マイアミ OCR
ISAF ワールドカップ 第2戦
マイアミ OCR
写真・レポート:宮野幹弘 関 一人
日 程:2010年1月24日~30日
開催地:米国・マイアミ
出場者:RS:X級:富沢 慎(関東自動車工業)
高橋良典(関東学院大学)
49er級:牧野幸雄・高橋賢次組(関東自動車工業)
帯同コーチ:宮野 幹弘・関 一人
参加艇数:RS:X級(14カ国/38艇)
49er級(17カ国/36艇)
大会公式サイト:http://rmocr.ussailing.org/
期待のチームJPN、欧米の強豪たちに一泡吹かせるか?
レジストレーション風景大会会場にイルカ2009年12月にオーストラリアのメルボルンで始まったISAFワールドカップ。その第2戦となる「マイアミOCR」が、アメリカ・フロリダ州のマイアミをベースに開催されます。今年は、昨年よりも多い448艇、642名のセーラーがエントリーしています。2012年のオリンピック種目(10クラス)とパラリンピック3クラスが実施されます。米国チームをはじめカナダチーム以外にも英国、フランス、オランダ、イタリア、スペイン、デンマークなどの欧州選手も多く参加しています。
RS:X級は2009年世界選手権優勝者英国:Nick Dempsey、2位オランダ:Dorian Rijsselberghe、3位イスラエル:Nimrod Mashiahのトップ3の選手たちが勢ぞろいしています。この強豪たちと東アジア大会金メダリスト、日本のエース・富澤 慎選手がどのような戦いをするのか、また、フォーム改良をして気合の入っている高橋良典選手の走りにも注目です。
49er級は先日のノースアメリカン大会の出場メンバーにワールド以降一時帰国したトップチームが加わり、いつものレガッタのように盛り上がっています。
進化を続ける牧野・高橋組はノースアメリカン終了後、風の強弱に関係なく休みなしで毎日朝から夕まで陸に上がらず練習し、関コーチの叱咤激励の指導もあいまって、その走りに光が見えてきました。
世界選手権など米国遠征2戦で課題となったスタートがうまくいけば上位入賞のチャンスは大いにあります。
レースは明日からです。
チームJPNの4選手、日頃の練習の成果をいかに発揮するか? 楽しみです。
皆様の応援をよろしくお願い致します。
日本チーム
1日目
大会初日
49er 牧野・高橋組 17位発進。
RS:Xはレース無し
大会初日セッティング風景[RS:X級]
今日の予報は10から12ノット、この風域は日本選手たちの課題の一つアンダープレー二ングでのレース展開が予想されます。選手たちはセッティングを終え、気象状況、レース展開での注意点、フォーム、セッティングの事を話していたところで、AP旗が掲揚。どうやら昨日行う予定だった計測が行えなかったため本日行うこととなり、計測終了後レースが始まるとのことでしたが、いつになってもレースが始まらないため大会スタッフに確認したところ「ハリケーンの予報が出ているのでしばらくレースが行えない」とのことでした。選手たちはハリケーンに備えてセッティングをばらし、道具を屋内へ移動、その後3時間から4時間のウエイティングが続き、やがて大雨に。その後もハリケーン予報は消えることがなく、本日RS:X級はレースを行わず終了。今まで我々が経験したことのないハリケーンが多いアメリカならではの1日でした。明日の予報は北の風14から15ノット。スピード勝負のレース展開が予想されます。日本選手はワールド終了後スピードを上げるためにセッティング、フォームの改良を行ってきました。明日のレースで、世界トップレベルの選手たちに立ち向かうことができるのか見守りたいと思います。
