まとめ
Aquece Rio Test Event
Internatiional Sailing Regatta 2014
2014年 オリンピック・テストイベント
Report & Photo by オリンピック強化委員会 帯同スタッフ
リオデジャネイロオリンピックの1回目のテストイベントが終わりました。
日本からは7種目に10艇が参加しました。今回は470男女がメダルレースに進むことができましたが、クラスごとに今回見出した課題と今後の目標についてまとめます。
●470男子
470男子はオーストラリアのBelcher組が圧倒的に強く、加えてイギリスのPatience組、クロアチアのFantela組が常勝の3チームです。
ニュージーランドのSnow Hansen組がそこに割って入る活躍を見せましたが、松永組、フランス、オーストリア、アメリカ、スウェーデンが横並びの激戦で、松永組はもう1段レベルアップしてメダルを狙う圏内と考えます。
オーストラリア、イギリス、ニュージーランドは各種目が連携して情報収集をしており、今後、複雑な地形が影響する風や、入り組んだ潮についても独自で解明していくと想像します。
湾の外でのレースはスピードと波やうねりに対する正確なボートハンドリングが要求され、湾の中は風の抜け道やエリアの中でのムラがつかめるようにならなければなりません。どちらの精度もあげていくことが今後の目標になるでしょう。
●470女子
470女子についても課題は同様です。
ロンドン五輪の前からニュージーランドのAleh組、イギリスのMills組が抜け出し、2013年にはポーランドとオーストリアの選手で新チームを作ったオーストリアのVadlau組がほとんどの大会でトップ3を占めています。
フランスのLecointre組、ブラジルのOliveira組とDecnop組に加え、中国のShasha組が次のグループになります。
吉田は3度目のオリンピックを目指していますが、2012年にバルセロナで開催された世界選手権頃からトップ3はスピードとレース展開のスマートさで1段も2段も上に上がりました。吉田はこれまでのレース展開ではアップウインド、ダウンウインド、混戦のマーク回航での位置取りでトップグループに離されがちなので、経験の少ない吉岡も基礎をしっかり身に着け、チーム力をあげて挑戦していくしかありません。
これまでずっと1番差などの僅差でメダルレースに残れなかったのですが、今回メダルレースに残ったことは1ステップ前進です。次は常に残り、少しずつ3強との力の差を埋めることです。
470男女については期間中にプロテストを出されてもおかしくないケースがありました。
松永は1レース目であやふやなケースがスイスとの間でありましたが、2レース目では逆にスイスにポート・スターボードでプロテストをかけ、陸へ戻ってから相手と話をつけることができました。ひとつの防衛手段を使えたことと、前回パルマのように、あやふやなままでいなかったことが良かったと思います。
女子の吉田はオリンピックで抗議を出されたブラジルが相手でしたが、着岸後に直接、プロテストを出すか確認に行きました。今回は出されずにすみましたが、ケースについては検証し、対応策を考える機会になりました。五輪本番はもっとシビアになるでしょうが、プロテストに対する意識が少しずつ高くなってきたことは良いと思います。
●49er
49erはニュージーランド、オーストラリアの前回メダリストにイギリスが複数チーム加わり、トップ集団を形成しています。
牧野・高橋組は10ノットまではトップグループで勝負できるようになりましたので、これから先はトップについていける風域をあげることと、日本で1艇で練習していると混戦に弱いため、欧州で複数の艇と競り合う練習の場を設けていくことが重要です。今回はトップグループしかいない中、レースは手ごたえを掴めるものでした。
●レーザーラジアル
女子のレーザーラジアルはデンマークが優勝しましたが、メダルレースで大逆転が起こる接戦でした。
ロンドン五輪から活動を継続しているイギリス、ベルギー、オランダに加えて世代交代したデンマーク、フィンランド、アメリカの若い選手が台頭してきました。
強風のシリーズだとアイルランドがダントツですが、オールラウンドのコンディションでは若手の活躍が目立った大会でした。
土居はこの上位集団にまだは入れていませんが、すぐ背後まで追いついているレースが何回かありました。特にダウンウインドはひけをとらずに走れています。今後はアップウインドでうねりや波の中でスピードアップすること、マーク際やスタートでアグレッシブになることが課題で、それらをクリアできたら、若手のトップグループに入ると思います。
ここから先はこれまでのように勢いで上がっていくことは厳しく、時間がかかりますが、本番まであと2年あるので、最後にはメダルレースに残れるレベルになることを期待します。
●レーザー
男子のレーザーは新旧入り混じった混戦で、トップレベルの選手層が厚くなっています。ブラジルのシェイドの独壇場かと思いきや、オーストラリアやイギリスもレベルアップしており、シェイドは苦戦しました。
残念ながら、日本選手は外海の波が高いコンディションでは勝負になりません。湾内の地形の影響を受ける風ではヨットレースの力が重要になるため、多少は勝負できるレースがありました。
レーザーはラジアル女子のようにしっかり目標を定め、練習を増やす必要があります。若手の育成も含めて、強化体制をしっかり整えなければレベルアップにつながらないでしょう。
●RS:X
RS:X女子もロンドンで活躍したトップ選手がそのまま継続しています。
須長はところどころで良い走りがありましたが、トータルでレースをまとめられず、上位選手と比べると、ロンドン以降、差を広げられてしまいました。
リオのオールラウンドのコンディションに合わせた適正体重、セッティング、レース展開を考えて、技術レベルのアップを考えた強化計画が必要です。
●49erFX
