1日目
2010年度
JSAF ナショナルチーム選考レース
レポート:オリ特広報委員会
日 程:2010年2月10日~16日
開催地:鹿児島県・鹿屋
参加艇数:470級(男子/13艇 女子/4艇)
レーザー(11艇)
レーザーラジアル(9艇)
RS:X級(男子/3艇 女子/4艇)
強風波浪・前線通過、大荒れの大会初日、全クラス1レースのみ実施
春一番に見舞われたNT選考レース
今年度のナショナルチームを選抜する注目の大会が本日11日から鹿児島県・鹿屋市高須町の鹿屋海洋スポーツクラブをベースに始まりました。
今回の選考レースはロンドンオリンピックの参加国枠を決めるオーストラリア・パースのISAFワールド大会(2011年12月)を意識して「強い風が吹く」ことが決め手とされ鹿屋
が開催地となりました。
参加艇は男子470級13チーム、女子470級4チーム、レーザー級11艇、レーザーラジアル級9艇、男子RSX級3艇、女子RSX級4艇。2009年度ナショナルチームはほとんど全チームがエントリーしました。
朝のレース海面は気温も高く波穏やか、曇天、そしてそよ風。まさに、嵐の前の静かさでした。直前の天気予報では「不安定な気圧配置で時に強い風が…」とされていましたのでそれも時間の問題と思われました。
スタート予定時刻が近づくにつれて、海面はうねりも高くなり、南寄りの風が強く吹くようになりました。時には空が急に暗くなるスコールもどきの大雨の来襲もしばしばとなりました。風も微妙に振れ始めました。レース委員会泣かせの様相です。
風向SSW・7~8m、波浪高まる海面。ようやく11:10 A海面では470男子のスタートが切られ、女子、続いてレーザー、ラジアルと順調に第1レースが始まりました。B海面でもウインドRSX級の男女がスタートしました。
第1レース終了後の海面は風向が定まらず、その後、風も次第に吹き募り、視界も不良。ついにB海面のウインドRSX男女クラスは風15m超となり運営艇の動きが限界を超えたため第2レースは明日に延期、全艇がハーバーバックとなりました。
一方、A海面では第2レース実施を目指し、全艇待機。13時半過ぎ風向250°風速8m、大きなうねりの中、470級男子がスタートしました。続いて女子。そしてスタートの直後、海上はにわかにかき曇り、ごうごうという風音とともに前線の通過に見舞われました。あっという間に風は瞬間20mを超え、視界ゼロ。恐ろしい豪雨!!の局面となりました。レースコミッティーは直ちにNHを決定。この「パーフェクトストーム」は20分続きました。全艇の安全確保が本部船から伝えられ、コーチボートを含めた運営艇が各艇をエスコート。
沈艇、セイル破損などが起きましたが、そこは選考レースに出る実力艇ぞろい。心配された事故もなく無事全艇帰着となりました。
こうして波乱の初日は1レースにて終了しました。どうやら今日の嵐は「春一番」だったようです。
明日は気温も下がり、北西の風が吹く予報です。レース委員会は4レース実施をめざすとのことです。
全クラス成績表:全クラス成績表(PDF)
2日目
絶好のコンディションの中、全クラス4レース実施。
存在感を示すアビームチーム2組の走り。
昨日の嵐の天気とはうって変わって、今日の錦江湾は快晴。終日10ノットから20ノットの北北西の風に恵まれました。
レース委員会の目標通り今日はすべてのクラスが午前2レース、午後2レースの計4レースを実施しました。
470級男子は原田・吉田組の状況判断がすばらしく、3レースにトップを取るなど実力通りのパフォーマンスを見せました。注目の松永・今村組はチーム結成間もないためかまだまだ本来の力が発揮できていません。
470女子は4チームの少数エントリーですが実質的には近藤・田畑組と吉迫・大熊組のマッチレースです。2日を終えて差は3点。近藤・田畑組が一歩リードしています。いずれにしても470級男女アビームチームの走りはフリートに圧倒的な存在感を示しています。
レーザー級はイアン・ホールが全レーストップでした。風が上がってくるとその走りに安定感が増し、昨年来の力量の進歩ぶりを印象づけました。
レーザーラジアル級は2009NTの蛭田がトップとなっていますが、特筆すべきは地元鹿屋体育大学の高橋、原田の2選手が大活躍していることです。現在総合2位、3位に位置しています。
