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470級世界選手権

 
2009年470級世界選手権大会 inデンマーク

報告:中村 健次


日 程2009年8月20日~29日(レース初日8月23日~)
開催地:デンマーク・コペンハーゲン
出場者男子 原田・吉田組(アビーム・コンサルティング)
       石川・柳川組(関東自動車工業)
       前田・谷口組(エス・ピー・ネットワーク、島精機製作所)
       渡辺・谷川組(エス・ピー・ネットワーク)
    女子 近藤・田畑組(アビーム・コンサルティング)
       吉迫・大熊組(ベネッセコーポレーション)
       平井・栗栖組(フリー・日本大学)
帯同コーチ中村 健次・斉藤 愛子
参加艇数男子・28カ国95艇 女子・26カ国57艇
大会公式サイトhttp://www.worlds470.kdy.dk/
GPS航跡サイトhttp://www.tractrac.com/?page=470worlds(ライブのGPSでレースが見ることができます)


0908_470_1-1.jpg計測風景(選手は徐々にレースモードに)0908_470_1-2.jpgプラクティスレースで5位を走る平井・栗栖組。「明日からも吹かないほうがいいなぁ。」いよいよ、470級世界選手権が始まります。日本からは2009年470級ナショナルチームの男子4チーム、女子3チームがエントリーし、ここデンマークで世界タイトルを目指します。7チームのうち最も早いチームは8月9日に現地入りしました。世界強豪国の英国は3週間前に一度現地入りし、10日間ほどの合宿をして一度帰国、気持ちを切り替えて再度現地入りするというリズムで世界選手権に臨んでいます。
 現地では日本チームだけの練習と各国コーチが合同練習レースを企画し、本番に向けての有意義な準備が出来ています。事前練習では岸風のシフティーな条件の中、レースをおこなっていますが、安定して上位を走るチームがいない程、難しい海面です。各チームともそれぞれのペースで調整を進めていますが、日本470級ナショナルチームの実力は男女とも世界レベルにあります。日頃の実力を存分に発揮して上位に食い込むことを願わざるを得ません。


出場NT紹介


原田・吉田組
6月に開催された470級ヨーロッパ選手権で優勝を果たしており、世界の強豪国が一目置いているチーム。

石川・柳川組
強風でのボートスピードが現地に来てレベルアップしており、今大会が強風シリーズになれば、上位を十分狙える力をつけてきている。

前田・谷口組
レース組み立てが上手いチームでスタートが上手くいけば、上位に入る力を持っている。

渡辺・谷川組
ベテランの域に入っており、冷静なレース運びで上位を狙っている。

近藤・田畑組
北京でライバル同士であった選手がコンビを組むという、諸外国的な発想でチームを組んだ二人は今年のオランダでの大会で優勝、ヨーロッパ選手権でも2位に入る成績を収めており、今回もしっかり準備をしてきている。

吉迫・大熊組
北京五輪選考で近藤・鎌田組に敗れたものの、世界ランキングではトップ3まで入った実力のコンビ、今回は前回の弱点を明確にしてレベルアップを図っている。コンビ結成から2度目のオリンピックへの挑戦スタートとなる。

平井・栗栖組
唯一のプライベートチーム、練習環境の少ない中でNTの座を獲得したチーム、今回はチャレンジ精神で思いっきりレースに臨む。

選手プロフィールhttp://jsaf-osc.jp/cn02/pg02.html

その他参考:
デンマークは世界でもトップレベルの高い課税水準を持っており、個人収入の実に49.5%が所得税となる。また、消費税率は25%にも上ります。宿泊費・食事代何でも高いが、世界で住みたい国No.1の国である。

0908_470_1-3.jpg開会式のために、岸壁にそって国旗が並びました。日の丸の前で、開会式に参加したメンバーで記念写真を撮りました。私達、やっぱり日本人です!(撮影:中村昭仁)0908_470_1-4.jpg明日の第1レースを前に準備が整った470。マストの林。

1日目


初日、日本男女NT好発進!目指せ表彰台!