『練習をしてきた風域でのレース展開が予想されていただけに、レースがなかったことはとても残念です。予報では大会期間中に何度か同じようなコンディションがありそうなので、特訓の成果を出せればよいと思っています』(富澤 慎)
『ハリケーンでのレース中止には少しびっくりしました。初めての経験です。明日はスピード勝負の日となりそうです。フォームを改良した成果を見せたいと思います』(高橋良典)
すさまじい競り合い。スピードが速いこのクラスでも2艇身前後の差で廻航していきます。一つのミスが命取りとなります。[49er級]
大会は6海面を使いレースが行われていますが、他の海面が陸上待機の中、予定通り3レースが行われました。海面毎に気象状況が違うのを見事に読む運営サイドに感心と感謝です。
3レース共に風向190度~200度のシーブリーズ。風速は12~18ノット。チョッピーな波が立つ49erには難しいコンディションの中で行われました。
今回の大会、チームJPNは良い順位を取るべく努力する事は大前提ですが
・頭を出すスタート位置、出方、相手との間合いの確認、練習
・10ノット以上(プレーニングコンディション)の時に船をフラットにすること。
・現在、自分らが良いと思っているチューニングがレースで使えるのか確認すること。
を目標としてレースを行う方向にしました。
1レース目。スタートは抜群だったのですが、船に角度、スピードがなく、集団に飲み込まれていき、1上を8位前後で廻航。そのままランニングへ行きますが、下マーク付近で相手を避けるのが遅れてしまい、痛恨の沈。27位に終わりました。
その場の状況判断だけでなく、予測し次に有利になるところへ船をもっていくことも大事なタクティクスの一つです。上位の選手ほど無理せず相手とミート、マーク廻航等を行っていき、結果的に前へ前へ出ていきます。
この技術もレースに出ないと得られない技術の一つです。
レース終了後、選手と話し、良い感触を持っていなかったのでセッティングを変更。風速に対してセールが深すぎたため、パワーダウンするためにサイドステーを詰め、ロア(FJ、470等で言うプラー)
を緩めるようにしました。
2レース目。ボートスピードはセッティング変更が奏効したせいか向上しましたが、それだけでは良い成績を取れないのがヨットレースの微妙なところです。2レース目はスタートを失敗し、集団と逆サイドでの戦いとなりましたが、諦めず、逆サイドの良い所を使ったレースができて、9位フィニッシュでした。
3レース目は順位(16位)こそ良くなかったものの、2レース目で良いのではと思ったセッティングにさらにセンターボードを5センチ程上げ走ったところ、今までにない良い感覚だったとのことでした。
成績もさることながらこのような経験が非常に大切で、感覚は一度感じると忘れないものになります。
数字、写真では解明できない世界で、選手にしかわからない特別なものです。
このような経験が明日からも出来るよう、前を向いて進んでいってほしいと思います。
『久しぶりに進化を感じました。少し前進です』(牧野幸雄)
『スタートがだいぶ出られるようになってきて、クローズの走りも安定してきています。もっといけそうな気がします。49er特有のレース展開をトップ選手達にもまれながら貪欲に学んでいきたいです』(高橋賢次)
初日レース成績
牧野幸雄・高橋賢次組 27-9-16 総合17位/36艇中
大会公式サイト:http://rmocr.ussailing.org/
RS:X大会会場
2日目
RS:X級富澤総合8位発進。2レース目2位フィニッシュ。
発展途上の49er級組。一皮むけるか?
