レーザー級世界選手権
2009年レーザー級世界選手権大会 inカナダ
報告:飯島洋一
日 程:2009年8月20日~26日(予選8月20日~23日・決勝8月24日~26日)
開催地:カナダ・ファリファックス
出場者:安田真之助、大塚邦弘、イアン ホール、斉藤大輔、清水克彦
参加艇数:51カ国 170艇
大会公式サイト:http://events.laserinternational.org/en/events/overview/100z36
http://can09.laserinternational.org/
8月17日から26日までカナダ東海岸のノバスコシア州・ハリファックスにて2009レーザー級世界選手権が行われます。レースが行われるマーガレットベイは小島、入り江が入り組んだ美しい別荘地で、週末ともなるとあちこちでクルーザー、モーターボート、カヤック等が見られます。
いつも決まってサーフィンができるかのような大きな波の中で行われるレーザーワールドですが、今回は湾の中のレースになるため、そうした大波の中でレースは行われないかもしれません。
レース開始を前に充実した練習の日々40艇~50艇でマークを回ります。日本選手も上位で回航することもありますが、順位をキープすることができません。
今大会の注目はオーストラリアのTom Slingsbyが3連覇達成することができるか? 北京オリンピック金メダリスト、英国のPaul Goodisonが初のワールドタイトルを手にするか?この二人の走りに注目が集まります。
日本ナショナルチームも8月8日より現地に入り、練習を続けています。当地の生活にも慣れてきたようで、各選手ともレベルの高さを痛感しながら練習を続けていました。
世界でもっとも普及しているレーザークラスの世界選手権。レースは20日からです。
層が厚く厳しい戦いになるとは思いますが、応援よろしくお願いします。
綺麗な入り江、小島があるSt.Margaret’s bayレースオフィスがあるSt.Margaret sailing Club
2日目
3日目
Sの安定した風。明日から戦いが始まる
マークを間違えてしまった安田選手。明日は頑張ります。今日は14時過ぎからトライアルレースが行われました。参加艇数を3グループに分けスタートさせる予定でしたが、全選手イエローグループのスタートでラインを切っていきました。しかもゼネラルリコール旗が上がっているのに誰も戻りません。トライアルならではかもしれません。風は180°~190°7~9m。開いた湾の入り口から吹き込んできていて、非常に安定しています。明日からもこの風向ならば、かなりよいコンデションでレースができると思います。
全選手2マーク回航後に霧が出てきたため、ハーバーに戻りました。
その後、ヨットクラブでオープニングセレモニーが行われ、明日のスタートの信号を待つだけとなりました。
皆様の応援よろしくお願いします。
世界各国から52の国と地域が集まりました。
4日目
全員がフリートの下位で発進
いよいよ始まりました。ハリファクスの朝はいつも決まって穏やかです。
選手の出艇をイルカ、カモメ、オットセイが見送ってくれます。そしてレース海面に着く頃には5m程度に吹いてきます。
大会は参加161艇のフリートを3グループに分け、予選シリーズが始まりました。
日本選手はイエロー、斉藤。
ブルー、大塚、安田。
レッド、イアン、清水のグループ分けです。
レーザーのスタートはいつもゼネラルリコールから始まります。この日も案の定ゼネラルリコールを繰り返し予定時刻の50分遅れでレースが始まりました。
2レースとも南の風6~8m。コースはトップ艇で約1時間15分。レーザーらしい体力がものをいうコンデションでレースが行われました。日本選手は良いスタートを見せる時があるのですが、その後のスピード勝負でどうしても前に出ることができません。
残念ながら、全員がフリートの下位で初日を終えました。
ハリケーンが近づいているため明日は1時間スタートを早めて正午スタートで3レース行う予定です。
各選手に「足が折れてしまうかと思うくらい、ハイクアウトしろ!!」と言い聞かせました。
明日のレースでの挽回を期待します。
本日2レース
103位 イアン ホール 31-40
114位 安田 真之助 40-35
124位 斉藤大輔 38-41
155位 清水 克彦 51-48
156位 大塚 邦弘 50-51
決まって上マークはいつも混戦です。
5日目
大会2日目は1レースのみ
世界に挑む5人の挑戦者。今日もイルカが出艇を見送り。今日は正午スタートに向け各選手とも海穏やかなセントマーガレットベイを出艇していきます。
レース海面は5~6mの風があるもののスタートをしようとすればゼネラルリコール、うまくいけば霧が出てきてやり直しの繰り返しでした。
8月ですが、海水は冷たく霧が出てくると上着を着ていても寒いコンディション。さぞやスタート待ちは皆、辛かったと思われます。
