Day7
2014 Youth Olympic Games NANJING
2014年 ユースオリンピック南京大会
Report & Photo : 宮野 幹弘
JSAFオリンピック強化委員会ウインドサーフィン担当コーチ
大会最終日
▲気持ちで負けず総合7位と頑張った新嶋莉奈。
予備日を使ってのファイナルレース。今日は朝から雨模様で、風の予報もあまり期待できなかったが、予定どおりレースが行われました。
風向90度から130度、風速2から10ノットと難しい状態でレースが始まりました。風がある所をしっかり見て走ること、右側には山があり上マーク付近はこの山のブランケになるのでなるべく右側にはいかないこと、などをレース前に選手と話しました。
男子の池田はスタートで遅れてしまい、タック。途中までは風のあるところをしっかり走ってスタートの出遅れを挽回し、上位集団の中でレースを展開しましたが、突然この集団から離れ、再度右海面を伸ばし山のブランケに入ってしまいました。その結果、風がなくなり、左から来ていた集団に抜かれ10番前半で上マークを回航。
2上でも再度挽回のチャンスが訪れましたが、再び右に伸ばしてしまい、5番まで上げた順位を下げ、最終7位でフィニッシュしました。
スタート前、女子の新嶋とは風が左から来る傾向にあると話しましたが、スタート直前の若干の右シフトを気にしてしまい、上からのスタート。スタートは良かったものの、やはり左に振れ始めてしまいました。
他の選手との位置関係を嫌い、左から風が来ているのですがタックして右海面へ行き、やはり風がなくなって10番後半で上マークを回航。その後、下りで若干挽回し下マークを回航。この時、右から雨雲が来て風が右へと振れ始めました。この雨雲についてはミーティングで何度も話していたので、それに気づいた新嶋は下マーク回航後に右海面へ向かってうまくこの風を使い、一気に10位まで順位を上げフィニッシュしました。結果、総合で7位になることができました。
今回大会を通し、池田はスタートで出遅れ、やむなくタックしてしまうこと、欲を出してしまい集団から離れてしまうことなど、とても多くのミスがあったと思います。
世界選手権では勝っていた相手が多く、それゆえに冷静な判断ができなかったのかもしれません。この経験を今後に生かせるようにしたいと思います。
女子の新嶋はとても頑張ったと思います。ミスをしても一生懸命パンピングをして前に出て、気持ちで負けなかったことが総合7位に上がれた要因だと思います。
男女ともにメダルを取ることはできませんでしたが、確実に選手たちのレベルが上がっていることを実感しました。今回のレースを通し選手たちはしっかり自分で考え、レースを展開することができたたと思います。今後この選手たちが2020年東京オリンピックのメダル獲得に向け、競い合っていくのだと思うと、成長がとても楽しみになります。
男子の池田はこの大会後にRS:Xへ転向し、次のステップへ進みます。
女子の新嶋は2015年TECHNO293世界選手権に出場後、同じくRS:Xへ転向します。
今後もこの2選手の名前をいろいろな大会で聞くことがあると思いますので、変わらぬ応援をお願いいたします。
選手たちは28日まで大会会場に残り、文化教育プログラムやトップアスリートとの交流をした後、29日に帰国します。
シンガポールでの第一回大会から南京ユースオリンピックまでの4年の間、応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
●選手コメント
男子:池田健星
「初日に2位となり、レース自体が守りに入り、思うようなレース展開ができなかった。とても悔しい思いをしたが、よい経験ができたので、この経験を次のRS:Xに活かせるようにしたいと思います。」
女子:新嶋莉奈
「いろいろミスがありとても悔しかった。この経験を活かしてこれからも練習に励みたいと思います。今回この大会に向けてたくさん練習したことで、上位に入ることができました。これからももっとたくさん練習をして、さらに上位に行けるように頑張っていきたいです。」
●成 績
○男 子
池田 健星(神奈川県立逗子高等学校)
総合7位 3-7-2-7-(9)-8-7
○女 子
新嶋 莉奈(横浜国立大学教育人間科学部付属鎌倉中学校)
総合7位 11-4-7-9-9-(17)-10
▲総合7位の池田健星。この後、RS:Xへ転向する。(photo by ISAF)
▲出艇前のウォームアップ。
▲最後のバトルを繰り広げる新嶋。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day6
大会6日目
▲サンダーストーム。
今日も風待ちの1日でした。3日間連続での風待ちは初めてのことです。
