Day7
SANTANDER 2014 TEST EVENT Ciudad de Santander Trophy
ISAF2014世界選手権テストイベント
サンタンデールトロフィー
Report:斎藤愛子(オリンピック強化委員会)
Photo:中村健次・飯島洋一・宮野幹弘・斉藤愛子
大会最終日 風弱く 全種目ノーレース
レーザーラジアル級 土居愛実 優勝!
▲レーザーだけがD旗で出艇、後はAPで陸上待機でした
【9月15日・大会第7日目、最終日】
最終日は11時からメダルレースを予定していましたが、風が安定せず、16時まで陸上待機し、海風が入りだしたところでレーザーが出艇しました。風の通り道になるところへコースを設定しようとしましたが、一時6ノットまであがった風もスタート準備を始める頃にはなくなってしまい、全種目ノーレースとなりました。
レーザーラジアル級では土居愛実が優勝しました。
「ラジアルユースで銀メダル、ISAFユースでは悔しい4位、先日のU21も4位だったので、やっと勝ちました。すごくうれしいです」(土居)
得意の風域だったことも幸いしましたが、非常に安定したレースぶりでした。
「スタートで苦手な混雑した上側から出る練習もして失敗も多かったのですが、1上が悪くてもダウンウィンドで抜いてくるし、アップウィンドでもあがってくるから、たいしたものです」(飯島コーチ)
RS:X級男子・富澤も5位となりましたが、久々のメダルレースができずに残念でした。土居のメダルを手にとりながら、うらやましそうに眺めていたのが印象的でした。RS:X男子は3強のドリアン、ボンテン、ニックが表彰台にあがりました。次回はそこに富澤が食い込んでほしいと思います。
▲ヨーロッパの強豪を相手に優勝の土居
これでテストイベントは終了しました。今回は参加艇数が少ないこともありましたが、英国、フランス、オーストリアが強い選手を送り込んでいましたので、それなりに現場の情報を集める点では収穫がありました。これらをまとめて来年の作戦を練りたいと思います。
土居が表彰式の後のインタビューに「サンタンデールはもっと吹くところと聞いていましたが、実際に来てみたら自分の得意な風だったのでよかったです」と答えていました。
サンタンデールは潮、波、風のパターン、気象パターンが複雑な場所です。9月という季節も夏から秋へ移る時で不安定です。今年の経験は来年に生かせる貴重なものとなりました。来年の世界選手権の枠取りへ向けて、いろいろと考えて準備をしていきたいと思います。来年も日の丸が中央に上がるようにしっかりと練習をしていきましょう。
49erとFXチームは引き続きフランス・マルセイユへ移動して世界選手権に参加します。レーザーラジアルは一度日本に戻り9月末から中国の日照で世界選手権となります。
長い期間皆様からの応援をいただき、ありがとうございました。
●日本代表選手の最終成績
○470級男子(32艇・18か国)
土居一斗・今村公彦組(アビームコンサルティング)
9位 1-2-(BFD)-8-5-7-3-17-29-25-M7
○49er級 (5艇・4か国)
牧野幸雄・高橋賢次組(トヨタ自動車東日本)
3位 4-(DNF)-4-2-3-3-3-2-3-4-1-2-4-3
○49erFX級(2艇・2か国)
波多江慶・大熊典子組(豊田自動織機)-NT外参加
1位 1-1-1-1-1-1-1-1-1-1-1-1-1-1
○RS:X級男子(29艇・20か国)
富澤 慎(トヨタ自動車東日本)
5位 6-8-(12)-5-7-5-6-4-5
○RS:X級女子(23艇・18か国)
大西 富士子(TEARS)
11位 (DNF)-DNC-15-10-7-9-7-11-14-3
伊勢田 愛(ビワコマリンスポーツクラブ)
12位 (DNF)-9-10-18-10-7-15-8-12-14
○レーザー級(40艇・23か国)
安田 真之助(京都府立宮津高等学校教員)
14位 12-8-(31)-14-17-9-12-19
谷口 斉謙(島精機製作所)
20位 14-5-24-(32)-14-20-22-33
○レーザーラジアル級(23艇・16か国)
土居 愛実(慶応義塾大学)
1位 (4)-2-4-1-2-4-2-3
原田 小夜子(長崎県セーリング連盟)
11位 9-9-(12)-7-7-12-4-10
●大会公式サイト:http://www.santander2014.com/en
▲スキフセーラーの4人はこれからマルセイユで世界選手権です
▲3位入賞の牧野・高橋組
▲FX級 波多江・大熊組
▲喜びの土居
▲レーザー2位のグアテマラの選手と土居。同点で2位だったから、残念そうでした
▲毎日、朝夕、トロリーをあげおろししてくれた船台ガールズ
▲レーザーチームと開会式で日の丸をもって行進してくれた少年
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day6
470級男子 土居・今村組 メダルレース7位で大会9位
レーザーラジアル級 土居 首位堅持
RS:X級男子 富澤 5位に上がりメダルレース進出