新種目のFXについてはブラジルとニュージーランドが抜き出てきました。どの選手もしっかり体を鍛えてきており、上位のチームは格段の進歩をとげています。どちらのチームにも49erの元トップレベルの選手がコーチとしてついており、乗るだけで精一杯のチームとは差が開くばかりです。
波多江・大熊も流れに置いていかれないようにRS;X女子同様、リオのオールラウンドのコンディションに合わせた適正体重、セッティング、レース展開を考えて、技術レベルのアップを考えた強化計画が必要です。体力も、もっと意識してつけていかなければなりません。優勝したブラジルと2位のNZL選手達のトレーニングした体型の変化に圧倒されました。
●情報収集
今回の遠征では五輪本番へ向けてのインフラに関する情報も収集できました。
リオデジャネイロは英語がほとんど通じないため、サンパウロ出身の岩井アンドレさん(アビームコンサルティング)に、現地入りから大会前半までのサポートをお願いしました。選手の日常生活における注意、移動から今後の宿泊場所の交渉等、さまざまな準備をお願いしました。安全に生活でき、チーム一同お世話になりました。
滞在先は古い小さなホテルでしたが、ハーバーから徒歩7分の好立地で、スタッフも親切でフレンドリーでした。今後も利用する予定ですが、改善点は多々あり、リオの準備が厳しいことにかわりありません。
470、49er、FXは今回運んだコンテナを2016年まで現地の海軍学校の敷地に置いたままにします。
今後の遠征ではコンテナの到着を心配せずに日程を組み、リオでの練習の機会を増やしていくことが必要になります。予定していたとおりに準備が進み、サンタンデールでの国枠予選が終わったら本格的な準備を始めることになります。
ただ、ISAFワールドカップのフォーマットや参加艇制限等が定まらず、五輪の大陸別予選もどの大会に設定されるか、11月のISAF会議まで保留事項が多いのが現状です。ワールドカップにはランキング10位までとか、20艇だけとか、情報は日々変化しています。今後、進展状況に合わせて、HPで情報提供していきたいと思います。
●各クラスの上位国と主要国のメダル数
●日本選手の最終成績
○470 男子(15カ国・23艇)最終成績 国順7位
土居一斗・今村公彦(アビームコンサルティング・九州旅客鉄道)
18位 17-(21)-10-13-16-16-16
松永鉄也・吉田雄悟(スリーボンド)
7位 10-12-(17)-2-11-4-6-M4
○470 女子(12カ国・17艇)最終成績 国順8位
吉田愛・吉岡美帆(ベネッセ・ホールディング)
10位 6-5-(13)-6-13-10-6-M9
○49er(12カ国・19艇)最終成績 国順10位
牧野幸雄・高橋賢次(トヨタ自動車東日本)
14位 15-17-15-(18)-18-3-4
○49erFX(11カ国・15艇)最終成績10位
波多江慶・大熊典子(豊田自動織機)
13位 (15)-13-13-7-12-9-12
○Laser(21カ国・33艇)最終成績 国順19位
安田真之助(宮津高等学校・教員)
29位 (31)-22-26-30-31-20-16-29
南里研二(アルバトロスヨットクラブ)
27位 (32)-28-25-30-28-15-24-21
○Laser Radial(16カ国・25艇)最終成績 国順13位
土居愛実(慶応義塾大学)
17位 14-12-18-18-12-15-(19)-11
蛭田香名子(豊田自動織機)
23位 20-19-21-(24)-23-13-14-21
○RS:X女子(15カ国・22艇参加)最終成績 国順14位
須長由季(ミキハウス)
18位 16-16DPI-(OCS)-7-11-16-20-17
▲マリナダグロリアが五輪マリーナになる。
▲Pao da Acucalはメダルレースも実施する。
▲ワールド2位のNZL49erとキリスト像が頂上に見える。
▲参加が五輪規模より少なかったのでスペースは十分だった。
▲レースエリアに入れずに待機する潜水艦。
▲毎朝、海軍気象担当者より気象情報の提供がある。
▲大会公式掲示板はルームになっている。
▲風待ちが多かった大会でティータイムの470チーム。
▲ブラジルのロバート・シェイドと安田の2ショット。
▲交流パーティーでGBRのアリスンとコーチのヒュー。土居愛実(右から2人目)と蛭田(右端)。
▲交流パーティーでGBRのLukeとコーチのボーノー弟。土居一斗(左端)、吉田雄悟(右端)。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day7
8月9日
▲男子も女子も表彰台にあがったNZL。男子クルーのダニエルは父親のハイミッシュ・ウィルコックスがサポートにつくと調子がいいそうです。
7月26日に選手が到着し、8月2日から始まったリオのオリンピック・テストイベントも最終日を迎えました。日本からは7種目10艇が参加し、470男女がそれぞれメダルレースへ進みました。最終日はレーザー、ラジアル、470男子、470女子の順にメダルレースです。昨日までの晴天が嘘のように朝から雨が降り始めました。
予定時刻から1時間遅れて、東の8ノットの風が入りだしたところで、レーザーから4クラスがメダルレースを行いました。
3クラス目の470男子では松永・吉田組が4位に入りました。「全員がリコールやDSQとかがつかないと3位には入れない位置なんですが、リオでのメダルレースは今後につながるのでしっかり取り組みます。でも、ニュージーランドだけには勝ちたいなぁ」(松永)と言って出艇した松永ですが、目標にしたニュージーランドは終始フリートをリードしてトップフィニッシュを飾り、3位で表彰台にあがる勢いでした。
男子終了後にすぐ始まった女子のレースには吉田・吉岡組が出場しました。メダルレースが初めての吉岡は、「スタートしてから最初は左へ行きましたが、タックしてまた右へ戻し、コースを横断していく結果になり、よくありませんでした」。2上がコース変更で短くなって逆転のチャンスが消え、このレースは9位で終わりました。
