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49er級世界選手権大会

 
49er級2009年世界選手権大会
inイタリア・ガルダ湖             報告:中村 健次


日 程2009年7月12日~19日(レース:予選7月14日~16日・決勝17日~19日)
開催地イタリア・ガルダ湖
出場者牧野幸雄(ヘルム)・高橋賢次(クルー)組 (関東自動車工業)
参加艇数:89艇
大会公式サイトhttp://www.49erworlds.org/
成績サイトhttp://www.regattanetwork.com/clubmgmt/applet_regatta_results.php?regatta_id=1987

 北京オリンピック前の強化ヨーロッパ遠征を思い出す、ここイタリア北部の風光明媚なガルダ湖は念願の北京五輪代表になった49er 代表の石橋・牧野チームそして470代表の松永・上野チームが昨年のガルダウィーク(2008年5月)で優勝した所だ。
 風も良い、景色も良い、食事も美味しく最高な場所だ。セーラーの皆様もイタリアに来る機会があったら是非立ち寄ってほしい。

0907_49er_0-1.png事前練習風景ヘルムを操るのは北京オリンピック49er級日本代表クルーで出場した牧野幸雄選手。五輪後、関東自動車工業に入社し、北京代表選考会当時はライバルであった同社クルーの高橋賢次と新しいコンビを組み、ロンドンに向け活動を始めている。2人の平均身長は185センチ、世界でも全く劣らないどころか一番恵まれた体型かもしれない。

牧野チームは先月末に現地入りし、連日、艇の整備、練習と有意義に過ごしている。
艇が古く整備には時間が掛かってしまったようだ。
昨日、無事計測も終了し、今日はプラクティスレースに出場を予定している。
新チームの海外初遠征となるこの大会、彼らの今の実力を測る絶好の舞台だ。
集中して良いレースを見せてほしい。

0907_49er_0-2.pngイタリア・ガルダ湖

1日目


牧野・高橋組 初日総合18位の好発進!

0907_49er_1-1.png49er大会初日(上マーク回航直前)今大会は最終的に89艇がエントリーして開幕した。49er級は艇速が速くビックフリートでは艇の接触等トラブルが発生する事から、最大でも30艇が1つのフリートで大会が進められる。(オリンピックには19カ国各1艇しか出場できないクラスだ。)
今回の予選は3グループに分けられ予選ラウンド3レースが行われた。
唯一日本からエントリーした牧野幸雄・高橋賢次組(関東自動車工業)は5~8~10mの風の中、気合十分で初っ端から5-11-6の総合18位。ゴールドフリート(最上位グループ)に入る成績で初日を終えた。
コーチボートからレース展開とともに彼らの走りを見守ったが、3年後のロンドンに光明が見えた気がした。
2日前の大会案内でも紹介をしたが、まったく彼らの体力・体形が海外選手に少しもひけをとらないことが証明できた1日だったと思う。活躍を期待したい。

■牧野選手コメント
『攻めのレースをしながらも、今大会で海外情報を沢山集めたい』
■高橋選手コメント
『一つ一つの動作やコンビネーションを丁寧にこなし、チームとしての土台をしっかり作り成長していきたい』

参考:49er世界選手権は、予選9レース(3日間)、決勝8レース(3日間)が行われる。

レース成績:R1-5位、R2-11位、R3-6位
総合成績:18位/89艇中

2日目


世界で戦う厳しさ、楽しさ、魅力を感じる1日でした

0907_49er_2-1.png大会2日目は厳しい洗礼を受けた1日だった。いつもどおり、午後のシーブリーズの中、レースは行われたが、
今日の風は風上を見てやや左岸から吹いてくる風だった。
ガルダ湖は左右が峰に覆われる特殊な海面でその壁を舐めるように風が吹いてくる。コースマークの設定位置によりコース選択が一気に変わる海面だ。
今日のスタートライン付近での見え方は左側のコースを選択するのがベストなレース組み立てに思えた。しかし、実際は風が右側の崖にぶつかり風のベンドが発生する。スタート位置よりもストラテージが優先するレース展開となった。
今日の牧野・高橋組は通常考えられるヨットレースをしたことが順位を落とす結果になったのかもしれない。勝つためのレースではその場所の流れを掴むことも大切だ。
それよりも、今日は良いスタートが出来なかったことが順位を落とした最大の要因だと思う。
ただ、チームを結成して半年のチーム。短期間でここまで上位と戦えるとは正直なところ驚きだ。チームのさらなる可能性を感じる。

現在31位、ゴールドフリート(25位圏内)まで5ポイント差で追いかける立場である。明日、奮起してもらい、決勝では何としてもゴールドフリートを目指し頑張ってほしい。

レース成績(暫定)R1-5位、R2-11位、R3-6位、R4-13位、R5-13位、R6-21位
総合成績:31位/89艇中

3日目


予選が終了、残念ながらゴールドフリートには残れず

0907_49er_3-1.png上マークを回航後、一気にスピンアップにかけこむ高橋賢次日も予定通りの3レースが行われた。
 風もほぼ同じ風向180°・風速6~7m。結果は残念ながらファイナリストのグループ(ゴールドフリート)には残る事が出来なかった。やはりスタートが消極的過ぎるためだろう。先日もリポートしたが両岸が崖のため風がべンドして吹いてくるし強さも違う、スタートで出遅れることは致命的だ。
 牧野・高橋組はコンビを結成して初の遠征がクラス最高峰の世界選手権であったことはちょっと厳しい環境だったのかもしれない。
ただ、最初の上マーク順位が悪くても徐々に順位を上げて来る力と身体の大きさは十分なポテンシャルを感じ、本当に今後が楽しみなチームだ。
 今後の課題は明確になっているので国内での練習は何をすれば良いか分かっている。もちろん、レースを経験することが最大のレベルアップに繋がることも間違いない。
明日からはオモイッキリの良いスタートで前を走って!!