日本選手はイエローグループ:イアン、斉藤、清水そしてレッドグループ:安田、大塚でスタートです。
イエローグループ各選手とも、昨日と同様にスタート後のスピードについていけずタックで逃げるシーンが多く見られます。
また、ゼネラルリコールを繰り返したレッドグループでは20艇近くブラッグフラッグに引っかかり、その中に日本の2名(安田、大塚)も含まれていました。
続く2レース目に挽回をと意気込みますが、霧が濃くまた時間も遅くなっていたためにAP&A旗が掲揚され、後日延期となりました。
明日も時間を早めて正午スタートの予定です。
日本選手通算成績(本日は1レースのみ)
112位 イアン ホール 31-40-39
138位 安田 真之助 40-35-BFD
139位 斉藤 大輔 38-41-53
156位 清水 克彦 51-48-52
160位 大塚 邦弘 50-51-BFD
6日目
一般参加・清水選手の奮闘にエールを
霧で視界が悪く島影に避難するブルーフリートの選手達。上マークを19位で回航していくサラリーマンの星、清水選手。今日も霧の朝から始まりました。
昨日のブルーフリートが霧による視界不良と選手からプロテストが出されノーレースとなり、昨日のブルーフリートのみ先に出艇しレースを行うことになりました。日本チームはブルーフリートの選手がいなかったので、陸上待機となりました。
彼らは11時に出艇していきましたが、霧が晴れず湾の外に出て行くことができません。結局、霧が晴れて再レースが終わり、日本選手らのスタートになったのは15時過ぎでした。
今日も日本選手は苦戦が続きました。しかし、2レース目に清水克彦選手がうまくシフトに合わせてコースを引き、上マークを19位で回航していきます。その5艇くらい後ろをワールドチャンプのトム・シリングスビーが回航していきました。清水選手はナショナルチームの選手ではなく、一般参加の選手で一流商社に勤めるエリートサラリーマンです。このような仕事とセーリングを両立させるセイラーがたくさん現れてほしいものです。清水選手は後半戦もジャパニーズビジネスマン代表として頑張ってハイクアウトしてほしいと思います。
選手らが2レースを行い、帰着したのは18時半を回っていました。
その後、近づくハリケーン対策として艤装品すべてをはずし、170艇近いレーザーをヨットクラブやレースオフィスの中に片付け、明日のハリケーンに備えました。
明日はハリケーン予報のため、レースが行われないことになりました。後半戦はあさって月曜日、天気予報は弱めの風です。
本日までの通算成績
129位 イアン ホール 31-40-39-41-40
136位 安田 真ノ助 40-35-BFD-42-45
139位 斉藤 大輔 38-41-53-44-43
157位 清水 克彦 51-48-52-52-46
158位 大塚 邦弘 50-51-BFD-51-46
7日目
8日目
風弱く、レースおこなわれず
風がなく大きく垂れ下がるAP旗今日は曇りで、肌寒いマーガレットベイの朝を迎えました。
朝7時に選手役員全員集合し、ハリケーン対策でヨットクラブ内に片付けたレーザーを戻します。約1時間程度で元どおりに戻すことができ、日本選手は一度宿に戻り、13時のスタートに備え、少しの休息の後12時過ぎに弱い風の中出艇していきました。
しかしこの日は全くといっていいほど風が吹かず、レースコミッティーは16時近くに入った25°の風でゴールドフリートをスタートさせようと試みましたが、風はスタート前に大きく右にシフトして落ちてしまいました。
結局、APA旗が掲揚され、各選手曳航でハーバーに帰りました。
明日は、スタート時間が早まることになりました。
明日も早起きで頑張ります。
レーザーでいっぱいだったヨットクラブも元どうりになりました。
9日目
久々の1日3レース。
ダウンウインドの走りが課題
予選の良い風はどこへ?風待ちのあと出艇です。うまくシフトにあわせた安田選手が1上マークトップ回航です。今日は11時スタートにあわせて早起きの朝です。しかし、レースエリアには風がありません。AP旗を掲揚し風を待ちますが、少し出てきた風でまもなく出艇となりました。
その後、風は少し上がり風は180°~200°、4~5m、マークセットは190°。
少し弱めの風ですが、いつもの安定した海風です。この風向になると、周期的に振れる風にいかにあわせるか?が鍵となります。
日本チームはブロンズフリート(総合113位以下グループ)でのレースです。ブロンズフリートになると、日本人選手もようやく前を走ることが出来るようになりました。1レース目にはイアンが、3レース目には安田が前を走ることができました。しかし、まだダウンウインドでの走りは少し周りの選手に引けをとるようで、順位を下げる場面が多いように感じました。今日はゴールドからブロンズまで各3レース行うことができ、一昨日、昨日とレースができなかったうっぷんを晴らすことができたのではないでしょうか?