本日で全種目が終了しました。テストイベントでは課題もたくさん見出しましたが、今回のレースを振り返り、リオにどう取り組むか、後日、強化のHPで報告したいと思います。2種目でメダルレースに残ったことは今年の成果です。
昨日は真夏、今日は梅雨空。こんな不安定な季節にオリンピックが開催されるのです。あと2年です。次は五輪国枠予選がかかるISAFワールドチャンピオンシップ(スペイン)が9月12日から始まります。今年一番の重要な大会になるので、選手は休みなく、準備に取り組みます。
長い期間にわたり応援いただき、ありがとうございました。
●日本選手の成績(2レース目から最も悪いレースを1レースカットします)
○470 男子(15カ国・23艇/メダルレース 最終成績)
土居一斗・今村公彦(アビームコンサルティング・九州旅客鉄道)
18位 17-(21)-10-13-16-16-16
松永鉄也・吉田雄悟(スリーボンド)
7位 10-12-(17)-2-11-4-6-M9
○470 女子(12カ国・17艇/メダルレース 最終成績)
吉田愛・吉岡美帆(ベネッセ・ホールディング)
8位 6-5-(13)-6-13-10-6-M9
○49er(12カ国・19艇/最終成績)
牧野幸雄・高橋賢次(トヨタ自動車東日本)
14位 15-17-15-(18)-18-3-4
○49erFX(11カ国・15艇/最終成績)
波多江慶・大熊典子(豊田自動織機)
13位 (15)-13-13-7-12-9-12
○Laser(21カ国・33艇/最終成績)
安田真之助(宮津高等学校・教員)
29位 (31)-22-26-30-31-20-16-29
南里研二(アルバトロスヨットクラブ)
27位 (32)-28-25-DNC-28-15-24-21
○Laser Radial(16カ国・25艇/最終成績)
土居愛実(慶応義塾大学)
17位 14-12-18-18-12-15-(19)-11
蛭田香名子(豊田自動織機)
23位 20-19-21-(24)-23-13-14-21
○RS:X女子(15カ国・22艇参加/最終成績)
須長由季(ミキハウス)
18位 16-16DPI-(OCS)-7-11-16-20-17
●大会サイト:http://www.aquecerio.com/en/competitions/international-sailing-regatta-2014
▲スタート前に健次コーチから男子のレースの情報を聞く吉田・吉岡組。
▲白黒テレビの世界のようなグレーなリオデジャネイロ。
▲大会期間中ボランティアで活躍した船台担当グループの面々。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day6
8月8日
▲Ponteエリアはシュガーローフから風が吹いてきます。
今日は高気圧がゆっくりと遠ざかっていきました。その影響で、朝の北西が西回りで南西に変わり、昼過ぎから10ノットを越える予報が出ていたため、470とレーザー、レーザーラジアルは11時前に出艇しました。
メダルレースエリアでは12時からフィン、ナクラ、49er、FXの順でメダルレースが行われました。49erとFXはシアターレースといって、エリアの両サイドにブイを打ち、制限をかけた中で3レースを行います。他の種目がメダルレース1回なのに対し、スキフだけ別のフォーマットでオリンピック本番を実施するかどうか、今回の状況を見て11月のISAF会議で決定します。
今回は、レース数が多すぎるのではないか、エリア限定のブイが流れてFXが2レースしかできなかった、吹くとおもしろい、などさまざまな意見が交わされています。
●470男女
予定どおりに出艇はしたものの、Ponteエリアの470男女がレースを始めたのは16時すぎてからで、1レースしかできませんでした。
男子は松永・吉田組が6位となり最終成績は7位、女子は吉田・吉岡組が6位をとり、最終成績8位でメダルレースに残りました。「ブラジルとケースがあって、プロテストを出されるかもしれないとハラハラしましたが、陸に戻ってから聞いたらプロテストしないということでほっとしました」(吉田愛)。女子はケースに対してあやふやな時がまだまだあり、大きな課題のひとつです。男子の松永はガスケットがはがれてしまい、明日のレースに向けて突貫作業で対応していました。土居・今村組は18位で大会を終えました。
●レーザー & ラジアル
レーザーとラジアルはEscole Navalエリアでした。Ponteよりも先に風が入り、10ノットくらいの風が15ノット前後まであがり、いいレースコンディションでした。
女子のラジアルのスタートを見た男子のレーザーの多くが右海面へ行った時に、ブラジルのシェイドと安田は左へ突っ込み、シェイドはダントツ、安田も10位前で1上を回りました。安田はその後も頑張って、16位でフィニッシュしました。「起こせる風ならまだついていけるし、湾内はトリッキーなのでレースになりました。外の風ではスピードもついていけないし、練習できていない分、前よりも強風が不得意になっていて、考えることばかりです」(安田)。「外のエリアでうねりの中で全く走れませんでした。また、新たな課題ができてしまいました」(南里)
ラジアル女子は2レースを行いました。
「今回は上位の選手ばかりで、ビリになっても仕方がないと思っていましたから、今の成績が自分の実力だと思います。課題はたくさんありますが、上位に追いつけないというほど遠い壁ではありませんから、また、練習して、少しずつでも追いつきたいと思います。スピードはアップウインドもダウンウインドも大差はありません。マーク付近での位置取りや寄せ方が今ひとつなので、うねりの走りといっしょに克服したいと思います」(土居)。「微風はわかりませんが、オンデッキからハイクアウトするくらいの風では前よりもレースらしくなりました。スピードも負けないと思います。外で吹いた時がお手上げで、また、練習をします」(蛭田)
