Day6
2014 420 World and Ladies World Championship
2014年 420級世界選手権
Report & Photo :鈴木國央・高橋 航(オリンピック強化委員会)
6日目(最終日)
▲AP/Aが掲揚されレガッタ終了。
420級世界選手権最終日、10時予告信号の予定でハーバーに向かい、レースの準備を行いましたが、ハーバー到着直後から、雷、豪雨によりAPとなり、その後に雨はやんだものの、風が吹かずにAP/Aとなりました。
結果、昨日までの成績が最終成績となりました。
来年の世界選手権は唐津で開催されます。
オリンピック強化委員会では、次世代特別強化合宿などを行い、2020年東京オリンピック、それ以降のオリンピックで複数のメダル獲得、また、全クラスで入賞できる選手強化を進めてまいります。
6日間、応援をありがとうございました。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day5
5日目(決勝2日目)
▲大混戦の風上マーク。
420級世界選手権5日目は、前日のスケジュールの遅れを取り戻すため、10時予告信号で3レースが行われました。予報通り風は南東の風7ノットで1レース目がスタートし、一日かけて風は左に回り、最終的には北東の風12ノットでした。
左に回り続ける風は、下有利のスタートラインと左海面有利の展開を作り出し、日本チームにとって試練の一日となりました。
●オープンフリート
オープンフリートで決勝に残った高山・中野は、ピンエンドからのスタートにチャレンジできず、ピンエンドからスタートした艇団と、ピンエンドスタートで失敗して集団の後ろを通り右展開した艇団から大きく遅れ、毎レース上マークを終盤で回航しました。結果、今朝の時点で14位だった総合成績を大きく落としてしまいました。
今日はトップランクの選手でも3レース中1レースは悪い成績をとっており、ピンエンドスタートのリスクはあると思います。しかし左に回り続ける風の中ではチャレンジしていかないと成長しないと感じました。今後の次世代強化の大きな課題です。
明日はまた10時から最終2レースが予定されています。今後につなげるレースをしてもらいたいと思います。
●女子フリート
女子フリートはこのシリーズの中で最も吹いた1日でした。
左から入ってくる陸風で、いつもよりは強めのプレッシャーを受けていました。全体的に左に回る風であり、すべてのスタートが下有利のスタートになり、アウターサイドに艇が集まり混雑します。左寄りの風が入るため、下側から出られた艇はすぐにタックを返します。今日は、この流れに乗ることができませんでした。
田中・高野は、スタート自体はおおむね成功しているのですが、その直後の走りができず流れに乗ることができません。プレーニングに近くなるタイミングがあるので、スタート直後のスピードの有無でその後の展開が左右されます。思うように自分のレースをさせてもらえないところが、今日のゴールドフリートでした。
伊神・桑野は今日の3つ目、第10レースのスタートを成功させ、第1上マークをシングルで回航しました。見ていてもレース全体の流れに乗れている感じで、思うようなコースが引けました。
また、最終下マークでケースがあり、抗議に挑戦しました。鈴木コーチから抗議の手順、インシデントの説明の仕方のレクチャーを受けて、英語でどう説明するかを考えました。しかし、抗議書が要件を満たしていないということで却下になりました。一生懸命考えたことは、今後につながると思います。
残すところ2レースとなりました。戦えそうで戦えないというのが、見ていての感想です。いい場面があるいうことは、それを再現すればいい順位を取れることになります。いい時の状況を作り出す実力が必要になります。そのためには、これから多くのことを1つずつ練習せねばなりません。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day4
4日目(決勝シリーズ)
▲最終上マークを4位で回航する高山・中野。
昨日はレイデイ。選手たちはのんびりしたり、走りに行ったり、街へ出かけたり、現地の友人に会ったりと、思い思いの時間を過ごしました。
決勝シリーズ1日目の予報は、「前線の影響で南東からの風が7ノット」または「シーブリーズがグラディエントに勝ち、東からの風に変わる」のどちらかというものでした。
●オープンフリート
オープンフリートは髙山・中野がゴールドフリート、高竹・山下、吉永・三角、矢野・藤木がシルバーフリートで決勝シリーズを戦います。
陸風になる南寄りの風でレースが行われました。初めての風向なので、レース海面での走り合わせをよく行ってからレースに臨みました。
今日は、各チームとも良いスタートができました。髙山・中野は一瞬ヒヤリとする状況がありましたが、上手にリカバーをして出ていきます。スタート後の展開をよく見えているので、コースが的確で1マークをシングルで回航します。ダウンウインドでは抜きつ抜かれつするもののシングルをキープ。しかし、最後のリーチングに入る際のポジションが悪く、はじき出されて順位を落としてしまいました。それでも、着実に順位を上げています。
シルバーフリートは、全チームがシングルで回航できる力があると思うので、積極的な展開をしながら、じっくりとレースをしてもらいたいと思います。
最終リーチングに入る前に、シルバーフリートがゴールドフリーとの後続グループに追いつき、さらに風が落ちてしまったため、マーク付近が大混乱となりました。ハンドリングだけでは片づけられないかもしれませんが、大混乱の中を上手に抜けるテクニックも必要だと実感させられました。国内戦ではあまり見ない光景なので、渦中にいた艇は良い経験になったと思います。