0908_470_2-1.jpg原田・吉田、昨年世界チャンピオンに次いで2位フィニッシュ0908_470_2-2.jpg第1レース前田・谷口2位フィニッシュ本日から3日間の予選ラウンドが始まりました。
今回の大会は男女とも現在の世界ランカーがほぼ勢ぞろいして文字通りのレベルの高い世界選手権となりました。
午前中は風が定まりませんでしたが、午後になりSE系のよい風が吹き出し、男子は3組、女子は2組に分かれ第1レースのスタートが切られました。
第1レースはレース途中で風軸が変わってくる(10°右シフト)という難しいレース展開となりました。
男子については、ヨーロッパ選手権チャンピオンの原田・吉田チームが、スタートで出遅れるも直ぐにフレッシュウインドを掴み2位で上マークを回航!! その後も順位をキープし2位でフィニッシュ。次のレースも自分らの風を掴み5位でフィニッシュし、初日総合7位発進と幸先の良いレースとなりました。前田・谷口チームも第1レース2位でフィニッシュするなど、他男子チームもまだまだ上位を狙える位置にいます。
女子についても、第1レースは吉迫・大熊組5位、近藤・田畑組が6位、平井・栗栖組17位に入りました。第2レースも上マーク(第1マーク)までは皆上位につけていましたがコースミスにより順位を落としてしまいました。まだ初日です。これから徐々に総合順位を上げていく技量を各チームとも十分に持っています。

世界各国ともプロ化が進む中、アマチュアリズムの精神で戦う日本チームに皆様の熱いエールをお願いする次第です。

●第1レース:風向135~145°風速8~10ノット
●第2レース:風向145±10° 風速10~12ノット

第1日成績(2レース消化)
男子:原田・吉田組(総合7位)  2-5
   前田・谷口組(総合20位)2-15
   石川・柳川組(総合20位)14-10
   渡辺・谷川組(総合78位)28-22
女子:近藤・田端組(総合14位)6-10
   吉迫・大熊組(総合22位)5-19
   平井・栗栖組(総合41位)17-27

0908_470_2-3.jpg女子・黄組 の第1レーススタート。JPN4151は近藤・田畑組。オールクリアの中、加速よく飛び出しました。

2日目


際立つ原田・吉田組&近藤・田畑組のレース運び

0908_470_3-1.jpg近藤・田端、上マークアプローチ!! 二人とも姿勢が良い。0908_470_3-2.jpg原田・吉田後続艇を大きく引き離し上位で走る。0908_470_3-3.jpgスタート直後の渡辺・谷川0908_470_3-4.jpg上マークアプローチ下側:石川・柳川、上側:前田・谷口運営陣が本日は絶好のレース日和と判断、朝のコーチミーティングで3レース実施を決定、予想通りの南東の8~14ノットの風の中3レースが行われた。
潮流も下げ潮1.2ノットと強く、スタートがとても難しかった。またレースエリアの右サイド岸側の潮が弱く、順位をまとめた上位チームは皆スタートから右サイドを狙った戦略と好スタートが出来たチームが今日の上位チームだった。(GPSトラッキングサイトでもそれがよく分かる)

男子はこの風域で最も自信を持っている原田・吉田組が安定して上位をキープしている。彼らは、スタートでのミス、落水で順位を落としたトラブルもあるが、ボートスピードは勿論、風を見る力が優れているのが上位で戦えている理由だと思う。
また、彼らの常に強気な姿勢も上位を走れる要因ではないだろうか。海外のコーチがとてもスマートなチームだと実力を認めているほど現在世界で認められるチームに成長している。
女子はまだチームを組んで半年の近藤・田畑組が安定した順位で総合5位につけている。彼女たちもスタート・スピード・ストラテージの3拍子揃ったチームだ。本日の5レース目はトップで上マークを回航し1位をキープしていたが吹きに強いオランダに抜かれるも2位でのフィニッシュ、予選シリーズとは言え見ていても安心感にあふれたチームだ。
明日で予選が終了するが、この2組と吉迫・大熊組の3チーム以外のチームも最後までゴールドフリートを目指して思いっきりのよいスタートをしてほしい。