テストイベントはスケジュールがタイトで、あわただしいせいか後半に入ってみんなの顔に疲れが見えるようになりました。明日の470メダルレースが最後のレースとなります。
●日本選手の成績(2レース目から最も悪いレースを1レースカットします)
○470 男子(15カ国・23艇/本日1レース)
土居一斗・今村公彦(アビームコンサルティング・九州旅客鉄道)
18位 17-(21)-10-13-16-16-16
松永鉄也・吉田雄悟(スリーボンド)
7位 10-12-(17)-2-11-4-6
○470 女子(12カ国・17艇/本日1レース)
吉田愛・吉岡美帆(ベネッセ・ホールディング)
8位 6-5-(13)-6-13-10-6
○49er(12カ国・19艇/最終成績)
牧野幸雄・高橋賢次(トヨタ自動車東日本)
14位 15-17-15-(18)-18-3-4
○49erFX(11カ国・15艇/最終成績)
波多江慶・大熊典子(豊田自動織機)
13位 (15)-13-13-7-12-9-12
○Laser(21カ国・33艇/本日2レース)
安田真之助(宮津高等学校・教員)
29位 (31)-22-26-30-31-20-16-29
南里研二(アルバトロスヨットクラブ)
27位 (32)-28-25-DNC-28-15-24-21
○Laser Radial(16カ国・25艇/本日2レース)
土居愛実(慶応義塾大学)
17位 14-12-18-18-12-15-(19)-11
蛭田香名子(豊田自動織機)
23位 20-19-21-(24)-23-13-14-21
○RS:X女子(15カ国・22艇参加/最終成績)
須長由季(ミキハウス)
18位 16-16DPI-(OCS)-7-11-16-20-17
●大会サイト:http://www.aquecerio.com/en/competitions/international-sailing-regatta-2014
▲そしてフィニッシュはグアナバラ湾を横断する橋のすぐ脇になります。
▲ブラジルスポーツ界の英雄トーベン・グラエルが娘のマルティナのFX優勝でメダル授与というシーンがありました。
▲メダルレースは陸からすぐ近くで実施します。
▲黄昏の中でガスケットを修理する松永と吉田。
▲大会を終えてアーサ―コーチとミーティングする土居愛実。
▲表彰式には数多くのメディアが集まりました。
▲木に登って観るブラジル風メダルレース観戦風景。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day5
8月7日
▲トップ争いをする 牧野、高橋組。
今日も朝は北風、昼前に一度なくなり、13時過ぎまで陸上待機。13時30分、一番沖でレースをする470から出艇し、全クラスがそれぞれの海面に向かいました。
●470男女
470男女は沖のCopacabanaエリアでレースを行いました。
松永・吉田組は1上から上位を走り、4位でフィニッシュしました。引き続き、16時すぎに2レース目をスタートしましたが、途中からエリアのアウターループに湾内からの黒い水が出てきて、潮がエリアの中で逆になってしまいました。
スタート時に吹いていた10ノットの風(O旗掲揚)はすーっとなくなり、本来なら2上マークでR旗で解除すべきところ続行したため、全艇がロッキングでマークへ向かうという結果になり、2下へ行く途中でノーレースになりました。
女子は1レースのみで終了。
吉田・吉岡組は途中5位で走っていながら、2上へ行く時に抜かれて10位に後退。「2上でスピ―ドが出せなくて抜かれてしまいました。レースの後、湾内へ戻るのに向かい潮が速く少しも進まず、戻るのに苦労しました。ジュリーボートに曳航してください! と叫んだのですが通り過ぎてしまいがっかりしていると、戻ってきてくれて曳航してくれました」(吉田)
●レーザー & ラジアル
レーザーとラジアルはPonteエリアです。
「今日はレーザーの南里ががんばって15位を取りました。弱めの風だとベテランのシェイド(ブラジル)とリマ(ポルトガル)がテクニックの差で前に出てきます。それぞれ独特の走りですが、きれいに乗ってスピードを出していました」(飯島コーチ)。
ラジアルは土居、蛭田ともにフリートの真ん中でしたが、コースの左が良いもののどこで右へ寄せるかがポイントでした。男子が左で勝負していたのに比べると、女子は右で伸ばした艇が前に出ました。Ponteは周期シフトで交互に風が入る感じでした。
●49er & 49er FX
Esccole Navalエリアでは49erが1レースを行いました。
日の丸ジェネカーの牧野・高橋組は前半トップでしたが、下ゲートで混戦になり、フィニッシュでは4位。8ノット前後だと着実に結果が出るようになりました。FXは海上へ出たもののレースができませんでした。ともにメダルレースには残れませんでした。
FXでは本日レースがなかったにもかかわらず、波多江・大熊が12位から13位に下がっていました。理由を確認すると、昨日のレースで2艇のアメリカの成績をつけ間違えおり修正したため、だそうです。
明日は470男女とレーザー、ラジアルの4クラスが3レースを予定しています。470男女はともにメダルレース圏内にいるので、落ちついてレースをしてほしいものです。明日は午後から前線通過で、雨も降るかもしれませえ。
●日本選手の成績(2レース目から最も悪いレースを1レースカットします)
○470 男子(15カ国・23艇/本日1レース)
土居一斗・今村公彦(アビームコンサルティング・九州旅客鉄道)
17位 17-(21)-10-13-16-16
松永鉄也・吉田雄悟(スリーボンド)
7位 10-12-(17)-2-11-4
○470 女子(12カ国・17艇/本日1レース)
吉田愛・吉岡美帆(ベネッセ・ホールディング)
9位 6-5-(13)-6-13-10
○49er(12カ国・19艇/本日1レース)
牧野幸雄・高橋賢次(トヨタ自動車東日本)
15位 15-17-15-(18)-18-3-4
○49erFX(11カ国・15艇/本日レースなし)
