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最終日


Japan 470 Championship 2012

2012年度 第41回 全日本470級ヨット選手権大会
兼 第26回 全日本女子470級ヨット選手権大会
JSAF2013年度国際470級ナショナルチーム選考レース
2013年国際470級ジュニア世界選手権大会代表選考レース

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Report中村健次(JOCナショナルコーチ・JSAFオリ特)
Edit:オリンピック特別委員会 広報



男子・松永鉄也 念願の初優勝!
女子・近藤 愛 圧勝!


1211_470C-13.jpg▲優勝を決めたレースでも堅実なコース取り:松永・吉田組1211_470C-14.jpg▲女子圧勝、総合3位近藤・深沢組大会4日目(最終日)
決戦の最終日となりました。朝からよそよと北寄り4ノット程度の風を感じましたが、昨日よりも強い潮流の影響から艇が進まないと判断し、陸上待機となりました。しばらく待機のあと、昨日と同じ60°の風が徐々に入り、8ノット程度まで上がった段階で出艇。そのあと、レース海面に到着した頃には安定した10ノット~12ノットが入り、待望のトラピーズコンディションになりました。

優勝に向け万全な展開で最終日を迎えた松永・吉田組(スリーボンド/アビームコンサルティング)は、今日の1レース目で原田・今村組を若干意識したようなポジションで本部船寄りからスタートしていきました。上マークは松永組が先行する形での回航となり、そのまま原田組との差を広げ、また後続を引き離す形で今大会4回目のトップフィニッシュを飾りました。これで、最終レースをカットにしても逆転される可能性が無くなり、松永・吉田組の優勝が決まりました。
松永は念願の初勝利となり、こちらにも喜びが伝わってきました。クルーをつとめた吉田は3回目の優勝です。出場メンバーの中では、自他ともに実力と経験に勝り、優勝を期待された中、プレッシャーを楽しみつつセーリングしていた様子を感じました。終わってみれば、スコアが抜き出た形での優勝となりましたが、シリーズを通して決して楽な展開では無かったように思います。アップウインドでこうむった多少の遅れも、得意なダウンウインドの利を活かし、しっかりと判断をし、確実にフィニッシュ順位をあげたことによる結果ではないでしょうか。

女子はオリンピアン近藤組の圧勝という形で存在感を見せつけました。高校生セーラーをクルーに起用して、総合でも3位に食い込みました。実力は男子と互角で随所にトップ争いを演じるシーンが見られ、特に軽風域での走りはさすがの健在ぶりをアピールしました。

一方、今大会では次世代の選手の発掘・育成も課題であり、これについては現在オリ特の急務のテーマとして鋭意取り組んでいるところです。総合4位に入った土居・外薗組(日本経済大学)の走りには光るものがありました。今後の活躍に期待が持てます。
今大会の上位メンバーは、まだリオデジャネイロ五輪に向けたチーム編成が固まっていない組がほとんどです。今回の男女2013年NT枠に入った各2組のうち、日本経済大学の女子組・波多江・畑山組(総合13位、女子2位)以外は確定コンビではないために、今後ナショナルチームの権利について辞退する可能性があります。その場合には、スキッパーの自己推薦でのナショナルチーム選定を行うこともオリ特では考えています。
今大会以降、選手達はあらゆる可能性を探り、次へ向けた準備を進めてほしいと思います。我々もそれに対応するべく選手らの育成強化策を推進加速していきたいと考えています。

最後となりましたが、準備・運営に携わった皆様のご尽力により無事に大会を終えることができたことを感謝申し上げます。

参考:大会公式HPhttp://470alljpn2012.jimdo.com/
参考:日本470協会HPhttp://www.470jpn.org/index.html

1211_470C-15.jpg▲随所で接戦を演じた原田・今村組1211_470C-16.jpg▲優勝を決めてガッツポーズの松永選手
1211_470C-17.jpg▲今大会一番良い風10ノットオーバーでのスタート

3日目


シフティな風ながら、
中風域で決勝シリーズ5レース消化
男子・松永鉄也組 一歩リード、
女子・近藤 愛組 男子顔負けの総合3位につける


1211_470C-09.jpg▲最終レーススタート松永組のスタートダッシュ大会3日目。
朝から12ノットの北東風が吹いており、ほぼ定刻通りに出艇。朝のブリーフィングで「できるだけレース数を消化する」と、レース委員長からの説明もありレース委員会の意気込みが伝わってきました。結果的には本日だけで5レースを消化することができました。

今日から、ゴールドとシルバーフリートに分かれてのレースです。前日よりも風が上がったといえ、相変わらず潮の影響を受けている様子が見られました。60°前後の軸で安定はしていましたが、島の影響で時より大きくシフトして風の強弱が出る難しい海面となりました。1上順位を大きく崩さないこと、ダウンウインドで確実に順位を上げることが勝敗のポイントであったように思います。