3日目


強気の姿勢でスタートしなければ
ワールドでは上位に行けない

0908_470_4-1.jpg吉迫・大熊7位フィニッシュ!0908_470_4-2.jpgRoyal Danish Yacht Clubのキム・アンダーソン会長宅にホームステイ中の平井・栗栖組。今日(1レース)で予選6レースが終了した。
予選シリーズを終えて男子は原田・吉田組が予選総合6位でゴールドフリートに進出、他男子3チームは残念ながらシルバーフリートとなってしまった。
女子は近藤・田畑組が7位、吉迫・大熊チームが21位でゴールドフリートに進出、若手の平井・栗栖チームは48位のシルバーフリートになった。

レース内容
≪風向145° 風速8~10ノット 潮流1.2ノットの向かい潮≫
上位を走るためのコースが風の入り方で偏った展開になる事が多く、やはり今日もコースの良い側からスタートしなければ、上位を走る事の出来ないレースだった。
男子では原田・吉田組と前田・谷口組が良いスタートを切り、原田・吉田組は最もボートスピードに自信のある風域を利して上マーク4位からさらに順位を上げ3位フィニッシュ。堂々たるレース運びだった。前田・谷口組も上マークを2位で回航するが、ランニングの走りが悪く8位フィニッシュとなってしまった。
石川・柳川、渡辺・谷川組はスタートの混戦ではじき出され、好順位を取る事が出来なかった。もっと強気の姿勢でスタートしないことには世界選手権では上位を走らせてもらえないことをつくづく感じたレースだったのではないだろうか。
女子チームの近藤・田畑組は本部船側から良いスタートを切り、右フリートをリードしていたが、風が徐々に左にシフトし、アプローチラインまで風が戻らず少々苦しい展開となり、7位でフィニッシュ。吉迫・大熊組はスタートが良いもののボートスピードが悪く(本人談)上マークを10位で回航、得意のランニングで3艇を抜いて7位まで順位を上げた。
平井・栗栖チームは果敢に攻めの姿勢でスタートを狙っているが、いかんせん艇を止めるテクニックが未完成、今大会でトップチームのテクニックをぜひ盗んでほしいと思う。

「明日から決勝が始まります、ゴールドフリートで戦うチームに良い風が吹きますように。」byコーチ陣

各チームの成績
男子:95艇
原田・吉田組(総合6位)  2−5−12−2−6−3
前田・谷口組(総合34位)2−15−13−17−17−8
石川・柳川組(総合37位)14−10−15−6−13−27
渡辺・谷川組(総合59位)28−22−8−14−17−27
女子:57艇
近藤・田畑組(総合7位) 6−10−2−5−2−7
吉迫・大熊組(総合21位)5−19−7−16−16−7
平井・栗栖組(総合48位)17−27−26−19−21−19

4日目


原田・吉田組 総合3位に浮上!!
ガンバレニッポン

決勝初日は陸風のシフティーな条件で2レースを実施し、1レース目 原田・吉田組が見事に2位フィニッシュ

0908_470_5-2.jpg原田・吉田②ノンジャイブでチャンス(風)を掴む0908_470_5-1.jpg原田・吉田①サイドマーク手前、9番手で回航
0908_470_5-4.jpg原田・吉田④最終下マークを2位で回航、フィニッシュに向かう(お見事!!)0908_470_5-3.jpg原田・吉田③一気に2位浮上ゴールドフリートはマークセット255°、風向240~280°、風速6~14ノットとシフトと強弱が激しい難しいコンディションで2レースが行われた。
昨1日までの強い潮流はなくなったものの200°へ流れる潮によってスタートラインから上げられる潮のため、男女ともゼネラルリコールを繰り返すこととなった。
男子の原田・吉田組も攻めのスタートで決勝1レース目はBFDとなってしまったが、10艇ものチームがBFDとなったため総合順位への影響は少なくなった。
第2レース目はスタートも良く、10番手前後で順当なレース運びをして、サイドマーク回航時に風が弱くなり先行艇に近づくことが出来た。先行グループがシフトに合わせジャイブするも風が無くなり失速、そんな中、原田・吉田組は風をよく見てノンジャイブ!! あっという間に2位に浮上!! お見事というほかはない。


