Skandia Sail For Gold Regatta
Skandia Sail For Gold Regatta
(ISAFワールドカップ最終戦・第7戦)
報告:斉藤 愛子
写真:中村 健次・宮野 幹弘
日 程:2009年9月11日~9月13日 受付・計測
9月14日〜9月18日 全種目レース
9月19日 メダルレース
開催地:イギリス・ウェイマス
出場者:
470級(男子/54艇)
原田龍之介・吉田雄悟組(アビームコンサルティング)
石川裕也・柳川祥一組 (関東自動車工業)
470級(女子/31艇)
近藤愛・田畑和歌子組(アビームコンサルティング)
吉迫由香・大熊典子組(ベネッセコーポレーション)
49er級(35艇)
牧野幸雄・高橋賢次組(関東自動車工業)
レーザー級(102艇)
安田真之助(鹿屋体育大学)
齋藤大輔
レーザーラジアル級(54艇)
長谷川哲子(豊田自動織機)
RS:X級(男子/42艇)
富澤慎(関東自動車工業)
谷賢二郎
高橋良典(関東学院大学)
RS:X級(女子/26艇)
須長由季(ミキハウス)
大西富士子(ティアーズ)
高木未散(萩原珈琲)
参加艇数:13種目 48カ国 450艇
大会公式サイト:http://www.sailracer.co.uk/events/event-v2.asp?eventid=18401
9月14日から19日に英国・ウェイマス(Weymouth)にて、スカンジア・セイル・フォー・ゴールド・レガッタが開催されます。同大会は国際セーリング連盟(ISAF)の2009年ワールドカップ最終戦であり、また、2012年ロンドン五輪http://jsaf-osc.jp/pg04.htmlの開催地であるウェイマスでの大会ということで、各国ともに積極的に参加しており、日本からもナショナルチームの選手19名(男女7種目)が参加します。
WPNSA(ウェイマス・ポートランド・ナショナル・セーリング・アカデミー)が大会のベース。2012年ロンドン五輪はここで開催です。ウェイマスはロンドンの南西およそ230km、前回のロンドン五輪でもセーリング競技の会場となった場所です。英国内ではリゾート地として古くから親しまれている場所ですが、海軍基地の跡地に設立されたナショナルセーリングアカデミー(WPNSA)が五輪本番でオリンピックマリーナの中心となります。今回はWPNSAをベースに8月31日からRS:X世界選手権が開催されていましたが、引き続き、同じ場所での五輪10種目、パラリンピック3種目、合計13種目の大会となります(48カ国450艇)。
海面は7エリアに分かれ、スタート時刻と各種目のスタート順は毎日通達されます。
RS:X男女は湾内のBエリア、他のクラスはポートランドの堤防の外へ出て、Dエリアが49er、Eエリアがレーザー、ラジアル、Fエリアが470男女となります。ウェイマスは沖へ出るほど潮流が強いので、できるだけ岸沿いにエリアをとっているのが特徴です。
英国はすでに秋の空ですが、雨ばかりのウェイマスの割には、大会期間中は晴れ間の多い、北東の風がベースになるシリーズでしょうか。夏本番とは少し異なりますが、ウェイマスを知り、ウェイマスでのオリンピックを目指して何を準備していくべきか…各国ともに2012年五輪を目指し、本腰を入れてレースエリアを学ぶスタートとなる大会です。
日本も出遅れることなく、しっかり世界の流れにのってレースを戦います。
大会公式サイト:http://www.sailracer.co.uk/events/event-v2.asp?eventid=18401
世界選手権よりも参加する国が多いです! 五輪目指して、ここが始まりです。
1日目
初日、470女子 吉迫・大熊組 好発進
大会初日は北東の風、10~15ノットの中で、49erが3レース、他クラスは2レースを行った。ウェイマスの北東からの風は、江ノ島で北風が吹く時と似ており、気温が上がると右へシフトしながら弱まるものの、谷筋からおりてくるガストが入ったり、入るたびにシフトしたり、戻ったり…と、選手を悩ませる1日となった。
470女子初日のスタートシーン470女子:シフトの激しいコンディションでも初日を手堅くまとめた近藤・田畑470女子:吉迫・大熊、第1レースを2位でフィニッシュ。470
