youth world
ISAF ユースワールド
レポート&写真:坂口 英章・萩原 正大
日 程:2010年7月8日~17日
開催地:トルコ・イスタンブール
日本代表選手:
●男子
倉持 大也(RS:X 8.5)
上村 健人(レーザーラジアル)
山口 寛規(420スキッパ―)
磯崎 哲也(420クルー)
●女子
土居 愛実(レーザーラジアル)
山口 優(420スキッパ―)
白澤 ひとみ(420クルー)
参加艇:全61カ国
RS:X 男子…31艇
レーザーラジアル 男子…52艇
レーザーラジアル 女子…48艇
420 男子…36艇
430 女子…28艇
帯同コーチ:重 由美子・坂口英章・萩原正大
大会公式サイト:www.isafyouthworlds.com
現地に無事到着し、2日目を過ごしているところです。日本とサマータイムを勘案して6時間の時差があります。トルコへ現地入りした日本選手団はコーチ3名、選手7名で構成されています。
福岡第一高校の山口 寛規と磯崎 哲也は、今回の目標を「優勝」としております。
その目標を達成するために味方に付けなければならないのが気象条件です。日本のジメジメした気候とは違い、カラッとした湿度の少ない気候です。昼からは、風速も徐々に上がり、5m前後の中風域でのレースが主に行われていくのではないかと考えられます。
日本選手団にとっても味方となる好天気になるよう期待しているところです。
さて、生活についてですが、私たちはマリーナホテルに宿泊しており、名前からイメージできるかと思いますが、ホテルのすぐ裏(徒歩3分)にハーバーがあります。
食事は野菜が少なく、言語がトルコ語で言葉が通じないためメニュー選びに苦労していますが、いろいろと工夫をしおいしい食事をすることができています。
コンディショニングを成功させ、いいレースとなるよう日本選手団一丸となって頑張っていきますので皆様の応援宜しくお願いいたします。
開会式
ISAF ユース世界選手権始まる
明日はプラクティスレース。本番レースは11日から
今年のISAFユース世界選手権は、トルコのイスタンブール・アタコイマリーナで開催されます。この地は、イスタンブール空港から車で20分という大変アクセスしやすい場所で、トルコの代表的な観光地の一つです。今大会は全61カ国、総勢344名のセイラーが集い、熱い戦いが繰り広げられます。またこの大会は、350名の大会関係スタッフ、60艇以上のレースコミッティ-ボート、および100名のボランティアスタッフといった大勢の人々の協力により開催されています。
チームJAPANの選手の中には、すでに海外のレースを何度か経験している選手もおり、今大会の活躍が期待されます。本日はオープニングセレモニーが開かれました。
●陸上トレーニング
昨日から、早朝6時に散歩、ストレッチ、ウォーミングアップ程度の腕立て伏せと腹筋、ジョギング、そして朝食という、大会期間中のルーティンを作っています。また、海上トレーニングが行えない状況下においても、近くの利用可能なプールを利用して、時差ぼけの解消や体調を整えるように努めました。
●海上トレーニング
昨日は強風により海上に出ることが許されず、本日がこちらに来て初めての海上練習日となりました。本大会は、全クラスチャーター艇(新艇)での参加となり、普段の乗り慣れた道具とは異なるため、レース前の道具の準備や調整は大変重要なものとなります。また海上に出られる時間は10時半から14時半と決められていたため、その限られた時間の中で、各クラスの選手はチューニングや帆走の感覚をチェックし、出来る限りの調整を行いました。不足している部分については、明日のプラクティスレースと海上トレーニングの時間を活用して準備し、本番レースに臨む予定です。
●オープニングセレモニー
夕刻からオープニングセレモニーが開催されました。あいにくの悪天候により当初予定されていた屋外でのセレモニーではなく、ホテル屋内での開催となりました。全61カ国が集うセレモニーは迫力があり、ISAFユース世界選手権恒例の世界各国の水を一つの器に入れ、海へ流し入れるイベントが行われました。日本の水も確実にトルコの海の一部となり、大会の成功を祈願するものとなりました。
●明日からのレースについて
7月10日にプラクティスレース、本番のレースは11日から16日まで(13日はレイデ―)合計12レースが予定されています。
選手たちは、毎日元気に過ごしています。またセーリングを楽しむ事を忘れずに準備やトレーニングを行い、さらにレースで勝つためのモチベーション作りに励んでいます。
チームJPNは明日のプラクティスレースで最終調整をし、本番のレースで最高のパフォーマンスが発揮できるようにしたいと思います。明日は大会前の選手の意気込みについてコメントを載せる予定です。
大会期間中の皆様、応援よろしくお願いします。
オープニングセレモニー
朝の散歩プールでの調整
食事のひととき他国との交流1
他国との交流2世界各国の水が海へ
大会前日
ISAFユースワールド
プラクティスレースを終え、明日から本番!!
