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Multihull Evaluation-2

ISAF 2012Women’s Skiff and Mixed Multihull Evaluation

ISAF 2012 女子スキフ&男女混合
マルチハル艇種選定エバリュエーション

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Report:オリンピック特別委員会

女子スキフ&男女混合マルチハルの艇種 査定・評価イベント 終了
日本女子にも世界に勝つ可能性大のスキッフ艇
求む女子スキッフセーラー

開催地:スペイン・サンタンデール
期 間:2012年3月17~25日

JSAF派遣代表セーラー:中村健次(NC)・谷口めぐみ

3月17日~25日にスペイン・サンタンデールで開催されたISAF 2012 女子スキフ&男女混合マルチハル艇種選定エバリュエーション(評価)は、9日間のプログラムを経て、無事終了しました。

期間中は主に軽風のコンディションで3日間ほど無風のためセーリングができない日がありましたが、その時間を利用し、MNA代表セーラーたちが集まってそれぞれの艇種の評価あるいはディスカッションと9日間で可能な限りのエバリュエーション作業を行いました。

【エバリュエーションを終えて、中村健次NCコメント】
五輪種目がロンドン五輪での男子6種目・女子4種目から、2016年リオ五輪では男女種目が平等になりました。男女の種目平等化により、女子セーラーの五輪大会へのチャンスが増えたことになります。
 今回の女子スキフ艇種エバリュエーションには23か国から女子セーラーが集まり、様々な条件でセーリングを行い、五輪に相応しい艇種選びを行いました。
走らせるだけでも難しい艇、ストレートラインは速いけどタッキング、ジャイビングなどのマニューバリングが難しい艇、一度、悪天候になったらレースどころではなくなってしまう艇もありました。前半の内海(フラットな海面)では各国の選手はよりチャレンジングでスピードの速い艇を希望していた様ですが、一度外海(波のある海面)では、艇を上手く走らせることが出来ず、何度も沈をするケースが有り、次第に艇選びに対しての考え方が変わって来た印象があります。
 私はNCの立場からこのイベントに参加するにあたっては『メディア受けする』『スピード感のある』『チャレンジング』のテーマ+『安全性の確保』を念頭に置き、各艇を試乗しました。ISAFにも日々試乗艇のレポートを提出していましたが、最終日の総括レポート提出には上記4つのテーマを考慮して自分なりの艇選び(順位づけ)を行いました。
 今回、私のクルー(パートナー)をつとめてくれた谷口さん(日本人女性の平均的体型)にも毎日感想を聞いていましたが彼女は「もし、私が大学を卒業時にこのような女子スキフ種目があったら五輪にチャレンジしたい」「今回、乗っていて楽しかったけど、もっと体力があればさらに楽しいだろう」とのコメントでした。上手くセールトリムや動作ができると速く走りかつ快走感が得られるからなのでしょう。
 イベント終了にあたり、①現時点では国際的にスキッフを乗りこなす女子選手が少ないこと、②ダブルトラピーズのため、身長がなくても体力があれば世界で十分通用する選手が育つ可能性があると感じると共に、是非日本の女子セーラーにもチャレンジしてもらいたいと強く思いました。また、2016年女子スキフ採用に伴い、指導者のスキフ種目の『特性理解、指導方法、安全確保』なども合わせて推進して行かなければならないと感じています。
エキサイティングでクールな女子スキフがメディア露出のきっかけになり、セーリングスポーツにさらなる脚光が浴びることができれば幸いなことだと思います。


【今回の女子スキフ艇種エバリュエーションに参加した6艇種の紹介】

RS900(RS Sailing)
女子スキフ艇として開発。艇内での動きやすさを重視し、ウイングは幅を広くとったソリッドウイング。メインセールと比較してジブセール面積が大きく、パワーポイント(セールセンター)を下にさげている。スプレッダーは、クルーの体重に合わせられるよう調節できる。