6エリアに分かれてのレースでは、ハーバーから1時間近くかかる東端のF海面で470男女とフィンがレースをしたが、11時予定から遅れてスタートした470男子では、原田・吉田組がシフトで前に出たり、抜かれたりしながらも手堅く走った。しかしながら、走りに満足していない吉田は、レース後もマストのセッティングを調整しなおし、明日はもっとよいスピードが出せるようにと、念入りに作業していた。女子の吉迫・大熊組はスタートで出遅れて右へ逃げたら、右からブローが来てトップグループに入り、2位フィニッシュ。「今日はニュージーランドが2回ともトップですけど、彼女達はスピードがあるだけじゃなくて、タックが多いシングルハンド的なコースをとるんです。スキッパーのジョーは北京でラジアルの代表でしたけど、そういう組立てが今日の振れ振れのコースには合っていたんでしょうね」(大熊)。吉迫・大熊組にとっては世界選手権でのモヤモヤから吹っ切れたレースとなった。
レーザー・ラジアル
470の隣では106艇のレーザーと58艇のラジアルが3グループでレースしており、日本の3選手はタフな戦いをしいられている。15ノットの風は、日本ならスタートからスピードで前に出て、そのあとは楽な展開となることが多いが、海外では最初から最後まで頭を出し合うような接戦の中で勝負していかなければならない。
49er
その隣は49erで、3レースを行った。牧野・高橋組は第2レースでは上マークを2位で回航したものの、フィニッシュでは15位。「ひとつひとつの動作の成功率をあげないと、あっという間に抜かれてしまいます」(牧野)。日本では1艇での練習がほとんどの牧野・高橋組にとっては、混戦での動作練習を、実践で積み上げていくしかない。
女子マッチ
ポートランドハーバーを出てすぐのエリアでは女子マッチレースが行われており、オリンピッククラスのエリオット6.0クラスで24チームが3グループに分かれて総当たりリーグを行っている。8艇の乗り回しで非常にあわただしいスケジュールであるが、エリオットの評判は、バランスが繊細でハンドリングがたいへんだという。
ウインドサーフィン RS:X
湾内で行われているRS:X級は、世界選手権の直後で多くの選手が帰国してしまったせいか、いつもは予選グループに分かれる男子も1グループでのレースとなっている。今日のレース状況は風向45°風速16~20ノット(男子)、女子は風向同じく45°風速11~13ノットの中、レースが行われた。世界選手権時同様にシフティな中のレースだった。男子は、その中、基本に忠実にしっかり風を読んで走っているベテラン選手が1位を取った。1レース目ギリシャNikolaos、2レース目はポルトガルJoao。富澤は2レースともにスタートがうまくいかず、思うようなコースを引くことができずに終わった。やや弱まった風でスタートした女子も、男子同様に風を読んでいる選手が上位に入っている。須長は1上を7位で回航するもプレー二ングで下りを走っている最中に風が落ち、ランニングで走っている後続艇に抜かれてしまった。
その他種目
湾内ではパラリンピックの3種目も実施されている。スカッド、2.4m、ソナーの3クラスで、アメリカ、オーストラリア他からのエントリーも多い。
明日は今日よりも強めの北東風で2レース(49erは3レース)が予定されている。
日本選手の成績
●470男子(55艇)
6位 原田龍之介・吉田雄悟組(アビームコンサルティング) 7-4
20位 石川裕也・柳川祥一組(関東自動車工業)15-5
●470女子(32艇)
4位 吉迫由香・大熊典子組(ベネッセコーポレーション) 2-9
9位 近藤愛・田畑和歌子組(アビームコンサルティング) 15-5
●49er(43艇)
22位 牧野幸雄・高橋賢次組(関東自動車工業) 31-15-22
●レーザー(106艇)
74位 齋藤大輔 30-43
79位 安田真之助(鹿屋体育大学) 39-37
●ラジアル(58艇)
53位 長谷川哲子(豊田自動織機)51-51
●RS:X男子(44艇)
15位 富澤 慎(関東自動車工業) 13-13
31位 高橋良典(関東学院大学) 31-31
35位 谷賢二郎 34-36
●RS:X女子(27艇)
15位 須長由季(ミキハウス) 13-17
17位 高木未散(萩原珈琲) 17-16
19位 大西富士子(ティアーズ) 20-14
大会公式サイト:http://www.sailracer.co.uk/events/event-v2.asp?eventid=18401
49er 第2レース上マークを2位で回航するも…(選手コメント:一つ一つの動作の成功率を上げないとあっという間に抜かれてしまいます)
パラリンピック、スカッド級パラリンピック、ソナー級
2日目
NNE 20ノット超の中
RS:X女子 須長ワールドカップで初のトップフィニッシュ!