今日は晴れ、風もほとんどない中、恒例の早朝ウォーキングに向かいました。
その後、選手達は今日のプラクティスレースのスケジュールに合わせて準備を整え、それぞれ海上へ出艇して行きました。一方、コーチ陣は、各レースエリアに出されるサポートボートに乗り込み、選手のサポートに向かいました。天気予報は、南西から北西まで大きくシフトするというもので、その予報通り、とても風向が不安定な海面状況となりました。その影響もあり、各クラスともスタートシークエンスを何度もやり直すこととなりました。プラクティスレースということもあり、この待機時間が長い状況を嫌いハーバーへ戻ってしまう選手も多く見受けられました。その結果、レーザークラスは1レースも行われることなく終えました。RS:Xクラスと420クラスは、かろうじて1レースのみが行われました。RS:Xクラスの倉持は4位、420クラスの山口・磯崎組は10位、山口・白澤組は9位という結果でした。
明日からいよいよ本番レースとなります。レースを前にした各選手の意気込みをご覧ください。
「今まで練習してきた事を全て出してシングルに入れるように頑張りたいです」
倉持大也(RS:X)
「去年のラジアルワールドでボロ負けしたので、今回は海外の選手を見返したいです」
上村健人(レーザーラジアル)
「優勝目指して頑張ります」山口寛規(420スキッパ―)
「今まで練習してきた成果を出し切り、優勝を目指して頑張ります」
磯崎哲也(420クルー)
「この世界選手権の経験を活かして、もう一回り成長したいと思います」
土居愛美(レーザーラジアル)
「6位入賞を目指して最後まで諦めないで頑張ります」山口優(420スキッパ―)
「今までの練習を活かして、入賞できるように頑張ります」白澤ひとみ(420クルー)
出艇前の磯崎選手420女子スタート前
RSXクラスレース前出艇前の山口 優選手
1日目
いよいよレース始まる。
420男子 山口・磯崎1-1で早くもトップに躍り出る!
420女子、レーザーラジアル女子も上々の滑り出し!
2レーストップフィニッシュを果たし、インタビューを受ける420男子ペア(右:磯崎選手、左:山口選手)大会の地であるイスタンブールは、この時期朝から風が吹くことは少ないため、レースが行われるのはお昼以降、最初のクラスのレース予告信号が12時とされています。
レース初日のレースコンディションは、エリアごとに多少異なるものの、南西の風が5~7ノット程度。予報では、徐々に右にシフトしていくとのことでしたが、この日の予報は大ハズレ。風は左に回り、さらに最終的には風が無くなったため、当初予定の3レースは消化出来ず、各クラス2レースを終了しました。
軽風域で得点を稼ぎたいチームJAPANでしたが、420男子の山口・磯崎組がその期待に応える走りを見せてくれました。レース前少し緊張していたとのことですが、第1レースのスタートはもうひとつながら、持ち前のスピードと角度で第1上到達時にはトップに躍り出ました。その後も抜かれない位置をキープしトップフィニッシュ! 2レース目もスタートを修正し、1マークまでの展開を重視した結果、また1上をトップで回航、そのまま一度も他の選手を寄せつけず、トップフィニッシュしました。1-1の見事な滑り出しです。他国はセールメーカーの発信しているチューニングデータに基づきセッティングしているようですが、山口・磯崎組は、これまで日本で行ってきたセッティング理論に基づきオリジナルのセッティングで勝負をしています。
一方、420女子山口・白澤組も6-12の9位、レーザーラジアル女子の土居も7-9の4位好調発進となりました。レーザーラジアル男子の上村とRS:Xの倉持もそれなりの手応えを得たようで、翌日につながるレースとなりました。
明日も、軽風域でのレースが予想されています。今日よりも明日、さらに明後日とよい順位やよい経験を沢山得られるようにモチベーションを保って頑張ってほしいと思います。
この日絶好調の発進を果たした420男子コンビのコメントです。
「別の艇種に乗っているくらい艇速に違いを感じました。明日は気持ちを入れ替えて頑張ります」山口・磯崎組(420男子)
この謙虚さが彼ららしいところです。
■成 績
男 子
倉持 大也(RS:X8.5/30艇) 19-16 16位