レース成績(暫定):R1-5位、R2-11位、R3-6位、R4-13位、R5-13位、R6-21位、R7-16位、R8-16位、R9-11位(本日で予選終了)
総合成績:36位/89艇中

4日目


ガルダで学んだことを今後の糧に

0907_49er_4-1.png嵐直前の決勝1レース0907_49er_4-2.png前線直前のガルダ湖昨日で予選が終了、本日から決勝シリーズが始まった。
今日は天気予報通りサンダーストームの前兆か、大気が不安定になり出艇は16:00だった。
レース延期信号が上がりその後の待ち時間をどうリラックスして過ごすかもトップアスリートには重要な要素になる。(神経が高ぶっている中でリラックスするのは難しい)

残されたレースで一つでも順位を上げること、そして、肌で感じた感覚を今後の活動にいかしてほしい。
まだまだ発展途上なのだから。

明日こそは! オモイッキリの良いスタートで前を走って!!












レース成績(予選):R1-5位、R2-11位、R3-6位、R4-13位、R5-13位、R6-21位、R7-16位、R8-16位、R9-11位
     (決勝):R10-16位(シルバーフリート)
総合成績:34位/89艇中

5日目


確実に成長している新チームの今後に期待

0907_49er_5-1.png下マーク回航後に即タックで右海面へ0907_49er_5-2.png一瞬のハンドリングミスであわや沈決勝2日目は北風20~40°風速7~9mの中、昨日出来なかったレースを含め4レースが行われた。シルバーグループ(中位グループ)20-17-11-7の成績であった。選手にとってはタフな1日だった。

牧野・高橋組の課題であるスタートが徐々に改善されているものの、まだ頭ひとつ抜け出したスタートが出来ていない。当然ながら行きたい方にも行けない。彼らも分かってはいるが、そのちょっとした位置取りの駆け引きに勝てないのが現状だろう。さらには、今日の岸から吹いてくる風はシフティーで、彼らはちゃんと強い風を捉え上位で走ってくるのだが、49erという“じゃじゃ馬”は一瞬のハンドリングミスで沈をしてしまう。(写真は何とか沈は免れるものの順位を落としてしまっている瞬間)
 今回の大会には過去の世界チャンピオン、トップランカーの選手が引退後久々のレースに参加しているが、日本チーム同様のシルバーグループで戦っている。世界チャンピオンは4年前に引退した選手だが練習をしないでレースに出場すると過去の面影が全く見えない様な状況だ。49erは甘くない、それだけ難しいクラスだ。

牧野・高橋チームには練習環境を整備し次への準備をしっかりして、また挑戦・成長してほしい。
学ぶことは多い。がんばれ、牧野・高橋!!

レース成績(予選):R1-5位、R2-11位、R3-6位、R4-13位、R5-13位、R6-21位、R7-16位、R8-16位、R9-11位
     (決勝):R10-16位、R11-20位、R12-17位、R13-11位、R14-7位
総合成績:40位/89艇中

6日目


総合38位。見えた課題

0907_49er_6-1.png最終日を終えた牧野・高橋0907_49er_6-2.png49er世界選手権大会最終日はメダルレースの予定に合わせ、朝8:30のスタートだった。
ガルダ湖の朝は山からの冷たい風が吹き降ろし、よい風の中2レースが行われた。
今日の牧野・高橋組のレースは課題であったスタートが良くなったのだが、そのせいで艇と艇の間で進路を変更することが出来ず、良い側サイドに行かなくなってしまったのだ。
もっと、先を予測した上でのスタートの位置決めが「次は必要」となる。「もう少し」が少しずつでも出来るようになれば、必ず世界の頂点が見えて来るはずだ。

表彰台に上がったのは1位オーストラリア、2位英国、3位イタリアであった。優勝したオーストラリアのネイザン・アウタレッジ選手は5年前に29er世界選手権に優勝しその後49erにステップアップした選手だ。
世界各国はすでにユース世代の強化を図っており、日本もその後塵を拝さないように早急な強化及び、世界基準の艇種を採用すべきと痛感する。(写真は49erのメダルレースを観戦に来ている29erユースセーラー達で、将来の夢を大きく膨らませているのかもしれない)

大会期間中、応援頂きました皆様にお礼申し上げるとともに、今後も成長していく49erチームを応援くださいますようよろしくお願い申し上げます。

レース成績(予選):R1-5位、R2-11位、R3-6位、R4-13位、R5-13位、R6-21位、R7-16位、R8-16位、R9-11位
     (決勝):R10-16位、R11-20位、R12-17位、R13-11位、R14-7位、R15-7位、R16-20位
総合成績:38位/89艇中

大会公式サイトhttp://www.49erworlds.org/
成績サイトhttp://www.regattanetwork.com/clubmgmt/applet_regatta_results.php?regatta_id=1987

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