▲小さくてわかりにくいですが、土居・今村組のスピンラン
【9月14日・大会第6日目】
今日は高気圧の東側で安定した西風が吹きました。途中、予想よりも晴れ間が増えたせいか、海風要素が出始めると風が弱まる時がありましたが、全クラス、予定どおりにレースが始まりました。
A海面は49er級とFXでした。牧野・高橋組が3位に上がりました。
「序盤は苦戦が続き、立て直しを図っているですが、レース毎に少しずつ修正されてきています。まだミスは多いものの復調の兆しが見えた1日でした。まずはやるべきことをしっかりやり、内容重視であすの最終日に臨んでもらいたいと思います」(石川裕也チームコーチ)
今日のハイライトはFXが12ノット前後の風だと49erに何度も絡んでレースができたことと、ダウンウィンドで抜いてきた場面があったことでしょうか。FXは49erのハルに短いマストを立て、セールエリアも小さいため軽風域では49erに付いていくことができませが、ダブルトラピーズの風域になると結構ついていけます。風次第で女子が男子と互角に走るのを見るのは小気味いい限りです。ちなみに五輪クラスはレーザーも、RS:Xも同様にハル(ボード)がいっしょでリグとセールが小さいというコンセプトで揃いましたし、470は男女区別がありません。
▲レースエリアは大きなうねり
B海面はレーザーとレーザーラジアルで3レースを行いました。ラジアルは土居愛実が今日も安定したスコア(4-2-3)でトップをキープしており、大会2位以内が決まりました。逆転の可能性がある2位のトルコとは7点差です。明日のメダルレースが楽しみです。原田は10位と2点差の11位となり、残念ながらメダルレース進出のチャンスを逃してしまいました。
レーザーの安田は14位、谷口は20位でした。
「安田は以前よりもフリートの中で軽風でもしっかり走れるようになっています。レーザーは数が少ないとはいえ、トップ10は好選手が集まっているので、今日9位をとりましたが、それ以上にあがるのが難しいです。あと一息なのですが…」(飯島洋一コーチ)
▲大西1下トップで回航
D海面のウインドRS:Xでも女子・大西が3位をとり、メダルレースに残れるかと思いましたが、11位で進出なりませんでした。伊勢田も12位と健闘しましたが、悔しい限りです。
男子・富澤は2レースを4-5と崩さずに安定して走り、フランスの若手を抜き5位にあがりました。あと上にいるのは五輪メダリストばかりですから、大健闘です。4位のスペインとは10点差です。明日もしっかり戦ってほしいと思います。
F海面で実施されたメダルレースには470男子の土居・今村組が出ました。フィンや女子のレースを見ながらコースプランを考え、1上は4位で回航。しかし、ダウンウィンドでのUP気味にスピードをつける彼らに対して、周囲の艇はもっと落とした角度でスピードが変わらず、位置取りが苦しくなって順位を落としてしまいました。それでも7位でフィニッシュし、トータル9位が決まりました。すでに優勝が決まっている英国組はのびのびと走り、2位でフィニッシュ。また、女子も同じ英国がオーストリアを逆転して優勝しました。
明日はRS:X男子の富澤とレーザーラジアルの土居がメダルレースに出ます。土居は初メダルレースになるので、いい経験ができそうです。富澤はこのところ11位ばかりでメダルレースを逃してきましたので、久々のファイナルステージに期待できそうです。
●日本代表選手の成績:(14日終了時)
○470級男子(32艇・18か国)本日メダルレース
土居一斗・今村公彦組(アビームコンサルティング)
9位 1-2-(BFD)-8-5-7-3-17-29-25-M7
○49er級 (5艇・4か国)本日4レース
牧野幸雄・高橋賢次組(トヨタ自動車東日本)
3位 4-(DNF)-4-2-3-3-3-2-3-4-1-2-4-3
○49erFX級(2艇・2か国)本日4レース
波多江慶・大熊典子組(豊田自動織機)-NT外参加
1位 1-1-1-1-1-1-1-1-1-1-1-1-1-1
○RS:X級男子(29艇・20か国)本日2レース
富澤 慎(トヨタ自動車東日本)
5位 6-8-(12)-5-7-5-6-4-5
○RS:X級女子(23艇・18か国)本日2レース
大西 富士子(TEARS)
11位 (DNF)-DNC-15-10-7-9-7-11-14-3
伊勢田 愛(ビワコマリンスポーツクラブ)
12位 (DNF)-9-10-18-10-7-15-8-12-14
○レーザー級(40艇・23か国)本日3レース
安田 真之助(京都府立宮津高等学校教員)
14位 12-8-(31)-14-17-9-12-19
谷口 斉謙(島精機製作所)
20位 14-5-24-(32)-14-20-22-33
○レーザーラジアル級(23艇・16か国)本日2レース
土居 愛実(慶応義塾大学)
1位 (4)-2-4-1-2-4-2-3
原田 小夜子(長崎県セーリング連盟)
11位 9-9-(12)-7-7-12-4-10
●大会公式サイト:http://www.santander2014.com/en
▲レーザー級 安田のスタート