この日は風の状況で1レースしか行えませんでした。残りのレースが十分にあるので、1レース1レースを大切に戦っていきたいと思います。
●女子フリート
出艇時は南西の風が7ノット前後だったのですが、予報通りに風は落ち始め不安定な状態でした。
ゴールドフリートの田中・高野は、ユースワールド以来徐々に成長しており、今大会一番のスタートを切りました。しかし、無情にも左海面に無風地帯が広がり、そこにつかまってしまいました。右海面に向かった選手と無風地帯の選手では大きな差が生まれ、最後まで挽回することができませんでした。
同じように無風地帯につかまったフリートリーダーのシンガポールは、それでも後半に挽回し10番台でフィニッシュしてくるだけに、その後の集中力がポイントになるレースでした。シルバーフリートの伊神・桑野も同じく無風につかまってしまい、レース前のスピードが良かっただけに残念でした。
風の振れと無風のため、今日はこの1レースだけで終了しました。明日は10時から3レースが予定されています。決勝に入っても上り調子の高山・中野、徐々に成長してきている田中・高野にとっても、フリートにとっても大切な一日となりそうです。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day3
3日目(予選最終日)
▲2位で上マークを回航する高山・中野チーム。
予報は北西の風10ノット以上(ガストで14ノット)でしたが、レースが始まる頃には徐々に風が落ち始め、8ノット前後の風で終始しました。
●オープンフリート
第5レースでは高山・中野チームが良いスタートとスピードで上マークを2位で回航、その後のダウンウインドで内側に入るのが早すぎ6位まで順位を落としますが、2上ではカムバックし3位で回航。最終ダウンウインドで一艇に抜かれるものの、リコール艇があり3位でフィニッシュしました。また別フリートの高竹・山下チームは、1上では中盤で回航しましたが、2上の振れをよく読み、5位でフィニッシュしました。
第6レースは風が左に振っているため、かなりバイアスなスタートライン&コースでした。風が右に振れ戻ると読んだ高山・中野チームは右海面をキープしながらレースを進めますが、風はさらに左に振れ上、マークを中盤以降で回航。その後、順位を上げ、18位でフィニッシュしました。
高山・中野チーム、高竹・山下チームはスピード、角度ともにいい状態にあるため、スタートとその後のコース取りで順位が決まるといった印象でした。
●女子フリート
前線、雨、風向の変化と前日までにはない要素が多くありましたが、最終的には天気予報通りに落ち着き、予選シリーズを終えました。
女子フリートは田中・高野、伊神・桑野の両チームともゴールドフリートに残ることを目標にスタートしました。
しかし、両艇ともスタート40秒前、30秒前、15秒前のポジション、他艇の動きのけん制が悪く、気持ちよくスタートを切れません。
そんな中、第5レースの伊神・桑野チームは、スタート後に即タックで逃げ、もう一度左に戻していきます。これが当たり1マークを4位で回航。その後の、ダウンウインドのコース、2上のコースが奮わず順位をキープできませんでしたが、収穫になったと思います。
第6レースの田中・高野チームも逃げタックからの左海面戻しが奏功しアップウインドのコースが決まり、1マークをトップで回航しました。前回のようなダウンウインドのミスもなく、しっかりコースを引き、ゲートマークまでトップを走りました。残念ながら、2上でフリートから離れてしまい首位はキープできませんでしたが、シングルでのフィニッシュでした。
それぞれに光るところがあり、見応えのあるレースでした。ワールドは甘くはなく、見るべきポイント、判断、実行のタイミングが少しずつ遅れると、抜かれます。予選シリーズの反省点をしっかりとまとめ、決勝ではさらに良いレースに取り組みたいと思います。
▲トップフリートの中で最終マークにアプローチする田中・高野チーム。
オープンフリートの高山・中野チーム、女子フリートの田中・高野チームが決勝にコマを進めました。両チームとも予選ではトップ集団に絡む走りをしており、上位入賞を目指します。明日はレイデイとなり、一日休養です。明後日から決勝フリートのレースが始まります。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day2
2日目
▲第4レースでぐいぐい追い上げる田中・高野チーム。この後シンガポールも抜き去りました。
2日目は13時予告で2レースが行われました。
予報では7~8ノット、ガストで14ノットでしたが、出艇後に風は徐々に落ち、スタート予定時刻には6ノットの軽風コンディションとなりました。
●女子フリート
昨日5位を取った田中・高野チーム、1レース目は高めのスタートラインでリコールを恐れ、出遅れてしましました。上マークを15番前後で回航するものの、リーチング、下マークで抜かれ、23位でフィニッシュしました。
第2レースではゼネリコ後のブラックフラッグでした。真ん中付近からトップスタートを切ったものの、1レース目に大きく右へ振れたことを意識したのか右へ展開し、上マークを20位前後、その後スピードでぐいぐい追い上げ、13位でフィニッシュしました。
▲レース海面からの帰りは曳航です。
●オープンフリート