3時半ごろに予報どおり雨雲が現れ、突風と雷、大雨と嵐が訪れました。そんな中、先に予定されていたバイトクラスが出艇するもさらに風が吹きあがり、一度ハーバーに戻る指示が出ます。その後、雨雲がなくなり、再び風がなくなりしばらく風を待ちましたが、吹いてくる気配もなく、本日のレースも中止されました。
ファイナルレースは、明日の予備日に延期され、今日と同じスケジュールとなります。
選手たちは、天気の変化など肌で感じることができ良い経験ができたと思います。突風後、風がなくなり、香港の女の子の選手が「風が吹いているのになぜレースを行わないのか」とレースコミッティーに一生懸命話をしているところが印象的でした。
明日は無風の大雨の予報が出ていますが、レースができるように祈っています。
明日が最後のレースです。選手たちも精一杯頑張りますので、応援よろしくお願いします。
●選手コメント
男子:池田健星
「この3日間とても長かったが、明日こそレースをして順位を上げ、日の丸を上げたいと思います。」
女子:新嶋莉奈
「最後のレース悔いが残らないように頑張ります。」
●成 績
○男 子
池田 健星(神奈川県立逗子高等学校)
8位 3-7-2-7-(9)-8
○女 子
新嶋 莉奈(横浜国立大学教育人間科学部付属鎌倉中学校)
9位 11-4-7-9-9-(17)
▲嵐の後の静けさ。
▲ポーランドの選手と共に。
▲女子みんなで風待ち。
▲本日のレース終了。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day5
大会5日目
▲みんなで記念撮影。
本日も風がなくノーレースでした。
これまでにオープンシリーズ6レースが消化しているので、明日はファイナルレース1レースで大会終了となります。明日はポイントこそダブルではありませんが、カットできないレースになるので、1つでも順位を上げられるようにしたいと思います。
明日はサンダーストームの予報が出ており、レースができるかどうかは予断を許しません。しかし、強風下でのレースが予想されるので、頑張ります。
●選手コメント
男子:池田健星
「メダルを取り、日の丸を上げることができるように精一杯戦いたい。」
女子:新嶋莉奈
「最後のレースなので、すべての力を出し切り上位を狙いたい。」
●成 績
○男 子
池田 健星(神奈川県立逗子高等学校)
8位 3-7-2-7-(9)-8
○女 子
新嶋 莉奈(横浜国立大学教育人間科学部付属鎌倉中学校)
9位 11-4-7-9-9-(17)
▲今日のレース終了。
▲風がない。その1
▲風がない。その2
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day4
大会4日目
▲アジアみんなで昼食。
大会2日目が無風でキャンセルになったため、当初の予定を変更し予備日の本日がレースとなりました。しかし、今日も予報どおり風がなく、13時30分にAP/Aが掲揚され、全クラスのレースがキャンセルとなりました。
このため24日の予備日を使い、残り4つのフリートレースとメダルレース1レースを行うことになりました。
今日は風待ちの間に記念写真を撮ったり、トランプをしたり、あるいは他国の選手のセッティングを聞いたりと、日本の選手たちは有意義な時間を過ごせたようです。とくに、ベネゼーラ、ニュージーランド、イタリア、ロシア、香港、タイ、シンガポール、スペインの選手たちと仲良くなっていました。
●選手コメント
男子:池田健星
「昨日はとても緊張していたが、残念ながらレースはなかった。しかし、まだ上位を狙える位置にいるので、残りのレース頑張っていきたい。」
女子:新嶋莉奈
「接戦なので、一つでも順位を上げられるように頑張っていきたい。同じミスがないように頑張ります。」
●成 績
○男 子
池田 健星(神奈川県立逗子高等学校)
8位 3-7-2-7-(9)-8
○女 子
新嶋 莉奈(横浜国立大学教育人間科学部付属鎌倉中学校)
9位 11-4-7-9-9-(17)
▲モテモテの池田健星(中央)。
▲健星と大会マスコットるる。
▲同じく莉奈&るる。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day3
大会3日目
▲少し緊張気味の男子の池田健星。
今日は朝から霧がかかりましたが、風向が安定していたため予定どおりにレースが行われました。選手には、風が左に触れる傾向があるので上り過ぎに注意すること、スタートをクリアな所から出ること、などの注意点を伝えました。
風向35~50度、風速3~5ノットの中、女子の第4レースが行われました。
女子の新嶋はスタート20秒前に本部船のブランケットに入って沈をし、今までにない最悪なスタートでした。しかし、あわてずしっかり周りを見てコースを引き、1上は10番後半で回航。2上で9番まで上がり、そのままフィニッシュしました。