RSX級男子は相変わらず富澤の力が抜きんでていますが、高橋が海外遠征の成果が出て、これまでの富澤との大差を今回は少し縮めている場面が見られるようになりました。
明日は本日同様4レースが予定されています。
全クラス成績表:全クラス成績表(PDF)
3日目
NWの好コンディションの中、各クラスとも接戦を展開
若手選手の活躍が今後の期待値に
今日もレース海面の錦江湾は快晴。選考レースにふさわしい終日10ノットから20ノットの北西の風に恵まれました。レースは470級男女が4レース、その他は3レースがおこなわれました。(全クラス8レース以上を消化したため1レースがカットレースになります。)
470級男子は松永・今村組が本領を発揮し、4レースのうち2レースでトップを取りました(6-1-2-1)。総合でも通算2位にランクアップしました。原田・吉田組は1-4-9-2と昨日までの勢いに少しブレーキがかかりましたが、大差の通算首位です。学生(福岡経済大学)チームの2チームは頑張りました。明日から目が離せなくなりました。とくに岡・内野組は思い切ったコース取りをして第8レースでは1位となりました。もうひと組、飯束・外薗組は手堅い走りで通算総合5位に食い込んでいます。09NTを脅かす存在になっています。
470級女子は2強の戦いが続いています。
レーザー級はイアンが昨日からの7レースを連続でトップを続けています。冷静にレースを展開する技を身につけ、ダントツの強さを見せています。
ラジアル級は09NTの上位選手が順当に走っています。地元鹿屋体育大学の高橋の健闘が光っています。
ウインドRSX級男子は富澤の一人舞台となっています。女子は09NTに08NT小菅が食い込んでいますが、相変わらずの混戦です。
明日も本日同様4レースが予定されています。
全クラス成績表:全クラス成績表(PDF)
4日目
陸からの冷たい東風。熱い戦いは続く
470級男子の若手チームが大健闘。通算総合4、5位をキープ
今日の風は陸の鹿屋市方向から吹く冷たい東風の一日となりました。波もほとんど立つことなく、風も午前中は5m、午後遅く順風超が来ましたが、強風を好むトップレーサーには少し物足りないコンディションの4日目だったかもしれません。
470級男子は原田・吉田組が1-1-1の完璧な走りで総合2位以下を大きく引き離しています。松永・今村組は手堅いレース巧者振りで2位をキープしています。4位、5位には若手セーラーの市野・吉見組、学生(福岡経済大学)チームの飯束・外薗組が頑張っています。09NTの一角に堂々と割って入ってきたこの2チームの躍進は470級男子の層の厚さを示すとともにこれからの日本セーリング界期待の星の出現と言えます。
470級女子は2強の戦いが続いていますが近藤・田畑組がリードを広げています。
レーザー級はイアンが相変わらず各レースともトップフィニッシュを続けています。自信にあふれた戦いぶりは、海外武者修行の成果を強く印象付けるものです。
女子ウインドRS:Xは4レースを4選手それぞれがトップを分け合いました。風の強弱の得意不得意がはっきりあらわれたレース展開でした。最終日まで須長、小菅、大西3選手の熾烈な争いは続きます。
男子RSXは第10レース目にして高橋が初めて富澤に先行勝ちしました。高橋の雄叫びを上げたフィニッシュは印象的でした。
ラジアル級は風が上がると09NTの走りが一枚上です。蛭田が実力どおりトップで09NTが順当にトップスリーを占めています。
5種目のうちレーザーラジアル級のみ11レース、その他クラスは予定どおり12レースを消化しました。
明日は最終日。天候は荒れる予報が出ています。
全クラス成績表:全クラス成績表(PDF)
最終日
2010年2月10日より15日まで鹿児島県鹿屋市で開催した470級、レーザー級、レーザーラジアル級、RS:X級2010年度ナショナルチーム選考レースの結果、また既に2009年全日本選手権大会の成績で日本49er協会およびおよび2009年世界選手権大会の成績で日本スター協会からそれぞれ推薦された選手を含めて下記6艇種8種目26名の2010年度ナショナルチームが決定しました。
認定期間はクラス別2011年ナショナルチーム選考レース開始までとなります。なお、470級女子、RS:X級男女については今後各1チームを限度にナショナルチームを追加する可能性があります。
全クラス成績表:全クラス最終成績表(PDF)