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470WC



2013 470 World Championships
50th Anniversary

470世界選手権
50周年記念大会

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Report &Photo:中村 健次(JSAFナショナルコーチ・470級)



メダルレース進出ならず
吉田愛・吉岡組 女子10位
松永・吉田組 男子13位


1308_470W-35.jpg▲C旗が掲揚され何度もマーク変更が行われた波乱の決勝最終日

 日本チームの2013年470級世界選手権が終了しました。明日のメダルレースに進出することができず残念ですが、これからの日本チームの課題が見えてきたと感じています。

 フリートレース最終日、運営側の不手際があり男子が14時25分のスタートとなりました。風の入りが右からでも左からでも270°近辺となるのがここラ・ロッシェルです。
 きょうは雲が多く雨雲も時折通過する少し肌寒い環境でした。雨雲と共に風の強弱、シフトが入る確率は右展開と言うのもあやしい状況になっていました。
 松永組・土居組とも上寄りからスタートをしますが、思う様に右に行くポジションが掴めず松永は左に行く事を決断します。「左からの雲の近づき方、中途半端に右集団を追いかけても前に行けそうもなかったこともありそう決断しました」(吉田雄悟)。この判断がスタートの失敗を挽回するよい結果を生みました。一方の土居は右海面に行けるチャンスを見つけレースの流れに沿いますが、不運なのか結果的にシフトの反対側になってしまい、後ろから5番手で上マークを回航です。その後、雨風による変化もあるなか、思い切り右側を攻めるチームに対し少し内側からコース取りをすることでオーバーセールした艇をパスし26位で順位を挽回しました。

1308_470W-36.jpg▲総合13位、松永・吉田組

 2レース目はやはり雲の影響で、今までの展開とは全く違いスタート直後から左シフト&パフで左サイドが大きくリードを広げる展開となりました。予選のレースからここまで左側が良かったのは初めてのことです。いつも右展開に付いて行けない土居組はポートで伸ばせるスペースを見つけ走らせますが、左5°→10°→15°~20°と一方的な左シフトのため大きく順位を落としてしまいました。松永組も同じく下側サイドからのスタートをしますが混戦のため数回のタックを繰り返します。ここでも、ここの癖を意識しながらも大きく海面を見ていた事が功を奏しトップグループで1マーク回航することができました。その後、航路権を持つ艇と接触、ペナルティーを遂行し順位を12位まで落としますが、2上での左展開で順位を盛り返し7位でフィニッシュしました。松永組は結果的にメダルレース進出となる上位8位以内には入れませんでしたが、総合13位は立派な順位だと思います。
 2発のリコールは悔やまれますが、それも彼らの「攻める姿勢」の表れです。これからも日本の470勢をけん引して行くチームであることに違いありません。一方のワールド初参戦の土居・今村組も総合26位に終わりましたが、健闘しました。松永組の背中を間近にみるにはまだ時間がかかりそうですが、これからの精進に期待します。

1308_470W-37.jpg▲女子総合10位で2013ワールドを終えた吉田愛・吉岡美帆組

 女子 吉田愛・吉岡組も昨日までの前日の11位からメダルレース進出を目指しレースに臨みましたが、場面、場面でのミスがあったことと、大きなクラゲ(いわゆる越前クラゲのような大クラゲ)に2度接触しラダーが上がってしまうアクシデントに見舞われ、そのロスが大きくレース展開に影響してしまいました。15-10の総合10位。新クルーを乗せた吉田愛の実力は健在です。既報(コンテナ海難事故)のとおり、急遽チャーター艇での参加で不具合も多かったと思いますし、とくにマストの硬さがこれまで使っていたマストよりも硬かったことが中風域で本人には常にオーバーパワーに感じ、今回のような10~14ノットの風でデパワーを余儀なくされたのは、ボートスピードのパフォーマンスを下げる原因にもなりました。自艇での参加ができなかったことに同情を禁じ得ません。


【シルバーフリートについて:中村健一コーチレポート】
 これまで経験したことを「最後のレースで出し切ろう」と臨んだ最終日。参加選手の誰もが同じ思いでレースに臨むためさらにレースはシビアになり、スタートでは潮の影響も何のその、ラインぎりぎりでの攻防が繰り広げられました。
 澤村・橋口組、中村・清原組はそうした思いとは別に苦しい展開で最終日を終えることとなりました。ジュニアワールド代表・日本経済大学の岩下・石井組が今日は2レースとも非常に良いスタートを決めたものの1レース目はファーストタックのタイミングが遅れ、集団に飲み込まれました。2レース目はファーストタックが決まり、クリアレーンで長いレグを走れたことで上マークをシングル回航しましたが、その後シフトを逃しまたもや集団に飲まれる形になりました。
 スピードが無いと思っていたが、クリアレーンで長く走ることでシングル回航できたことに「答えは簡単なのかもしれないです」とスタートでのポジショニングやファーストタックの重要さ、何よりクリアレーンを見つけるための「周囲の観察力とイメージの大切さ」を改めて実感したようです。
 レース結果は納得できないと思いますが、セーラーとしては非常に成長したことと思います。世界の走りを経験した彼らのこれからの日本のレースに注目です。