上村 健人(レーザーラジアル/50艇) 11-37 21位
山口寛規・磯崎哲也組(420/36艇) 1-1 1位
女 子
土居 愛実(レーザーラジアル/46艇) 9-7 4位
山口優・白澤ひとみ組(420/28艇) 6-12 9位
2レースともシングルにまとめた土居選手総合9位につける420女子ペア(右:山口選手、左:白澤選手)
2日目
420男子 山口・磯崎組、痛恨のDSQ。8位に後退
RS:X 倉持、上昇。女子、両クラスともに奮闘
この日順位を上げた倉持今日は朝から風がなく、AP旗が掲揚、陸上で風を待つこととなりました。そよそよと風が入ってきて、レースが十分に行えると思いましたが、なかなか出艇の許可が出ませんでした。おそらく予報されていた風向の反対側から風が入っていたため、完全に風向が変わるまで待っていたと思われます。16時を過ぎて、予想されていた風向に近づき、出艇の合図である「D旗」が全クラスに掲揚されました。レースエリアが近く、1レースの所要時間も短いRS:Xクラスは、この日2レース、レーザークラスと420クラスはそれぞれ1レース行われました。レースのコンディションとしては、昨日とは反対方向である北東から8ノットくらいの風が入り、この風向は陸風となるため、非常にシフティな海面となりました。
倉持(RS:X)は、昨日の「スタートのポジショニング」の反省を活かし、両レースとも10位と、徐々に自分の思うような走りが出来てきています。倉持のいいところは、コーチからの指示にすぐに対応し、何度も同じミスをしないことです。昨日はいまいちスタートのポジションやタイミングに思い切りがなく、今日はその点に注意することを心がけさせました。その結果、昨日よりも他国選手とのスタートの差が縮まり、その後のレースの展開が楽になっていました。明日はレイデーですので、明後日からのレースも常に向上心を持って、レースに励んでもらいたいです。
山口・磯崎組は陸上で入念に艤装とセッティングのチェックを行い、海上に出た後、フィードバックできるよう、写真を用いて、コーチとセールカーブおよびスピードのチェックをしています。他国と比較して、セールカーブのボトムの深さが大きく違うのが特徴です。
また、レーザークラスと420クラスでは、こうしたコンディションの影響もあり、レース中の順位変動がとても多いレースとなりました。また、昨日トップの方を走った選手達でもこのコンディションに苦しめられ、思うように得点を稼ぐことが出来ない選手も多かったようです。上村と土居(それぞれレーザーラジアル)、山口・白澤組もこの海面にはまり、思うように順位を伸ばすことができませんでした。特にレーザーは、艇のスピード差があまりないため、シフトに乗り遅れるとすぐに抜かれてしまいます。風のシフトに対応する力が、重要になってきます。さらに山口・磯崎組は、3位でフィニッシュしたものの、2位の艇とケースを起こし、審問の結果痛恨の失格(DSQ)となってしまいました。海外での審問は、もちろん英語で行われますので、選手達は英語で自艇の状況や、反論をしなくてはなりません。自分の主張を認めてもらうため的確な質問をすることが審問で勝つキーポイントとなりますが、質問が出てこないことが負けにつながったと思われます。しかし、反省をしながらも気持ちを切り替えて次のレースに向かっていこうとする力に世界で戦えるたくましさを感じました。次はきっと挽回してくれるものと信じています。
明日はレイデーです。
■成 績
男 子
倉持 大也(RS:X8.5/30艇) 19-16-10-10 13位
上村 健人(レーザーラジアル/50艇) 11-37-44 32位
山口寛規・磯崎哲也組(420/36艇) 1-1-DSQ 8位
女 子
土居 愛実(レーザーラジアル/46艇) 9-7-16 5位
山口優・白澤ひとみ組(420/28艇) 6-12-22 12位
3日目
大会2日間を振り返って
レポート:重 由美子 オリンピック特別委員会ジュニア担当コーチ
レースの方は、2日間で、3レースがやっとの風でした。現在も無風で風待ち中です。