▲レーザー級 谷口のスタート
▲女子スタート
▲富澤慎vsフランス:ボンテン
▲470女子のメダルレース。岸に近くまでよってきました。
▲470女子の表彰式。来年はここに日本チームが立ってほしいです
▲今日でFXはレースを終了。ボートを撤収する中村健次コーチ
▲メダルレースの朝はスタートの2時間前にQエリアへ艇を運び、計測チェックを受けます
▲フランスのソフィアンとピエールと土居一斗
▲49erの牧野と石川裕也コーチ
▲第11レース(本日1レース目)トップを快走する牧野・高橋組
▲風速13ノットを超えると男子49erに絡んでレースをするFX波多江・大熊組
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day5
レーザーラジアル級 土居愛実 首位に立つ
470級男子 土居・今村組 10位に後退もメダルレース進出へ
▲まっ黒な飯島コーチとトップにたった土居愛実。海風の解明に取り組んでます
【9月13日・大会第5日目】
朝のうちは風が無く、海風が吹き始めたのが12時になりました。安定した10ノット前後のなか今日は今大会のベストな1日でした。各エリアともレースを消化し、F海面でのナクラのレースは見ごたえあるものでした。ヨットレースは風がすべてを決めるのだなと、改めて実感した日でした。
A海面はRS:X級男女が2レースを行いました。男子・富澤は今日も5-6と崩さず、6位をキープしています。
「最初のレースは6ノットくらいから段々と強くなって、2レース目は10ノット前後でした。悪くないのですけど、順位があげられません。スピードかなぁ」(冨澤)
女子は伊勢田、大西ともにメダルレース進出のボーダーにいます。
B海面の470男子 土居・今村組は3レースとも2桁順位で2位から10位に後退しましたが、メダルレースに残ることができました。
二人のレースを見守ったルスラナコーチは「きょうのレースはテクニックではなく、レースに対するAttitude (取組)が問題だった。緊張して、臆病になって、安全第一みたいになっては勝てない。そういう時こそルーティンをしっかりやって、いつも通りのレースをすることを覚えてほしい」と言っていました。
「BFDがあるので、1本も失敗できないと意識しすぎたかもしれません」(今村)
「見ているつもりでも、回りが見えていないとルスラナに指摘されました。」(土居)
土居は470ジュニアワールド以来、五輪クラスでは初のメダルレースになります。気負わず、普通に取り組むことをルスラナは強調していました。
▲スタート直後もうパンピング
C海面のレーザー級、レーザーラジアル級は土居愛実が兄の運をもらったかのように3レースを4-1-2とまとめて総合トップに立ちました。6ノットくらいから次第に強まる海風はゆっくり右へシフトしていくパターンで、日本選手にとってちょうどよい強さでした。
「まだまだミスは多いですが、土居はよく回りを見ています。アリスン(英国)と走り合わせるのを楽しみにしていたのに、腰痛でリタイアしてしまい、残念です」(飯島コーチ)原田は11位です。あす頑張ってメダルレース圏内に入ってほしいものです。
男子の安田、谷口はきのうより苦戦していますが、混戦の中で辛抱強くレースしています。
D海面は49er級とFXが4レースを行いました。D海面のマークは島のすぐ横に設置され、岸の影響も若干ありましたし、水路の出口で潮が速い場所もあれば、潮目で藻が多い場所もありました。来年の本番では一番嫌な場所になりそうです。
牧野・今村組はきのうと変わらずの5位に位置しています。トップ以外は混戦です。
「スタートが良くなったことで、きのうまでよりも上位の中で展開できるようになってきましたが、コース選択の点でまだ風の変化と他艇の動きに対して後手になってしまうケースがあります。徐々に修正はされてきていますので、残りあと2日で少しでも改善につなげてもらいたいと思います」(石川裕也チームコーチ)
FXは12ノット前後の風だといちばん49erといっしょに走れる風域で、きょうは49erとミートする場面もありました。
「スタートがだいぶ改善されて、出られるようになってきました」(大熊)
「マルセイユへ先乗りしているセーラーたちが嵐で海に出られないとフェースブックに載っていました。その分こっちで練習して、マルセイユへ行ける・・と思うようにしています」(波多江)
明日470級男子はメダルレースです。ボーダーの選手はあすきっちりレースして、メダルレースを経験できるようになってほしいと思います。気負わず、ルーティンどおりにレースをすることが大切です。「いつもやること、きちんとやってください」。これが中村健次ナショナルコーチの口癖です。
●日本代表選手の成績:(13日終了時)
○470級男子(32艇・18か国)本日3レース
土居一斗・今村公彦組(アビームコンサルティング)
10位 1-2-(BFD)-8-5-7-3-17-29-25
○49er級 (5艇・4か国)本日4レース
牧野幸雄・高橋賢次組(トヨタ自動車東日本)
5位 4-(DNF)-4-2-3-3-3-2-3-4
