ヨーロッパ選手権大会
スター級2009年ヨーロッパ選手権大会
inドイツ・キール
報告:中村 健次
本大会は、世界選手権に次ぐ大きな大会で、97艇のビックフリートの大会となる。
過去の大会ではヨーロッパで開催されるスター級に100艇が集まることはなく何故かと考えてみた。結論はアメリカズカップの艇種問題でクルー達の行き場が無くなったと言う事ではないだろうか。
日 程:2009年7月3日~11日(レース初日7月6日~)
開催地:ドイツ・キール
出場者:鈴木國央(ヘルム)、和田大地(クルー)
参加艇数:97艇
大会公式サイト:http://www.rolex-baltic-week.com/en/home.html
成績サイト:http://results.regatta-info.de/results_kurz.php?eventid=3
鈴木・和田チームは前回の北京オリンピック出場枠獲得の予選で最後の最後に切符を逃し、悔しい思いを次のロンドンにぶつけるべくこの大会にも出場する。先日行われたキールウィークでもメダルレースにあと一歩で出場できる力を付けてきた。
今大会の現地練習では、高気圧の中にあるためこの3日は軽風域の練習となったが、サポートして感じたことは、彼らの実力は確実に付いてきていると言う事だ。これまでのチャンピオンと同等の走りを見せてくれ、コース練習でも良いスタートをすればチャンピオンを押さえ前でフィニュシュ出来るそんな感じだ。
1964年東京オリンピック半世紀以来のスター級オリンピック出場に向かってスタートしています。温かいエールをお願いします。
スター級ワールドチャンピオンとの練習風景
1日目
鈴木・和田組 3位発進
ダントツでダウンウィンドを走る日本チーム
ISAFランキングベスト10チームをはじめとする世界の強豪が勢ぞろいの2009年ヨーロッパ選手権が始まった。
大会初日は帆走指示書の予定通り1レースが行われた。
12時スタート予定だったが、風が弱く延期信号AP旗が掲揚され陸上での待機となった。雨を伴った小前線通過後に安定した西の風、8~9m(18ノット)の中、レースがスタートした。
初めて経験するスター級のレースはとても長く、アップウインドが30分かかるレースだ。
ディンギーのレースから考えるととてつもなく長いレースだった。
鈴木・和田チームは順風以上のコンディションでボートスピードがトップチームに劣ることから、チューニングを変えて今日はレースに臨んだ。事前に完全なテストは出来ていなかったものの、手ごたえは感じていた。スタート前のセールチェックでも手ごたえを感じていたらしく、自信を持ってレースに臨めたようだ。
それよりも、今日の勝因は良いスタート、そして良い側サイドに行けたことだと思う。
なんと!! 1マークをトップで回航、その後も金色のスターマークと堂々互角に走っている。
(金色のスター級マークとは、過去に世界チャンピオンの実績を持つ選手のみが使える)
風はシフティー、ディスマスト艇が出るタフなコンディションの中、大健闘の走りを見せてくれた。
最終レグでは順位を意識しすぎたせいか、コースの中央を走る結果となってしまい、猛追の五輪メダリストたちが操るスエーデン、英国に抜かれ、ゴールは3位だった。初戦の出だしとしては上々の出来だが、惜しむらくはもっと強気で走ってほしかった。
総合成績:3位
レース成績:R1ー3位
レース前のひと時
2日目
3レースを終えて総合8位に
WSW6~8mのコンディションの中、2日目は2レースが行われた。
岸風のためシフトが多くレースの組み立てが難しい1日であった。
今大会の課題として攻めの姿勢でレースに臨むと決めた大会であるが、風が不利な方向に変化。なかなか上手い具合にレースを運べないのが本音である。
そんな中で、本日の2レース目、風にまったく裏切られ、第1マークを50位前後で回航、1レース目の貯金も使ってしまったかという場面で、なんと彼らは30艇抜き。風のシフトが大きいためドキドキものであったが、徐々に順位を上げてくる姿を見ると、ボートスピードの改善がみられている事、ふたりが冷静に物事の判断が出来ている事に頼もしさを感じる1日だった。
2日間3レースを終えて上位には北京五輪のメダリストチームが並んだ。世界選手権を控え、ハイレベルでタフな戦いが続いているが、残りのレースひとつひとつを大事に戦えばまだまだ上位浮上が可能だ。
■鈴木選手コメント