波多江慶・大熊典子(豊田自動織機)
12位 (15)-13-13-7-12-9-12
○Laser(21カ国・33艇/本日1レース)
安田真之助(宮津高等学校・教員)
30位 (31)-22-26-30-31-20
南里研二(アルバトロスヨットクラブ)
28位 (32)-28-25-DNC-28-15
○Laser Radial(16カ国・25艇/本日3レース)
土居愛実(慶応義塾大学)
17位 14-12-(18)-18-12-15
蛭田香名子(豊田自動織機)
23位 20-19-21-(24)-23
○RS:X女子(15カ国・22艇参加/最終成績)
須長由季(ミキハウス)
18位 16-16DPI-(OCS)-7-11-16-20-17
●大会サイト:http://www.aquecerio.com/en/competitions/international-sailing-regatta-2014
▲得意の風域で第1マークを2位で回航する49er。
▲夕方になると海軍の潜水艦がリオの基地へもどってきます。
▲潮が強く下マークは大混戦。
▲汚い水が1ノットの潮流とともにレースエリアに広がり始めました。
▲キリスト像が聳え立つ山に夕陽が沈んでいきます。
▲470男子は接戦のマークアプローチで、僅かなミスで順位が落ちます。
▲中国と5位争いをする吉田・吉岡組。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day4
8月6日
▲キリスト像の立つ山頂に沈む夕日を見ながらコパカバーナ沖から戻る松永・吉田組。
晴れていても風の冷たい1日でした。昼過ぎまで風がなく、12時半に回答旗が下りて、各エリアでレースが始まりました。外のエリアとPao de Acucarは南東から、Ponteは南で、どのエリアも13ノット前後の風。沖のエリアは時折り20ノットのガストが入りました。
昨日までナクラ17と海面をシェアしていたフィン級が、今日は470男女と同じエリアになりました。ナクラは上下コースですが、角度をつけてジェネカーでダウンウインドを走るため、他クラスといっしょだと見えないことが多いそうです。五輪本番がこの組み合わせでレースをするかどうかはわかりませんが、テストケースでフィンと470男女がいっしょにレースをしました。
●470男女
470男女とフィンの3クラスが走るNiteroiエリアは、今日は2レースしかできませんでした。
470男子は松永・吉田組が第4レースで2位に入る健闘で、総合8位に上がりました。「第4レースはスタートでスイスとケースになりそうでしたが、第5レースでは逆に自分たちがポート・スターボードで彼らを大きく避ける場面があったので、抗議を出し合わないように陸へ戻ってからすぐに話をつけました」(松永)。「今日は抗議にならないで済みましたが、第4レースは本当に自分たちが悪いのか、ケースブックを読んで確認します」(吉田)。
女子はうねりが大きな海面でまだ走りきれていないところがあり、9位に後退しました。
●49er FX
FX女子は最初にPonteエリアで2レースを行い、いったん陸へ戻ってからエリア変更の掲示が出ました。30分後に再び出艇し、Pao de Acucarエリアで1レースを行いました。「49erとFXはいつも出はいりが多いのですが、Marina da Gloriaは中に入ると風がなく、少し面倒です。レースが終わってそのまま海上で移動するだけなら楽だし、レース数も増えると思います。今日は水が冷たくて、動いていないと寒かったです」(波多江)
●49er
FXの後にPonteエリアで2レースを行った49erは、第6レースで牧野・高橋組が3位をとりました。「最初のレースもスタートから1上までは良かったのですが、2上で沈してしまいました。第6レースはミスしないで3位をキープでき、良かったです」(牧野)。
1海面を2クラスで使いまわすため、日没が17時30分のリオではレース数がこなせません。待つばかりの1日でした。Ponte エリアは下げ潮で湾の外へ出ていく流れで、スタートでは押されます。セールの大きい49erはある程度風が入れば位置をキープできるコンディションでした。
●レーザーラジアル
ラジアルは沖のCopacabanaエリアで2レースを行いました。「風が強くてガスティーでした。フルハイクだと他国のトップ選手にスピードでついていけません」(蛭田)。
大柄な選手が上位を占めますが、「土居はアップウインドで上位選手にあと一息のところまで追いついてきたし、今日はダウンウインドでいい走りを見せて順位を上げてきた。リオまであと2年で、必ず上位のレベルのスピードを出せるようになるだろう。このメンバーの中でいきなりトップになれるものではない」(Arthurコーチ)。
土居はアジア大会の日本代表ですが、今日の2レースで同中国代表のドンシャンを逆転しました。
●レーザー
レーザーも同じ海面で2レースを行いました。「今日は沖で潮の転流がありました。最初は200度から流れていたのですが、だんだん速度が遅くなり、15時30分にはほとんど流れが止まりました。16時30分頃に湾口から黒い汚れた水が流れ出し、エリアにも60度方向から流れてきました」(飯島コーチ)。
この黒い水はNiteroiエリアの中村健次コーチも確認していましたが、「黒い水は湾を出たところから、外の潮の流れに飲まれていきます。どちらの方向へ動くかは、外の潮の速さによって異なるようです。リオの潮は生き物ですね。モデルを作ってそこまででてくるか、わからないです」(中村コーチ)
●RS:X
Pao de Acucarエリアで3レースを行ったRS:X女子は今日でフリートレースが終わり、明日は上位10艇によるメダルレースに進みます。須長は残ることができませんでした。「最初の2レースはスタートが良くて、1上マークもシングルで回れましたが、1レース目は2上へいく途中でコースミスをしてしまい、2レース目は他艇と接近して、ハッとした瞬間にセールを落としてしまいました。前を走ると、よしがんばるぞ! と肩に力が入って回りが見えなくなってしまいました。最後のレースはスタートから出られず、行きたい方向へ行けませんでした。大会が始まってからはあっという間で、すごく短く感じました」(須長)