第5レースはクリアなスタートを切り、1上を6位で回航。しかし、2上で左からの風が見えずに右へ行ってしまい、9位まで順位を下げてしまいました。途中までとても良い展開だっただけに残念な結果です。
続く第6レースは頑張っていたのですが、ギアトラブルがあり、カットレースを作ってしまいました。
しかし、ミスは多かったものの、そのミスを挽回するためにパンピングを諦めることなくレースをしていました。総合順位は2つ下がり9位になりましたが、内容的は良いレースだったと思います。
男子の池田にはレース前に、左にシフトしたときあまり角度を取って走ると下先行している艇に抜かれるので注意するように話をしました。しかし、スタート直後に角度を取り始め、上の艇団を切り上げるも、その後、風が左に触れたためこの艇団に前に出られ、仕方なく右に返して順位を落としてしまいました。
今日は3レースともにこのケースから抜け出せず、大きく順位を落としてしまいました。初日のレース展開は右に振れる展開だったため、角度を取ることで有利な位置に立つことができたのですが、今日は逆の展開となり、うまく走らせることができませんでした。
男子は風がない中でのパンピングレースということもあり、体力的な差も感じる展開でした。池田は小さいパンピングをして上マークまで行くのですが、海外の選手は大きなパンピングで同じように走っていきます。パンピングが大きい分、体重をうまく乗せることができるので角度も取れ、スピードも出せます。
少しでも風域が上がると違う展開になりますが、今日のようなコンディションでは、どれだけ大きくパワフルにパンピングするかが重要になります。池田は最後まで大きなパンピングができず、小さいパンピングになってしまったことが、順位を上げられない要因かもしれません。
結果、池田は総合順位を下げて8位で2日目を終えました。しかし、上位とは僅差なので、残り4レースの結果でメダル獲得には望みをつないでいます。
今日、選手たちはとても良い経験をしたと思います。同じ間違いをしないように今後のレースに臨んでほしい。大会2日目はだいぶ緊張したのか、いつもの動きとまったく違っていたように思います。
●選手コメント
男子:池田健星
「勝負の3レースでしだが、思いどおりに走ることができなかった、明日はよい位置からスタートし、上位に返り咲きたいと思う。同じようなミスをしないように頑張ります。」
女子:新嶋莉奈
「今日は、たくさんパンピングをして順位を上げましだが、それ以上にミスのほうが大きかった。明日はミスを減らし、もっとパンピングで順位を上げていきたい。」
●成 績
○男 子
池田 健星(神奈川県立逗子高等学校)
8位 3-7-2-7-(9)-8
○女 子
新嶋 莉奈(横浜国立大学教育人間科学部付属鎌倉中学校)
9位 11-4-7-9-9-(17)
▲女子の第1下マークのバトル。
▲男子の第1下マークの回航。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day2
▲風がなく、AP/A旗があがりました。大会2日目
今日は、朝から風がなく5時間ほどウェイティングをしたのち、AP/Aが上がり、technoクラスの本日のレースは、終了しました。そのため21日の予定されていた予備日を使い本日行われる予定であった2レースを消化することになりました。
●選手コメント
男子:池田健星
「明日は勝負の3レースなので、今日休むことが出来た分、明日は精一杯パンピングできるように頑張ります。」
女子:新嶋莉奈
「今日は、レースがなく休むことが出来たので明日は、たくさんパンピングしたいと思います。」
●成 績
○男 子
池田 健星(神奈川県立逗子高等学校)
2位 3-7-2
○女 子
新嶋 莉奈(横浜国立大学教育人間科学部付属鎌倉中学校)
7位 11-4-7
▲長い風待ち。
▲トライアスロンの選手達と一緒にストレッチ。
▲今日の記念撮影はいつもと違います。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day1
大会初日
▲本日の記念撮影。今日は大会初日ということもあり、レース前に星野一郎総監督が激励にいらっしゃいました。
レースは、風が安定せず定刻より約30分遅れてのスタートとなりました。スケジュールは男子が2レース終了後、女子が2レースを行い、その後、男女各1レースが行われました。レースコンディションは風向が35度から55度、 風速が4から6ノットでした。2人の選手には、角度を気にしすぎてボードを止めないこと、周りをよく見ることを話しました。
男子の池田、1レース目はしっかりコースを見て走ることができ、3位でフィニッシュ。
続く2レース目は、スタートの出遅れが響き、7位。このレースは最後までパンピングが続かなかったことも順位を上げられなかった要因の一つだと思います。
