中村NC総括
Women's Double hand boat test drive camp 2012
2012年女子ダブルハンド艇 試乗合宿
Report:飯島洋一(JOCアシスタントナショナルコーチ・JSAFオリ特)
Photo : オリンピック特別委員会
Edit:オリンピック特別委員会 広報
中村健次ナショナルコーチ総括
▲2艇でマークを回れるところまで進歩しました初日レポートに「この新しい試み、JSAFにとって意義ある合宿が始まりました」と記しましたが、まさに今回の合宿は全国女子セーラーの意欲をあらためて実感するイベントとなりました。
私はロンドンを目指した女子ダブルハンド艇の選手が次回リオ五輪にチャレンジする可能性が少ないと一昨年から分かっていたこと、それに加え、そもそも学生を終えてから世界に目を向ける選手が少ないことなどによって、日本女子セーリング界自体の盛り上がりが欠けていたことが気になっていました。そして、この危機感をなんとか打開しなくてはと昨年から女子インカレ等を視察し、選手の動向を確認するとともに有望選手の発掘に注力してきました。
そうした中、個人的に感じたことは「競技を続ける事より、先ずは就職を優先する」、「大学でのクラブ活動で燃え尽きその後のセーリングは趣味で続ける」と言う選手が多くいることでした。ということは、「もしかすると五輪というものが学生にとって身近ではないということではないか?」と思う反面、「もしかしたら何か伝え足りていないのではないか?」という思いが湧き上がり、今回のイベント開催を発案した次第です。
▲マークから3艇身程度でスピンアップができました。風速は10ノット前後合宿期間中、選手と会話をする中で、「自分が世界を目指すチャンスが有ると思っていない」、「自分にはまったく雲の上の話の様に感じている」、「どうやって対五輪活動をして良いか分からない」等々いろいろな事も分かりました。
今回の合宿は「小さい一歩」だったかも知れませんが、女子若手選手の気持ちが少なからず分かったような気がしましたし、機会を見つけ今後も継続的にこのようなイベントを行う必要性を感じると共に、可能性のある選手は全国各地に潜在しているとも思いました。
私のミッションは勿論、五輪で結果を出すことが一番ですが、五輪の素晴らしさや、チャレンジする気持ちを伝えることも大切なことだと再認識させられました。
短い3日間の試みでしたが、20名を超える女子選手たちは難しい新艇種に果敢にチャレンジしていました。この段階での技術論はともかくも、今回の合宿で、「今後、強化をして行けば十分世界で戦える選手がいる」ことも分かったことは大きな収穫だと思っています。
▲吉迫・畑山組のアップウィンド
▲吉迫・畑山組のダウンウィンド
▲近藤・吉岡組のアップウィンド
▲近藤・吉岡組のダウンウィンド
▲田畑・原田組のダウンウィンド
▲波多江・大熊組のダウンウィンド
▲飯島コーチに載せてもらっている松苗選手
▲飯島コーチに載せてもらっている柏原選手
▲浜田・吉岡組は大学4年生コンビ。イケイケの走りでした
▲浜田・大熊組のアップウィンド
▲浜田・大熊組のダウンウィンド
▲沈起こしもイメトレしたせいかスムーズになりました
▲470初挑戦のラジアル冨部選手。クルーでトラピーズに出ています
▲合宿の最後は感想と今後の意見をまとめてアンケートに記入をしてもらいました。
▲余裕のVサインは原田選手
▲全員集合。年末29日まで、貴重なセーリングを体験しました
2day
「みんなで強くなろう!」
女子力みなぎる頼もしい試乗合宿
▲2艇での走り合わせもして、FX乗りらしくなりました。イメトレの成果ありでしょうか試乗合宿2日目はあいにくの無風の中で始まりました。選手達は小雨の降る中、一刻も早く海に出たいと艤装を始めますが、風がありません。中村NCの発案でゲーム(チームブロック)が行われ、風を待つこととなりました。18名の選手を3グループに分け、小さなスペースに10秒間チーム全員が乗る事を競うゲームですが、寒さを忘れてしまうほど選手は夢中になっていました。このゲームはチームの中でアイディアを出し合い、到底6名が乗ることができない様なスペースに乗り続けるかがポイントです。やはりここでも470のNT選手がリーダーシップをとってチームをまとめていました。
その後、早めの昼食をとり海に出たところ皆が待望していた2~5m程度の風が吹いてきました。2日目になると各選手ともFXにだいぶ慣れて、見違えるように走れるようになってきていました。
470艇は昨日に引き続き吉田雄悟コーチをリーダーに近藤、吉迫、大熊の3NT選手も加わり学生の指導を行いました。選手達は世界レベルのテクニックを目で見て肌で感じ、有意義な時間を過ごすことができたと思います。
合宿はあと1日のみとなりました。この中からリオ五輪を目指す選手が現れることを期待します。
▲田畑、波多江の女子2人でのジャイブ
▲波多江が舵を持ち、田畑とポジション入れ替え
▲大学生ペアも弱い風の中で女子2人でジェネカーでのダウンウインドを走りました
▲風待ちの時間を使ってチームビルドを実施。7人でブロック2個の上に乗ります
▲ミーティングを行う中村コーチ
1day
リオ五輪を目指す女子選手ら
新種目 49erFX、470に試乗
▲あこがれのオリンピックセーラー(田畑)とのセーリングの澤田選手(高校生)年の瀬も迫った12月26日より29日まで和歌山セーリングセンターにて女子ダブルハンド艇(49erFX艇、470級)試乗合宿(http://jsaf-osc.jp/_userdata/2012_WDH_camp.pdf)が企画開催のはこびとなりました。
26日の午後に集合し、綿密なレクチャーを経て本日27日から試乗が始まりました。
この合宿には我々の想定を上回る多くの参加希望が寄せられ、オリンピアンから高校生まで22名のリオを目指す女性選手が和歌山に集まりました。参加選手の中には2012年470ナショナルチームの近藤愛、田畑和歌子、吉迫由香、大熊典子、レーザーラジアルナショナルチームの松苗幸希、原田小夜子の名前もあり、多くの選手が新しい五輪艇種に興味を持っているようです。
初日は北の風2~5mの絶好のコンデション。女子セーラーたちは新登場のジャジャ馬に果敢に挑戦していました。序盤は不慣れなこともあり、キャプサイズ(沈)を繰り返していましたが、海上には選手の笑顔が絶えませんでした。FXでは中村健次NCが直接FXに乗り込み指導を行い。ブランクを感じさせない見事なハンドリングを見せてくれました。
今回はFX艇だけでなく470艇の試乗も行われ、ロンドン五輪代表の吉田雄悟選手がスタッフとして参加し、実際に470に乗艇し技術指導を行っています。各選手とも吉田選手から直接指導を受けられるということで、目を輝かせながらセーリングをしています。
極寒の中、昼食後の休憩もほとんどとらずに再び海に出ていき、夕暮れまでセーリングしている彼女らをとても頼もしく感じました。
この新しい試み、JSAFにとって意義ある合宿が始まりました。明日からは天気が若干崩れるようですが、気合の入った女子セーラー達のモチベーションが下がることはありません。
▲49erのウイングを設定しながら説明
▲健次コーチは実演しながらの動作解説。トラピーズさばきが見事でした
▲クルーワークは飯島コーチが説明しました
▲キャプサイズしてもVサインの田畑選手
▲落水したクルーを助ける近藤選手
▲太陽に向かって、ちょっとオーバーヒール気味かしら? FXにチャレンジ中の富部と松苗