女子470も好調維持
大会2日目は朝から北北東の風が25ノット吹く中で、レーザー、470女子、RS:X女子が予定時刻どおりのスタート。他クラスはエリアごとに延期で陸上待機となった。ラジアル女子、470男子、RS:X男子は若干の延期となっただけでレースを行ったが、49er級は16時に一度出艇しかけたところで黒雲が通過となり、結局、再三の延期でレースができなかった。
須長選手2上マークトップで回航富沢慎選手1上回航「え、シングルじゃないんですか? 15位くらいか…」安田は明日がゴールドフリート目指して大きな山となる。470
470は男女とも2レース実施。女子は2チーム共に堅い走りで順位をまとめている。2チームとも第1マークの回航順位が悪いながらも、追い上げていく展開となっている。
「今日は強風番長のNED11の上突破をしたし、上マークをトップで回ったのですが、そのあと、スピンを張ったまま沈してしまいました。でも、愛ちゃんが気合いで起こして8位くらいまで落ちただけですみました。次のアップウィンドで抜いて、最後は4位でフィニッシュしましたけど、やってしまいました…」(田畑)
男子は第3レースで原田・吉田組が痛恨のOCS。石川・柳川組はスピンネーカーがバースト(破れ)して、順位を大きく落としてしまった。続く第4レース、原田・吉田組は風の読みが素晴らしく、苦手と言っている強風で4位を取り、吹いても走れることを実証した。
レーザー・ラジアル
安田が別人のような走りで、19位と14位をとり、総合でも52位と、ゴールドフリートへの圏内に入ってきた。
「ダウンウィンドで抜いてきました! 第4レースはシングルに入ったかと思ったけど、14位でしたか…。明日、ゴールドフリートに残れるように2レースがんばります。」(安田)
ラジアルの長谷川は25ノットのガストの中、走り負けている。上位の選手も沈するようなコンディションの中で、とにかく、必死に食いついていくことが大切だ。
49er
エリアを湾内に変更してレースをする予定であったが、先にスタートしたスター級がフィニッシュする前に雨雲通過があり、突風をさけて、後日延期の信号旗があがった。
ウインドサーフィン RS:X
日本選手は強風下でのレースが弱いというイメージがあるが、そのイメージを今日、女子の選手が打ち破ってくれた。11時過ぎ、女子第3レースが風向20°風速20~25ノットの中スタートした。下エンドから良いスタートした須長が、強風でセイルを開いて乗っている選手が多い中しっかり引き込んで走り、スピードに乗り1上を2位で回航。その後、得意のダウンウィンドで差をつめ、2上で1位に上がりそのまま大差をつけ1位でフィニッシュした。第4レースも同じような状況下の中、しっかりした走りで3位フィニッシュ。この結果、総合でも順位を7つ上げ、8位となった。
午後からは男子がさらに強風下の中、風向20~30°風速25ノット~30ノットでスタート。男子の富澤は好スタートを切り7位でフィニッフュした。2レース目も同じ状況下の中スタート、10位で1上マークを回航したが、ダウンウィンドでマストが折れてしまいリタイアとなった。
明日も強めの北東風で2レース(49erは3レース)が予定されている。勢いにのって、吹きの走りをものにしてほしい。
日本選手の成績
●470男子(55艇)
18位 原田龍之介・吉田雄悟組(アビームコンサルティング) 7-4-OCS-4
22位 石川裕也・柳川祥一組(関東自動車工業)15-5-20-11
●470女子(32艇)
2位 吉迫由香・大熊典子組(ベネッセコーポレーション) 2-9-7-5
4位 近藤愛・田畑和歌子組(アビームコンサルティング) 15-5-4-3
●49er(43艇)
22位 牧野幸雄・高橋賢次組(関東自動車工業) 31-15-22
●レーザー(106艇)
81位 齋藤大輔 30-43-41-41
52位 安田真之助(鹿屋体育大学) 39-37-19-14
●ラジアル(58艇)
52位 長谷川哲子(豊田自動織機)51-51-49-43
●RS:X男子(44艇)
17位 富澤 慎(関東自動車工業) 13-13-7-DNF
35位 高橋良典(関東学院大学) 33-32-37-31
36位 谷賢二郎 34-36-33-36
●RS:X女子(27艇)
8位 須長由季(ミキハウス) 13-17-1-3
19位 高木未散(萩原珈琲) 17-16-22-19
21位 大西富士子(ティアーズ) 20-14-24-23
3日目
RS:X男女、ガストの中、踏ん張りを見せる
サバイバルの49erは3レース