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Mackay FX(Mackay Boats)
49erのプラットフォームでリグを軽目のウェイトとパワーにデザインされたもの。
ハル、ウイング、フォイル、ポール、ブームは49erクラススタンダードのパーツを使用。
マストとセールのみ新しくデザインされ、それにジブとスピンシートのターニングブロックがひとつ加えられ、リグとセールはターゲットクルーウェイト(120kg)に見合い、全てのコンディションでボートバランスが保てるようにデザインされている。
メインはヘッドの幅が広げられ、マストはそのヘッドが機能するよう中央部にカーボンを少し加え、ミッドリーチが全ての風域でコントロールが保てるようなデザイン。メインのバテンは5本。マストのトップとボトムチューブはそれぞれ49erより450mm短いが、スプレッダーと全てのマストフィッティングは49erと同じもののため、両艇種間でスペアパーツ等の併用が可能。

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Hartley Rebel(Hartley Boats)
18ftのミニチュア版。全体的に軽さを重視したデザイン。ウイングはネット形状。艇の厚みがあり、ウイングも水面から高めに設置されている。ジェネカーは二つ折(通常三つ折)でスピンソックスに収納されているため、ジェネカーハリヤードは軽いが、スピンソックスがコックピットの後方まで来ている。センターボードとラダーは長めで、ラダーにはティラーが軽量化のため固定されている。今回のエバリュエーション艇の中ではマストが最長。メインセールに加えてジブセールもスクエアヘッドの形状となっている。

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29erXX(Ovington Boats)
29erのハイパワーリグ版。オールカーボンのマストは29erマストより450mm長く、ツインスプレッダー、ダブルトラッピーズワイヤー、3セットのシュルードが特徴。各レールからカーボンチューブが後方へ伸びていることから、クルーがより艇の後部へ体重がかけることが可能で、バウを水面から上げられる。セール(メイン、ジブ、ジェネカー)は29erのものより約6平方メートル大きい。ハル、ブーム、ポール、センターボード、ティラーは29erのものと同様。艇のサイズが小さ目のため、接水面積が小さい。

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AURA(Ovington Boats)
女子スキフ艇として開発。ハルデザインが特徴的。水線長をさらにかせぐため、バウがフォアステイよりも約40cmほど前に出ている。また、バウにボリュームをつけ、ノーズダイブを防ぐ設計となっている。ウイングは四角い一体型。フォイルは細くて長めの形状。新感覚の艇。

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ARUP
サイズが小さく、ハルも細くて軽い設計となっている。ラダーはTフォイルのため、ピッチングを抑え、艇速を維持することが可能。

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2012年ISAF女子スキフ・エバリュエーション参加艇スペック(2012年3月時点)
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2016年リオデジャネイロ五輪 セーリング競技新種目
女子スキフ&男女混合マルチハルの艇種 査定・評価イベント
スペインで始まる

開催地:スペイン・サンタンデール
期 間:2012年3月17~25日

JSAF派遣代表セーラー:中村健次(NC)・谷口めぐみ


1203_2012multihull_evaluation-01.jpg▲スペイン・オリンピックセーリングセンター【イベント基本情報】

2016年ブラジル・リオデジャネイロ五輪(8月5~21日) セーリング競技に新種目として導入が検討されている女子スキフと男女混合マルチハルの艇種を選定するエバリュエーション(評価)です。

オリンピック特別委員会は、女子スキフ艇種を査定・評価するために、上記2名を日本代表として派遣しています。

このエバリュエーションでは女子スキフ6艇種と男女混合マルチハル7艇種が査定・評価されます。

エバリュエーションでは、ISAFのテクニカルメンバー、ISAF艇種選定コミッティーメンバー、そして各国MNAからの代表セーラーにより、艇のデザイン・構造、マニューバリングの容易さ・乗りやすさ、そしてコストなどあらゆる面の客観的評価が行われます。

今回とりまとめられた各艇種の評価レポートは、5月3~6日にイタリア・ストレサで開催される2012 ISAFミッドイヤーミーティングにてイクイップメントコミッティーとイベントコミッティーに提出され、それぞれ協議された後、最終的にISAFカウンシルで各種目の具体的艇種が決定されるはこびとなります。