前日同点だった松永・吉田組と原田・今井組の直接対決は、シフティな風に苦戦しながらも2-3-1-1-2と順位を安定させた松永組に対して、8-(19)-2-3-1の原田組が最初の2レースを崩す形で点差が広がってしまいました。松永組はカットレースを作っておらず、優勝へ向けて一歩抜け出した戦いを続けています。しかし、最終日のレース数次第では何が起きるかわかりません。両雄の戦いから目が離せません。
そんな中、各レースでは見応えのあるレースが展開されました。1レース目でトップフィニッシュしたのは、日本経済大コンビの土居・外薗組[1-4-5-(20)-3)]でした。随所にオリンピアン同士の戦いの中に割って入っていく光景が頼もしく見えました。(20)以外は安定して上位を走り、3位につけています。今後に大きな期待が持てます。
その他でも、若干風の落ちた第4レースで、先行する松永組を2上で女子の近藤組が捉え、接戦となったり(土居組とタイの総合3位)、また最終レースでは現役コーチの関が1下までトップをキープし、フリートをリードしたりする光景が見られました。(総合8位)

3日間のスコアで見れば実力派選手たちが上位を形成していますが、シフティな海面だけに各選手にもチャンスが回ってくる局面は大いにありです。タクティクスと瞬時の判断力が問われますが、確実に順位をあげることができる術を習得してほしいと願っています。

 明日は最終日。松永組が一歩優勝に近づいているように見えますが、油断は大敵です。各選手の最後まで諦めない白熱したレース展開を期待します。

参考:大会公式HPhttp://470alljpn2012.jimdo.com/
参考:日本470協会HPhttp://www.470jpn.org/index.html

1211_470C-10.jpg▲メダリスト関・轟組、ロンドン代表原田組とのトップ争い1211_470C-11.jpg▲日本経済大学土居・外薗組トータル3位につける
1211_470C-12.jpg▲松永組と近藤組フィニッシュ直前までトップ争い

2日目


微風+潮流に悩まされた2日目
予選シリーズを終え、男子・原田龍之介組、
女子・近藤愛組が首位に立つ

1211_470C-05.jpg▲大混戦となった第3レースの下マーク回航シーン大会2日目。
雨のち雲、今日も風無く初日同様陸上待機で一日が始まりました。
正午のタイミングで西北西の風が入り始め12:15に回答旗が降下、いざ出艇。結局2レースを行うのがやっとの状況でした。
比較的安定した290°の風向で13:15にスタートを試みましたが、追い潮1ノット強の影響でゼネラルリコールを何度も繰り返し(「ブラックフラッグ」でもほとんどの艇がリコールする状況で、AP旗掲揚で回避する始末)、最初のグループがスタートしたのが14;05となり時間を大きく取られてしまう状況でした。こうなるのも、潮流の影響を理解できない選手が多いということなのでしょう。残念なりです。

1レース目は結局10ノット前後の風から5ノットまで弱くなり、下マーク近くでは案の定、潮(向かい潮)の影響で大混戦。多くの艇がマークタッチする大変な状況になってしまいました。
2レース目はさらに風が弱くなり5ノットから3ノットまで風が弱くなってしまいました。
そんな状況の中でロンドン五輪代表の原田/今村(大学の先輩/後輩)組が潮流の有利な左サイドのコースを使い最初のマークから他艇を寄せ付けずトップフィニッシュ。次のフリートでは女子チームの近藤/深沢組が今シリーズ初のトップフィニッシュを果たし、ロンドン五輪の男女ヘルムスマンの揃い踏みとなりました。

 大会2日目を以って予選シリーズは終了。安定しない微~軽風での予選でしたが、ナショナルチーム経験者やオリンピアンなどの実力者はしっかりと上位にとどまり、コンディションに左右されない実力を見せつける形となりました。
 予選シリーズの首位はロンドン五輪代表ヘルムスマンが舵を取る原田/今井組、同ポイントの2位に北京五輪代表ヘルムスマンとロンドン五輪代表クルーがコンビを組んだ松永/吉田組がつけるという白熱の様相となっています。3位にはリオを狙う若手コンビの飯束/八山組が5ポイント差で追走。4位には女子1位の近藤/深沢組が、さらにアテネ五輪銅メダリストチームの関/轟組が8年のブランクを感じさせない走りで4位と同ポイントの5位につけました。

 明日からは決勝シリーズが始まり、ゴールドフリートとシルバーフリートに分かれての戦いとなります。天候は雨が予想されていますが、風はそこそこ期待できそうなので、ナショナルチャンピオンシップに相応しい戦いが見られるかもしれません。

参考:大会公式HPhttp://470alljpn2012.jimdo.com/
参考:日本470協会HPhttp://www.470jpn.org/index.html