午前9時に陸上で25ノットオーバーの北東風が吹き、先に海上へ出たレース運営艇からFとE海面では30ノットを超えるガストが入っているとの報告があったため、全クラスAP旗があがり、陸上待機となった。13時にRS:X男子が湾内でレースを行うことになったが、470男女、レーザー、ラジアルは13時半に後日延期の信号があがり、今日はレースがなかった。14時を過ぎてから、RS:X女子と49erがそれぞれ2レース、3レースを行った。予報に反して風は15ノット以下に落ちたものの、16時を過ぎたころから再び25ノット近いガストが入るようになり、最後までレースを行った49erはサバイバルのフィニッシュとなった。
セッティング風景上マーク4位で回航するもラジオの実況470
今日はレースがなかったが、男子は予選が終わり、明日から決勝グループでレースが行われる。原田・吉田組、石川・柳川組ともにゴールドフリートでレースをすることになった。原田組は1カットが入り、3レース目のOCSがカットになりトータル7位にあがった。
レーザー・ラジアル
同じくレースがなかったが、レーザーも予選が終了、明日から決勝グループで、安田がグレード1の大会では初のゴールドフリートでのレースとなった。斉藤はシルバーフリートとなる。
49er
49erは昨日レースができず、一番レース数が少ないことから、RS:X級同様に湾内で3レースを行った。牧野・高橋組は第4レースのスタートで飛び出し、良いスタートに見えたものの、少し早すぎたようでBFDとなったが、時折入る24ノットオーバーのブローで沈艇が半数を超える中、3レースともに無沈でフィニッシュした。多くの艇が沈や艤装のトラブルでリタイアしたが、牧野組は第5レースではトラピーズのショックコードが切れたり、第6レースではジブシートのブロックが破損するなどトラブルを起こしながらも最後まで諦めずレースを続けた。トラブルにも積極的な姿勢で立ち向かい克服しながら走る姿はNTとして誇りに思えたと同時に、サバイバルで生き残ったのを見て、これからが楽しみなチームだと感心した1日だった。
ウインドサーフィン RS:X
12時30分にRS:Xの男子が先陣を切ってレース海面へ。この日のコンディションは、およそ風速20ノット、ガストで25ノットが吹き込んだ。1回のゼネラルリコールの後、男子第5レースがスタートした。スタートから富澤は好位置につけ、このレース10位でフィニッシュ。続いて第6レースも9位と安定した走りを見せた。富澤はトータルで11位にあがり、メダルレースが見えてきた。後半戦に期待したい。
引き続き、女子の第5レースとなり、昨日好調であった須長は、スタートでスピードに乗れずに出遅れ、2周目のクローズホールドで挽回するものの、上マーク付近での混戦でトラブルに巻き込まれて16位に終わり、得意な風域で順位を上げることが出来なかった。しかし、その屈辱を晴らすかのように次の第6レースはスタートから安定した走りで6位フィニッシュ。トータルでは9位と1歩後退したものの、吹きの走りはどうやら本物になってきたようだ。
天気は回復傾向にあるものの、明日も強めの北東風と予報がでている。今日できなかった分を取り戻すために3レースを行う可能性がある。
日本選手の成績
●470男子(55艇)
7位 原田龍之介・吉田雄悟組(アビームコンサルティング) 7-4-OCS-4
24位 石川裕也・柳川祥一組(関東自動車工業)15-5-20-11
●470女子(32艇)
2位 吉迫由香・大熊典子組(ベネッセコーポレーション) 2-9-7-5
4位 近藤愛・田畑和歌子組(アビームコンサルティング) 15-5-4-3
●49er(43艇)
24位 牧野幸雄・高橋賢次組(関東自動車工業) 31-15-22-BFD-23-14
●レーザー(106艇)
82位 齋藤大輔 30-(43)-41-41
51位 安田真之助(鹿屋体育大学) 39-37-19-14
●ラジアル(58艇)
52位 長谷川哲子(豊田自動織機)51-51-49-43
●RS:X男子(44艇)
11位 富澤 慎(関東自動車工業) 13-13-7-DNF-10-9
36位 高橋良典(関東学院大学) 33-32-37-31-36-37
37位 谷賢二郎 34-36-33-36-32-35
●RS:X女子(27艇)
9位 須長由季(ミキハウス) 13-17-1-3-16-6
19位 高木未散(萩原珈琲) 17-16-22-19-18-23
21位 大西富士子(ティアーズ) 20-14-24-23-22-21
大会公式サイト:http://www.sailracer.co.uk/events/event-v2.asp?eventid=18401
大会の冠「Skandia」について
「スカンジア」は1845年南アフリカのヨハネスブルグで創業し、現在は英国をベースとして長期金融投資のアドバイスをメインとする企業。世界40カ国規模で、欧州諸国はもとより米国などでも広く業務を展開している。