エバリュエーションには23か国44名のMNA代表セーラーが参加しています。
(参加国:オーストラリア、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、スペイン、英国、ドイツ、ギリシャ、グアテマラ、イタリア、オランダ、ノルウェー、ニュージーランド、ポーランド、ロシア、シンガポール、スイス、スウェーデン、タイ、米国、日本)
毎日午前(10時~12時)・午後(14時~16時)と2つのセーリングセッションが行われ、各MNA派遣セーラーのチームは各セッションで2艇種、各艇種45分ずつセーリングを行います。乗船艇種は毎朝のブリーフィングで通達され、乗船前にボートメーカーと質疑応答を行い、出艇します。
1203_2012multihull_evaluation-02.jpg▲艇庫内の女子スキフ艇セーリング内容は出艇・帰着、基本マニューバリング(タッキング、ジャイビング)、レース形式のコースセーリング、フリーセーリング形式のコースセーリング(アップウィンド、リーチング、ダウンウィンド)、転覆/転覆からのリカバリーです。午後のセッション終了後、各国MNAセーラーはその日乗船した艇種の評価を分野別(出艇・帰着、艇の構造・リグ・フィッティング、基本マニューバリング、アップウィンド・リーチング・ダウンウィンド、転覆/転覆からのリカバリーなど)3段階のスコアリング(良い・普通・悪い)形式のアンケートとコメントで評価を行います。

1203_2012multihull_evaluation-03.jpg▲評価初日にHartley Rebelを試乗する中村・谷口組



【中村健次NCコメント】

1203_2012multihull_evaluation-04.jpg▲評価対象艇を確認する中村NC「IOC(国際オリンピック委員会)の思惑(テレビに放映されない競技は五輪には残れない)に沿うべく、(セーリングを五輪競技に残すため)ISAFは種目の見直しを行い、『見せる種目』の導入を2000年から開始し、同年にはあのエキサイティングな49er級が採用されました。その後男女平等化も併せて検討され、2007年に第1回目のエバリュエーションが開催されました。その時は470級女子との種目争いがあり、日本としては未知の世界であるスキフの導入には反対していました」
「昨年のサブミッション(五輪種目選定委員会)で2016年五輪に470級男子・女子がそれぞれの種目として残ったことは日本にとっては幸いでした。そうしたこともあって今回のイベントには新たな気持ちを持って参加しています」
「女子スキフ採用にISAFはビルダー(造船所)に対し2つの要望を出しています。1つ目は110kg~130kgの体重で十分に乗れること、2つ目は価格についてです。この2つの要望に対しビルダーはレベルの高い選手にテストライダーを依頼し、アイディアを出して艇を造り上げ、今回のエバリュエーションに挑戦している様です。しかし、プロトタイプの艇であること、クラスルールの無い未完成な状態であることには変わりがありません。艇の艤装や各ビルダーと話をしていてもそれを強く感じました」
「昨日(初日)は2種類の艇に乗る予定でしたが、初めは無風に近い状態でのセーリングから一気に20ノットオーバーの風が入り、艇のパフォーマンスを判断する事が出来ない状態で、半分近くの艇が曳航され帰ってくるような状況のため、2艇目のテストが出来ませんでした」
「今回はじっくり試乗をして、自分たちなりのレポートを行うつもりです。結果として日本人に合った艇選びが出来たら、470級に次いでメダル争いの出来る種目が誕生するのではないかと考えています」

【参加艇種&メーカー】

●女子スキフ(艇種名:ボートメーカー名)
① 29er XX – Ovington Boats
② Aura – Ovington Boats
③ ARUP Skiff – ARUP
④ Hartley Rebel – Hartley Boats
⑤ RS 900 – RS Sailing
⑥ Mackay FX – Mackay Boats

●男女混合マルチハル(艇種名:ボートメーカー/代表者名)
① Hobie 16 – Hobie Cat
② Hobie Tiger – Hobie Cat
③ Nacra F16 – Nacra Sailing International
④ Nacra 17 – Nacra Sailing International
⑤ Spitfire S – Sirena Voile
⑥ Tornado – International Tornado Class Association
⑦ Viper F16 – Australian High Performance Catamarans (AHPC)

1203_2012multihull_evaluation-05.jpg▲各国から集まったMNA代表者たち1203_2012multihull_evaluation-06.jpg▲評価初日にHartley Rebelを試乗

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