山口・磯崎組は、ボトムマークで、水がなかったのに割り込んだとして、プロテストされ、相手が証言艇がいたため不利になり、3位でフィニッシュしましたが、失格となりました。審問には、私が通訳で入りました。負けた原因は、相手が全く違う証言をしてくることに対して、切り返す質問ができないため、相手の証言を覆すことができなかったことが原因でした。適切な質問の仕方を今後勉強する必要があると感じます。しかし、写真で見たケースでも割り込みはあきらかだったようです。本人たちのこの強気の姿勢が、トップを走る原動力にもなっていますが、その強気を消さないままノーケースで走れるようがんばらせます。
女子レーザーは、常に落ち着いて平常心でがんばっています。16位のレースもスタートは最悪だったものの上マークは8位まで挽回しました。2上で右に大きくシフトした風に左のコースを
とり、8艇抜かれ、上マークのままの順位であれば、総合1位だったというくらい、上位陣はスコアを乱しているので、これからもチャンスはあります。
男子レーザーは、本人日本での練習もものすごくがんばってきていて、気負いがありすぎるようです。走ってはいるのですが、コースで大きくミスして順位をおとしています。もっと、リラックスして視野を広くみれるよう指導していきます。これは、女子420にも言えます。スピードも高さも申し分なく、スタートも抜群なのですが、大きくシフトする風に振り回されてついていけず
順位を落としています。この2チームには、一呼吸おける心の余裕が必要と感じます。
男子ボードも、非常に落ち着いて、レースへの準備を怠らず、コンスタントに順位を上げて行っています。体力不足を本人が感じたのもいい経験でした。日本に帰ってさらに体力強化をするようです。
選手は、食事もビッフェスタイルをとてもバランスよくとり、朝からしっかり摂取しています。補食も意識して食べていて、栄養講習の効果と選手の意識の高さを感じます。
また、風待ちで休憩時間が長いのですが、全員、よくまとまって静かに休憩時間をうまく休んでいます。選手の意識の高さと、チームワークの良さにさらに助けられています。
残り3日、レースがあることを祈って、選手が自分の力を精一杯出し切り、日の丸を上げることができるよう、精一杯サポートしていきます。
4日目
420男子 山口・磯崎組、BFDで中位に後退
女子 山口・白澤組 総合9位に上昇
艇団の上につける土居本日も、朝から風が無く、全エリアAP旗が掲揚され陸上待機となりました。
420クラスは長い風待ちの後、16:00にスタートし、1レースが行われました。
1マークは、250度 風速3~4m。最初からブラックフラグが上がり、男子がスタート。山口・磯崎組は、集団の真ん中で一番膨らんだ所にいました。その中の4分の3艇身ほど引っこんでいたため出遅れのスタートでしたが、真ん中の集団全体が出ており、痛恨のBFD。ラインの把握ができず、集団に流された形になってしまいました。
2レース目もスタートしたのですが、風が無くなってしまい1マークまで30分以上かかり、中止となってしまい、本日はBFDの1レースのみとなりました。くやしい2個目の横文字です。その中で、落ち着いてコースを読み切ったスペインが1位を取りトータルトップを維持しました。スペイン艇は、先日の水の要求の抗議の際に相手チーム(チリ)の証言艇になっており、その時の紳士的な態度がとても印象的でしたが、そういう選手はさすがに、この触れる風でもスコアを乱しません。日本の高校生にはない大人の落ち着きを感じました。
女子のスタートは、230度の風で、極端な下有利となり、スタート後全艇即タック。
上よりからスタートした山口・白澤組は、レースの序盤では、不利な位置でしたが、右に振れる風を読み切り、徐々に前に出始め3位くらいまで上がってきました。しかし、最後のつめでコースの端に出すぎフレが戻ったため順位を落とし、1マークを6位で回航しました。2上に向かう走りでは、スピードも高さもあり、さらに今日は、コースもさえており1艇抜いて5位で回航。5位をキープしてフィニッシュし、トータル9位まで上がりました。
レーザーラジアルクラスでは 本日は男子のみのレースが行われました。成立したレースはブラックフラッグの適用があり、下有利のなか上村は、中盤よりやや上側でスタートしました。スタートの号砲と同時にほぼ全艇がタックし右側の海面での展開となりました。フィニッシュは25番でしたが、新たな課題として「スタートの待ち方」が見つかり、明日からのレースに向けて「得た情報の活用」と「考え方」を整理し実行してほしいものです。