0908_470_5-5.jpgR8で5位に入った平井・栗栖組女子については第1レース上マーク近藤・田畑10位、吉迫・大熊11位でまずまずの順位であったが、ランニングで風の無い側に行った近藤・田畑組が大きく順位を落としてしまう。(入ってくる風をちゃんと見ることが出来なかったと近藤(談)。一方、吉迫・大熊組は風をとらえ順位を上げて6位でフィニッシュした。
女子2レース目はスタート直後20°右にシフト、その後も風が左に戻ること無く左サイドを選択した両チームは順位を上げることが出来なかった。
女子については上位3チーム(オランダ・イタリア・スペイン)が安定したスコアでフリートをリードしているが、何が起こるか分からないのがヨットレース。明日も風をよく見て自分を信じて上位を狙ってほしい。

0908_470_5-6.jpgR7でダントツトップの石川・柳川組シルバーフリートでは男子:石川・柳川組がトップフィニッシュ、若手女子の平井・栗栖組も5位でフィニッシュした。









各チームの成績
男子:
原田・吉田組  予選 2-5-12-2-6-3
         ゴールドフリート決勝 BFD-2(総合3位)
川・柳川組  予選 14-10-15-6-13-27
           シルバーフリート 決勝1-14(シルバーフリート2位、総合34位)
前田・谷口組  予選 2-15-13-17-17-8
         シルバーフリート 決勝BFD-2(シルバーフリート6位、総合36位)
渡辺・谷川組  予選 28-22-8-14-17-27
         シルバーフリート 決勝12-24(シルバーフリート22位、総合56位)

女子:
近藤・田畑組  予選 6-10-2-5-2-7
         ゴールドフリート 決勝17-17(総合8位)
吉迫・大熊組  予選 5-19-7-16-16
         ゴールドフリート 決勝6-26(総合20位)
平井・栗栖組  予選 17-27-26-19-21
         シルバーフリート 決勝18-5(シルバーフリート24位、総合56位)

0908_470_5-7.jpg原田・吉田組がレースを終えて。コメント:BFDで次のレースまで随分待たされました。
0908_470_5-8.jpg出艇前の愛ちゃん。コメント:レースは風が見れず今日は駄目でしたが、明日挽回します
0908_470_5-9.jpg主催者が用意する食事を食べる吉迫・大熊(明日挽回します)

報告:中村健次・斎藤愛子

5日目


原田・吉田組 総合トップと同点2位に浮上!!
ガンバレニッポン

0908_470_6-1.jpgスタートで出遅れてしまっても、原田・吉田組はしっかり順位をあげてきました。勢いがあります。0908_470_6-2.jpgR10:上マークをポートでアプローチする原田・吉田(スターボでオーバーセールした艇をここでも抜き去る)決勝2日目はとてもきれいな海風で安定した条件の中での2レースでした。
コースセット155°、風向150~160°、風速12~14ノット。
予選の海風と違い、レースエリアが沖に出されたことで岸寄りのべンドした風もなく、潮流も左右に差が無く、偏ったレースではない絶好の1日でした。

(本日のレポートはゴールドフリートをサポートした斎藤愛子です)
今日のゴールドフリートは男女ともに1回目のスタートでクリアしました。風と潮が同じ向き(向い潮)であったこと、流速が前日までと比較するとゆるやかだったので合わせやすかったことが理由でしょう。そしてゴールドフリートのほとんどの艇はラインサイトがしっかりしていました。

原田・吉田組は2レースとも本部艇横からスタートしようと試みましたが、2回とも号砲直前に出られないことを予知してポートに返して、後ろから出ていました。そのせいか、1上は中盤で回っていましたが、2レースとも、そこからじわじわと追い上げ、最後のダウンウィンドでシングルまであがるという展開でした。アップウィンドは比較的長い周期のシフトでしたが、原田組は上マークへ向けて残り1/3で良いほうのサイドへ出すことができ、順位をあげてきていました。男子はトップだったオランダが崩れ、2位のクロアチアがトップに出ましたが、原田組は8位と9位でしたが、このスコアが安定しているといわれるほど、他の上位選手達は崩しています。原田組もトップと同点の2位にあがりました。オランダが3位にさがったといっても、まだ2点差ですから、上位陣にとっては、明日の2レースが正念場になります。