オープンフリートでは、高竹・山下、高山・中野、吉永・三角がブルーフリート、矢野・藤木がイエローフリートでレースを行いました。
トラピーズに乗れるか乗れないかというコンディション。前日の反省から、「クリアなスタートをし、ちょっとだけ相手より前に出て走ろう」ということを目標にして臨みました。
「スタートができ自分のポジションが確保できる。なおかつ最初のシフトを確実に拾える」この2つが確実にできると、シングルで回航することができました。また、シフトの周期が少し短くなったため、マークに近づくタックを確実に走らないといけません。
そんな状況下、高山・中野チームは2レースともシングルでフィニッシュしました。スタートを本部船寄りから展開し、スタート後のタックを長く伸ばし、その結果、自分の展開ができ、アップウインドで良い走りができていました。しかし5位から上の壁は厚く、そこへいかに入り込むかが勝負です。昨日よりも調子は上がってきています。
高竹・山下チームは昨日のレースで帰着申告を忘れ、2ポイントのペナルティを受けました。また第4レースでは、上マークでのインシデントで失格となりました。全く身に覚えのないインシデントであったため、防ぎようがなかったように感じます。
チーム全体としてもトラブルを最小限に、お互いにフォローしながら、まずは予選シリーズを戦い抜きたいです。
明日は予選の最終日で、13時に予告信号が予定されています。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day1
1日目
▲しっかりスタートし集団の中でレースが出来た高竹・山下。
1日目はオープン、女子ともに2レースが行われました。
予報では60度~70度で7ノットの風だったのですが、レース海面の風は5ノット以上には上がりません。オープンフリートは5ノットの風でスタートしました。
スタートラインの長さは、ISAFの基準(ISAFポリシー)どおり厳格に設定されています。ということで、スタートラインは端から端までレース艇でいっぱいです。スタートのポジション取りと、そこから抜け出せる能力が必要になります。
●オープンフリート
高竹・山下チームは周りの船をよく見て、相手を上手に牽制しながら、2レースとも良いスタートを切りました。しかし、海面に吹く風は大きな湾の奥に入ってくるシーブリーズのため、陸地で発達した積乱雲の影響で大きく、ゆっくりと振れます。オープンのフリートは、20度から30度の大きな振れが、1レグに一度だけやってくるような印象でした。この振れにしっかりと合わせることができませんでした。
そのほかの選手もスタートで出遅れたり、シフトを外すことが多かったものの、スピードで競り負けることはないようです。これらの点を調整し、あす以降、挽回したいと思います。
●女子フリート
女子フリートは、オープンフリートより風上に設定されています。風上といってもお互いのマークが判別しにくいくらい離れているので、十分なエリアを持ってレースを進めています。
最初のレースということもあり、スタートをしっかり決めることを意識して取り組みました。田中・高野、伊神・桑野の両ペアともスタートを決めたら、良い位置で走れるという感触をつかんだと思います。両ペアとも2レースのうち1つがシングル、もう一つが20番前後のスコアでした。
風のシフトはオープンフリートと同様、大きく左右に振れていきます。田中・高野チームの2レース目は、スタートを本部船寄りから決め、右に展開しました。これが功を奏し、第1マーク、第2マークまでトップで走ることができました。しかし、ダウンウインドのコースを外し、5位まで落ちてしまいました。中盤までの良い感触は次に生きると思います。
全体的な印象としては、十分に闘える感触があります。明日からも1つ1つのレースを大切に、着実に上位を狙えるよう調整していきたいと思います。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
420WC
事前練習と開会式
●日 程:7月28日~8月3日
●開催地:ドイツ・トラベミュンデ Germany・Travemünde
●大会サイト:http://worlds.420sailing.org/en/default/races/race
▲日本代表選手の面々。前列左から田中美紗樹・高野芹奈、伊神麻衣・桑野絵里佳、高山大智・中野翔太、矢野伸一郎・藤木一誓。後列左から高竹義樹・山下滉平、吉永風人・三角光。
7月28日から420級のオープン世界選手権&女子世界選手権が、ドイツのトラベミュンデで開催されます。
日本チームはISAFユースワールドから引き続き参加したチームと20日に日本を出発したチームが合流しました。
チャーターボートを受け取った21日は30ノットオーバーの強風で、他国のチーム6艇がマストを折って帰ってきました。日本チームはチャーターボートであること、マストの予備がないこと、またレース期間中は軽風が予報されていることから大事をとって、練習を取りやめていました。その後徐々に風が落ちたため、2日間の強風と、2日間の軽風の練習を経て大会に臨みます。
27日はトラベミュンデ・ウィークの会場で開会式が行われました。来年唐津で開催される世界選手権について色々なチームから情報を求められ、注目度の高さがうかがえます。
大会は「3日間の予選シリーズ」と「3日間の決勝シリーズ」に分けて12レースが予定されています。応援をよろしくお願いいたします。
▲開会式での日本チーム。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)