1211_470C-06.jpg▲失点6ポイントで予選シリーズ首位に立った原田・今井組1211_470C-07.jpg▲ロンドン五輪代表の原田・今井組(左)とアテネ五輪銅メダリストの関・轟組が交錯
1211_470C-08.jpg▲潮と軽風で第2グループのトップが第1グループに追いついてしまった

1日目


大会初日 微風の1レースを消化
長い待機時間中 オリンピアンによる
陸上トークセッション開催


1211_470C-01.jpg▲スタートダッシュのJPN12松永・吉田組大会初日、高松は薄い雲に覆われ、期待したよい風が吹いてきませんでした。
午前から14時半過ぎまでAP旗掲揚が続きました。レース運営側は1レースでも実施したいと言う思いで海上での風のチェックを絶え間なく行っていました。片や陸上では待機が長く選手も次第に時間を持て余す状態が続いていました。午後に入り、時間を有効に使おうとの470協会側からの提案で、今大会に駆けつけた歴代の全日本チャンプ、オリンピアンによる実艇5艇を使い5グループに分かれ艇の整備や艤装についての即席講習会が開かれました。選手たちは食い入るように彼らの話を聞き、質問を浴びせるなど午前のダラダラ感を吹き飛ばす有意義な時間を過ごすことができました。

ようやく風の気配がし始め、14時44分に回答旗が降下され、選手たちは一気にレースモードになりました。今回の大会は77艇のビックフリートですから2グループに分けてコースセット70°、4~7ノット、風の強弱はあったものの大きなシフトは無い条件、潮流は変わり目の時間帯のため比較的弱く0.3ノット程度の向かい潮の中で1レースを実施しました。

1グループ目のトップは出道/東野組(同志社大学OBチーム)、2グループでのトップはNT同士でコンビを組んだ松永/吉田組(スリーボンド/アビームコンサルティング)でした。 
弱い風でのレースでしたが、この2チームがトップフィニッシュ出来た一番の理由はスタートからの飛び出しだったと言えます。当然、ストラテージやボートスピードの優劣もありますが、今日は間違いなくスタートで勝敗が分かれたと言えます。
初日はゆっくり全体のフリートを見て有望株を探すつもりがありましたが、微風の1レースだけでしたのでそれも叶いませんでした。とくに論評する内容もないまま初日が終わってしまいました。

明日もどうやら軽風域の予報です。なんとかよい風が吹き、多くのレースができることを期待するばかりです。

参考:大会公式HPhttp://470alljpn2012.jimdo.com/
参考:日本470協会HPhttp://www.470jpn.org/index.html

1211_470C-02.jpg▲レースは日没直前まで繰り広げられた1211_470C-03.jpg▲風待ち(陸上待機)
1211_470C-04.jpg▲メダリスト関選手の艇の整備・艤装についてのレクチャー

470C


2016年を見据えた470級NT選考大会
歴代チャンプを迎え、22日からレース始まる


大会期間 : 2012年11月21日(水)〜 11月25日(日)
会  場 : 香川県高松市立ヨット競技場(高松市浜ノ町67-1)
参加艇数:77艇(過去5年の中で最大エントリー数)
大会公式HP:http://470alljpn2012.jimdo.com/


香川県高松市において2013年470級ナショナルチーム(NT)選考・2013年国際470級ジュニア世界選手権大会代表選考が開催されます。
NT数は男女共に2チームを選考します。http://jsaf-osc.jp/cn06/pg20-28.html
一方、ジュニアワールド代表は昨10月に開催された江の島オリンピックウィークで男女共に1チームが選考されました。http://www.f-ssc.com/eow2012j.htm
本来であれば和歌山インターナショナルレガッタ(10月)でも男女各1チームを選考する予定でしたが、大会が成立せず本大会をジュニアワールド選考大会とすることとしました。

四国での全日本470選手権が開催されるのは史上初とあって、地元高松は大いに盛り上がりを見せています。瀬戸内海に位置する高松は普段比較的弱い風ですが、11月には中風域も期待できそうです、この週末にかけては前線の影響で強風も期待できるかもしれません。
高松のコンディションで忘れてはいけないことがあります。潮流が速いことです。会期中は暦では小潮ですが、最大1.2ノット近くの流れもありそうです。いずれにせよ、風を掴み、潮を上手に利用したチームが上位を走ることになると思います。
また、本大会から過去の全日本470チャンピオンは予選なしで大会に出場できるレギュレーションを適用したため、大会には2004年アテネ五輪メダリスト艇の関・轟組(トヨタ自動車東日本)を筆頭に多くの全日本チャンプが参加をしています。
http://470alljpn2012.jimdo.com/entry-list/
そのこともあってか、エントリーは77艇に及び、久々のビックフリートとなりました。
明日からのレースが楽しみです。

参考:日本470協会HPhttp://www.470jpn.org/index.html

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