レース終了後にチームリーダー会議があり、ISAFと各国チームリーダーとの意見交換がありました。オリンピックへの国枠予選大会、コーチボート規定、本番でのサポートで携帯してよい道具や風速計の有無など、本番へ向けて激しい討議になりました。日本はイギリスやオーストラリアと比べて出遅れている感があります。今回参加した選手たちとリオで起こったことをよく検証し、必要な情報をまとめたいと思います。
明日はスキフの2クラスがメダルレースへの切符をかけて4レースを行います。前線が近づいてくるため、いつもの海風が吹かないようです。
●日本選手の成績(2レース目から最も悪いレースを1レースカットします)
○470 男子(15カ国・23艇/本日2レース)
土居一斗・今村公彦(アビームコンサルティング・九州旅客鉄道)
18位 17-(21)-10-13-16
松永鉄也・吉田雄悟(スリーボンド)
8位 10-12-(17)-2-11
○470 女子(12カ国・17艇/本日2レース)
吉田愛・吉岡美帆(ベネッセ・ホールディング)
9位 6-5-(13)-6-13
○49er(12カ国・19艇/本日2レース)
牧野幸雄・高橋賢次(トヨタ自動車東日本)
15位 15-17-15-(18)-18-3
○49erFX(11カ国・15艇/本日3レース)
波多江慶・大熊典子(豊田自動織機)
12位 (15)-13-13-7-12-9-12
○Laser(21カ国・33艇/本日3レース)
安田真之助(宮津高等学校・教員)
30位 (31)-22-26-30-31
南里研二(アルバトロスヨットクラブ)
32位 (32)-28-25-DNC-28
○Laser Radial(16カ国・25艇/本日3レース)
土居愛実(慶応義塾大学)
16位 14-12-(18)-18-12
蛭田香名子(豊田自動織機)
23位 20-19-21-(24)-23
○RS:X女子(15カ国・22艇参加/本日3レース)
須長由季(ミキハウス)
18位 16-16DPI-(OCS)-7-11-16-20-17
●大会サイト:http://www.aquecerio.com/en/competitions/international-sailing-regatta-2014
▲コパカバーナの巨大なうねりでレースする470フリート。
▲コパカバナビーチとキリストの像。
▲混戦の中でふんばる牧野・高橋組。
▲参加艇数は少ないながら、激戦のFX。本番も同じ展開でしょう。
▲吹きのレースでジェネカーラン。
▲南里スタート。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day3
8月5日
▲マストの上しか見えないくらい大きなウネリ。
●49er
10時過ぎにFX以外の9クラスが出艇しました。
49erは3レースを行い、一度陸へ戻って待機した後に2回目の出艇。今度はRS:X のレースが終了したEscole Navalにエリアを変更し、第4レースを行いました。「今日は左一本ではなく、振れるは、ガストに翻弄されるはで難しいレースでした」(高橋)。
ただでさえ、風に翻弄されているのに、エリアをたらい回しにされては混乱するばかりです。オリンピック本番もこんなスケジュールならば、対応策を考えねばなりません。
●49er FX
Paode Acucarエリアで4レースを立て続けに行ったFXは、第4レースで7位に入りました。「スタートで押される潮なのでみんながへこみ気味でしたが、思い切って前から出ました。それが奏功し最初に左へ伸ばし、ブラジル、オーストラリアと3艇でポートタックに返した時には全艇の前を通過しました。初めは3位だったのですが、少しずつ落ちて7位になったのは残念ですが、いいレースができました」(大熊)
●RS:X
RS:X 女子はEscole Navalエリアで3レースを行いました。
須長は、第3レースでスタートのOCSの失格でした。第4レースはスタートで少し出遅れたものの最初のレグで長いリフトが走れたのがよく、上位でレースを展開し7位でした。「風の強弱があり、前にいても風を拾い損ねるとだめだし、1つのブローで上りも下りもブローの足が速く、とても疲れます」(須長)
●470
470男女はCopacabanaエリアで3レースを行いました。波高は2m、上下で4mの巨大なうねりに対して、最初15ノット前後吹いていた南西の風が徐々に弱まり、10ノットくらいまで落ちた中でのレースでした。当然、波の上と下で風速が異なるため、セッティングもハンドリングも合わせなければなりません。
女子の吉田・吉岡組は出だし好調でしたが、第3レースでニュージーランドと1、2で走っている時にトラベラーが壊れて順位を落としてしまいました。男子は混戦の中でうまく展開できず、走りもあと一息です。
「湾外のエリアはセーリング技術が重要。トップの連中と吹いた時に離されてしまうのはボートコントロールの差であり、波の上下でのハンドリングの差でしょう。女子は低い風域にセッティングを合わせていい走りができたのですが、トラブルが残念でした。湾の外は安定した風で良かったけど、うねりと波、そしてそり立った崖の影響で返し波もあり、多くの選手やコーチが船酔いしたようです」(中村健次コーチ)
●レーザー&ラジアル
レーザーとラジアルはNiteroiエリアで3レースを行いました。
ラジアルの土居は上位陣の中で踏ん張っています。少数ですが強豪が揃っており、レースはタイトでミスするたびに順位を落とします。波の大きさの割に風が弱かったので、波に乗れるか乗れないかが順位を決めました。「波の上ではフルハイク、下に入るとオンデッキ、その繰り返しでボートハンドリングがきつかったです。レース中はいいのですが、待ち時間にうねりにやられて船酔いしそうでした」(土居愛実)