セーリングとのかかわりは深く、1996年から現在までカウズウィークのイベントスポンサーをつとめている。さらに2008年のスター級パーシー・シンプソン組のスポンサーになったことがきっかけで、2012年ロンドンオリンピックが決定してからは英国チームのメインスポンサーもつとめている。
4日目
470女子2組ともベスト5を堅持。
ウインド男女も健闘
朝のうち強かった風はレースが始まる11時には15ノット前後におさまり、各クラス2レースを行い、49erのみ4レースを行った。午後からのレースになった470女子と49erは10ノット以下に風が落ちることも増え、左右へのシフトと風のむらでラルにはまらないように注意しなければならない難しいレースであった。
470女子のサイドマーク、日本女子チームは表彰台に向けて着々と順位を纏めています。レーザー安田はゴールドフリートに残り得意の順風域では中盤を走る事が出来、本人も自信のもてたレースとなった。スタートで苦戦する49er牧野・高橋、レースをこなす毎に成長している姿が見られる。トップ10に並んでフィニッシュ。470
今日のエリアは停泊中の船舶がいたせいか、コース図よりも1エリア分東へ出ており、潮流の速い区域でのレースとなり、上マークでは弱まった風のせいもあり、潮で流されてタックを繰り返す場面が見られた。
男子は原田・吉田組がいまひとつシフトがつかめず、総合15位に後退したが、ポイント差が少ないので、明日がんばってトップ10に入ってメダルレースに残りたい。女子は6レースを終了して1カットが入り、近藤組が2位、吉迫組が4位と、両チームともメダルが狙える圏内につけている。風をひろうのが難しいレースだったが、両組とも堅い走りが光った。
レーザー・ラジアル
初のゴールドフリート・安田はスタートから果敢に攻め、第8レースでは19位に入った。本部艇の横で並んでいる時には、かなりラダーを使ってポジションキープしていたので、背後にいるジュリーが黄色の旗を振り上げた時には、ペナルティーも覚悟した。実際には安田の隣の選手がとられ、安田はセーフだった。スタートで置いて行かれることなく前にでられたし、これまで苦手としていた中風のダウンウィンドでも、全く走り負けることなく、むしろ、アップウィンドでおとした順位をダウンウィンドで取り戻してくるようなレース展開であった。
斎藤、長谷川はチョッピイーな波に翻弄されて、弱まった風の中でうまくスピードを合わせることができなかった。
49er
午後からのレースであったが、15時を過ぎてからの4レースはきつかった。朝、帆走指示書を変更して、いきなり今日から4レースを実施できるようにしてしまうあたり、英国は結構、強気な国と思ったほうがいいのかもしれない。弱まった風も、最後にはまた15ノットまであがるなど、変化も大きかった。牧野・高橋組は第9レースで7位をとり、少しずつかもしれないが、走りの改善ができてきた。総合26位。
ウインドサーフィン RS:X
風向45°風速はアベレージ16ノットブローで20ノットとプレー二ングコンディションの中、ほぼ予定通りにRS:X男子がスタートした。絶妙なボードトリムで好スタートを切った富澤は9位でフィニッシュ。
引き続き行われた第10レースは、やや風が落ち、シフティ―なコンディションでスタートした。谷、高橋はスタートよく飛び出したが、シフトにうまく合わせることができず、30番台の定位置になってしまう。富澤は10番後半で1上は出遅れてしまったが、2上で何とか10番前半まで上がることができた。3上ではまた10番代後半まで落ちてしまったのだが、最後のスラロームレグで、得意のジャイブ回航で4人を抜き、14位でフィニッシュした。トータルでも9位にあがった。
男子のレース終了後、風向70°風速はだいぶ落ちてしまい8から10ノットの中で女子のレースが行われた。まだ左の風が残るシフティ―な海面の中を、うまくシフトに合わすことができず、3選手ともに10番中盤でフィニッシュした
次のレースはさらに風が落ち、今度は、しっかり振れにあわせて3人ともがトップ10位以内でフィニッシュした。
明日はメダルレースに残る上位10チームが決まる。470女子は2チームが表彰台を狙える位置につけているし、RS:X男女もメダルレース圏内で踏ん張ってほしい。470男子も前との点差が少ないので、明日2レースで逆転をはかり、メダルレース入りを期待したい。
日本選手の成績
470男子とレーザーは予選レースが終了、3レース以上で1レースをカット得点する。
●470男子(55艇)
15位 原田龍之介・吉田雄悟組(アビームコンサルティング) 7-4-OCS-4-11-21
25位 石川裕也・柳川祥一組(関東自動車工業)15-5-20-11-19-20
●470女子(32艇)
2位 近藤愛・田畑和歌子組(アビームコンサルティング) 15-5-4-3-6-5
4位 吉迫由香・大熊典子組(ベネッセコーポレーション) 2-9-7-5-(10)-6