 中村健一レポートに付け加えますが、シルバーフリートの選手たちに言えることは、この大舞台にチャレンジし「満足のいく結果は残せなかった」と思いますが、日本でのレースと違い、世界には「こんなに速い選手」がいるという現実を体感できたことはもちろん、「これだけ速く走ることができる」という事実を肌で感じることができたことが何よりの収穫であり肥やしであったと思います。まさに「学ぶこと多い」の大会でした。中村健一もきのう書いていましたが「『よい経験』だけで終わってほしくない」の意味を胸に刻んでこれからもしっかり研さんに励んでほしいと思います。


 戦いを終えて、我々JSAFオリンピック強化委員会はまた「一歩前を見据えて」の判断をしなければならないと思います。そうしなければ世界には「到底ついて行くことが出来ない」からです。
 2016リオ五輪に向けた強化も当然ですが、その後を見据えた次世代選手の育成にも注力して行くつもりです。皆様のご期待に報いることが我々のミッションです。

 本日まで長期にわたりこのレポートを見て下さった皆様に御礼申し上げると共に、これからの活動を応援してくださいますようよろしくお願い致します。


【大会最終総合成績】http://www.srr-sailing.com/results-470-world-championships/
●男子:34か国・117艇(初日3レース終了時点・3グループ)
ゴールドフリート
○松永・吉田組[NT]
 13位 19(予選成績)-40(OCS)-4-3-18-25-17-7
○土居・今村組[NT]
 26位 28(予選成績)-25-13-30-12-22-26-32

シルバーフリート
○岩下・石井組[ジュニア代表]
 73位 33(予選成績)-28-23-29-33-29-29-13
○中村・清原組[ジュニア代表]
 71位 23(予選成績)-21-26-32-21-17-20-28
○澤村・橋口組[一般]
 63位 21(予選成績)-1-25-33-17-24-32-26

●女子:28か国・53艇(初日3レース終了時点・2グループ)
○吉田・吉岡組[NT]
 10位 17(予選成績)-17-7-10-14-4-15-10

※上記の予選成績は予選総合成績の順位を示します。また、シルバーフリートはゴールドフリート順位プラス(+39)の順位です。

●大会公式サイト:http://events.sailracer.org/eventsites/classpage_microsite.asp?eventid=159445&cid=337

1308_470W-38.jpg▲初ワールド26位と健闘した土居・今村
1308_470W-39.JPG▲最終日の吉田組、1R目最終マーク。上位に上がりきれず…
1308_470W-40.JPG▲吉田組、2R目混戦の上マーク
1308_470W-41.JPG▲吉田組、2R目2上。11位で回航も前を行くクロアチアを抜いて10位でフィニッシュ!

(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)

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●2011.12.18:2011パースワールドチャンピオンシップ後半戦 大会レポート
●2011.12.12:2011パースワールドチャンピオンシップ前半戦 大会レポート
●2011.11.14:第1回東日本大震災被災地支援セーリングクリニックレポート
●2011.10.23:江ノ島オリンピックウィーク22011大会 レポート
●2011.9.11:和歌山インターナショナルレガッタ大会 レポート
●2011.8.13:2011年 セーリング プレ五輪大会 レポート
●2011.7.17:Open Europeans Helsinki 2011(ヨーロッパ選手権2011)レポート
●2011.6.12:Sail for Gold 2011レポート
●2011.5.30:デルタロイドレガッタ2011レポート
●2011.4.30:第43回フランスオリンピックウィーク
●2011.1.11:2011年度 JSAFナショナルチーム選考レースレポート
●2010.12.11:2010アジアビーチゲームズ レースレポート
●2010.11.22:パースインターナショナルレガッタ2010 レースレポート
●2010.11.21:第16回アジア競技大会 レースレポート
●2010.10.25:JSAF和歌山インターナショナルレガッタ レースレポート
●2010.9.8:2010 レーザー級世界選手権 レースレポート
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●2010.7.21:470級2010世界選手権大会 レースレポート
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