ジャイブマーク回航後[RS:X級]
大会2日目
昨日大会初日はレースができなかったため、RS:Xは本日幕開け(2レース消化)となりました。
レース前に気合の入りすぎでフォームが固くなっている高橋選手にリラックスするように話をし、ゼネリコ後11:50に、風向20度から30度、風速8から11ノットのガスティーコンディションで男子1レース目がスタートしました。2人とも好スタートを切りましたが、風が右に大きく振れたため、すぐさまタック、風の強弱にうまく合わせることができず、アンダープレー二ングでスピードを意識していた富澤選手、ダガー中心で角度を気にしていた高橋選手共に周りをしっかり見ることができず双方10番中盤でフィニッシュしました。
1レース終了後、選手たちにはしっかり周りを見て、風の強弱に合わせスピード(プレー二ング)と角度、この2つを使い分けるようにアドバイスしました。
13:00、風向40度から50度、風速7から9ノットと少し風が落ちた中2レース目がスタート。2人とも抜群のスタートをはかり、周りをしっかり見ながら富澤選手が6位で1下を回航、その後、弱い風ながらもスピードと角度を上手く使い分け、前の4人を抜き2位でフィニッシュ。高橋選手も1レース目より少し順位を上げ14位でフィニッシュしました。
このガスティーなコンディションの中、2レースともにスピード(プレー二ング)を上手く維持して走った、Rijsselberghe・ Dorian選手(オランダ)が2位以下を大きく引き離しフィニッシュ。20位以下の選手をDNFにしてしまうほどの速さを見せつけました。
この日上位に入った選手たちは周囲を見ることはもちろん、スピード(プレー二ング)と角度を上手く使いわけ、スピードに乗るのも早く(プレー二ング)風が落ちてもこのスピード(プレー二ング)を上手く維持しています。日本選手たちの課題です。
明日も今日と同じ天気予報です。今日の教訓を明日のレースにつなげてほしいと思います。
『1レース目はスピードの事ばかりに集中してしまい、周りを見ることができなかった。明日は、2レース目のような走りをしたい』(富澤 慎)
『ガスティーなコンディションでのスピードに自信がなく、角度を重視してしまった。明日は思い切って走ります』(高橋良典)
初日レース成績
富澤 慎 15-2 8位
高橋 良典 17-14 15位
フィニッシュへ:フィニッシュラインへ向かう最後のジャイブ。最後まで気が抜けません。[49er級]
本日は昨日と逆の風、10度~30度、風速6~10ノット中、3レースが行われました。
マイアミは一般的には暖かいというイメージがありますがさすがにこの時期でも北風が吹くとひんやりします。
昨日より風速は少し落ちていたのですが、昨日の3レース目で良い感覚が得られたのでその感触をもとにして今日やるべき事を選手達にアドバイスして
・軽風でスプレッターから上をもっと曲げて走る事が出来ないか試し、比較すること。
・スタート方法をもう一度見直して、やるべきことをきちんとやること。
に重点を置く事にし、レースに向かいました。
レース海面まではセールシェイプ、セッティングの確認をする大事な時間です。
選手と色々話をしながらレース海面へ向かいます。
自分(関)が選手の時は風の傾向を見ながら海面に向かう事が多かったのですが、牧野、高橋組は何時でも練習という考えなので常に100%頑張っています。
第1レースは課題としていたスタートに失敗。逆サイドに伸ばしてしまい、順位を大きく落としてしまいました。今日の風速では他の選手との艇速差はほとんどなく、ストラテジーとタクティクスでほぼ順位が決まるのが49er級です。
今まで他の選手達と一緒に走る事を目標にしていた選手には少し酷なコンディションでした。
1レース目で今日の走りの感覚を選手と確認。若干セッティングを変更し、スタートに集中すること、もっと広い視野で有利サイドを見極める事を伝えて2レース目へ。
2レース目のスタートは逆に集中し過ぎて船を止め過ぎてしまい、出遅れスタートとなり、集団に飲み込まれてしまいました。接戦の練習不足もあって、タクティクスで他国選手達に翻弄され大きく順位を落とす結果になりました。
今までは走らせることに集中し過ぎてしまい、周囲を見る事が出来なかったので、とにかく周りをよく見るように申し渡し3レース目へ
3レース目は他の選手と頭を並べてスタート出来、周囲を見る事が出来たことで良いストラテジー展開で1上を5位前後で廻航。
その後は2レース目と同じく、接戦に慣れていない事で徐々に順位を落とし、13位でフィニッシュとなりました。
皆と同じ感覚のスピードで接戦を経験しているので、選手達はようやく「ヨットレースをしている」感覚になってきているようです。
これも普段1チームでやっている日本チームにはとても有意義な経験になります。
ただ走る事から脱皮できた牧野・高橋組。良い順位を取れれば自信につながります。
後は成績です。
明日はシングルで帰ってきますように。
『今までは走らせる事に精一杯でコースを取る意識がなかったのですが、今日は風が弱かったという事もありコースを取る感覚が久しぶりに体感できて面白かったです…が、風をとらえきれず、ちぐはぐでした。明日は風をとらえます』(牧野幸雄)
『今日は難しい1日でしたが、本来のヨットレースをしている気がして張り合いがあり、面白いです。』(高橋賢次)
2日目終了時の通算成績
牧野幸雄・高橋賢次組 (27)-9-16-16-24-13 総合19位 ( )はカットレース
大会公式サイト:http://rmocr.ussailing.org/
3日目
RS:X級富澤 総合6位に上昇
49er級 牧野・高橋組も海外初の4位をとり、総合16位へUP!