●49er(43艇)
26位 牧野幸雄・高橋賢次組(関東自動車工業) 31-15-22-(BFD)-23-14-31-28-7-30
●レーザー(106艇)
44位 安田真之助(鹿屋体育大学) (39)-37-19-14-36-19
38位 齋藤大輔 30-(43)-41-41-43-38(シルバーフリート)
●ラジアル(58艇)
54位 長谷川哲子(豊田自動織機)(51)-51-49-43-44-50
●RS:X男子(44艇)
9位 富澤 慎(関東自動車工業) 13-13-7-(DNF)-10-9
36位 谷賢二郎 35-(37)-33-36-32-35-34-32
37位 高橋良典(関東学院大学) 33-32-(37)-31-36-37-33-36
●RS:X女子(27艇)
10位 須長由季(ミキハウス) 13-(17)-1-3-16-6-21-7
18位 高木未散(萩原珈琲) 17-16-22-19-18-23-14-10
20位 大西富士子(ティアーズ) 20-14-(24)-23-22-21-16-8
大会公式サイト:http://www.sailracer.co.uk/events/event-v2.asp?eventid=18401
本部艇のやや右、混戦の中で踏ん張り続ける安田(ARGの向こう側にいる)。審判艇が旗をあげた時にはひやっとしたが、安田の隣の艇がペナルティーだった。
第2レース女子スタート。
5日目
決勝シリーズを終了。
470女子2組、メダルレース進出が決定
朝からどんより雲に覆われ、風が急に冷たく、寒くなった。今日も11時から各エリアで2レース(49erのみ3レース)が行われ、トップ10がメダルレースに進み、残りの艇はこれで終了となった。日本はRS:X男女と470男子にトップ10進出の可能性があったが、残念ながら今日の2レースでつまずき、果たせなかった。明日最終日は470女子2組のみがメダルレースに臨む。
49er牧野・高橋、3位フィニッシュを決め、自信が持てたレースとなった。470
近藤・田畑組は今日も手堅く1-4とまとめ、総合トップに躍り出て、メダルレース進出を決めた。2位にはワールドチャンピオンのNED11があがってきており、メダルレースで勝ったほうが勝つ。吉迫・大熊組は昨日、今日と成績がばらつき、総合6位となったが、上位とは僅差なので、メダルレース次第で、表彰台を狙える。
原田・吉田組は第9レースでは7位をとり、土壇場での追い込みを見せたが、最終レース15位に終わり、総合14位に後退してしまった。
レーザー・ラジアル
安田は第9レースでもスタートで飛び出し、フリートの中盤で順位を上げ下げしながらも、23位でフィニッシュすることができた。今日のレーザーはEエリアよりも、もっと南でレースを行い、エリアの南端では潮流が南西方向へ1ノット流れている状況だった。その影響で、フリート全体がインナーでは左海面でレースを展開し、アウターではガスト優先で走るようになっていた。シルバーフリートの斉藤は、第10レースで2回目の42条違反をとられてしまい、リタイアした。
女子・長谷川は第9レースでやっと30番台の後半でフィニッシュすることができた。日本では体格の良い選手はスタートからスピードで前に出てしまうため、あまり混戦が得意ではない。長谷川はレース展開でもまれ、ダウンウィンドでプッシュされ、翻弄されながらも、海外の選手達の厳しい走りを目のあたりにし、自分の欠点をいくつか克服することができたと思う。北京五輪では国枠がとれなかったラジアル級であるが、ロンドン五輪へ向けて必ず枠をとることができるように、さらなる強化が必要である。
49er
岸風6~10ノットの風で外洋から入る横うねり(1m)のため“じゃじゃ馬”の49erを安定させて走らせるのが難しいコンディションだった。牧野・高橋組は走りへの集中と風を見る比率を変え、良い風の中を走る様に心がけた。最初のレースでは的確に風を捉え、トップグループとフィニッシュまで競り合う事ができ、身を持って良い経験が出来た。残りの2レースも良い順位で上マークを回るのだが、接近戦での駆け引きで負けてしまい、順位を大きく下げる結果であった。やはり、もっと自由に艇を扱える様になること、そして、多くのレースに出場することが今後の成長につながると思う。また誇るべきは、彼らは体形的にも精神的にも強豪国に負けないものを持っている。それを生かして、今後より高いレベルへと伸びてほしい。
ウインドサーフィン RS:X
北東の風が10~14ノットの吹いており、11時に女子のレースがスタートした。このコンディションを得意とする高木が12位で日本選手の中でトップフィニッシュした。続いて2レース目も高木が9位でフィニッシュし安定した走りを見せた。メダルレース出場がかかっていた須長は、うまく風をつかめずに順位を落とし、あと一歩でメダルレースを逃した。その後男子のレースが行われたが、富澤をはじめ日本選手が苦手とする風域であったために成績が伸びず、期待の富澤もメダルレース出場を逸した。
