宿
次代に向けて大きな1歩
●開催地:和歌山セーリングセンター
●会期:2012年7月14日(土)~16日(日)
●コーチングスタッフ:今井雅子、高橋航、高橋香、尾川潤
今回の合宿にはレーザーラジアル級3名、4.7級2名、ウィンドサーフィン・テクノ293級4名の計9名が参加しました。風に恵まれた3日間となり、当初の目標通り充実したよい合宿ができました。
指導にあたった各コーチのレポートをご一読ください。
【ウィンドサーフィン・テクノ293級 コーチのレポート】
今回のウインドサーフィンは「自分で考えて自分で解決する」をテーマに合宿に臨みました。
このテーマは6月末開催の関東水域合宿と同じです。これはたとえ、コーチが大会会場・海上にいない状況になっても、いつもと変わらない実力を発揮できる選手になるためです。最初のミーティング時に選手に主旨を説明。選手が「自分で疑問を持って自分で考えて自分で解決方法を見出すため」に、コーチ陣は指導をせずに5W1Hで質問をしていくことにとどめ、あくまでも選手本人の「気づき=自覚」を待つことに徹底しました。自分の最終目標とそれに繋がる身近な目標、それには何をしていけばよいのかという自分なりの具体的な練習課題を先ず選手に話してもらいました。
この目標は「自分のレベルアップに応じていつ変えても良いものだから、今の目標を素直な気持ちで話して欲しい」としたものでした。結果、全員から世界選手権上位入賞、ユースオリンピック出場といった目標が出てきました。
1日目の課題は「自分の弱点を知る」です。午前中にタック練習、スタート練習、そしてコースラウンディングを行い、午後にはスタート練習とコースラウンディングを行いました。時には20ノットを超えるブローの中、選手の課題は浮き彫りになったようでした。
2日目の課題は「自分の弱点をなおす」です。前日判明した数々の課題の中から、優先順位をつけて特に気になる3項目に絞って練習をすることを提案しました。それぞれが自分の課題を持って、それに取り組んでいくわけです。決められた練習内容だけではカバーできないことが出てきたのか、選手自身から「○○が練習したい」と練習内容の要望が出始め、決められたメニューの間の休憩時間を選手自身が自主練習に充てはじめました。ショートコースによるアプローチ練習・マーク回航練習・スタート練習・コースラウンディング練習を午前中に行い、午後はスピード練習・ジャイブ練習・コース練習を行いました。夜のミーティングでは「○○選手のすごいと思うところ」を選手間で出し合いました。自分が気づいていない自らの長所を、各選手が認識するためです。選手たちは撮影された映像を食い入るように見入っていました。
最終日3日目の課題は「自分の得意を知る」です。認識した課題の弱点はイコール「自分の変えるべきこと」と表現を変えてそれを「伸びしろ」とし、あくまでも前向きに進んでいく意識でレースを行うためです。また、レース前の時間でしたいことがあるか?と聞いたところ、それぞれから自分の希望が具体的に上がってきました。シークエンスも5分とし、P旗適応の本格的なレースを3本行いました。
今回の合宿において、選手は「自分達に何が足りないか」を認識して「絶対できるようになりたい」という感情を表に見せるようになってきました。大切な第一歩を踏み出したように思います。
単発の合宿に終わらせずに世界選手権・ユースオリンピックに続いていくよう、コーチ陣も向上していかなければなりません。選手と共に精進努力する形でこれからも更に速く走っていけたらと思います。
【レーザーラジアル4.7級 コーチのレポート】
今回レーザー級の合宿内容はタックやジャイブといった動作・ハンドリングを中心とした練習となりました。レーザー級では選手が自ら欠点を探し、その欠点をどうしたら克服できるのかをなるべく選手自身に考えさせるようにしました。
初日の午前中はチャーター艇の選手もいたことから艇のチェックと体慣らしを含め帆走をしました。午後からはマークをうち今の自分のタックとジャイブの力量を確認させました。
2日目の午前中は初日と同じメニューのラウンディングをしました。出艇前のミーティングでは、前日よりもより良いタックにするにはどこを改善すればよいかを選手自身に考えさせ一日一個の改善を促しました。午後からはタックとジャイブのほかにマークのラウンディングを意識するような別メニューをいれました。長めのアップウィンドとダウンウィンドがはいるため、必然的にタックとジャイブが入りさらに下マーク回航を混戦の中回るようなメニューにしました。
3日目は今までのメニューを行ったうえで、さらにもうひとつメニューを追加しました。最後のメニューはタックとジャイブがはいりマークラウンディングがあり、さらにアップウィンドスタートをしてどのように走ったら最短コースでマークを回れ、他艇に勝つことができるかを考えなくてはならないメニューにしました。
夜のミーティングでは選手自身にどのようなミーティングにしたいかを聞き、なるべくその趣旨にあったミーティングをしていきました。その上で、練習時のビデオを見て何か気づいた部分があれば指摘をするようにしていきました。あくまでも選手自身が自分のセーリングに対して“考える”ことを尊重した内容にしていきました。どの選手も全体を通していくつも反省点や疑問点をあげられるようになっていき、自分のセーリングに対してよく考え向き合っていく姿勢ができてきていたのではないかと思います。今後もそれを継続していくことでより良いセーリングが築けるのではないかと思います。
今回の合宿では、それぞれの選手自身の考えというものを目の当たりにすることができました。そのため選手それぞれに特性があり、コーチはそれに気づかなくてはならないと感じました。ユースセーリング界のレベルアップはひと昔前に比べるととても高いものになってきていると思います。ユースの強化は次世代の強化ととらえ、コーチ共々精進していかなければならないと感じました。
最後になりましたが、和歌山県セーリングセンターの皆様、和歌山県セーリングの皆様、この合宿を支えてくださった皆様に感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
▲マークの高さに全員がバウを合わせます▲最初はタック練習からはじめます
▲4.7にラジアルがぬかれそうです▲風の強弱が強く難しいマーク回航です
▲果敢にスタートを攻めます▲片のぼりコースで苦戦します
▲ハーバーバックもがっつりリーチング練習▲天気と風に恵まれました
▲ポジショニングも重要です▲二人のデットヒートは続く
▲最後まであきらめずにゴールを目指す!