最終日
Japan Laser Radial Championship
2012年度 レーザーラジアル全日本選手権
併催 JSAF 2013年度 レーザーラジアル級ナショナルチーム選考会
Report:飯島洋一(JOCアシスタントナショナルコーチ・JSAFオリ特)
Edit:オリンピック特別委員会 広報
土居愛実 全日本3連覇 2013年度NTの座を確保
総合2位にユースの北村勇一朗 3位に冨部柚三子
大会3日目
2012年全日本ラジアル選手権最終日。昨日までの成績を元にゴールドフリートとシルバーフリートに分けてレースが行われました。
一見ダントツに見える土居愛実ですが、帆走指示書によると決勝レースでは捨てレースができないので、そのほかの選手にも十分逆転のチャンスがある状況です。風はいつもの様に30°前後で6~10ノット。その風でゴールドフリートはスタートが切られました。第1マークに向かう途中、風に強弱が現れ始め上マーク付近ではどちらサイドの選手がトップに立つかわからない状況でした。そんな中、最初に第1マークに現れたのはユース北村(浜名湖フリート)でした。彼は突如として現れた新星、高山大知(別府フリート)には負けられないと、朝から気合十分でした。右、左と強弱のあるレースエリアを上手に縫って素晴らしいコース引きでフリートをリードします。女子選手は原田(長崎フリート)が3位で上マークを回航。土居はなんと30位と大きく出遅れました。男子ユース・北村の優勝か?原田のNT入りは確実かと思われましたが、ますます不安定になって行く風に各選手は翻弄されます。北村はリーチングレグで42条のペナルティを受け、一方の原田は2回目のクローズホールドで大きく順位を落とします。そんな波乱を尻目に土居は徐々に順位を上げ10位でフィニッシュを決めました。北村は6位でフィニッシュ。
運営側は引き続きレースを行おうとしますが、右に左に振れる風は更に弱まり、最終の14:00ギリギリに南の風でスタートを敢行しましたが、あえなくゼネラルリコール。ついにAP&A旗(本日のレースはおこなわない)掲揚となってしまいました。
結局、最終日は1レースのみ。結果、最終レースで30位から10位へと意地を見せた土居が3連覇を成し遂げました。ロンドン五輪を終え、しばらく充電(学業)をしていましたが、11月上旬からこのレースに向け学校帰りに江ノ島に通い練習を重ねていた成果が現れました。今大会は風が不安定でコースを引くのは難しかったと思います。彼女も第1マークを出遅れる事も多々ありました。ただ、彼女だけはどんなにコース取りで失敗してもきっちりマーク回航をして後続艇を離す、先行艇に追いつく、ことができていました。改めて基本の大切さを教えられたレースでした。総合2位はユース北村が入りました。ニューフェイス(高山)の登場で顔つきが変わりました。最終レースのトップ回航は今年度のISAFユースワールド日本代表の意地を見せたかのようでした。
今大会の成績により土居は2013年度JSAF・NT、2013年ラジアル女子世界選手権、U21世界選手権の権利を獲得しました。また、ユース2013年冬季海外遠征(オーストラリア/タスマニア)権利獲得者は北村勇一朗、高山達矢、多田緑の3名に決定しました。
今大会は女子選手らのリオ五輪にかける意気込みと新星の登場で活気づいたユースの力を見ることができたレガッタでした。今後もそれぞれが切磋琢磨して、今大会のような熱のこもったレースが続けられていけば必ずや世界選手権で多数の日本選手が上位に入ることができると信じています。皆の頑張りに心からのエールを送ります。
■成績:http://www2.plala.or.jp/enoshima_fleet/2012radial_result23.pdf
1位 土居 愛実 (江の島フリート) 3−1−1-1-6-1-10 17点
2位 北村 勇一朗(浜名湖フリート) 12-4-3-3-1-5-6 22点
3位 冨部 柚三子(逗葉フリート) 6-2-8-7-2-3-5 25点
4位 田畑 和歌子(江の島フリート) 8-1-6-2-7-6-9 31点
5位 蛭田 香名子(津フリート) 1-9-14-3-9-8-4 34点
▲大健闘のユース北村
▲冬季オーストラリア遠征権利獲得高山(兄)
▲3連覇を成し遂げた土居
2日目
ユースの高山と北村が大健闘
独走の女子・土居に続く2、3位に進出
▲大爆発ユース高山今日の江の島は期待とは裏腹に風は強く吹かず、前日と同じような8~14ノットの風で3レースが行われました。風は20~90°へと行ったり来たり、選手はもちろん運営陣も頭を悩ませた一日でした。
今日の主役は前日女性陣にコテンパンにやられたユース選手です。高山 大智(別府フリート)2-1-2、北村勇一朗(浜名湖フリート)3-1-5と健闘しました。高山は驚くことに中学校3年生です。共に総合成績を2位、3位と順位を上げました。
「今日はよかったです。コースも当たりました。左に突っ込んだらいい風がきました。あとはハイクアウトを一生懸命頑張りました」(高山)
「土居さんに負けない様に懸命に走ります」(北村)
2日間の総合トップは今日の走りで心が少し落ち着いたのか、難しいコンデションの中1−6−1と丁寧にまとめた土居愛実がキープしています。一歩抜け出した感があります。4位の多田桃子以下の女子は文字通りの大接戦です。3点差の中に5選手がいます。
明日は最終日。これまでの成績を元に上位グループと下位グループに分け、決勝となります。風は弱めの予報です。さて、どんなドラマが待っているのでしょうか?