RS:Xは世界選手権に引き続き、この大会へ参加したが、事前合宿から含めて一ヶ月間の長期ウェイマス滞在はウィンドサーフィン漬けの毎日だった。選手たちはこの大会を通して自信をつけ、またそれぞれの課題を持ち帰ることになった。この経験が次への飛躍となるように今後も練習を積み重ねてほしい。
470女子のメダルレースは13時35分スタート予定。残念ながらGPS中継はなく、現地でのラジオ中継のみの予定。マッチレースを除くオリンピッククラス9種目のうち、レーザー、スター、フィン、49er、ラジアルの5クラスがGPS航跡つきの中継となる。
日本選手の成績
49erは2レース、他は1レースをカットする。
●470男子(55艇)
14位 原田龍之介・吉田雄悟組(アビームコンサルティング) 7-4-OCS-4-11-21-7-15
26位 石川裕也・柳川祥一組(関東自動車工業)15-5-20-11-19-20-20-(26)
●470女子(32艇)
1位 近藤愛・田畑和歌子組(アビームコンサルティング) 15-5-4-3-6-5-1-4
6位 吉迫由香・大熊典子組(ベネッセコーポレーション) 2-9-7-5-(10)-6-7-(21)
●49er(43艇)
25位 牧野幸雄・高橋賢次組(関東自動車工業)
(31)-15-22-(BFD)-23-14-31-28-7-30-3-26-28
●レーザー(106艇)
42位 安田真之助(鹿屋体育大学) (39)-37-19-14-36-19-23-(50)
37位 齋藤大輔 30-(43)-41-41-43-38-23-(DNC) (シルバーフリート)
●ラジアル(58艇)
53位 長谷川哲子(豊田自動織機)(51)-51-49-43-44-50-36-(DSQ)
●RS:X男子(44艇)
15位 富澤 慎(関東自動車工業) 13-13-7-(DNF)-10-9-24-32
37位 高橋良典(関東学院大学) 33-32-(37)-31-36-37-33-36-37-34
38位 谷賢二郎 35-(37)-33-36-32-35-34-32-37-34
●RS:X女子(27艇)
11位 須長由季(ミキハウス) 13-(17)-1-3-16-6-21-7-16-13
18位 高木未散(萩原珈琲) 17-16-22-19-18-23-14-10-12-9
20位 大西富士子(ティアーズ) 20-14-(24)-23-22-21-16-8-15-18
大会公式サイト:http://www.sailracer.co.uk/events/event-v2.asp?eventid=18401
6日目
メダルレース、近藤・田畑組痛恨のペナルティーでメダル逸する。
近藤・田畑組 総合4位、吉迫・大熊組総合5位。
朝、一番、ピットレーンに並んだレーザー。オリンピック本番もこのしくみになるのかどうか。セーリング競技は今、オリンピック種目に残るために必死の努力をしなければならない。大会最終日は朝から風がなく、10時スタート予定のメダルレースは13時まで延期となり、49er、470男女、女子マッチ、レーザーラジアルのみ実施された。
朝一番スタートのレーザーは海上に出たものの延期信号で陸上待機。結局、最後まで待たされ、再び海に出たら風がなくなってしまいレースができずに終わった。
8時半にメダルレースミーティングが行われたが、大会主催者からのメッセージは、「今日はBBC(英国の国営放送)が生中継でレースを放映する。英国の歴史に残る1日となるから、選手もそこに参加できることを喜んでほしい。2012年のオリンピックをふまえて、セーリングをテレビ中継にのせるために、選手にも協力をしてもらいたい」。まさに、ルールのことよりも、レースをフェアにすることよりも、オリンピックを意識した新しい仕組みのテストを実践で行うというスタンスであった。
メダルレースは10種目の時間が設定されており、前日のうちから選手は艇を指定された場所に入れ、GPS発信機を取り付ける準備をする。スタンバイ時刻になるとピットレーンとよばれる1位から10位までを印す旗のところに艇を移動し、ビーチマスターの出艇合図で海へ出る。スタート時刻までの短い時間でレースエリアをチェックし、レースが始まるのである。選手はどんな気持ちでこの改革をとらえたのだろうか。
レーザーに取り付けたGPS発信機。サイズはかなり大きいし、使い回しにするため、スタートコントロールをしている。470