もう少しでトップフィニッシュ[RS:X級]
大会3日目
海上は風がなくスタート予定時刻から30分ほど海上待機。
次第に風が入り始め、運営サイドが準備をしている間に選手たちとセッティングの調整を行い、1時間遅れの12:10に風向25度から35度、風速は、11から13ノット全体的にきれいに風が入っている状態で、第3レースがスタート。二人ともに好スタートを切るも、いまひとつスピードに乗れず、1上を10番前半で回航、その後風が落ちスピードを乗せられぬまま第3レース(通算)が終了しました。
次のレースまでの間に選手たちと再度セッティング、フォームのチェックをおこないました。
・スピードに乗るまでしっかりパンピングすることができない、特にフリーでは、何度もプレー二ングのチャンスを逃していたため、バテンテンションを緩め、リーチをタイトにしてパンピングをスムーズにできるようにセッティングを変更
・コース取りについてもタックするタイミングを逃してしまい行き過ぎてしまうことがあったので注意してコースを引くことをアドバイスしました。
13:35風向35度から40度、風速7から11ノットとガスティーなコンディションで第4レースがスタート、富沢選手はセッティングを変えた成果が出たのか、スピードに乗り、しっかりとしたコース取りで1上を7位で回航、その後順位は入れ替わらず2上回航、得意のフリーに入り、前を行く選手たちはプレー二ングを維持することができない中、ブローに遅れることなくスムーズなパンピングでプレー二ングを止めず、一気に5人を向き去り2位で2下を回航。その後スラロームレグで1位の選手のすぐ後ろにつけ、最終レグではデットヒートを繰り広げるもほんのわずかな差の2位でフィニッシュしました。見事な走りでした。
高橋選手は、好スタートを切るも周りの選手に惑わされてしまい、順位を落としてしまいました。
第4レース終了後、高橋選手には、風がぬめるときのセイル、体の位置などをアドバイスしました。
明日は、微風のパンピングコンディションでのレースが予想されます。
日本選手にはチャンスなので少しでも順位を上げて行きたいと思います。
『昨日のレースも今日のレースも1レース目が悪く、内容を振り返ると悪いレースのミスした所がはっきり分かりました。明日は大きなミスをしないように全部良い成績を取ります』(富澤 慎)
『今日は周りに惑わされてしまい、もったいないレースをしてしまった。明日はこのような事がないように頑張ります』(高橋良典)
大会3日目までの通算成績
富澤 慎 15 - 2 - 12 - 2 8位
高橋 良典 17 - 14 - 24 - 23 19位
今大会は毎日居残り練習をしています。少しでも前へ!!![49er級]
風向10°~30°、風速5~8ノットの中、予定通り3レースが行われました。
昨日、レース後に選手と話をしたセッティング変更を施し、レース海面に行き、話しながら確認しました。
セッティング確認後、選手には
・セッティングがレースで通用するのか確認する。
・スタートの位置を早く決めすぎないこと。
・広い視野で海面を見る事。
を伝え、1レース目へ。
スタートで若干遅れ、1上までは我慢の展開でしたが良いサイドを選択し、1上を3位で廻航。
ダウンウインドは固くなったのか無難なコースを取り過ぎてしまい、4位に後退。
2上は上位陣に対して下先行する形を作れたので上位と距離を詰めた3位に。
2下までは何とか食らいつき、4位でダウンウインドを走ってきましたが今日は上下3周のコース。
残り1周も守り切り4位フィニッシュを果たしました。
海外で初めて5位以内を取る事が出来ました。
2、3レース目はランニングでスピードが悪い上にコースミスが続き、どんどん順位を落とす展開でした。
クローズホールドは風が良く見えているのですが、ランニングの時は風を見るのが苦手なようで今の重要課題の一つです。