第3レースは、一度ハーバーに戻り休息を取ったせいかスタートを失敗。しかし、5位で上マークを回航後、しっかりコースを読み、パンピングも継続することができ、2位でフィニッシュしました。結果、総合で2位に入りましたが、実力的には1位が取れると思うので明日から頑張ってもらいたいと思います。
女子の新嶋は、1レース目は4位で上マークを回航するも、大きく風が右に触れてしまい後続艇に抜かれ、順位を11位まで落としてしまいました。レース終了後、風の振れもあったが、パンピングをやめてしまったことも順位を落とす大きな要因の一つだと説明をし、精一杯パンピングをするように指示をしました。
第2レースはとても素晴らしいスタート。1上を4位で回航し、そのまま順位を落とさずフィニッシュすることができました。
第3レースではスタートを失敗しましたが、猛パンピングで5位で1上を回航。その後もしっかりとした走りで順位を維持していましたが、最後の下りで漕ぎ負けしてしまい、7位となりました。とても頑張っていただけに、残念な結果でした。
明日も同じコンディションが予想されており、今日の反省を踏まえ、さらに順位を上げられるようにレースに挑みたいと思います。
●選手コメント
男子:池田健星
「全体的に上位で走れたことはうれしかったですが、トップフィニッシュができる自信があるので、明日も同じようなコンディションが予想されている中ミスを少なくし頑張りたい!」
女子:新嶋莉奈
「3レースともにミスがとても多かった。一つのミスが大きく順位を落とすので、明日はミスを少なくして頑張りたいです。」
●成 績
○男 子
池田 健星(神奈川県立逗子高等学校)
2位 3-7-2
○女 子
新嶋 莉奈(横浜国立大学教育人間科学部付属鎌倉中学校)
7位 11-4-7
▲新嶋、4位で下マーク回航。
▲第3レース、2位でフィニッシュの池田。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
'14YOG
●日 程:8月18日~23日
●開催地:中国・南京 Nanjing・China
●出場選手:
○TECHNO293 男子:池田 健星(神奈川県立逗子高等学校 1年生)
○TECHNO293 女子:新嶋 莉奈(横浜国立大学教育人間科学部付属鎌倉中学校 3年生)
●参加艇数:
○男子:20名/20カ国
○女子:20名/20カ国
●帯同コーチ:
宮野 幹弘(JSAFオリンピック強化委員会ウインドサーフィン担当コーチ、ナショナルコーチ。45rpmスタジオ株式会社所属)
●大会サイト:http://www.nanjing2014.org/en/en_sports/sportsIntroSailing.htm
大会前日
▲会場入り口で記念撮影。
2014年第2回ユース五輪(主催IOC)が8月18日から中国・南京で開催されます。
本大会はレースだけではなく、メダリストとの交流、他国の異文化との交流など、多くの文化教育プログラムが組み込まれています。
日本からは、2014年1月にシンガポールで開催されたTECHNO293アジア選手権で国枠を獲得した日本人上位の選手、男子:池田、女子:新嶋の2名が参加します。
日本選手団は8月12日に結団式を終え、その後、全員でドーピング、オリンピックイズム、英会話講習などを行い、翌8月13日成田を出発し、中国・上海からバスで5時間かけ大会会場である南京へ到着しました。
セーリング会場は、南京の選手村より更にバスで約100㎞、2時間ほどのところに位置するJinniu Lakeにあります。この会場へ向かうバスの中が、国際交流のチャンスです。選手たちはピンバッチを交換するとともに、学校のこと、音楽のこと、自分の国のことなどを話しながらコミュニケーションを取っていました。もちろんコーチたちも頑張っています。
コミュニケーションが苦手な日本人には少しつらいところはありますが、そこは同じ年代、楽しく往復4時間のバスの旅を楽しんでいます。
明日からの大会に向け選手たちは少し緊張気味ですが、競う相手が同年代ということもあり、とても楽しそうに毎日を過ごしています。
●選手コメント
男子:池田健星
「7月に行われた世界選手権では、道具のトラブルなどで入賞を逃したので、今回は絶対にメダルを取って日本に帰りたいと思います。また、セーリングを通して多くの友達を作りたいと思います。」
女子:新嶋莉奈
「今大会に向けたくさん練習してきたので、悔いが残らないようベストを尽くしたいと思います。多くの友達を作って帰国したいです。すでに他競技の日本選手とは仲良くなりました。」
▲練習で疲れた様子の後ろ姿。
▲セーリング会場入り口。
▲2000名の観客席。チケットはすでに完売とのこと。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)