0908_470_6-3.jpgマーク3GでNZLと水のとりあいになり、外側になってしまった近藤・田畑組。 NZLのジョーの男ぽい太い声にはびっくり!0908_470_6-4.jpg混戦の1上マークで踏ん張る吉迫・大熊組。今日はここからが見せ場で、ダウンウィンドで最後にスピントラブルのオランダを抜きました。女子も同じような展開ですが、長い周期のシフトなので、レースのたび、アップウィンドのたびにのびるサイドが右だったり、左だったりしていました。フランスのイングリットが比較的このシフトのタイミングをよくつかんでいたようでしたが、彼女らはスピードも風が15ノット前後だと女子の中ではダントツなので、シフトをつかみやすかったのかもしれません。近藤・田畑組は11位を2回でしたが、1上までがサイドに出すぎていたように見受けられます。吉迫・大熊組もアップウィンドでのシフトは半々であたりはずれでしたが、ダウンウィンドが速いので、順位をあげるのはダウンウィンドでした。女子はオランダがトップをキープしていますが、今日はスピンワークで乱れがでており、5月からの新コンビながら圧倒していたレースぶりにもミスがみられるようになりました。







各チームの成績
男子:
原田・吉田組  予選 2-5-12-2-6-3
         ゴールドフリート決勝 BFD-2-8-9(総合2位)
石川・柳川組  予選 14-10-15-6-13-27
           シルバーフリート 決勝1-14-7-19(シルバーフリート2位、総合34位)
前田・谷口組  予選 2-15-13-17-17-8
         シルバーフリート 決勝BFD-2-9-25(シルバーフリート6位、総合38位)
渡辺・谷川組  予選 28-22-8-14-17-27
         シルバーフリート 決勝12-24-18-8(シルバーフリート22位、総合54位)

女子:
近藤・田畑組  予選 6-10-2-5-2-7
         ゴールドフリート 決勝17-17-11-11(総合8位)
吉迫・大熊組  予選 5-19-7-16-16
         ゴールドフリート 決勝6-26-14-7(総合20位)
平井・栗栖組  予選 17-27-26-19-21
         シルバーフリート 決勝18-5-11-15(シルバーフリート14位、総合41位)

0908_470_6-5.jpgハーバー内を優雅に泳ぐスワン達は470やコーチボートが通過するのも気にせず、よってきます。

6日目


原田・吉田組、総合2位でメダルレース進出!!
近藤・田畑組もメダルレースに。ガンバレニッポン
≪日本470男子14年ぶりの表彰台目指す≫

0908_470_7-1.jpgR11 原田・吉田、一気に3位に浮上、パンピングで順位をキープ0908_470_7-2.jpgR12 上マークを2位で回航する近藤・田畑0908_470_7-3.jpg男子トップのクロアチアのリーチング決勝3日目も2レースを実施しました。
コースセット160°、風向150~165°、風速10~12ノット。
朝のコーチミーティングでは12~16ノットの天気予想でしたが、実際には昨日と変わらぬ好条件の中でレースが行われました。

やはり注目は男子の原田・吉田組。第1レース、先にスタートした女子のレース展開から右コースを選択、上スタートを狙うが下艇にスペースを奪われ良いスタートが出来ないと30秒前に判断、ポジションを少し変え良いスタートが出来た(このチームのその時の判断力・切り替えの早さこそが上位を走れる秘訣だと感心)。上マークを12番手位で回り下マークへ、トップグループは1上で良かった側の右コースを選択。原田・吉田組は第1下ゲートマークをトップグループと反対側のコースを選んだ、上マークから風の入り、強さを見ていると彼らが選んだ左側がとても近く(艇が大きく見えた)見える。一方、トップグループはラルリフトの様でタックする事も出来ないようだった。なんと彼らは第2上マーク3位で回航、レガッタをリードするCRO(クロアチア)を後ろに従わせそのまま3位でフィニッシュ。これで今回のワールドのリーダーになった(本当に凄い、運も実力の内と言うが彼らは適切に風を見てレース展開に反映させる素晴らしいチームだ)。