即ジャイブするのか、そのまま伸ばすのか、相手はどう動くのか、風はどうなるのか、ヒールバランスは?セールトリムは?等々要素は沢山あります。
こちらに来てから吹いている日が多く、感覚が強い風の感覚になってしまっていて、軽順風の感覚を忘れてしまっていた事もスピードが悪かった大きな原因でした。
49erはブローに入っているかどうかでこの風速でも10艇身以上変わってしまうほど違いがある船なので風が見えないのはかなり不利になります。
私も選手も初心に返る良い機会になりました。
明日も3レースが予定されています。
今遠征もメダルレースを含め残り7レース。
今しかできない事を一つ一つこなして日本に持って帰ります。
『基本的な事を何で忘れてしまったのか自分でも分かりません。強風の感覚から軽風の感覚に切り替える事が上手くできませんでした。これもまた良い経験となりました。感覚を忘れないためにもヨットに乗っていないと駄目ですねぇ』(牧野幸雄)
『昨日の反省をふまえて良いレース展開に持っていけるようになってきました。 が ダウンウインドが遅すぎてポジションが取れず、ラルにひとりでハマり、おいていかれました…。明日良いレースが出来るよう、イメージして寝ます』(高橋賢次)
3日目終了時の通算成績
牧野幸雄・高橋賢次組 27-9-16-16-24-13-4-(29)-10 総合16位 ( )はカットレース
大会公式サイト:http://rmocr.ussailing.org/
ハーバーの一画でのひとコマ、頑張って泳ぐ姿が可愛かったです。
4日目
富澤選手 総合10位。メダルレース進出は明日にかかる
日々闘いながら学ぶ牧野・高橋組 総合17位
富澤選手フリー1富澤選手フリー2[RS:X級]
大会4日目
今日は、昨日までと違い天気の良い暖かい朝を迎えました。
風は予報通りの風向60度から70度、風速7から12ノット。昨日のコンディションよりさらに安定
しない難しいガスティーなコンディションで、ゼネリコがあったもののほぼ定刻通りにスタート。この第5レーススタートにはブラックフラックが掲揚されており、高橋選手がスタートラインを出てしまい失格。富澤選手は好スタートを切るも、角度に苦しみまさかの1上17位で回航。その後、フリーでは、両サイドのブローをつかむことができず失速、順位を下げ19位でフィニッシュ。
2人には、「今回のレースは今までの中で一番ミスが多いレースだった。順位が悪いところにいると状況判断が鈍くなり、いつもながら周りを見ることができなくなる。しっかり周りを見て走ることが重要だ」とアドバイスしました。
第6レース。風向同じく風速はさらにガスティーになり6から12ノットと難しい風の中スタート、上手く左のブローをつかみながら走っている選手が上位で回航。富澤選手は1上を13位、高橋選手は15位で回航同じ順位で1下を回航し、この後このレースの前にアドバイスをしていた「しっかり周りを見る」ことができるかできないかでそれぞれの順位を大きく変えてしまいました。左に風が振れていることに気づいてフリーを走っていた富澤選手はこの振れにうまく合わせ2上を8位回航、フリーでさらに1人を抜き7位でフィニッシュ。一方、高橋選手は振れに気づくのが遅れ、26位フィニッシュ。
総合10位の富澤選手はメダルレース出場が明日のレースにかかっています。明日はしっかり周りを見て上位でフィニッシュしてほしいものです。
『第5レースは、上り角度に気を取られすぎて周りを見る事が出来なかった。明日は勝負の日なので気を引き締めて、攻めて行きたい』(富澤 慎)
『今1上は10番半ばで回航できるのですが、前の選手を抜くことばかり考え視野が狭くなってしまう。明日は注意して1上の順位より良い成績でフィニッシュしたい』(高橋良典)
大会4日目までの通算成績
富澤 慎 15 - 2 - 12 - 2 - (19) - 7 10位
高橋 良典 17 - 14 - 24 - 23 - (38/BFD) - 26 22位 ( )はカットレース
