第5回東アジア競技大会 in 香港

報告：萩原 正大

日　程：2009年12月5日～12月13日
開催地：香港
出場者：男子　富澤 慎（関東自動車工業）
　　　　　　　谷 賢二郎（谷米殻店）
　　　　女子　須長 由季（ミキハウス）
　　　　　　　大西 富士子（JTEAR ONS）
帯同コーチ：中村健次・宮野幹弘・萩原正大
参加艇数：男子・4カ国 8艇　女子・3カ国 6艇
大会公式サイト：http://www.2009eastasiangames.hk/en/index.html


オープニングセレモニー開会式花火　12月5日に開会式が開催され、選手たちはフェリーに乗り、水上から開会式を見守りました。この東アジア選手権（東アジア競技会）には、中国、グアム、香港、日本、韓国、マカオ、モンゴル、北朝鮮、台北の9カ国が参加します。
素晴らしい開会式の後半には、15分間にもおよぶ花火が上がり、選手達の健闘を祈り大勢の人が夜空を見上げていました。
また聖火ランナー5名のうち2名は、ウィンドサーフィン競技の選手であり、アトランタオリンピックの金メダリストであるリー･ライシャンと、ユースの世界チャンプのヘイリーが聖火に火を灯しました。ここ香港では、セーリング競技の知名度が非常に高く、注目される競技です。

　12月6日、セーリング競技は、大会参加国9カ国のうち、中国、香港、日本、韓国、台北の5カ国が参加しています。クラスは、RS:Xクラスの男女、ミストラルクラスのライト級とヘビー級の4クラス。我々日本代表チームは、RS:Xクラスに男女2名ずつエントリー、各国総計男子8名、女子6名でメダル獲得を目指して競われます。
　本日はプラクティスレースと午後からはウィンドサーフィン競技だけでの開会式が行われました。
　プラクティスレースでは、ガスティー、シフティーのトリッキーな海面に戸惑いながらも、各選手各々の考えや走り方をし、明日からの本番レースに向けて調整を行いました。
　さて明日からいよいよレースが始まります。非常にトリッキーな海面で苦戦する可能性もありますが、最後まで諦めずに思い切ったセーリングをしてもらいたいです。日本代表選手の活躍にご期待下さい。

大会会場スタンリービーチ

男子・富澤1位、女子・須長2位 発進!

富沢選手トップフィニッシュ　レース初日。昨日からの天気予報通り朝からぐずついた天気となり、海上では時おり30ノットのガストが入る強風コンディションとなりました。
　11時にRS:X級男子の第一レースがスタートし、その5分後には女子フリートがスタートしました。男子レースでは、富澤選手が最終マークまでトップを走っていましたが、ここでまさかの沈!!! しかしすぐに体勢を立て直し2位でフィニッシュしました。フィニッシュ後少し悔しそうな表情を浮かべましたが、すぐに彼の頭は次のレースのことに切り換わっていました。女子では須長選手が2位に食い込み、まずまずの大会スタートとなりました。ちょうどそのころ日本選手団の総監督と関係者の方が応援にお見えになり、熱いエールをいただきました。選手たちはこの応援に答えるべく、第2レースにのぞみました。
レースコンディションは第1レース同様か、雨風共にやや強まる傾向にありました。男子では、富澤選手がレース中盤から風を上手につかみ、後続を突き放しトップフィニッシュしました。初日早くもトップに立ちました。女子では、この風を得意とする須長選手が2位でフィニッシュしました（初日通算2位）が、まだまだ上を狙えると思いますので、明日からの走りに期待したいと思います。谷選手と大西選手も、この日得た情報や課題をふりかえり、明日からの巻き返しを誓っています。
　明日は、本日と同じ強風となる可能性が高いようです。本日の反省や改善点を活かして、4選手、3コーチ共々1つでも上位を目指して頑張りたいと思います。応援よろしくお願いいたします。


第1日 2レース成績
男子：富沢　   慎　2−1
　　　谷　賢二郎　7−7

女子：須長   由季　2−2
　　   大西富士子　4−4

大会公式サイト：http://www.rsxclass.com/rsx-class-event-information/rsx-world-windsurfing-championships

大会リザルト:  http://results.2009eastasiangames.hk/en/Comp.mvc/DetailedScheduleByDate?sportCode=WI&expandAll=False