■成績:http://www2.plala.or.jp/enoshima_fleet/2012radial_result23.pdf
1位 土居 愛実 (江の島フリート) 3−1−1-1-6-1 7点
2位 高山 大智 (別府フリート) 3-8-7-2-1-2 15点
3位 北村 勇一朗(浜名湖フリート) 12-4-3-3-1-5 16点
4位 多田 桃子 (和歌浦フリート) 1-2-6-5-10-6 20点
5位 冨部 柚実子(逗葉フリート) 6-2-8-7-2-3 20点
6位 田畑 和歌子(江の島フリート) 8-1-6-2-7-6 22点
7位 原田 小夜子(長崎フリート) 2-7-4-6-10-3 22点
8位 長谷川 哲子(津) 18-6-3-4-6-4 23点
▲別府から遠征高山兄弟
▲レースのあとはBBQ!!
▲今日も朝から日が沈む寸前まで海の上です。
1日目
NTの座を争う女子5選手が上位独占
初日首位は土居愛実
大会初日の江の島は寒い雨まじりの天候でした。
エントリー69艇を黄色、赤、青、黒と4グループに分け、2グループずつレースを行います。23日、24日が予選。25日が決勝となり最終日の決勝は2グループに分けられてレースをすることになります。
出艇した頃は5ノット前後と弱かった風も徐々に上がり、第3レース目にはブローで16ノットまで上がりました。第3レースは女子選手には少し厳しいコンディションかな?と思いましたが、終わってみれば3レースを終えてなんと上位5位を女子選手が占めました。
彼女達に共通することは1上マークを10番以降で回航しても必ずシングルに上がり最終的にはトップ争いを演じていることです。その女子選手の中でもロンドン五輪日本代表の土居愛実が3−1−1とまとめトップに立ちました。
「実はレース前、優勝しないと!と思い過ぎてしまい、すごい緊張とプレッシャーがありました。レース前の江の島でのフリートレースや練習で田畑さんや冨部さんが速くなっていたこともプレッシャーや緊張の原因だったのかもしれません。スタート前は今までにないような緊張でした。でも、初日順位を上げる展開で3−1−1と走れてとりあえず心は落ち着きました。明日は今日よりも風が強そうなので、勝負の日になると思っています。気を引き締めて明日も頑張ります。」(土居)
土居に続くのは和歌浦フリートの多田桃子です。1-2-6。彼女はいつものとおりマイペースな走りで淡々とレースをこなし上位に食い込みました。
「疲れましたー。頑張りました。頑張りすぎて最終レースは腰が痛かったです。ところであたし何番ですかね?」(多田)
まさに男勝りという言葉が当てはまる彼女達のレース展開。成績表を見ると一見レディース全日本かと見間違えてしまいます。明日は今日よりも強めの風で行われます。
■成績:http://www2.plala.or.jp/enoshima_fleet/2012radial_result23.pdf
1位 土居 愛実 (江の島フリート) 3−1−1 5点
2位 多田 桃子 (和歌浦フリート) 1-2-6 9点
3位 原田 小夜子(長崎フリート) 2-7-4 12点
4位 田畑 和歌子(江の島フリート) 8-1-6 15点
5位 冨部 柚実子(逗葉フリート) 6-2-8 16点
▲今日は落ち着いてレースができた土居
▲2マークへ向かう艇団
Radial C
女子NTの座を目指して熱い戦い
23日からレース
■大会期間 : 2012年11月23日(金)〜 11月25日(日)
■会 場 : 神奈川県藤沢市 江の島ヨットハーバー
■参加艇数:69艇
■大会公式HP:http://www2.plala.or.jp/enoshima_fleet/2012_r_national_toppage.html
11月23日より江の島ヨットハーバーにてレーザーラジアル全日本選手権が開催されます。この大会は2013年同級ナショナルチーム(女子)選考会も兼ねていることもあり女子セーラー23名がエントリーしています。
ロンドン五輪出場後、大学(慶應義塾)に復帰し学業に専念していた土居 愛実(江の島フリート)が久しぶりにレーザーのレースにエントリー、ラジアル全日本3連覇を目指しています。走りの上手さは相変わらずです。また、同じく470級代表の田畑 和歌子(江の島フリート)が五輪後、ラジアルの活動を開始。リオ五輪を目指しエントリーしました。練習では体重を活かして強風のクローズをひた走っています。だいぶ慣れてきたようです。さらに、五輪日本代表最終選考会で最後の最後まで土居と代表の座を争った原田小夜子もエントリーしています。練習を見る限り、当時よりさらに力をつけた印象です。この他、多くの2016年リオ五輪を目指し活動を開始した女子選手がエントリーしています。
この大会は女子選手に限られているわけではないためユースから男子選手まで老若男女の多くのセーラーが参加しています。陸ではレーザーフリートらしいアットホームな雰囲気に包まれていますが、レースは熱くシビアに行われます。
NTの座を誰が獲得するのか?女子選手たちの熾烈な戦いが初冬の江の島沖で展開されます。ご期待ください。