高橋選手の大きなストロークに注目[49er級]
風向60°~75°、風速7~12ノットのガスティーで所々にラルスポットがある海面状況の中、本日も3レースが行われました。
1レース目牧野・高橋組は上1スタートを狙っていたのですが、JPNの下にいたフランスにはじき出され、出遅れスタート。フランスが本部船の真後ろで30秒以上ピタッと止まっていた見事さには驚かされました。止まりにくい49erで30秒。本当に素晴らしい技術です。
見ごたえのある49erのレース。世界で戦っていく楽しみがどんどん増えていくばかりです。
その後も前を走っているチームがフリートから離れていく展開になってしまい、順位が上げられずじまいでした。
2レース目はよほど悔しかったのか、挑戦したかったのか果敢に再度有力選手の上側狙いでスタートに臨んでいき、またもやはじかれ、最後尾からのスタートでした。この負けん気、向上心がとても嬉しく感じました。(成績が悪い事は申し訳ないと思います。このレースが現在のカットレース)
彼らはレースとレースの間は本部船の後ろでずっと止まる練習をしていました。
3レース目は普段のパターン(真ん中の空いている所からラインに対してジャストで出る努力をする)事に変更。見事成功。風の傾向が変わったのもうまく対応する事ができて6位フィニッシュ。(やればできるじゃないか!)風さえ見えていれば上位にも食い込む事が出来るまでの技術はある事が解りました。
今日はブロー性でシフトが多いレース海面。位置によってバウの位置がめまぐるしく変化しており、非常に難しい海面でした。
私・関が見て感じたのは、前を走る選手に共通していた事として
・しっかりと風、周囲を見ていること
(ランニングの時などは1分のうち、20秒程度海面を見ていました。)
・ブローでもラルでも船が揺れていない事。
・レース中の優先順位がシフトよりブローに長くのっている事を優先していた事。
でした。
これらは、もちろん日本選手にも出来ます。牧野、高橋組もちゃんとできていればしっかりとシングルでフィニッシュします。
しかし、完成度は他のトップ選手達に比べるとまだまだ高くありません。
本人達はこれを認め、毎日少しずつでも良い感覚を得ようと必死に闘いながら学んでいます。
通算で総合17位です。点数差を考えると明後日はメダルレースのみなので明日がバハマ、マイアミ遠征の総決算となります。
まだまだやることは沢山あります。得るものも沢山あります。
明日も前を見て戦います。
『今回の遠征の経験を全部生かせるように、最終日のレースをしたいと思います。』(牧野幸雄)
『レースをやるたびに違ったシチュエーションの中で新たな発見があります。最後まで全力を出し切って明日は頑張りたいと思います。』(高橋賢次)
通算総合成績(12レース消化)
牧野幸雄・高橋賢次組 27 - 9 - 16 - 16 - 24 - 13 - 4- 29 - 10 - 18 - (32) - 6
総合17位 ( )はカットレース
大会公式サイト:http://rmocr.ussailing.org/
5日目
ウインド 富澤選手 9位でメダルレース進出を決める
49er 牧野・高橋組、ウインド 高橋選手は大会終了
3位で下マーク回航(富澤選手)第7レース混戦の中スタート[RS:X級]
大会5日目
今日から天気が崩れる予報でしたが、とても天気の良い朝を迎えました。
予選最終日。今日の成績次第で、明日のメダルレースに出場できるかが決まります。
選手たちとバテンテンションなど、セッティングを入念にチェックして出艇。レース海面へ行く間にフィーリングの確認をおこない、昨日悩んでいた角度もしっかりとれていたので、昨日の不安も解消しました。
スタート海面では風向が安定せずにウエイティング、30分ほどして風向120度から130度の安定した風が入り始め、ゼネリコの後、第7レースがスタートしました。