○49erFX級(2艇・2か国)本日4レース
波多江慶・大熊典子組(豊田自動織機)-NT外参加
1位 1-1-1-1-1-1-1-1-1-1
○RS:X級男子(29艇・20か国)本日2レース
富澤 慎(トヨタ自動車東日本)
6位 6-5-8-(12)-5-7-5-6
○RS:X級女子(23艇・18か国)本日2レース
大西 富士子(TEARS)
12位 DNF-DNC-15-10-7-9-7-11
伊勢田 愛(ビワコマリンスポーツクラブ)
10位 DNF-9-10-18-10-7-15-8
○レーザー級(40艇・23か国)本日3レース
安田 真之助(京都府立宮津高等学校教員)
14位 12-8-(31)-14-17
谷口 斉謙(島精機製作所)
15位 14-5-24-(32)-14
○レーザーラジアル級(23艇・16か国)本日2レース
土居 愛実(慶応義塾大学)
1位 (4)-2-4-1-2
原田 小夜子(長崎県セーリング連盟)
11位 9-9-(12)-7-7
●大会公式サイト:http://www.santander2014.com/en
▲富澤フィニッシュ
▲大混戦
▲公務員セーラーとなった安田真之助とサラリーマンセーラーから半プロになりつつある谷口
▲マイペースな原田小夜子
▲スタートでなかなか前に出れない安田
▲ダウンウインドで順位を上げる原田
▲総合3位の赤丸をつけてセーリングの土居
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day4
470級 土居・今村組 好調キープの2位
RS:X級 富澤 2番UPの6位に上昇
きょう初日のレーザー級 谷口9位
レーザーラジアル級 土居3位 発進
▲初日4-2とまとめて全参加選手の中でベストスコアの土居
【9月12日・大会第4日目】
長い1日でした。大西洋の高気圧の圏内に入り、海風の入りを待ってレースとなったため、定刻の13時にはスタートできず、陸上待機の末に14時前後から各エリアでスタートしました。8ノット前後のコンディションでした。
B海面ではきょうから始まったレーザー級とレーザーラジアル級が2レースを行いました。レーザーはすんなり2レースできました。今年は春の遠征をしていませんから、ヨーロッパでのレースは初めてになります。40艇はレーザーの大会にしては数が少ないので、1フリートで落ち着いてレースできるのはいいかもしれません。安田、谷口ともに周囲をよく見てレースができました。
後からスタートのラジアル女子は土居が4-2でトップのはずですが、得点が2レースでも「捨てあり」となるため、兄の土居が470級で初日トップにたてなかったのと同様に妹の愛実も総合3位となります。土居は7月にU21の大会でハンガリーに遠征して4位に入ったので今年初遠征ではありませんが、五輪の前に走り負けていた相手よりもいいレースができていました。原田も1年ぶりの欧州遠征です。ラジアルは2レース目のスタートが遅れてしまいました。潮が強い中でスタートラインがうまく設定できずに延期、延期している間に風がシフトしてマークの設定し直しとなり、終了してハーバーに戻った時は20時を過ぎていました。土居と原田で「ウクライナは前からこんなに速かったっけ?」と、相手の技量と自分達が進歩しているかのチェックで終わった1日でした。
▲男子スタート1分前
C海面の470級は土居・今村組が今日も踏ん張り、2レースを7-3とまとめて2位をキープしています。通算得点を見る限り2強のムードになっています。
「英国チームは堅くて、前にいますが他はOCSがあったり、悪い順位があるので自分達は安定している分、点差がついています。でも、自分達もBFDを持っていますから、崩さないことが結構重要ですね」(今村)
「今回直接彼らのレースは見ていませんが、彼らと話をしていて、ラッキーな面もありますが、他国チームが苦戦する中で、のびのびとやっている感があります。それと、常に伝えてきた『大きな視野を持つ』ことができて来ている様にも感じ取れます。ルスラナコーチの指導がそれを支えているのかもしれません」(中村健次コーチ)
D海面のRS:X級は早めに2レースを終えました。風が思ったよりも弱く、パンピングコンディションでした。富澤はきのうまでの好調をキープし、5-7でまとめ、2番アップの総合6位につけています。課題のスピード向上に手応えを感じているようです。期待が増してきます。
「トップのドリアン(オランダ)にパンピングでは負けないと思っていたのですが、彼はロンドン五輪の時よりも体重が減ったようだし、ブラジルのワールドの時よりもテクニックが上がっているみたいで、勝てませんでした。自分も走りが悪いわけではありませんが、ドリアン、ニック(イギリス)、ボンテン(フランス)が抜きん出ています。彼らに割ってはいれるようになるのが次の目標ですね」(富澤)
女子の大西と伊勢田もパンピングのレースではしっかり漕げていたので、10位以内に入って戦えました。
▲サンタンデールの街を背景に走る49er牧野・高橋組