外海のコンディションに慣れるしかありません。また、レーザー男子は練習あるのみです。
今日は各エリアで順調にレースができました。明日はまた高気圧の圏内に入り始めます。気温は20度で、肌寒い1日でした。
●日本選手の成績(2レース目から最も悪いレースを1レースカットします)
○470 男子(15カ国・23艇/本日3レース)
土居一斗・今村公彦(アビームコンサルティング・九州旅客鉄道)
16位 17-(21)-10
松永鉄也・吉田雄悟(スリーボンド)
14位 10-12-(17)
○470 女子(12カ国・17艇/本日3レース)
吉田愛・吉岡美帆(ベネッセ・ホールディング)
7位 6-5-(13)
○49er(12カ国・19艇/本日4レース)
牧野幸雄・高橋賢次(トヨタ自動車東日本)
19位 15-17-15-(18)
○49erFX(11カ国・15艇/本日4レース)
波多江慶・大熊典子(豊田自動織機)
12位 (15)-13-13-7
○Laser(21カ国・33艇/本日3レース)
安田真之助(宮津高等学校・教員)
26位 (31)-22-26
南里研二(アルバトロスヨットクラブ)
30位 (32)-28-25
○Laser Radial(16カ国・25艇/本日3レース)
土居愛実(慶応義塾大学)
17位 14-12-(18)
蛭田香名子(豊田自動織機)
22位 20-19-(21)
○RS:X女子(15カ国・22艇参加/本日3レース)
須長由季(ミキハウス)
16位 16-16DPI-(OCS)-7-11
●大会サイト:http://www.aquecerio.com/en/competitions/international-sailing-regatta-2014
▲スタートで大混戦のRS:X。
▲黒いジェネカーが波多江・大熊組。
▲49erの牧野・高橋組。
▲アップウィンドで波に向かう松永・吉田組。
▲リーチングもバランスが難しい。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day2
8月4日
▲APオーバーAで明日に順延。
今日は朝の気象情報で、「北風が残るか」あるいは「いつもどおりリオの海風が入るか」で見解が二つに分かれました。結論からいうと、北風が弱まりながらも、南からの海風は入らず、弱いままでレースができませんでした。
49erだけが13時頃に一度Pao de Acucarエリアに行きました。3回のスタートを試みましたが、潮に押されてゼネリコと回答旗を繰り返し、無風になる前にH旗があがって陸上待機となりました。その後、風が強まることはなく、他のクラス同様レースができませんでした。
風待ちの間はインターネットの時間です。大会会場では登録をすると1名ごとにIDとパスワードを発行してネット回線を無償で利用できます。結構、高速でつながるので、連絡には大いに助かります。
昨日到着した河野会長からは羊羹の差し入れをいただき、選手一同大喜びでした。食べやすい小さなサイズで5つの味があり、海の上で食べると頭がさえます。男子選手やコーチ陣も羊羹が大好きなので、全員に配給されます。過去のオリンピックでも差し入れていただきましたが、リオの海にも羊羹が合います。
明日は午前からレースを実施します。
http://www.aquecerio.com/sites/default/files/notice_no_5.pdf
各クラス3レース、49erとFXは4レースを予定しています。毎朝、海軍から気象情報の説明がありますが、明日はリオの南側を寒冷前線が通過するため南風が強まり、朝から10ノット以上の吹くようです。気温も今日の日中は31度まであがりましたが、明日は20度に届かない寒い1日になりそうです。この時期は変化の多い季節なのかもしれません。オリンピック本番を想定すると、今年はすべてが勉強です。
●日本選手の成績
○RS:X 女子(15カ国・22艇参加/昨日の成績に訂正があります)
18位 須長 由季(ミキハウス)
16-16DPI(帰着申告を時間内に行わなかったためのペナルティ)
●大会サイト:http://www.aquecerio.com/en/competitions/international-sailing-regatta-2014
▲朝から張り切って準備していた選手たちですが、残念ながら出艇ならず。
▲待ち時間に選手はメールをチェックです。
▲差し入れの羊羹。選手だけではなく、コーチ陣にも配給されます。
▲マリーナにはサルが棲んでいます。
▲出艇し3回のスタートを試みた49erですが、レースはできませんでした。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day1
8月3日
▲サントスDM空港を発着する飛行機はレース海面の真上をとびかいます。
難しい海面
テストイベントのトップをきって、RS:X男女とフィン級男子のレースが行われました。フィン級はPonteエリアで比較的安定した南からの風で2レースを行い、湾の出口に近いPao de Acucar]エリアのRS:Xは2レースを終えたところで風が弱まり、3レース目は中止となりました。
RS:X女子に出場している須長は南から少しずつ東へ左回りにシフトしていく風の変化をつかみきれず、初日を16位で終えました。「風がシュガーローフなどの山の影響を受けて左右に振れ、強弱もあり、とても難しい海面だと思いました。レースの途中で潮の向きが変化するし、たいへんなところですね」(須長)。特に、潮が強い左海面が風も強く、そのまま行くべきか、潮の弱い側へ行くか、上位のポーランドの選手も悩んだそうです。
風については、レースエリアの中央に近くにあるサントスDM空港のデータを見ます。滑走路の先にMarina da Gloria の出入り口があり、離陸する飛行機の真下にセーリングボートが見える時もあります。こんなに近くては、ヘリコプターからのレース撮影はどうするのだろうかと心配してしまいます。
2016年までには慣れるか?