混戦の中、好スタートを切った富澤選手が左から入ってくる風をうまくつかみ1上を3位で回航1下を同順位で回航、2上へ向かう途中に海藻がフィンについてしまいましたが混戦のため取ることもできず、3つ順位を下げ6位でフィニッシュ。高橋選手は、10番中盤で回航するもフリーで上手く風をつかめず、定位置でフィニッシュ。彼は1つのミスですぐに後ろのグループに吸収されて定位置になってしまう。何とかここから抜けださせるために、周りを見るようにと話をするのですが、なかなかうまくはいきません。
二人には第7レースの流れと風の入り方の傾向をアドバイス、同じコンディションの中、第8レースが1スタート。混戦の中、上手くスタートした高橋選手は13番で1上を回航しましたがフリーで上手くプレー二ングさせられず、またもや定位置へ。富澤選手はスタートを失敗し、1上を20番で回航するも得意のフリーで11人を抜き9位まで順位を上げ、2上では8位まで順位を上げましたが、またも海藻がついてしまい9位でフィニッシュしました。
上位の選手たちは、スピードがあるのはもちろんですが、しっかりした状況判断をして、必ず上位に入りレースをうまくまとめています。
予選を終了し、富澤選手は通算総合で順位を1つ上げ9位。当初の目標どおりメダルレース出場を決めました。幸いでした。 (宮野)
『メダルレースに残れて嬉しいです。ロンドン五輪までにメダルレースに出るチャンスはわずかと思うので気合を出して頑張りたいと思っています。これからもどんよくに勉強します。』(富澤 慎)
『アンダープレー二ングでの下りがまだまだでした。学ぶこと多かったので、帰っておさらいの練習をします。』(高橋良典)
予選ラウンド通算総合成績 (8レース消化)
富澤 慎 15 - 2 - 12 - 2 - (19) - 7 - 6 - 9 9位
高橋 良典 17 - 14 - 24 - 23 - (38/BFD) - 26 - 23 - 23 22位
ロンドンへ向かって突き進みます。[49er級]
本日はマークセット115°風向は115°~125°、風速6~8ノットで予定通り3レースが行われました。
牧野・高橋組は世界選手権から今回のマイアミまでで30レース以上こなしてきました。
今日がその総決算です。
しかしながら、3レース共スタートが悪く、自分の思うサイドと逆に行ってしまったり、シフトが分らずリフトしているからそのまま走っていたらもっと上の集団が伸びてしまったりと今日は精彩を欠いた1日となってしまいました。
激励するものの、選手達は苦しそうでした。
総合16位。メダルレース進出の夢はついえました。
牧野・高橋組、本日で大会終了です。
今回の遠征で一番課題となっていたスタート、走りに集中しなければいけないスピードしか持っていない為、周囲を見る事が最後まで出来ず、さらなる練習の必要性を痛感しました。
加えて、選手に自信を持たせてレースに臨ませられなかった私・関の実力のなさも痛感したレガッタとなってしまいました。
世界選手権以外は他国の選手達との競り合いの中でどれだけ自分達が通用するかに焦点をあて、レース毎にセッティングを試し、考え・・・試行錯誤の連続の大会でした。
成績は芳しくはないですが、色々課題も見つかり、収穫もありました。
海外選手と練習、試合をすることで
・走らせるアングル
・良いと思ったフィーリングが相手に対して本当に良いのか。
・自分らが目指しているもの(世界のトップ選手)と今の自分らとの差
・各風域でのチューニングの目安
これらの目標値となるものが今回体験出来ました。日本では会得できない大きな収穫でした。
今回の遠征で海に出ていた時間は130時間を超えます。
練習日は7時間海上練習。レースの日は1番出艇、レース終了後練習して最後に帰着。
毎日ヨットに乗れる幸せ、世界のトップ選手達と戦える環境をフルに使い、充実した遠征にすることができました。
自分達のものにするべく日本で練習に励み、一皮むけた牧野、高橋組で次のヨーロッパ遠征に乗り込みます。