RS:Xクラスも本日1レースが行われ、倉持は1マークまでのプランニングは良く出来ていますが、それを実行できるポジショニングに課題が残ります。極端なスピード差があるわけでは無いので、「もう一歩攻めたスタート」と「プランニングした位置でのファーストタック」が出来れば順位はかなり上がると思います。
選手達は、各々の課題を見つけて修正することや、トップレベルの選手達から良い刺激を受けることで日々成長しているように感じます。レース日は残り2日となりました。1レース1レースを大切に有意義なレースをしてほしいです。
■成 績
男 子
倉持 大也(RS:X8.5/30艇) 19-16-10-10-16 15位
上村 健人(レーザーラジアル/50艇) 11-37-44-25 30位
山口寛規・磯崎哲也組(420/36艇) 1-1-DSQ-BFD 18位
女 子
土居 愛実(レーザーラジアル/46艇) 9-7-16 5位
山口優・白澤ひとみ組(420/28艇) 6-12-22-5 9位
チューニングをチェックする山口出艇を心待ちにする上村
陸上待機中の土居夕方ようやく風が入ってきました
5日目
女子 山口・白澤組 総合9位から6位に上昇
ラジアル男子 上村 3レース目に初のシングル9位
トップフィニッシュを決めた山口・磯崎組3位フィニッシュを決めた山口・白澤組RSXクラスのスタート前本日は、420クラスとレーザーラジアルクラスが、ほぼ時間通りに出艇していきましたが、風がなくいったん陸に戻され、長い風待ちの末、レーザーラジアルクラスのエリアは16:00頃にスタートとなりました。
風向は20度風速5から6mと今シリーズの中で一番風の強いコンディションとなりました。陸風のため、風が振れやすく、ブローラインもはっきりしていて、345度から20度までのシフトがあり、シフトとブローをうまくつかめるかが勝負となりました。今回、一番風の強かった本日の3レース目で、ラジアル女子の土居は、1下マーク12位から2上へのコースで一気に5位に浮上しました。この風で抜けてきたのは、本人も自信がついたようです。
男子も、3レース目ではスタート失敗しながらも、フレッシュエアーを使い、このレースは、常に他艇よりリフトを巧みに走り、本来の上村のいぶし銀のコース引きがさえ、初のシングル9位をとりました。両艇ともトップ集団の中で、上マークの順位をキープしながらフリーで抜かれないように、走り切ったことも大きな収穫となりました。
着岸は、なんと夜の9時近くになりました。そんな中で、集中力を最後まで切らさず日本チームは各クラスとも最終レースの結果が特に良く、体力、気力、集中力とも海外の選手に勝るとも劣らない物を身につけてきていることを感じさせる3レース目でした。
またRS:Xクラスは15時に出艇していき、この日の第一レースは風速5から6メートル程度の中、15:40分にスタートしました。このエリアは、他のエリアに比べて一番陸に近いため、とてもシフティな海面でした。倉持は、スタートで艇団の中に埋もれ、ブランケットの状態で長く走ってしまい、思うように順位が伸びません。また、続いて行われた2レース目は、スタートこそ良かったものの、他艇から影響を受けてしまう位置でファーストタックをしてしまい、自分の思うような走りが出来なかったです。この風域のボードスピードは、海外の選手に比べてまだまだ改善する部分がたくさんあります。しかし、初日に比べてスタートの際に、より有利な場所を狙っていく姿勢や、強い気持ちでスタートラインに立つことなど、日々改善が見られます。
いよいよ明日は最終日となりました。全クラスとも一つでも順位を上げられるように頑張ります。
■成 績 ※( )はカットレース
男 子
倉持 大也(RS:X8.5/30艇) 19-16-10-10-16-(26)-17 15位
上村 健人(レーザーラジアル/50艇) 11-37-44-25-31-38-9 28位
山口寛規・磯崎哲也組(420/36艇) 1-1-DSQ-BFD-19-1 9位
女 子
土居 愛実(レーザーラジアル/46艇) 9-7-16-19-(20) 9位