49er級とFXはハーバーの目の前のFエリアでレースとなりましたが、Aエリアのフィンが3レースを終えてから同じ運営艇が移動してきてからのレースであったため、18時を過ぎてから2レースを行いました。大会運営側も「どうやったらF海面でいいレースができるか」を試したところがあります。ハーバーの目の前は航路になっており、きょうは満ち潮の時のレースとなりました。風は軽風で北東からでむらのあるコンディションでしたが、向かい潮でラルにつかまると潮がきつくて前に進まない状態でした。大会主催者が前のパース(オーストラリア)大会を意識して、スタジアムを作った正面でレースをしたいのは理解できますが、F海面の風は今日のように半島をこえて入る向きだと強弱のむらができ、シフトも大きくなります。メダルレースは8~10艇しかいませんから、OKといえばOKなのかもしれませんが、風はもっと安定してほしいところです。
「牧野・高橋組は課題のスタート、レースの組立て方は改善されましたが、前日とはまた違う陸の目の前に設定されたエリアの変化の多い風の特徴をいまひとつ掴みきれず、苦戦しました。今大会は直後フランスで開催されるワールドに向けての調整も兼ねています。そのためにもスタート、レースの組立て方などの基本的な部分をレース毎に少しでも改善できるように、あす以降も頑張っていきます」(石川裕也TMEJチームコーチ)
毎日、レースエリアとレース数などでの変更がでますが、大会も全クラスがそろい、ハーバーにも活気がでてきました。あすも軽風の予報がでています。
●日本代表選手の成績:(12日終了時)
○470級男子(32艇・18か国)本日2レース
土居一斗・今村公彦組(アビームコンサルティング)
2位 1-2-(BFD)-8-5-7-3
○49er級 (5艇・4か国)本日2レース
牧野幸雄・高橋賢次組(トヨタ自動車東日本)
5位 4-(DNF)-4-2-3-3
○49erFX級(2艇・2か国)本日2レース
波多江慶・大熊典子組(豊田自動織機)-NT外参加
1位 1-1-1-1-1-1
○RS:X級男子(29艇・20か国)本日2レース
富澤 慎(トヨタ自動車東日本)
6位 6-5-8-(12)-5-7
○RS:X級女子(23艇・18か国)本日2レース
大西 富士子(TEARS)
15位 DNF-DNC-15-10-7-9
伊勢田 愛(ビワコマリンスポーツクラブ)
10位 DNF-9-10-18-10-7
○レーザー級(40艇・23か国)本日2レース
安田 真之助(京都府立宮津高等学校教員)
14位 12-8
谷口 斉謙(島精機製作所)
9位 14-5
○レーザーラジアル級(23艇・16か国)本日2レース
土居 愛実(慶応義塾大学)
3位 4-2
原田 小夜子(長崎県セーリング連盟)
11位 9-9
●大会公式サイト:http://www.santander2014.com/en
▲2レース目2位でゲートを回る谷口
▲女子スタート1分前
▲大西vsフランス・ピコン
▲伊勢田下マーク回航
▲49er&FXのレース海面をとおる帆船
▲夕暮れまで行われた本日のレース
▲F海面のスタート直前。ラインに並んでいる49erの前を横切る帆船
▲ハーバーに戻ってきた富澤と18時からレースだった牧野。49erのウイングがいい日よけです
▲土居兄妹はともに活躍で笑顔のツーショット
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day3
470級男子 土居・今村組 総合2位キープ
RS:X級男子 富澤 8位につける
▲富澤、激戦の下マーク
【9月11日・大会第3日目】
朝、西から吹いていた風が北または北東まで変化する1日でした。何度か雨雲の接近で風向の変化はありましたが、時折10ノットを超えるコンディションで各クラスがスタートしました。北系の風ですが、エリアによって風軸は異なり、陸の影響を受けている場所が多いと考えられます。複数の種目で複数のエリアに出ていると情報の連携が重要になってきます。今日は雨雲がいくつか通過しましたが、その時だけ風にも影響したようです。
きょうの470級はきのうのビーチ正面で岸に近いエリアからB海面(沖)に移り、レースをおこないました。波が大きくなり、潮は東から西へ絶えず流れているようなところです。土居・今村組は今日の最初のレース4位で走っていながらもBFD(ブラック旗:失格)となりましたが、その後は8-5とまとめて総合2位をキープしています。
「1レース目はBFDでしたが4位で走れていたし、みんな安定していないせいか、8-5でもトータル2位をキープできているのでびっくりです」(今村)
C海面にはRS:X級男女が行きました。ハーバーからゴムボートに曳航されて25~30分かかります。今大会はエリアのサークルが小さく、海面も近くに設置しているとはいえ、C海面は遠いです。うねりが大きく、波も悪く、きょうのように待ち時間が長いとRS:Xには厳しいものでした。男子・富澤の第1レースは前日とほぼ同様のプレーニングコンディションで、良いスピードを再現することができ、5位でフィニッシュ。その後の2レースは若干風速が落ち、不規則に変化する風向の変化にコース選択が噛み合わず、順位を落としていく展開となりました。富澤は難しい顔をしていましたが、うねりの中でセッティングを直すのもたいへんなら、コーチボートへつけて休む間に船酔いしそうになったり、ストレスのたまる一日だったようです。それでも通算総合8位につけています。