ロンドンオリンピックまであと2年。やることはまだまだ沢山あります。
長期間、日本代表として遠征させていただきました。すべての関係者に感謝申し上げます。
ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。 (関)
『戦う相手がいるととても良い練習になります。今回得た課題を克服して次のレースに挑めば世界のトップ25には入れると思います。五輪目指して頑張ります。応援有難うございました。』(牧野幸雄)
『今回の遠征を通じて多くの事を学びました。チームにとって大事なものを掴む事が出来た気がします。次回のレースに向けてさらに前進していきたいと思います。』(高橋賢次)
通算総合成績(15レース消化)
牧野幸雄・高橋賢次組 27 - 9 - 16 - 16 - 24 - 13 - 4- 29 - 10 - 18
- (32) - 6 - 15 - 18 - 22 総合16位
大会公式サイト:http://rmocr.ussailing.org/
最終日
富澤選手 メダルレース7位 総合9位で大会を終える
メダルレースの戦い方次第で世界が見えてくる
メダルレーススタート富澤選手[RS:X級]
大会最終日:メダルレース
予選を勝ち抜いたトップ10の選手たちが優勝をかけて争います。
マークセット180度、風向180度から195度、風速8から9ノット。
上りはダガーを使い、下りはプレー二ングするコンディションの中、レースが行われました。
予選9位の富澤選手はスタートの駆け引きの中、良いポジションを取ることができず、自分が望むサイドと逆サイドに行くことになってしまいました、その後も上手く攻めきずでしたが、得意のスラロームレグで挽回し、7位でフィニッシュ。上位との点差を縮めることがかなわず、総合9位で大会を終えました。その中、冴えを見せたのは、しっかり風を読み戦ったフランスのBontemps ・Julien、スタートを失敗しながらも攻めのレースを見せた英国のDempsey・Nick、が1、2でフィニッシュ、総合順位でも1つずつ順位を上げました。
今大会、富澤選手は冷静に風を読む力と、混戦の中でも自分のプランした所からスタートをするボードコントロールができたことでメダルレースに進出を果たせたのではないかと思います。しかし、残念ながらメダルレースでは持ち味を上手く出し切れませんでした。メダルレース上位に入った選手は、フリートレースの戦い方とはまた違うメダルレースなりの戦い方を見せてくれました、今後トップを狙っていくにはこうしたメダルレース独特の戦い方を体得することが彼の目標の一つになると思います。
また、今大会では他国の選手と戦うことで課題もいくつか見つかりました。
優勝したオランダの選手のようなボードスピード、誰よりも早くプレー二ングに入る技術。
スペインの選手のようなしっかりとした状況判断でレースをまとめる力。
世界のトップ選手と戦うためには、これらをしっかり身につけなければなりません。
さらに日本で練習に励み、次のヨーロッパ遠征に挑む必要があります。
本日にてアメリカ遠征は終了しますが、次回の遠征ではさらに上位の成績が獲得できるように
チームJPNも頑張りたいと思います。今後とも応援よろしくお願いします。
ありがとうございました。
『メダルレースはまさに貴重な経験になりました。メダルレース用の走り方を身につけないと世界の上位には届かないことを痛感しました。メダルレースの練習はなかなかできるものではないのですが、今後のメジャー大会すべてでメダルレースに出られるよう精進していきたいと思います。』(富澤 慎)
大会総合成績 (8レース)
富澤 慎 15 - 2 - 12 - 2 - (19) - 7 - 6 - 9 - Medal 14(7位) 9位
大会公式サイト:http://rmocr.ussailing.org/