山口優・白澤ひとみ組(420/28艇) 6-12-(22)-5-11-3 6位
最終日
大きな収穫を得て、大会閉幕
終始よいチームワークを見せ、好印象の日本チーム
今後に期待大
本日は最終日、各クラス残り1レースとなりました。
この日は朝から風が吹いており、予定時間通り、12時にスタートとなりました。各エリアおおよそ風速7から8mの中レースが行われました。最終レースの結果では、入賞の可能性があるクラスもありましたが、この風域は、多くの選手が得意とするためちょっとしたミスで、大きく順位を落としてしまいます。
最終レース、日本チームは、いずれの選手もシングルに入れず、この風域で上位をキープすることの難しさ、大切さを痛感させられました。
しかし、今回の大会において各選手とも良かった部分もありました。世界を相手にトップ取れる山口・磯崎組、得意の軽風域で良い走りを見せた山口・白澤組と土居、この大会に向けて、体作りに一番励んできた努力家の上村、シングルハンドは体作りが基本ですが、常にこの事を意識していました。また倉持は、今回最年少でしたが、とても落ち着いており、同じチームの仲間やコーチからのアドバイスを真摯に受け止めていました。特に一番良かった事は、今回の日本チームは、とてもまとまりがあり、全員がそれぞれみんなの事を考えて行動していため、お互いにとても居心地のよい環境であった事だと思います。
この大会で得られた多くの事を生かして、今後とも努力を続けてほしいと思います。
大会期間中、皆様からのたくさんの応援ありがとうございました。
大会終了にあたり選手達のコメントをご覧ください。
倉持 大也
「ISAFユースワールドに出場して感じたことは、外国の選手達は陸ではすごく陽気でレースに来ているという感じがしないのですが、いざ海に出てレースになると、ものすごく真剣で勝ちに対する執着心がすごいと感じた。自分もこのようなONとOFFの切り替えをしっかり行えるようになりたい。また今大会からたくさんの課題が見つかったので、日本に帰ったら直していきたいです」
上村 健人
「強風レースになると思ったが、予想外の微風レースとなり不完全燃焼だった。スタートやその後の滑りでついていけないと前の方を走たせてもらえず、難しかった。ただ1レースは、何とかシングルに入れたのは良かったので、ラジアルワールドにつなげたい」
山口 寛規
「今回目標にしていた優勝は出来なかったが、世界を相手にいいレースができた。今回、選手全員がお互いにみんなの事を思って行動していたので、とてもいい雰囲気だった」
磯崎 哲也
「今回の大会は、420では初の国外レースでしたが、世界を相手に上位争いを出来るレース展開ができました。さらに海外選手の走らせ方や動きも見られ、自分の修正すべき点が見つかったので、次の目標に向けて頑張りたい」
土居 愛美
「来年もう一度この大会に臨むチャンスがあるので、今大会の経験を生かして、来年は今の自分を超えられるようにこれからもトレーニングに励みます。今回このメンバーで戦えて、すごく嬉しかったです」
山口 優
「今回の大会を振り返って、とても得るものがたくさんあり、これからの競技生活における課題を見つけることが出来ました。この大会に向けて準備や支援をしてくださった方々に感謝し、これからさらに努力を重ねこの先の大会につなげていきたいです」
白澤 ひとみ
「この大会で自分が改善すべき事がよく分かりました。この大会の反省を次のレースに生かして、目標が達成できるようにがんばりたいです」
■成 績 ※( )はカットレース
男 子
倉持 大也(RS:X8.5/30艇) 19-16-10-10-16-(26)-17-13 16位
上村 健人(レーザーラジアル/50艇) 11-37-44-25-31-38-9-24 24位
山口寛規・磯崎哲也組(420/36艇) 1-1-DSQ-BFD-19-1-13 12位
女 子
土居 愛実(レーザーラジアル/46艇) 9-7-16-19-20-5-(23) 10位
山口優・白澤ひとみ組(420/28艇) 6-12-22-5-11-3-(24) 13位
閉会式時の日本チーム
420男子メダリスト420女子メダリスト
レーザー男子メダリストレーザー女子メダリスト
RSX男子メダリストRSX女子メダリスト