その他のクラスは計測を終え、受付けも終了し、明日からのレースに備えて準備と海上練習でチェックをしました。今日、明日のリオは高気圧の左上になり、天気が良く、温度変化で入る弱い海風のパターンです。明日の後半から前線(というか気圧の谷)が通過するため、天気が崩れます。高気圧が反時計回りの流れで、日本と反対。動きは西から東で、日本と同じ。天気図を見てもどうも全体の流れがうまくつかめず、前線の動きがわかりません。2016年までには慣れるものでしょうか?
●日本選手の成績
○RS:X 女子(15カ国・22艇参加/本日2レース)
18位 須長 由季(ミキハウス)
16-15
●大会サイト:http://www.aquecerio.com/en/competitions/international-sailing-regatta-2014
▲ビーチへ戻る須長。報道されているほど、水は汚くありません。
▲河野会長が視察のためレース会場へ到着です。
▲吉田・吉岡艇は計測をクリア。
▲RS:X男子のスタート。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
ISR2014
▲山頂にそびえるキリスト像を背景にスピンランの牧野・高橋組。
サッカーワールドカップが終わり、少し静かになっていたリオデジャネイロで、セーリング競技のオリンピック・テストイベントが始まります。全競技の最初のテストイベントであり、2014年にテストイベントを行う唯一の競技ということで、ブラジルのリオ五輪への準備をうかがう大会として注目されています。
●日 程:
8月2日~3日:受付と計測
8月3日:RSX男女 レース初日
8月4日~9日:全種目レース開始
8月7日:RSXメダルレース
8月8日:49er、49erFXメダルレース
8月9日:470男女、Laser, Lsser Radial メダルレース
●開催地:ブラジル・リオデジャネイロ グアナバラ湾 Marina da Gloria
●出場選手:
○470男子
土居 一斗・今村 公彦(アビームコンサルティング・九州旅客鉄道)
松永 鉄也・吉田 雄悟(スリーボンド)
○470女子
吉田 愛・吉岡 美帆(ベネッセ・ホールディング)
○49er
牧野 幸雄・高橋 賢次(トヨタ自動車東日本)
○49erFX
波多江 慶・大熊 典子(豊田自動織機)
○Laser
安田 真之助(宮津高等学校・教員)
南里 研二(アルバトロスヨットクラブ)
○Laser Radial
土居 愛実(慶応義塾大学)
蛭田 香名子(豊田自動織機)
○RS:X女子
須長 由季(ミキハウス)
●帯同役員:
斉藤 渉、斉藤 愛子(以上、JSAF)、岩井アンドレ(アビームコンサルティング)
●帯同コーチ:
中村健次、飯島洋一、宮野幹弘(以上、JSAF)
石川裕也(トヨタ自動車東日本)、Arthur Brett (オーストラリア)
●大会サイト:http://www.aquecerio.com/en/competitions/international-sailing-regatta-2014
準備は整いました
日本でもグアナバラ湾の水質や河川からのゴミがひどいことが報道されていましたが、現場へ来てみると湾の奥は水がよどみ、ひどい状況のようです。しかしながら、1週間ほどレース海面で練習しましたが、湾の出口には外のきれいな水と入れ替わる複雑な速い潮があり、イルカが泳ぐほどでした。水質よりも、レースエリアの読みきれない潮をどう攻略するかが、選手の大きな課題となっています。
リオデジャネイロは日本から見ると地球の真反対になり、移動にも艇の輸送にも時間がかかりました。到着した選手も欧州のように簡単に時差がとれず、26時間かかる飛行機での移動が厳しいようです。しかしながら、日中の気温が25度前後、朝晩は涼しいリオの気候は過ごしやすく、7月26日に到着した後に470チームは3日間レースに参加しました。輸送した艇も無事に受け取れ、準備は整いました。
エリアは5つ
五輪本番は湾の橋のたもとにあたる「Ponte」、中央の海軍学校脇に設置する「Escola Naval」、Flamengo Beach正面にはメダルレースも実施する「Pao de Acucar」、湾の外の2海面「Niteroi」と「Copacabana」、合計5海面で日替わりに2~3レースを行います。大会運営は五輪本番の練習としてレース運営をしますが、参加各国はレースエリアの情報収集とリオの海面攻略策を練るために時間を費やしています。各種目をどのエリアで実施するかは固定されませんので、エリアをシャッフルされることに慣れなければなりません。
日本からの参加は7種目10艇です。8月9日の終了まで、できるだけ多くの種目がメダルレースに残り、チーム全体で広いエリアの情報を共有できるようにすることが目標です。メダルレースのエリアは正面にシュガーローフ、フラメンゴビーチを見上げると山頂にキリスト像が見える絶景です。リオへ向けての最初の1歩となる大会ですので、地球の反対側から、日本チームが表彰台にあがれるように応援してください。
▲3日からレースが始まる須長は計測中。
▲ラジアルのアーサーコーチからリオの情報を得る470の吉田・吉岡組。
▲コーチボートは現地でチャーターした5mの軽いハードボート。
▲毎日、海面のゴミを収集する船がでています。
▲Marina da Gloriaから出艇する蛭田(左)と土居愛実(右)
▲シュガーローフへ向かってスタートするのは波多江・大熊組。
▲リオ中心部に近いMarina da Gloria
▲このコンテナは2016年のオリンピック本番が終わるまでリオに置きっぱなしです。
▲チーム全員でブラジル料理のシュラスコを食べながら、チームの意識を高めます。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)