第2レースも1レース目と同様の条件でのレースとなった。10°程下有利のスタートラインで風は全体にきれいに入っていた。原田・吉田組は守ることなく下スタートを狙うが、下げ潮(12メートル/分)の影響でアウターマークにタッチしてしまい、先行艇を追いかける展開となってしまい、結果的に18位のとなった。
通算総合2位。帰着後話を聞くと、「ボクらは世界の1番を狙います」との頼もしい答えが返ってきた(面白いチームが現れたと妙に感心)。
明日、はトップと16P差、3位と1P、4位と2P、5位と10P、6位と12P差です。いずれにしても僅差です。さて彼らがメダルレースでどのようなレースをしてくれるか、そして、どんな風が吹くか?楽しみです。

女子は近藤・田畑組が今までコースが上手く見ることができず苦戦していたが、本日2レース目に3位フィニッシュを果たした(どうもスタートから最初のタックで田畑が落水したらしい、それが無ければトップだったかも、と言っていました。田畑さん、バラしてごめんなさい)。
通算総合9位。近藤・田畑組のメダルレースの可能性は総合5位のオーストラリアまで6P差ですから、明日は攻めのレースで順位を上げてほしいと思います。
吉迫・大熊組は1日で良いレース7位と悪いレース16位と順位をまとめることが出来ず、メダルレースには進出できませんでした。残念です。明日の最終レースで総合順位を一つでも上げ、納得のいくレースをしてほしいと願っています。

なお、注目のメダルレースのスタートは男子が29日、日本時間21時、女子は40分後と発表されました。

各チームの成績
男子:
原田・吉田組  予選 2-5-12-2-6-3
         ゴールドフリート決勝 BFD-2-8-9-3-18(総合2位)
石川・柳川組  予選 14-10-15-6-13-27
           シルバーフリート 決勝1-14-7-19-12-6(シルバーフリート2位、総合34位)
前田・谷口組  予選 2-15-13-17-17-8
         シルバーフリート 決勝BFD-2-9-25-OCS-12(シルバーフリート12位、総合44位)
渡辺・谷川組  予選 28-22-8-14-17-27
         シルバーフリート 決勝12-24-18-8-20-16(シルバーフリート22位、総合54位)

女子:
近藤・田畑組  予選 6-10-2-5-2-7
         ゴールドフリート 決勝17-17-11-11-13-3(総合9位)
吉迫・大熊組  予選 5-19-7-16-16
         ゴールドフリート 決勝6-26-14-7-7-16(総合14位)
平井・栗栖組  予選 17-27-26-19-21
         シルバーフリート 決勝18-5-11-15-11-2(シルバーフリート12位、総合41位)

7日目


原田・吉田組、接戦の末14年ぶりの快挙! 3位表彰台に!
近藤・田畑組も8位入賞。世界が認める日本470

0908_470_8-1.jpg原田・吉田レースを終えて(おめでとう)0908_470_8-2.jpg女子:近藤・田畑も8位入賞(おめでとう)朝のコーチミーティングで西からの前線の影響で風が強まるとの予報。

予定通り13時過ぎには男子ファイナリスト(トップ10)が海上に勢ぞろい、徐々に風が強まるが真黒な雲と共に風速は25ノットを超える。運営側はスタート準備信号を揚げるが、風が大きく右にシフトしレースが延期されました。前線が通過するとまるで別世界の6ノット程度の風になり、風向も安定してその中で男子はスタートすることになりました。

原田・吉田組がやってはいけないことはリコールのみで、それ以外は攻めのレースをすることでした。
今回のクロアチアチームは非常に冴えており、スタートから2位日本、3位のオランダを押さえ右サイドに連れ込む作戦(クロアチア7位、日本8位、オランダ10位)。メダルを狙う4位の英国とメダル圏内のスペインが自由に左サイドを選択。第1マークでは、スペイン1位、英国3位という順位でメダル獲得順位から弾き飛ばされたという感じでしたが、原田・吉田組はいつもの攻めのレースで徐々に順位を上げ、最後は英国との一騎打ちになりました。結果的には最終マークで英国にオーバーラップを切られ5位フィニッシュとなりました。
彼らはフィニッシュ後、順位を落としたという顔でいましたが、正真正銘の世界3位です。大いに喜んで、そして次へのステップとしてもらいたいと思います。
(おめでとう、新しいスターチームの誕生です!!)