男子初日スタート

男子:富澤選手 リグトラブルに見舞われるも、実力発揮の通算1位を堅持

第3レース富沢1位で下マーク回航第4レース女子スタート　大会2日目、昨日よりも雨は弱いものの、曇り空が広がり薄暗い朝となりました。最初のレース（第3レース）が行われる頃には、海上では昨日と同様に25ノット程度のガストは入り、強風域下でのレースとなりました。
男子では富澤選手がスタートから飛び出し、終始安定した走りを見せトップフィニッシュ。谷選手は8位。女子では須永選手が香港のCHAN選手に続く2位、大西選手は4位でフィニッシュしました。
　第4レースが始まる頃になると、風が徐々に落ち出し、ラルの時間が長くなり始めました。前のレースにてバテンを破損した富澤選手は、急いで修理しレースに復帰するも、スタート時刻に30秒ほど間に合わず、出遅れてしまい、結果、韓国・香港・香港のあとの4位でフィニッシュ。須長選手は再び2位でフィニッシュしました。
　第5レースになると、風がさらにガスティになり、より難しい海面となりました。富澤選手は、第1マークから韓国のLEE選手にリードを許し、苦しい展開を強いられましたが、最後まで諦めないレース運びをした結果、最終マークの手前で追い抜き、本日2回目のトップフィニッシュでレースを終了しました。須長選手は香港の両CHAN選手にリードを許し3位でした。
本日はリグトラブルがあり、これらを無くす努力はもちろんのこと、迅速な対処や最善の判断が出来るように、選手とコーチ共々心がける必要があることを、改めて痛感させられました。2日目を終え男子は富澤選手がトップ。女子では須長選手が2位につけています。しかしながら韓国、香港、中国ともその実力は侮れません。明日からは、本日までの強風コンディションとは異なり、軽中風域でのレースが予想されるため、さらにガスティでシフティなコンディションとなる可能性があります。他国の選手は、この風域を得意とする選手が多いため、順位の変動が起こることも予測されます。安心はできません。明日からさらに気持ちを引き締めてレースに臨みたいと思います。


第2日 5レース成績
男子(8艇)：富沢　   慎（1位）2-1-1-(4)-1
　　　　　 谷　賢二郎（8位）7-7-(8)-8-8

女子(6艇)：須長   由季（2位）2-2-2-2-(3)
　　　　　 大西富士子（4位）4-DNF(7)-4-4-4

大会公式サイト：http://www.rsxclass.com/rsx-class-event-information/rsx-world-windsurfing-championships

大会リザルト:  http://results.2009eastasiangames.hk/en/Comp.mvc/DetailedScheduleByDate?sportCode=WI&expandAll=False

チームＪＰＮ4選手 3日目を終えて、通算順位変わらず。
明日はレイデー。

大会3日目穏やかなレース会場第6レース女子スタート後大西選手第6レース男子スタート　大会3日目、昨日までの風とは異なり、平均風速10ノット程度の穏やかな海となりました。しかし、パフに入るとクローズホールでもプレーニングを使用し、一方でラルの時はダガーを利用するといった非常にシフティでガスティなコンディションとなり、臨機応変な操作やレース運びが必要となる難しいレースになりました。

　男子第6レースは11時にスタート。富澤選手はスタートで出遅れたものの、次の風を上手に読み、第1マークをトップで回航し、そのまま後続を寄せつけず1位でフィニッシュしました。その他の日本選手達は昨日のミーティングでの反省を踏まえたコース取りや取り組みが見られましたが、順位は思うように伸びませんでした。

　第7レースの頃になると、風速が少し落ち、風向にも変化が見られ、前レースよりもさらにトリッキーなコンディションとなりました。富澤選手は、スタートで飛び出したもののファーストタックの位置を誤り、その後も他の選手に対して後手となるレース運びとなってしまいました。そうなると、気になるのが暫定2位の韓国のリー選手なのですが、幸いなことに彼もコースのポケットにはまってしまい、最終的に富沢選手は6位、リー選手は7位でフィニッシュ。共にカットレースとなり通算順位には変動がありませんでした。この日我々が注目した選手は、軽中風を得意とする香港のア･イェン選手で、この日のレースを1－2にまとめ、暫定3位と順位を上げてきました。シリーズ後半は、軽中風域でのレースが予想されるため、注意して戦っていかなければなりません。

3日間で7レースを消化。明日はレイデーでレースは休みです。貴重な1日、心身ともにリフレッシュし、後半戦に向けての調整をはかりたいと考えています。



第3日 7レース成績
男子(8艇)：富沢　   慎（1位）2-1-1-4-1-1-(6)
　　　　　 谷　賢二郎（8位）7-7-(8)-8-8-8-8

女子(6艇)：須長   由季（2位）2-2-2-2-3-2-(4)
　　　　　 大西富士子（4位）4-DNF(7)-4-4-4-4-3

大会公式サイト：http://www.rsxclass.com/rsx-class-event-information/rsx-world-windsurfing-championships

大会リザルト:  http://results.2009eastasiangames.hk/en/Comp.mvc/DetailedScheduleByDate?sportCode=WI&expandAll=False

最終日を待たずして男子富澤選手 金メダルを掌中に!
ウインドのJPN優勝はアジア初の快挙!