「何か、怒っているような気持でレースしていて、うまく判断できませんでした。思うようにいかないからなのでしょうけど。1上まではプレーニングコンディションだったのに、後はダガーで走り、波と潮のせいか、しっくりいきませんでした」(富澤)
女子ふたりは苦戦でした。
「6時間も海の上にいて、レースエリアへ行くまでに時間がかかりすぎです。波が悪くて休むのもたいへんだし、レースとレースの間も長くあけすぎだし。くたびれました」(伊勢田)
「スタートで思ったよりも潮が速く、止めようとしても板が横向いてしまい、タイミングが合わせられなくてリコールしてしまいました。流れに慣れないとだめですね」(大西)
大西はDNCとついていますが、OCSです。フィニッシュ艇のボードの一番上に書かれていました。
▲49er&FXの同時スタート
D海面はスキフでした。
FXはオーストリアのスキッパーが前日のレースで負傷してきょうからリタイアとなり、1艇だけになってしまいました。
「49erと一緒に走りましたが、角度をおとし気味で走り、いいスピードが出せるようになりました。男子と合わせてみると、つかめるものも多く、走りがよくなったと思います。アプローチやスキフのレースの組み立てとか得るものが多いので勉強になります。一番練習になっているのはスタートです。きょうは1回だけ49erとクロスして前を通りました。」(大熊)
49erの牧野・高橋組は第1レースのスタート時に他艇との接触トラブルで、艇の備品(ブームのバングレバー)が破損し、第1レースはリタイアしました。
海上で破損パーツを交換し臨んだ第2レースでは途中まで良い位置で展開できていましたが、風の変化に対し後手後手のコース選択となってしまい、4位。第3レースでは、トップには及ばなかったものの、前のレースの反省をいかし風の変化を捉えたコース選択で2位フィニッシュしました。
大会3日目を終えましたが、アイルランドで欧州選手権を終えた各国のレーザー勢も集まり、明日からレースが始まります。まずはB海面で3レースとなります。470級も3レース、RS:X級は2レース、49er級とFXは4レースを予定しています。
サンタンデールは潮よりも風を優先しなければならない場合が多い印象で、潮については全体の大きな流れがつかめれば、エリアが小さいせいもあり、エリア内での差が少ないように感じます。来年の本大会に向けての課題はむしろ「波対策」かもしれません。
●日本代表選手の成績:(11日終了時)
○470級男子(32艇・18か国)本日3レース
土居一斗・今村公彦組(アビームコンサルティング)
2位 1-2-(BFD)-8-5
○49er級 (5艇・4か国)本日3レース
牧野幸雄・高橋賢次組(トヨタ自動車東日本)
5位 4-(DNF)4-2
○49erFX級(2艇・2か国)本日3レース
波多江慶・大熊典子組(豊田自動織機)-NT外参加
1位 1-1-1-1
○RS:X級男子(29艇・20か国)本日3レース
富澤 慎(トヨタ自動車東日本)
8位 6-5-8-(12)
○RS:X級女子(23艇・18か国)本日3レース
大西 富士子(TEARS)
19位 DNF-DNC-15-10
伊勢田 愛(ビワコマリンスポーツクラブ)
11位 DNF-9-10-18
●大会公式サイト:http://www.santander2014.com/en
▲49er牧野・高橋組、スタート前の風チェックとスピードチェック
▲49erはフラットバランスが重要
▲FX、今日の3レーストラブルなく3レースを終える
▲大西、下マーク回航
▲「こんなふうに、怖い顔で乗ってました。(富澤・右)
▲「6時間海の上にいてきつかったです。レースしているよりも往復や待っている時間のほうが長かったです。(伊勢田・右)
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day2
秋到来の不順な天候に翻弄された2日目
▲初レースの日本FXチームの波多江・大熊組
【9月10日・大会第2日目】
本日よりRS:X級男女と49er級男子、同FX女子がスタートしました。朝から予報どおり10~13knotの沖からの風が吹いていましたが、雨が降ったりやんだり、風も上がったり弱まったりで、スケジュールどおりにレースはできませんでした。
470男子はA海面で女子が先のスタートでしたが、1上へ行く途中で大きなシフトがあり、レースが取り消しとなりました。その後は風がなくなってしまい、1レースもできずに陸へ戻りました。
(【編集補足】昨日のレポートで土居・今村組はトップとお伝えしましたが、正しくは英国艇が1位、日本が2位でした。今回は予選・決勝の区分けはなく、1フリートでのシリーズです。したがって、RRSのAppendix Aにある得点のルールに従って計算されています。今大会のSIでは何レース実施したら1レースをカットするとかは記載されていません。よって、シリーズのスコアから最も悪いレースを1レースカットするということになります。