一方、女子のメダルレースは男子と一転、風速が上がり18ノットの風の中でのレースでした。
風は左からのブローがほとんどで、それを逃すと一気に順位を落とす展開。近藤・田畑組は1上7位から順位を4位に上げるもの3上で右展開し順位を落としてしまいました。僅差で上位にいたチームがそのレグで順位を上げ、結果的には8位入賞です。
近藤・田畑組は今年になり結成したチームですから、どこまで伸びていくか楽しみです。

お陰様で大会は閉幕しました。応援いただきありがとうございました。

各チームの成績(詳細は成績サイトをご覧ください)
男子:
原田・吉田組  メダルレース5位(総合3位)
石川・柳川組  R13・2位  (シルバーフリート2位、総合34位)
前田・谷口組  R13・22位(シルバーフリート12位、総合47位)
渡辺・谷川組  R13・16位(シルバーフリート22位、総合55位)

女子:
近藤・田畑組  メダルレース4位(総合8位)
吉迫・大熊組  R13・5位(総合14位)
平井・栗栖組  R13・5位(シルバーフリート12位、総合41位)

0908_470_8-3.jpg2009年メダルセレモニー
0908_470_8-4.jpg女子優勝チームのオランダチーム(素直に勝利を喜ぶ)

大会公式サイトhttp://www.worlds470.kdy.dk/
GPS航跡サイトhttp://www.tractrac.com/?page=470worlds(ライブのGPSでレースが見ることができます)

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●2010.7.23:ISAFユースワールド レースレポート
●2010.7.21:470級2010世界選手権大会 レースレポート
●2010.7.17:レーザーラジアル級世界選手権大会 レースレポート
●2010.7.13:49er級2010ヨーロッパ選手権大会 レースレポート
●2010.7.12:RS:X級2010ヨーロッパ選手権大会 レースレポート
●2010.6.13:スター級2010ヨーロッパ選手権大会 レースレポート
●2010.5.31:ISAFワールドカップ第5戦 デルタロイドレガッタ レースレポート
●2010.5.18:エキスパート・オリンピック・ガルダレガッタ レースレポート
●2010.5.7:レーザー級 NT合同強化合宿レポート
●2010.5.1:ISAFワールドカップ第4戦 第42回イエールオリンピックウイーク
●2010.4.9:レーザー4.7ユース世界選手権 レースレポート
●2010.3.31:第14回 アジア選手権 レースレポート
●2010.3.29:2010年度ユース日本代表選考レースレポート
●2010.2.18:2010年度 JSAFナショナルチーム選考レースレポート
●2010.2.2:ISAF ワールドカップ 第2戦 マイアミ OCRレースレポート
●2010.1.27:ユース選手の目標・目的を明確にしたユース合宿レポート
●2010.1.24:ノースアメリカンチャンピオンシップレポート
●2010.1.13:レーザー級・ラジアル級合同合宿レポート
●2010.1.13:2010年 49er世界選手権大会 レースレポート
●2009.12.14:第5回東アジア競技大会 レースレポート
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●2009.11.29:全日本470級ヨット選手権大会 レースレポート
●2009.11.24:470級国内強化合宿レポート
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●2009.9.23:Skandia Sail For Gold Regatta (ISAFワールドカップ最終戦・第7戦)現地レポート
●2009.9.12:2009 RS:X級世界選手権大会 in イギリス 現地レポート
●2009.8.31:2009 470級世界選手権大会 inデンマーク 現地レポート
●2009.8.29:2009レーザー級世界選手権inカナダ 現地レポート
●2009.8.18:2009レーザーラジアル(Y&M)世界選手権in唐津 現地レポート
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●2009.7.30:レーザーラジアル級世界選手権事前合宿レポート
●2009.7.22:49er級2009年世界選手権大会inイタリア 現地レポート
●2009.7.12:スター級2009年ヨーロッパ選手権inドイツ 現地レポート
●2009.5.18:ラジアル女子 海外選手招聘合宿レポート
●2009.4.23:第41回フランス・イエール オリンピックウイーク
●2009.2.20:JSAFインターナショナルレガッタ