さて、優勝の行方ですが、3連覇がかかったオーストラリアのトム・シリングスビーですが、比較的弱めの風の世界選手権で思うような走りができません。苦しむトムを尻目に北京オリンピック金メダリスト、英国のポール・グディソンは得意の風で着実に優勝に向かいスコアをまとめていきます。
明日もスタート時間を1時間早めてから3レースの予定です。
大会も残りわずか。各選手とも最後の頑張りで思いっきりレースをしてもらいたいものです。
ブロンズフリート成績(総合113位~)
14位 安田 真之助 40−35−BFD−42−45−15−21−3
21位 イアン ホール 31−40−39−41−40−10−34−31
28位 斉藤 大輔 38−41−53−44−43−29−36−14
35位 大塚 邦弘 50−51−BFD−51−46−21−31−21
45位 清水 克彦 51−48−52−52−46−31−44−44
レースエリアまでは20分近く曳航してようやくたどり着きます。「今日はどうだった?」との問いに「Good!!」と親指を立てたポール・グディソン(英国)。
最終日
大会閉幕。
悔しい経験をバネに今後の練習に励んでほしい
霧の中を出艇していくレーザーの集団レースを終えチャーターボート返却の準備をする大塚選手。大塚選手は清水選手同様サラリーマンセイラーです。頑張れ、ジャパニーズビジネスマン!!今日は朝からよい風が吹いています。しかし、霧で湾の外は30m先が見えません。そんな中でもレーザーのビックフリートはコミッテイボートに伴われて出艇していきます。そして、湾の真ん中だと霧が濃くレースができないので、湾の反対側の岸に寄せてレースを行いました。
風向は180から200度、風は8mブローでは10mくらいになっていました。今日も右に左にとゆっくり周期的に触れる風をいかに掴むかがポイントとなりました。
日本選手達には、
・スタート:ポジションはどこでもいいからフルスピードで出ること
・コース:今の風がどちらから入っているか判断し、素直に風を受けること
いい風を受けたらそのままスピードをキープすること
・スピード:他の選手に走りを惑わされないこと、
遅くてもいいから今まで練習してきた自分の走りをすることとアドバイスをして送り出しました。
各選手ともそれぞれ反省はあるとは思いますが、最終レースはいいレースができたのではないでしょうか?
優勝は昨日スコアを伸ばした英国のポール・グッデソン。最終レースはスタート前から、唯一優勝の可能性が残されたニュージーランドのマイケル・バロットを激しく追いかけてバロットに前を走らせないという作戦で初めての栄冠を手に入れました。
今回の世界選手権では日本人選手たちは海外選手との実力の差が大きく表れる結果となりました。この悔しい経験をバネに今後の練習に励み、来年の世界選手権ではもっと前を走れるように頑張ってほしいと思います。
ブロンズフリート最終成績(総合113位~)
8位 安田 真之助 40−35−BFD−42−45−15−21−3−2
19位 イアン ホール 31−40−39−41−40−10−34−31−6
21位 斉藤 大輔 38−41−53−44−43−29−36−14−28
36位 大塚 邦弘 50−51−BFD−51−46−21−31−21−38
43位 清水 克彦 51−48−52−52−46−31−44−44−34
お疲れ様でした。悔しい思いを胸に閉会式に参加します。
大会公式サイト:http://events.laserinternational.org/en/events/overview/100z36