470級男子は2レースを実施→もっとも悪い成績をカット→英国と日本がタイ→RRSのAに従い、タイがとけない場合は最後のレースで上位が上となります)
B海面(最も沖の海面)の49er級とFXは1レースできましたが、女子は2艇のエントリーと減ってしまい、しかもAUT艇はスタート前に何度も沈をしてリタイアとなり、1艇となった波多江・大熊組は49er級と一緒にスタートしました。牧野・高橋組はスタートから左へ伸ばしていったときに風が右シフト(結果的に集団の1番左の不利な位置からスタートしたため、それがロスとなった)して1上の順位が悪く、取り戻せないまま4位でのフィニッシュとなりました。今回は艇数が少ないことから、特に序盤でロスをしてしまうと、挽回するチャンスが少ない展開となるため、スタートとレース前のプランがより重要になります。
FXは昨年12月に和歌山で試乗会に参加した中から、波多江・大熊組が誕生しました。ともに470級からの転向ですが、国内で基本をしっかり練習し、初の海外遠征です。この大会の後にマルセイユでの世界選手権となります。
▲49er 第1レース目上マークにアプローチする牧野・高橋組
【中村健次コーチのレポート】
『海面(波やうねり)の感じは相模湾に似ている感じですが、潮流が速いことで、より複雑な波が発生します。各国チームともボートバランスを取るのに苦戦していました。
両クラスとも参加艇が少なく(今大会の1週間後に控える世界選手権開催会場のマルセイユに早入りしている選手がほとんど)、同時スタートとなりました。
この情報は事前に分かっていましたが、日本チームとしてプレISAFは来年の本大会(五輪参加国枠取り大会)の重要性(諸準備・リサーチを含め)を優先したこと、FXチームは初レース参加体験で艇数の少ないイベントでも十分練習になると判断した結果でした。
今回は運営側が気を利かせてくれて、男女一緒のスタートにしてくれましたから、波多江・大熊組にとってはスキフ艇のレースの雰囲気はしっかり感じられた初日だったと思います。
(スキフ艇独特のスタート前の準備、気をつける事をアドバイスしています)
牧野・高橋組はコース05°セット、風向25°のスターボタックロングのマークと風の関係にありましたから、少し上有利でも艇団の下手からのスタートでした。タクティクス的には間違えていませんでしたが、今日の雨風の中では何が起こるか分からない状況でした。結果的に右への片振れ、自艇が風下に位置したリフトですから上位を追いかける形となりました。霧雨が来るとブローも見る事が出来ない状況でした』
D海面はRS:X級男女が1レースを行いました。男子・富澤は13ノットでスタートした後、風が徐々に弱まる中でも順位をあげてくることができ、6位でフィニッシュしました。富澤にとっては苦手とする風域でしたが、それでも終始トップグループの中で展開し、課題のスピードが改善されてきていることが確認できたレースとなりました。
「プレーニングコンディションから弱まるのは苦手だったのですが、今日はきっちり走れて、克服してきた感じがします。2上へ行くときは英国がずっと風に乗って走れていたのに、自分は抜けたり入ったりで、あと一息でした」(富澤)
後からスタートした女子は1上へ行く途中で風が弱まり、風があるうちに回ったトップ集団とおいていかれた後続集団とで差がついてしまいました。半数近くがDNFになってしまい、残念ながら大西、伊勢田ともにタイムリミットのDNFです。
朝のブリーフィングでは気象情報の説明がありますが、英国の東にある寒冷低気圧の影響は水曜日まで続き、木曜日から北大西洋の高気圧の影響下に入ります。日本と同様、一雨ごとに涼しくなる秋が到来というところです。
明日は軽風の予報で、3レースが予定されています。
●日本代表選手の成績:(10日終了時)
○470級男子(32艇・18か国)本日レースできず
土居一斗・今村公彦組(アビームコンサルティング)
2位 1-(2)
○49er級 (5艇・4か国)本日1レース
牧野幸雄・高橋賢次組(トヨタ自動車東日本)
4位 4
○49erFX級(2艇・2か国)本日1レース
波多江慶・大熊典子組(豊田自動織機)-NT外参加
1位 1
○RS:X級男子(29艇・20か国)本日1レース
富澤 慎(トヨタ自動車東日本)
6位 6
○RS:X級女子(23艇・18か国)本日1レース
大西 富士子(TEARS)
12位 DNF
伊勢田 愛(ビワコマリンスポーツクラブ)
12位 DNF
●大会公式サイト:http://www.santander2014.com/en
▲第1レース下マーク回航するRS:X級男子 富澤
▲6位でフィニッシュのRS:X級男子 富澤
▲470男子は2位の青丸をつけています
▲FXはセールポケットの中にGPSトラッキング受信機をつけています
▲波多江(右)、大熊組は初レース。コースをしっかり回ることがワールド前の最後の練習です
▲第1レース、FX波多江・大熊組フィニッシュ!