トップでメダルレースに入った近藤・田畑組は、スタート後、有利なサイドに行けずに遅れたが、1マーク手前で猛チャージをみせ、一気に追いついた。短いコースなので団子状態でのアプローチになり、近藤組はゾーン(新ルールで設定された3艇身ゾーン)内で英国のクラーク組の下受けでタックした。メダルレースはカットできないので、隙あらばペナルティーをかけるという鉄則がある。チャンス! とばかりにプロテストをだし、オン・ザ・ウォータジャッジ(海上審判)は近藤組の違反と判定して、近藤組はペナルティーとなった。超ショートコースのメダルレースではペナルティーは致命傷となり、近藤組は8位でフィニッシュ、カウントしなければならない16点がついてしまった。結果、トップで入ったニュージーランドが銀メダル、英国のウィルソン組は3位に入り銅メダル、そして4位で着実にフィニッシュしたオランダが金メダルを獲得した。期待した近藤組は4位となり、表彰台を逃してしまった。スペインがOCSで脱落し、5位でフィニッシュした吉迫・大熊組は総合でも5位にあがった。
「上マークでペナルティーになった後、720度で解消したんですけど、その後はコースが片上りで、もう抜くチャンスがありませんでした。まだまだ、ダメです」(近藤)
「イギリスの内側で、十分にルームもあったのですけど、あれでペナルティーかぁ。ああ、悔しい!」(田畑)
5位に入った吉迫・大熊組の表情は明るい。この大会で何かふっきれたように積極的なレース展開を見せてくれた。
「スペインがOCSだったから、あがりました(笑)」(吉迫)
「愛ちゃん達がイギリスにプロテストされてたかぁ。イギリスは要注意です」(大熊)
470男子もトップでメダルレースに入ったオーストラリアがOCSで1位から4位に落ちてしまったが、メダルレースでは、とにかくOCSとペナルティーは禁物である。厳しい結果を叩きつけられてしまったが、2012年の五輪会場となるウェイマスでの教訓とし、ルール改正に伴う解釈などについても積極的に取り組んで克服していかなければならない。
英国はオリンピックでセーリング競技を成功させるために、新しいことに積極的に取り組もうとしている。スカンジアのレースは、それを実際にテストする場所と考えているので、今後もこの大会には日本から全種目、積極的に参加する必要性を感じた。
6日におよぶ大会期間中、日本チームに応援をいただき、ありがとうございました。スカンジアがワールドカップの最終戦となり、日本選手では、近藤・田畑組が7戦の総合5位でした。これでヨーロッパ遠征は終了となり、この後は国内に戻り、10月の和歌山インターナショナルレガッタ、江ノ島オリンピックウィーク、各クラスの全日本選手権などに選手は参加します。
日本選手の成績
●470女子(32艇)最終日はメダルレースの10艇のみレース
4位 近藤愛・田畑和歌子組(アビームコンサルティング) 15-5-4-3-6-5-1-4-M8
5位 吉迫由香・大熊典子組(ベネッセコーポレーション) 2-9-7-5-(10)-6-7-(21)-M5
他の種目はメダルレースに参加していないので、昨日の成績が最終となる。
49erは2レース、他は1レースをカットする。
●470男子(55艇)
14位 原田龍之介・吉田雄悟組(アビームコンサルティング) 7-4-OCS-4-11-21-7-15
26位 石川裕也・柳川祥一組(関東自動車工業)15-5-20-11-19-20-20-(26)
●49er(43艇)
25位 牧野幸雄・高橋賢次組(関東自動車工業)
(31)-15-22-(BFD)-23-14-31-28-7-30-3-26-28
●レーザー(106艇)
42位 安田真之助(鹿屋体育大学) (39)-37-19-14-36-19-23-(50)
37位 齋藤大輔 30-(43)-41-41-43-38-23-(DNC) (シルバーフリート)
●ラジアル(58艇)
53位 長谷川哲子(豊田自動織機)(51)-51-49-43-44-50-36-(DSQ)
●RS:X男子(44艇)
15位 富澤 慎(関東自動車工業) 13-13-7-(DNF)-10-9-24-32
37位 高橋良典(関東学院大学) 33-32-(37)-31-36-37-33-36-37-34
38位 谷賢二郎 35-(37)-33-36-32-35-34-32-37-34
●RS:X女子(27艇)
11位 須長由季(ミキハウス) 13-(17)-1-3-16-6-21-7-16-13
18位 高木未散(萩原珈琲) 17-16-22-19-18-23-14-10-12-9
20位 大西富士子(ティアーズ) 20-14-(24)-23-22-21-16-8-15-18
大会公式サイト:http://www.sailracer.co.uk/events/event-v2.asp?eventid=18401
表彰式はメダルレース終了直後にスロープに隣接する特設ステージにて、各選手セーリングウエアーのままで行われ、BBC放送で生中継されていた。