第8レース1位フィニッシュの富沢選手　大会も4日目に入り、各選手ともひとつでも順位を上げるために頑張ってもらいたいところです。今日は朝から晴天となり、半袖でも平気な温かい日となりました。海上は平均で10ノット程度の風が吹いていましたが、レース会場のスタンリービーチの特徴であるシフティでガスティな非常に難しい海面となりました。

　第9レースは11時過ぎにRS:X級男子がスタートしました。富澤選手は、この難しいコンディションにもかかわらず持ち前のレース巧者振りを発揮、上手に対応し、第1マークから先頭をキープ、シリーズ5度目のトップフィニッシュを果たしました。2位には地元香港のホー・チーホー選手、3位には通算2位につけている韓国のリー選手が食い込みました。

　続いて第10レース、風はやや落ち気味となり、さらレースコンディションは難しくなりました。富澤選手は第1マークで遅れを取りましたが、2回目のクローズホールドで、風のシフトとガストを読み当て、3位までに順位を上げ、そのままフィニッシュしました。トップはこの風を得意とする香港のア・イェン選手で2位以下を大きく離しフィニッシュしました。

　今日は2レースを消化、大会は明日の1レースを残すのみとなりました。暫定順位ではありますが、最終レースを待たずして富澤選手の優勝がほぼ確実となりました。やりました。ウインド種目としてアジア初の快挙です。一方、女子の須長選手は、2位と同点の3位につけています。明日の結果次第でメダルの色が決定します。
他２選手も最後まであきらめずに全力でプレーし、最終日のレースが実のある結果となるように願っています。

第4日 9レース成績
男子(8艇)：富沢　   慎（1位）2-1-1-4-1-1-(6)-1-3
　　　　　 谷　賢二郎（8位）7-7-(8)-8-8-8-8-7-8

女子(6艇)：須長   由季（3位）2-2-2-2-3-2-(4)-4-3
　　　　　 大西富士子（4位）4-DNF(7)-4-4-4-4-3-DNF(7)

大会公式サイト：http://www.rsxclass.com/rsx-class-event-information/rsx-world-windsurfing-championships

大会リザルト:  http://results.2009eastasiangames.hk/en/Comp.mvc/DetailedScheduleByDate?sportCode=WI&expandAll=False

男子・富澤 金メダル、女子・須長 銅メダル
チームJAPANで獲得したメダル

男子表彰式女子表彰式　大会最終日。本日のレース結果に関係なく金メダルが確定した富澤選手に対して、女子の須長選手は本日のレース次第でメダルの色が決まる大事な1レースが行われました。しかし、スタートでまさかのミス!! 第1マークまでで先行艇を追い上げるものの、最後まで追い抜く事は出来ずに3位でフィニッシュ。総合３位、銅メダルを獲得しました。
　大会を振り返ると、選手達はスタンリー特有である非常にシフティでガスティな海面に苦しめられました。そんな中でも富澤選手は、よく風が見えておりレースを有利に進めていたように見受けられました。今後、日本チーム全体としてこのような難しい海面に対応できるようなトレーニングをおこなっていく必要があると思いました。
　また富澤選手にとって、この東アジア競技大会は、最終的な目標であるロンドンオリンピックに向け徐々に調整していきたい時期に位置付けているレースであり、中国や韓国、さらに香港の強豪選手達を抑え、優勝できた事は今後の自信や励みになるのは間違いありません。自身もすでに先を見据えており、さらに「これに気を緩めることなく、本大会での問題を1つずつ克服し、次のレースにつなげていきたい。」とコメントしていました。また女子銅メダルの須長選手は、「もちろんメダルを獲得できた事はうれしいが、まだまだ課題がたくさんあるので、それをクリアしていきたい。」とコメントしました。

日本選手団団長応援にボートで観戦サッカートレーナーの協力　また、本大会では、セーリング会場までご足労いただいた日本選手団の水野団長、ならびに澤木総監督を始め多くの方々の声援のおかげで、男子金メダル女子銅メダルを獲得する事が出来ました。実は、富澤選手は大会２日目の夜に、ふとしたことから腰を痛め、一時は立てないほどの痛みに見舞われました。しかし、JOCの方々の迅速な対処により、同じホテルに滞在していたサッカー日本チームのドクターとトレーナーに診ていただくことができました。結果、富澤選手は翌日のレースに出場することが可能となり、好成績をおさめることが出来ました。このようなこともあり、我々はチームJAPANが一丸となって獲得することが出来たメダルであると強く感じています。この場をお借りして、ご尽力いただいた皆様に心からの御礼を申し上げるとともに、ご声援をお送りいただいた皆様に感謝申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。









最終日 大会最終成績
男子(8艇)：富沢　   慎（1位）2-1-1-4-1-1-(6)-1-3-4
　　　　　 谷　賢二郎（8位）7-7-(8)-8-8-8-8-7-8-5

女子(6艇)：須長   由季（3位）2-2-2-2-3-2-(4)-4-3-3
　　　　　 大西富士子（4位）4-DNF(7)-4-4-4-4-3-DNF(7)-4

大会公式サイト：http://www.rsxclass.com/rsx-class-event-information/rsx-world-windsurfing-championships

大会リザルト:  http://results.2009eastasiangames.hk/en/Comp.mvc/DetailedScheduleByDate?sportCode=WI&expandAll=False

ジャパンチーム