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
Day1
470級男子 土居・今村組 上々の滑り出し
初日2レースを終えて首位に
▲第2レースで2位回航
【9月9日・大会第1日】
きょうは470級男女がA海面、フィンがC海面で2レースを行いました。
公式掲示板の前で成績表を見ていたら「2020の効果?」と英国のチームリーダーに言われましたが、初日の土居・今村組はR1で1位、R2も2位で、英国のペイシェンス・ドランフィールド(ロンドン五輪銀メダルのスキッパーとアテネ、北京の銀メダルクルーが組んだ新チーム)組と並んでトップに立ちました。(2レース目からカットが入っています)
「土居と組んで春から遠征に出ていますが、スプリングカップでのトップは相手にトップセーラーがいなかったので、きょうのが事実上の海外初トップですね。シフトに合わせて走れたのがよかったと思います」(今村公彦)
第1レースはO旗が上がっていました。時折10ノットを超えるガストが入っていましたが、1回目のスタートから1上まで走ってから中止、再スタート。2回目のスタートで出ました。
「海面は岸からの西風だったため、シフトしていました。振れにうまく合わせていけたので、上位をとれたのだと思います。サンタンデールはシフトの多い場所なので明日も風をしっかりとらえて頑張ります」(土居一斗)
第2レースは風が落ちたので波とうねりに翻弄されました。いずれにしても好調な出だしです。大いに期待が持てます。
明日から49er級、同FX級、RS:X級男女が始まり、レーザー男子とレーザーラジアル女子は12日からレースです。
●日本代表選手の成績:(9日470級2レースのみ)
○470級男子(32艇・18か国)
土居一斗・今村公彦組(アビームコンサルティング)
1位 1-(2)
●大会公式サイト:http://www.santander2014.com/en
▲他クラスがまだのんびり練習の中、D旗が上がり、出艇する土居・今村組
▲宿に戻ってきた二人は笑顔満載。2レースをまとめることが出来、嬉しい初日でした
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)
CST
プレISAFワールド 開幕
日本から7クラス・13選手が出場
▲サンタンデールは美しい海岸線の観光名所。旧城跡をバックに練習するFX女子
●開催地 :スペイン・サンタンデール
●日程:9月9日~15日(470級は14日・メダルレース、他クラスは15日)
●日本代表選手:
○470級男子(43艇・18か国)
土居一斗・今村公彦組(アビームコンサルティング)
○49er級 (7艇・5か国)
牧野幸雄・高橋賢次組(トヨタ自動車東日本)
○49erFX級(4艇・4か国)
波多江慶・大熊典子組(豊田自動織機)-NT外参加
○レーザー級(47艇・25か国)
安田真之助(京都府立宮津高等学校教員)
谷口斉謙(島精機製作所)
○レーザーラジアル級(26艇・19か国)
土居愛実(慶応義塾大学)
原田小夜子(長崎県セーリング連盟)
○RS:X級男子(33艇・24か国)
富澤慎(トヨタ自動車東日本)
○RS:X級女子(24艇・18か国)
大西富士子(TEARS)
伊勢田愛(ビワコマリンスポーツクラブ)
●JSAF帯同スタッフ:
中村健次・飯島洋一・宮野幹弘・斉藤愛子(JSAF・オリンピック強化委員会)
萩原正大(JISS)・石川裕也(トヨタ自動車東日本)・ルスラナ・タラン(アビームコンサルティング)
●大会公式サイト:http://www.santander2014.com/en
【9月8日・大会前日】
来年9月に予定されているISAF世界選手権のテストイベント(プレ大会)が始まります。開催地のサンタンデールはスペイン北部の都市で、五輪招致を争ったマドリードから北へ350kmに位置しています。
2020年‐東京五輪開催決定の知らせをこの地で聞いた選手、スタッフともに、今日は至る所で「Congratulations!」の声をかけられ、「東京の風はどうなのか?」「行くのが楽しみだ!」と普段は話をしたこともないような人からも祝ってもらい、大いに盛り上がりました。まだ、東京開催の実感がわきませんが、各国のセーリング仲間達と開催決定の瞬間を共有できたのも、一味異なる経験だったかもしれません。自国開催はうれしいのと同時に責任感も感じる複雑な心境ですが、決まったからには、何事にもしっかり取り組んでいきたいと思います。
今回のテストイベントは来年同じ場所で開催される2014世界選手権の下調べを兼ねています。そこで五輪参加国枠の50%が決まってしまうため、6海面に分かれるエリアの状況や、ターゲットとする風域の見定め、どんな準備をしてくればいいのかを考えるレースです。日本からは上記の選手・チームが参加します。49erと49erFXは今月下旬にフランス・マルセイユで世界選手権があるので10艇に満たず残念ですが、他クラスのエントリーは予想よりも少なめながらレベル高いメンバーが揃いました。
▲470男子のセール計測チェック中。番号をチェックして、スタンピングします。
日本からの参加メンバーも皆計測チェックをすませ、明日(9日)の470級から毎日異なるエリアでレースをします。固定された海面ではありませんので、シャッフルに慣れなければなりません。毎日、夏と秋をいったりきたりしている気候にも慣れなければならないし、地形の影響を受けるエリア、変な波にも対応できるようにと、課題は数多くあります。
15日まで、毎日が勉強のレガッタとなりそうです。
▲大会ロゴをバウに水貼する安田選手
▲開会式には地元の人達が集まりました。
▲開会式で日の丸をもって行進してくれる地元スペインの少年。
▲運営準備も進み、全6エリアのマークが浮きました。
▲スペインのアバスカルさんからも、「東京おめでとう」と喜んでいただきました。
(編集・文責:JSAFオリンピック強化委員会・広報)