「今日はシフティーなコンディションに惑わされました…。」
■和田選手コメント
「かなりタフなコンディションで疲れました。明日も頑張ります。」
総合成績:8位
レース成績:R1ー3位, R2ー15位, R3ー22
3日目
5レースを終えて総合14位
5~7m/sのコンディションの中、2レースが行われた。
昨日同様、岸風のためシフトが多くレース組み立てが難しい1日であった。
今日も岸風による、風の変化+前線通過によるシフト+風強弱でレースの組み立ては困難を極める状況でした。
やはり、スタート位置によって大まかな順位が決まってしまうのも事実である。
今日は、リコールした艇に邪魔をされるなど、不運もあったが、ほんの少しボートスピードが足りない、タックのタイミングが遅れたなどで、順位を落とすケースが見られた。
コーチはレース中何をしているかと言うと、トップチームのセールシェイプを盗み撮りして、選手に情報提供するなど、いろいろとやっています。
フランスメダリスト セールシェイプブラジル金メダリスト セールシェイプ
本日までで、5レースを実施できましたので、明日は予備日となります。
■選手コメント
後半戦はより上位を取るために、攻めのレースをしたい。
チャレンジ精神を持ってレースに臨みたい。
鈴木選手:頭の中を整理したい。との事です。
総合成績:14位
レース成績:R1-3位、R2-15位、R3-22、R4-36.5位、R5-19位
※R4の36.5は同着と言う判断のコンマ順位。
5日目・最終日
大会閉幕 総合22位・国別14位
7月10日
(昨日はマストの立替え作業があり、夜遅くまで整備をおこなっていたため、レポートが出来ませんでした)
スプレッターが折れ、この後セールを降ろしリタイアです。
レイデー翌日の10日、サンダーストームの恐れが有り、出艇が延期となり1レースのみが行われました。
結果は写真のとおり、南西23ノット(13m)に吹きあがったガスティーの中、上マーク回航時にスプレッダーを折損、マストが曲がってしまいリタイア(DNF)を余儀なくされました。
※スター級は見てのとおりメインセール大きく、ランナー(マストを後ろに支えるワイヤー)のトラブルがあるとあっという間に40万円が消えてしまいます。
7月11日(最終日)最終日は2レースが行われました。
今大会はヨーロッパ特有の気圧配置により、全日程 風速7m平均の大会でした。
今日も南西寄りが18~19ノット(9m超)吹き募りました。
鈴木・和田組は昨日のマストトラブルにより、スペアマストを調整しレースに臨みました。
スペアマストの方がややソフトで強弱のある岸風では調子が良かったようです。しかし、レースの組み立ては大きな風の変化を掴む事は難しく、最初の行く方向を間違えると、大きく距離が離れてしまい挽回が難しく、頭を悩ませるレースであった。
全8レースを終了し、鈴木組は総合22位、国別順位14位でした。89艇のフリートの頂点に立ったのはブラジルのシェイド・プラダ組。北京五輪金メダリストのパーシー・シンプソン組を逆転した価値ある栄冠です。3位はスエーデンのルーフ・ティランダー組でした。
■鈴木選手コメント:
『国内では練習相手がいないので、海外レースに参加することは何ごとにも代えがたい経験です。
今年の次の海外遠征は8月の世界選手権に参加しますが、2010年はより多くの大会に出場し、スキルアップを図り、ロンドン五輪出場を確実なものにしたいと思います。
ロンドンに向け、手ごたえは十分にありますので、これからも応援お願いします』
大会を終え、チームカー(TOYOTA)で次の大会に向け出発です。
大会期間中は連日応援して頂きありがとうございました。
今大会では失敗も沢山ありましたが、得るものもたくさんありました。
国別順位でも、既にオリンピック出場枠圏内です。より考え、より工夫し競技力をアップし、オリンピックでは頂上を目標に頑張ります。
今後とも変わらぬご支援、ご声援をよろしくお願い致します。
以上レポートを終わります。
総合成績:22位
レース成績:R1-3位、R2-15位、R3-22、R4-36.5位、R5-19位、R6-DNF、R7-29位、R8-15位
大会公式サイト:http://www.rolex-baltic-week.com/en/home.html
成績サイト:http://results.regatta-info.de/results_kurz.php?eventid=3